2025.05.07
マンションの大規模修繕工事における総会対応とは?決議方法や流れを解説
マンションに長く安心して住み続けるためには、建物の適切な維持管理が不可欠です。
とくに大規模修繕工事は、建物の安全性・快適性・資産価値を維持・向上させるために避けられない重要なプロセスです。
しかし、大規模修繕工事は多額の費用がかかり、住民の生活に大きな影響を与えるため、実施には、マンションの管理組合総会での慎重な検討と決議が求められます。
この記事では、マンションの大規模修繕工事を進めるうえで重要な総会対応について、区分所有法に基づく決議の種類・総会開催までの準備・当日の進行・住民との合意形成のポイントを詳しく解説します。
目次
大規模修繕工事と総会の関係性
マンションは区分所有者によって構成される管理組合が運営されており、大規模修繕工事を含むマンションの維持管理に関する重要な意思決定は、総会で行われます。
区分所有法に基づき、マンションの大規模修繕工事を実施するには、管理組合の総会での承認が必須となります。
総会では、大規模修繕に関連して以下のような議案が提出されるのが一般的です。
- 長期修繕計画の見直し
- 修繕工事の実施に関する承認
- 工事業者の選定
- 修繕積立金の取り崩し、あるいは一時金の徴収
これらの議案は、原則として組合員の多数決によって決議されますが、その前提として、工事の必要性や内容・費用などについて、住民への適切な情報共有と丁寧な合意形成プロセスが不可欠です。
住民が工事の価値や必要性を理解することで、総会での決議がスムーズに進みやすくなります。
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マンションで行われる総会の種類
マンション管理組合の総会には、主に「通常総会」と「臨時総会」の2種類があります。
大規模修繕に関する議案は、これらの総会で取り扱われます。
通常総会
通常総会は、マンションの運営・管理の方向性について区分所有者同士で話し合うための会議です。
区分所有法により、最低でも毎年1回、会計年度開始から2か月以内に開催することが義務付けられています。
通常総会で取り扱われる議案には、以下のようなものがあります。
- 建物の管理に関する報告と承認
- 事業報告と収支決算報告
- 監査報告
- 次年度の事業計画と収支予算
- 修繕工事の提案
通常総会を開催する場合、開催の2週間前までに、マンション標準管理規約に従って招集通知を書面で送付するのが一般的です。
総会には、原則として区分所有者の全員が出席できます。
臨時総会
臨時総会は、緊急時や特定の重要事項など、通常総会の開催時期を待たずに早急に話し合いが必要な場合に、臨時的に開催される総会です。
臨時総会で話し合われる内容としては、以下のような例が挙げられます。
- 緊急の修繕工事について
- 予算オーバーについて
- 法的問題に関すること
- 他の緊急事態について
なお、開催のタイミングは決まっておらず、理事会の決議により開催が必要だと判断された場合に行われるのが一般的です。
しかし、一定の条件を満たせば、理事会以外の区分所有者によって開催することも可能です。
通常総会・臨時総会いずれにおいても、議決事項を証明する証拠資料として議事録の作成が義務付けられています。
議事録は、後々のトラブルを避けるためにも重要であり、理事長が保管するのが一般的です。
総会での決議方法の種類
マンションの総会における議案の決議方法には、普通決議と特別決議の2種類があります。
どちらの方法で決議を行うかは、議案の内容や修繕工事の性質によって、区分所有法で定められています。
普通決議について
比較的日常的かつ、一般的な議題を決める際に用いられる決議方法です。
可決に必要な条件
普通決議が可決されるためには、総会に出席した区分所有者の過半数の賛成、または区分所有者総数の1/2以上の賛成が必要です。
また、総会を成立させるためには、原則として区分所有者の1/2以上の出席が求められます。
また区分所有法では、普通決議に特別な成立要件を定めていません。
そのため、管理規約を改定することで、普通決議の成立要件を過半数よりも緩和することも法的には可能とされています。
対象となる主な議題・工事
普通決議で取り扱われるのは、収支決算報告や理事などの選任または解任といった、日常的なマンション運営に関わる案件が多いです。
例えば、前年度の管理組合の活動報告や、収支予算案と事業計画案の承認、管理費や修繕積立金の変更なども普通決議で決められます。
大規模修繕に関連する工事では、共用部分に元々あった設備を大きく変更しない程度の軽微な修繕であれば、普通決議による承認で実施が可能です。
