2025.05.23
マンションの防水工事とは?必要性・費用・業者選びまで徹底解説!
マンションにおける防水工事は、建物の劣化を防ぎ、資産価値を維持するために欠かせない重要なメンテナンスです。しかし、具体的にどこを修繕すべきか、どの工法が最適か、費用はどのくらいかかるのか、疑問を感じる方も多いでしょう。
本記事では、防水工事の必要性から種類別の特徴、費用相場、信頼できる業者の選び方まで、マンション管理者や居住者が知っておくべき情報を解説します。
目次
マンションの防水工事が必要な理由
マンションの建物は、風雨や紫外線、温度変化といった自然環境に常にさらされています。これにより、屋上や外壁、バルコニーといった外部に面する部分の防水層は経年劣化していきます。劣化が進行すると、雨漏りや構造体の腐食、コンクリートのひび割れなど、深刻な被害を引き起こすこともあります。
防水工事は、こうした被害を未然に防ぎ、建物を長寿命化させるために不可欠なメンテナンスです。特にマンションは多くの人が暮らす集合住宅であるため、共用部分の劣化が全住民の暮らしや資産価値に直結します。適切なタイミングでの防水工事は、修繕費用の抑制にもつながる重要な取り組みです。
防水工事が必要なマンションの部位とは?
マンションには防水工事が必要なさまざまな部位があります。特に雨風に直接さらされる箇所や、人の往来が多く摩耗しやすい場所では、定期的な防水処置が不可欠です。ここでは、特に注意すべき代表的な部位について解説します。
屋上・屋根部分
最も雨や紫外線の影響を受けやすいのが屋上です。防水層が劣化すると、そこから水が浸入し、断熱材の腐食や鉄筋のサビ、コンクリートの爆裂を引き起こします。屋上防水は、マンション全体の防水工事における中核的な位置づけといえます。
バルコニー・ベランダ
バルコニーやベランダも、直接風雨にさらされる部分です。排水が不十分だったり、防水層にひび割れが生じたりすると、水が溜まりやすくなり、雨漏りの原因となります。また、居住者の出入りが頻繁な場所であるため、摩耗も進みやすいのが特徴です。
共用廊下・階段
共用廊下や階段といった場所も、実は防水が重要な箇所です。滑りやすくなることで転倒事故を誘発したり、水たまりによって建物内部に水が侵入したりすることがあります。ここでは、防滑性と排水性を兼ね備えた防水施工が求められます。
防水工事の種類と特徴【マンション向け】
防水工事にはいくつかの工法があり、使用する場所や建物の状態によって適切な方法が異なります。マンションでよく採用される主要な防水工法について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを整理して解説します。
ウレタン防水
液状のウレタン樹脂を塗布して膜を形成する工法です。複雑な形状にも対応しやすく、仕上がりが美しいのが特徴です。密着工法と通気緩衝工法があり、下地の状態や建物の環境に応じて使い分けられます。比較的コストが抑えられるため、中小規模のマンションに適しています。
シート防水(塩ビ・ゴム)
あらかじめ工場で製造されたシートを敷き詰めて施工する方法で、品質が安定しており、耐久性も高いのが魅力です。特に塩ビシート防水は紫外線や薬品に強く、長期にわたって防水性能を維持できます。一方、下地の平滑性が求められるため、施工には一定の技術が必要です。
アスファルト防水
古くから使われている防水工法で、熱で溶かしたアスファルトを積層して防水層を形成します。耐久性に優れ、大型マンションやビルでよく使われますが、施工時に火気を使うため安全面での配慮が必要です。防水層が厚くなるため、強度を求められる場所に最適です。
マンションの防水工事にかかる費用相場と内訳
防水工事の費用は、施工場所や面積、使用する工法によって大きく異なります。また、仮設足場や処分費用など、材料費以外のコストも無視できません。ここでは、部位別の相場とコストを左右する要因について詳しく解説します。
部位別・工法別の費用相場を比較
マンションで多く施工される部位の費用相場は以下のとおりです:
- 屋上防水:3,000~7,000円/m²
- バルコニー・ベランダ:4,000~9,000円/m²
- 廊下・階段:5,000~10,000円/m²
使用する工法(ウレタン防水・シート防水・アスファルト防水)によっても金額は変わり、耐久性の高いものほど費用も高くなる傾向があります。
費用を左右する主な要素とは?
- 施工面積:広ければ広いほど単価は下がる傾向もありますが、材料費・人件費は比例して増加します。
- 仮設足場の有無:高所作業が必要な場合、足場費用が総額の1~2割を占めることがあります。
- 既存防水層の状態:撤去や下地補修が必要な場合は追加費用が発生します。
- 材料のグレード:高品質な材料は長寿命ですが、初期コストが高めです。
見積もりチェックと費用を抑える工夫
見積書には「一式」と記載されている箇所がないかを確認し、できるだけ明細化された見積を求めましょう。複数の部位をまとめて工事することで、足場費用や人件費の効率化が図れるため、総額を抑える工夫としておすすめです。
また、施工業者によって保証期間やアフターサポート体制に差があるため、単なる価格比較だけでなく、サービスの内容まで含めた総合的な判断が重要です。
防水工事のタイミングと周期の目安は?
防水工事の適切なタイミングは、新築から10〜15年が目安とされています。これは、新築時に施された防水層の性能が経年劣化するためであり、目視では異常が見られなくても、点検により微細な劣化が確認されることもあります。
その後は、12〜15年おきに再施工するのが一般的です。ただし、使用されている防水材の種類や地域の気候条件、建物の使用状況によっては、周期が短くなることもあります。適切な周期での防水工事は、結果的に長期的なコスト削減につながります。
初回の防水工事は築何年目が適切?