具体的には、マンションのロビーに防犯用の夜間灯を追加設置する工事・階段部分への手すりの設置・スロープの設置・防犯カメラの設置や光ファイバー回線の敷設などが普通決議の対象となることが多いです。
また、壁の耐震部材設置や地下駐車場の簡易的な補強工事なども、普通決議で可能な場合があります。
特別決議について
管理規約の改定や共用部分の形状または効用を大きく変更させるような大規模修繕工事など、管理組合全体にとって重要な内容を決める際に用いられる、より厳しい承認条件が必要な決議方法です。
可決に必要な条件
特別決議が可決されるためには、区分所有者総数および議決権総数の3/4以上の賛成が必要です。
ただし、建物の建て替えについての決議は、さらに条件が厳しくなり、区分所有者総数および議決権総数の4/5以上の賛成が必要とされます。
特別決議を行う総会は、原則として区分所有者の3/4以上の出席がなければ成立しません。
なお、自治体から耐震化計画の認定を得られた場合は、耐震改修促進法に基づき、大規模改修時の議決要件が3/4から1/2に緩和されることもあります。
対象となる主な議題・工事
管理規約の改定や廃止、共有部分の形状や効用を大きく変更させるような大規模な修繕工事の決議が特別決議に該当します。
また、区分所有権の競売の請求も特別決議が必要です。
特別決議が必要となる具体的な工事としては、例えば建物の基本的な構造を大きく加工したり取り壊したりするような大がかりなバリアフリー化工事が挙げられます。
また、マンションの一部を増築して集会室や駐車場・駐輪場などを新たに設ける工事や建物の躯体部分に手を加えるような大規模かつ著しい加工を伴う工事も、特別決議の対象となります。
共有部分の工事における決議方法の判断基準
マンション共有部分の工事において、普通決議と特別決議のどちらが必要となるかの判断は、工事の程度や範囲ですが、とくに「形状または効用の著しい変更を伴うか」が基準となります。
- 普通決議の対象…建物の基本的な構造に大きな加工を伴わない軽微な変更にとどまるもの
- 特別決議の対象…現状を大きく改修するような著しい変更を伴うもの
しかしながら、区分所有法における「著しい変更」というルールは曖昧であり、判断が難しい場合も少なくありません。
工事の内容によっては、普通決議で提案しても、承認の条件を満たせず可決できないことがあります。
また、管理規約の内容によって判断が異なる場合もあるため注意が必要です。
ご自身のマンションで検討している工事が普通決議と特別決議のどちらに該当するか判断に迷う場合は、建築士や修繕コンサルタントなど、マンション管理や建築の専門家に相談することが推奨されています。
専門家のアドバイスを受けることで、適切な決議方法を選択し、総会での承認を円滑に進められるでしょう。
大規模修繕総会に向けた準備ステップ
大規模修繕総会を円滑に進めるためには、事前の周到な準備が不可欠です。
とくに、金額が大きく住民生活に影響を与える工事に関する議案は、慎重さと準備が求められます。
大規模修繕総会に向けた準備ステップ1.修繕委員会や理事会による計画立案
大規模修繕の計画は、まず修繕委員会や理事会が中心となって立案します。
建物診断の結果や長期修繕計画をもとに、修繕が必要な範囲や実施のタイミングなどを検討・決定します。
長期修繕計画の段階から積立水準を見直し、住民への負担が急増しないよう調整しておくことが理想です。
大規模修繕総会に向けた準備ステップ2.コンサルタントや専門業者の起用
大規模修繕は専門性の高い分野であるため、建築士や修繕コンサルタントといった外部専門家の意見を取り入れることが一般的です。
専門家のサポートを得ることで、適切な計画の立案や、工事内容・費用の妥当性の判断が可能となります。
大規模修繕総会に向けた準備ステップ3.見積取得と比較資料の作成
計画に基づき、複数の業者から工事の見積もりを取得します。
取得した見積もりは、単に金額だけでなく、工事内容・工法・使用材料・保証期間などを比較検討します。
その比較検討の結果や、なぜ特定の業者を選定したのかというプロセスを、住民に分かりやすく説明できる資料としてまとめます。
専門用語は避け、図解などを用いて視覚的に理解しやすい資料を作成することが重要です。
大規模修繕総会に向けた準備ステップ4.事前説明会の実施
住民の理解と合意形成を得ていれば、総会にて議案がスムーズに可決されやすいです。
そのため、総会で議案を提出する前に、住民向けの説明会を複数回実施することが欠かせません。