新築マンションで最初に防水工事を行う目安は10〜15年が一般的です。建築時の防水層が劣化し始めるタイミングでの対応が、トラブルを未然に防ぐ鍵となります。
再施工はどのくらいの周期で必要?
一度施工した防水層も永久ではありません。使用されている材料に応じて、12〜15年おきの改修が推奨されます。点検結果や漏水の兆候があれば、予定より早めの対策が必要です。
防水工事の劣化サインを見逃さない
防水層の膨れ・ひび割れ・コケやカビの発生は劣化の兆候です。特に屋上やバルコニーは目視で確認しやすい箇所なので、定期的な点検を習慣にするとよいでしょう。
防水工事業者の選び方と注意点
防水工事業者の選び方と注意点について紹介します。
資格・実績のある業者を選ぶには?
防水工事には国家資格である「防水施工技能士」などの保有が望ましく、同時にマンション施工の実績がある業者の方が信頼できます。施工写真や過去の管理組合との取引例を確認しましょう。
見積書で確認すべきポイント
「一式」表記が多い見積書には注意が必要です。材料費・作業費・仮設費・雑費などが明確に内訳表示されているか、追加費用の発生条件が書かれているかなどをチェックすることで、後々のトラブルを防げます。
安すぎる業者には要注意
相場より大幅に安い価格を提示してくる業者は、安価な材料や未経験の作業員を使っている可能性があります。価格だけで選ばず、対応の丁寧さ・工事後の保証内容など総合的に判断することが大切です。
信頼できる業者選びは、マンションの防水工事成功のカギを握ります。業者選定時のチェックポイントは以下の通りです。
- 見積書が明瞭で項目ごとの内訳が記載されている
- 使用する材料の説明や、施工方法の根拠を説明してくれる
- 過去の実績や施工写真を提示できる
- 施工後の保証期間とアフターサポートが明記されている
相見積もりは必ず2〜3社以上から取得し、価格だけでなく内容の妥当性や対応の丁寧さも比較しましょう。あまりに価格が安い業者には、手抜き施工や無資格作業員によるトラブルのリスクもあるため注意が必要です。
防水工事の流れと居住者への影響
防水工事の基本的な流れは以下の通りです。
- 現地調査・劣化診断
- 工事計画の立案・見積提示
- 工事説明会の実施(管理組合・居住者向け)
- 仮設足場の設置
- 既存防水層の撤去・清掃
- 新規防水工事の施工
- 施工後の検査・引渡し
居住者にとっては、ベランダの使用制限や騒音、作業員の出入りによるプライバシーへの配慮が必要です。工事前には丁寧な説明会を行い、理解と協力を得ることが円滑な工事進行のカギとなります。
防水工事を怠るとどうなる?放置のリスク
防水工事を怠ると、以下のような深刻なリスクが生じます。
- 雨漏りによる居住者の不快感・健康被害
- 鉄筋のサビによる構造体の劣化・耐震性低下
- コンクリートの爆裂や落下による安全性の問題
- 修繕範囲の拡大に伴う費用の急増
これらは単なる美観の問題ではなく、建物の寿命や住民の安全にも関わる重大な事象です。定期的な点検と早期の防水対応が不可欠といえます。
マンションの防水工事で使える補助金や助成制度は?
地域によっては、防水工事を含むマンションの修繕工事に対して補助金や助成制度が設けられている場合があります。たとえば、東京都や横浜市、大阪市などの自治体では、長寿命化改修や省エネリフォームと連動して助成金が交付されるケースがあります。
ただし、これらの制度は年度ごとに予算枠が設定されており、申請期限や審査基準もあるため、事前の確認と早めの手続きが必要です。管理会社や施工業者と連携して、スムーズに申請を行うことが重要です。
マンションの防水工事でよくある質問(FAQ)
マンションの防水工事のよくある質問に回答します。
Q
防水工事中もマンションに住み続けられますか?
A
はい、基本的に防水工事中でもマンションに住み続けることが可能です。ただし、ベランダの使用制限や騒音などの影響が出るため、事前に工事説明会などで周知される内容をよく確認し、必要な準備をしておきましょう。
Q
防水工事の工期はどのくらいかかりますか?
A
施工範囲や工法によって異なりますが、屋上のウレタン防水であれば一般的に1〜2週間程度が目安です。大型のマンション全体での施工となると、1〜2か月程度かかる場合もあります。
Q
雨の日でも防水工事は進められますか?
A
基本的に、防水材の施工は乾燥した状態で行う必要があるため、雨天時は作業を中止するのが一般的です。工期に余裕を持ったスケジュール設定が推奨されます。
Q
工事の見積もりを複数取るべきですか?
A
はい、相見積もりは必須です。価格や提案内容、保証内容、対応の丁寧さなどを比較することで、信頼できる業者を見極める材料になります。最低でも2〜3社から見積もりを取りましょう。
マンションの防水工事についてまとめ
マンションの防水工事は、建物の寿命を左右する重要な工事であり、適切な時期に実施することで資産価値を守るだけでなく、住民の安心・安全な生活を支えます。
各部位の特性を理解し、適切な工法を選定すること。信頼できる業者を選び、丁寧な説明とアフターケアがあること。そして、助成金制度を活用して負担を軽減すること。これらを総合的に実行することで、効率的かつ安心な防水工事が実現できます。
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