事前説明会では、大規模修繕の必要性・工事内容・スケジュール・工事費用・修繕積立金や一時金による費用負担・工事中の生活への影響などを詳細かつ丁寧に説明します。
この場で住民からの疑問点や懸念をあらかじめ聞き取り、解消しておくことで、総会当日の質疑応答への備えにもなります。
また、住民全体へのアンケート実施も、理解度や意見を把握する有効な手段です。
子育て世代や高齢者など、多様な住民層に配慮した開催時間を設定することで、出席率を高められるでしょう。
総会を進めるうえでの注意点
万全の準備をしていても、総会当日の進行や対応によって、議案の可決が左右されることもあります。
そのため、注意すべき点について把握しておくと安心です。
議案書の工夫と配布
総会に提出する議案書は、住民が内容を正確に理解できるよう、専門用語を避け、図解や写真、表などを効果的に用いて分かりやすくまとめることが重要です。
工事内容や長期修繕計画、見積もり比較、資金計画などが一目で分かるように工夫します。
また議案書は、総会開催通知と合わせて事前に配布します。
出席率の確保と委任状・議決権行使書の収集
総会を成立させ、議案を決議するためには、区分所有法や管理規約で定められた一定数の出席が必要です。
とくに特別決議では、より多くの出席数が求められます。
総会成立要件や議案可決要件を満たすためには、事前に声かけを行うなどして、できるだけ多くの住民に総会への出席や、欠席する場合の委任状・議決権行使書の提出をお願いする努力が必要です。
マンションの部屋を借りている賃借人は組合員ではないため議決権はないものの、総会に出席して意見を述べることはできます。
質疑応答への備えと丁寧な対応
総会では、工事費用の妥当性・業者選定の理由・具体的な工期や作業方法、工事中の生活への影響など、住民から多岐にわたる質問が出ることが予想されます。
住民が抱く可能性のある疑問や懸念点を事前にリストアップし、それに対する明確で納得のいく回答を準備しておくことが、スムーズな質疑応答のために非常に有効です。
また、総会では意見が分かれたり、感情的なやりとりが発生したりする可能性もあります。
とくに大規模修繕のような住民負担を伴う議案では、不安や不満から厳しい意見が出ることも考えられます。
理事会や修繕委員会のメンバーは、感情的にならず、常に冷静かつ丁寧な対応を心がけることが求められます。
住民一人ひとりの意見に真摯に耳を傾け、話し合いが建設的な方向へ進むよう努めることが重要です。
過去の修繕実績や他のマンションの事例紹介なども、住民の理解を深める助けとなることがあります。
実録!7階建てマンションの大規模修繕工事の流れと費用・施工事例
東京都墨田区にある7階建てマンションにて、ワンオーナー物件の大規模修繕工事を新東亜工業が対応しました。外壁の塗装やシーリングの補修、防水工事の必要性、見積比較の不安など、オーナー様の悩みに対しどのような提案と判断を行ったのか——その一連の流れを、実際の会話を交えながらご紹介します。
お問い合わせ〜現地調査|過去施工の確認と細部の劣化診断
工事のきっかけは「前回の色選びに失敗した」「屋上防水は5年前に済ませたが今回も必要か不安」といったメール相談でした。
お客様とのやり取り
お客様:「屋上の防水は5年前にやってるんですけど、それでもやるべきですか?」
新東亜工業:「一度状態を拝見してから判断しましょう。無理にやる必要がなければ省く判断もできます」
現地では図面をもとにバルコニーや外壁、庇などを細かく確認。シーリングの劣化が目立ったため、全撤去と打ち替えの提案を行いました。

お客様とのやり取り
新東亜工業:「ここのシーリング、かなりひび割れてます。全て打ち替えですね」
お客様:「これ全部やるとなると…かなりの距離ですよね?」
新東亜工業:「ざっと見ても1000mは超えてきます」
見積り提示|屋上防水の有無で2プラン提案+実数精算の説明
調査後は「屋上防水あり・なし」2パターンの見積を作成。各項目の違いと予算の幅をわかりやすく提示しました。
お客様とのやり取り
新東亜工業:「下地補修は“実数精算”になります。今見えてない部分も足場を組んでから補修範囲を確定します」
お客様:「100万円とか一気に増えることもありますか?」
新東亜工業:「状態は悪くないので10〜20万円程度の上下です。むしろ減る可能性もありますよ」
他社と比較されることも想定し、工事項目の説明や「新規打設」のリスクも正直に伝えました。
契約成立|「新規打設」との違いを丁寧に解説し信頼獲得
価格では他社より若干高めだったものの、工法や保証内容の丁寧な説明でご納得いただきました。
お客様とのやり取り
お客様:「他社には“新規打設”って書いてあります」
新東亜工業:「それは既存シールを撤去せず上からかぶせる方法で、密着不良やひび割れの原因になります。当社では必ず撤去・打ち替えを行います」
結果、「屋上防水なしプラン(852万円)」でご契約いただきました。
着工前の打ち合わせ|色決め・足場・近隣への配慮も徹底
工事前の打ち合わせでは、オーナー様が特に重視されたのが「色の選定」。過去2回の失敗を経て、今回は慎重に。
お客様とのやり取り
新東亜工業:「今回は色のイメージをどうされたいですか?」
お客様:「前の2回、どちらもイメージと違って…。今回は絶対に失敗したくない!」
色見本板を用意し、納得のいく色を選定。中学校敷地への足場越境や1階テナントのバイク駐輪スペース確保など、周辺環境への配慮も抜かりなく実施しました。
工事中の対応|トラブルの早期発見と柔軟な対応で信頼感
施工中には、前回業者が「増し打ち」を行っていた痕跡を確認。
お客様とのやり取り
新東亜工業:「やはり前回は増し打ちでしたね。しっかり撤去してから打ち換えますのでご安心ください」
お客様:「やっぱり!最初に“それはダメ”って言ってもらえて良かったです」
さらにバルコニー防水ではガス配管の位置により仕上げ調整を行うなど、現場での判断力も発揮。仕上がりにはご満足いただけました。
お客様とのやり取り
お客様:「本当にイメージ通りの外壁色で嬉しいです。母も喜んでました!」
引き渡しと今後の対応|最終確認と事務手続きまで丁寧に対応


完工後は外回りも含めた最終チェックを実施。仕上がりの満足度は非常に高く、保証書や請求書もスムーズに手配されました。
お客様とのやり取り
新東亜工業:「この庇も塗装・防水完了済みです」
お客様:「本当にきれいになってよかった。ありがとうございました!」
工事概要まとめ
- 契約金額:852万円(屋上防水なしプラン)
- 施工期間:約50日間
本事例を通じて、オーナー様の不安や悩みに寄り添いながら、適切な判断と施工を提供することの重要性が見えてきます。
「前回の修繕に不満がある」「見積内容が適正か判断できない」とお感じの方は、ぜひ一度ご相談ください。
総会でよくあるトラブルとその回避策
大規模修繕の総会では、いくつかの典型的なトラブルが発生しやすい傾向があります。
これらのトラブルを未然に防ぐための対策を講じることが、総会成功の鍵となります。
情報不足による反発
住民が大規模修繕の必要性や、提案されている工事内容の重要性を十分に理解していない場合、工事自体や費用負担に対して強い反発が生じる可能性があります。
そのため、定期的なコミュニティ内での情報提供を行い、建物診断の結果や建物の劣化状況を具体的に示す資料を提供するなど、工事の必要性に関する情報を早期かつ継続的に共有することが重要です。
また、前述の事前説明会を住民参加型で複数回実施し、住民からの質問や意見を聞き取り、疑問点を丁寧に解消する機会を設けることも忘れてはいけません。
特定の業者への不信感
提案されている工事を請け負う業者に対して「なぜこの業者なのか?」「他に安い業者はいないのか?」といった疑問や不信感を抱く住民は少なくありません。
とくに、理事会や一部の人間だけで業者が決められたという印象を与えると、不透明性への懸念から反発を招きやすくなります。
このような事態を防ぐためには、業者選定のプロセスを極めて透明性の高いものにする必要があります。
複数の業者から見積もりを取り、工事費用・内容・実績・提案力などを比較検討した結果を、分かりやすく資料化して全住民に公表します。
また、専門家を選定プロセスに関与させることも、客観性と信頼性を高めるうえで有効です。
業者選定の理由を、明確かつ論理的に説明できるよう準備しておきます。
費用負担への不安
大規模修繕工事には、多額の費用がかかります。
長期修繕計画に基づいて積み立てている修繕積立金で工事費用が賄えない場合、一時金の徴収や金融機関からの借り入れが必要ですが、これは住民にとって大きな負担となるため、とくに強い反発が生じやすいポイントです。
しかし、計画段階から必要な費用や積立金の状況・将来的な不足見込みについて住民に情報共有しておくと、住民からの理解を得やすくなります。
長期修繕計画の策定または見直しの段階から、将来の大規模修繕に必要な費用を試算し、修繕積立金の適切な積立水準を検討するためにも、積立金の増額や一時金徴収の可能性について時間をかけて認識を深めていくことが重要です。
総会で一時金や借入金の議案を提出する際は、その必要性・金額・償還方法などについて、住民が納得できるよう丁寧に説明する必要があります。
負担が急増しないよう、長期的な視点での資金計画を示すことが信頼につながります。
決議を円滑に進行するためには?
大規模修繕工事は、計画から完了まで一般的に数年かかる長期にわたるプロジェクトです。
とくに戸数が100を超えるような大規模マンションでは、プロジェクトの規模や複雑さが増すため、修繕委員会を結成することが、大規模修繕の決議および進行を円滑に進めるうえで非常に有効です。
修繕委員会は、理事会の決議によって設置される組織で、一般的にはマンションの居住者によって構成されます。
修繕委員会を結成することは必須ではないものの、総会においては、以下のようなメリットを得られます。
理事会の負担軽減
大規模修繕に関する専門的な検討や調査・業者とのやり取りなどの窓口機能を持つことで、任期が定められている理事会の負担を分散し、軽減できます。
計画の一貫性
修繕委員会には任期を定める必要がないため、理事会の任期交代に関わらず、大規模修繕工事に関する検討や計画立案を長期にわたって継続できます。
その結果、より綿密で一貫性のある計画を作成することが可能です。
専門性の向上
修繕委員会内に建築や設備の知識を持つ住民がいれば、その専門性を活用できます。
また、外部の専門家との連携も修繕委員会が窓口となることでスムーズに進むでしょう。
住民意見の反映と合意形成
修繕委員会の活動を通じて、計画段階から住民の意見をより詳細に聞き取り、計画に反映させやすくなります。
これにより、住民の当事者意識を高め、総会での合意形成をスムーズに進める助けとなります。
なお、修繕委員会を立ち上げる際は、事前に住民への周知を行い参加を呼びかけることが望ましいです。
総会後のフォローアップも重要
総会で無事に議案が可決された後も、大規模修繕プロジェクトは続きます。
総会後の対応も、住民の信頼を維持し、不信感を招かないために非常に重要です。
議案可決後も、工事の進捗状況・工事期間中の注意事項・一時金の徴収スケジュールなど、必要な情報を定期的に住民に報告する必要があります。
そのためにも、掲示板や回覧板、管理組合のウェブサイトなどを活用し、透明性の高い情報提供を続けることが求められます。
天候による遅延や追加工事の発生など、予期せぬ事態が発生した場合も、速やかかつ丁寧に住民への説明を行い、理解を得る努力を怠らないことが大切です。
まとめ
マンションの大規模修繕工事は、建物の長期的な維持に不可欠であり、その実施には管理組合総会での適切な決議と住民の合意形成が必須です。
総会での決議方法には、主に普通決議と特別決議の2種類があり、議案の内容、とくに共用部分の変更が「著しい変更」を伴うかどうかに応じて、適用される決議方法と可決要件が区分所有法で定められています。
軽微な修繕や日常的な管理事項は普通決議で、建物の形状や効用を著しく変更するような大規模な工事や管理規約の改定は特別決議が必要となります。
また、判断に迷う場合は専門家へ相談すると安心して進められるでしょう。
そして、大規模修繕の総会対応を成功させるために欠かせないのが、建物診断に基づく計画立案・専門家の活用?複数業者からの見積もり比較・住民への丁寧な情報提供と合意形成に向けた努力です。
事前説明会の実施や、大規模マンションにおける修繕委員会の結成は、住民の理解が深まるきっかけになるため、円滑な決議を後押ししてくれるでしょう。
総会後も、継続的な情報共有を通じて透明性の高い運営を心がけることが、住民の信頼を維持し、将来的な大規模修繕への協力体制を築くことにつながります。
トラブルを未然に防ぎ、マンションの資産価値維持と住民が安心して暮らせる住まいを守るためにも、大規模修繕における総会対応には、万全の準備と住民への誠実なコミュニケーションが求められます。