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3階建て住宅の屋上防水工事にかかる費用とは?工法別の価格相場と費用を抑えるコツを解説

3階建て住宅の屋上は日常的に目が届きにくく、雨風の影響を直接受けやすいため、早期の防水対策が欠かせません。
しかし「実際にいくらかかるの?」「どの工法が最適?」といった不安を抱える方も多いでしょう。
この記事では、防水工事の工法別価格相場や予算を抑えるポイント・信頼できる業者選びのコツなどを詳しく解説します。

3階建て建物の屋上防水工事とは?

3階建ての住宅や建物では、屋上スペースを設けるケースも多く、開放的な空間として人気があります。
しかしその一方で、屋上部分は直に雨風や紫外線にさらされやすく、建物の中でも特に「防水対策」が重要な箇所です。
防水工事が不十分な場合、雨漏りや建材の劣化など、重大なトラブルへと発展する可能性があります。
では、なぜ屋上はこれほどまでに雨漏りリスクが高く、防水工事が必要とされるのでしょうか。

住宅の屋上は雨漏りリスクが高い理由

屋上は、建物の最上部にあり、以下のような理由から雨漏りリスクが特に高いとされています。

  • 常に外気にさらされる構造だから
    屋上は外壁や窓と異なり、上部に屋根や庇がなく、直接雨や紫外線・風雪の影響を受けやすい構造です。
    そのため、わずかなひび割れや防水層の劣化でも、雨水がすぐに内部へ浸入しやすい環境にあります。
  • 水が溜まりやすいフラットな構造
    多くの屋上は平坦な形状をしており、排水機能が不十分な場合には雨水が滞留してしまいます。
    この状態が続くと、わずかな隙間から水が浸入し、躯体内部に染み込んで構造劣化の原因につながります。
  • 熱と紫外線による防水層の劣化
    直射日光や温度変化によって防水シートや塗膜が劣化し、ひび割れや剥離が発生しやすくなります。
    特に夏場は高温と紫外線によるダメージが集中し、経年劣化が進行しやすい時期です。

こうしたリスクが複合的に重なるため、屋上は建物の中でも最も「防水性」が求められる部分だといえます。

防水工事が必要になるタイミングとは?

防水工事は、見た目の美しさを保つだけでなく、建物の寿命を延ばし、内部構造の劣化を防ぐために欠かせません。
では、どのようなタイミングで防水工事を検討すべきなのでしょうか。

  • 築10年を目安に点検・補修を行う
    一般的に、防水工事は10年程度でメンテナンスが必要になるとされています。
    防水層の素材や施工方法によっても異なりますが、10年がひとつの目安です。
    特に3階建ての屋上は劣化のスピードが早いため、早めの点検が推奨されます。
  • 雨漏りや室内の異変が見られたとき
    天井のシミやクロスの剥がれ・カビ臭などが発生している場合は、すでに雨水が侵入している可能性があります。
    こうした症状が出た時点で早急に専門業者による点検と防水工事を行う必要があります。
  • 防水層に亀裂や膨れが見つかったとき
    屋上に上がって表面を確認した際、防水シートに浮きや膨れ・亀裂がある場合は、劣化が進行しているサインです。
    目に見える不具合がある場合は、補修か全面改修が必要になるケースが多くなります。
  • 大規模リフォームや屋上利用の変更時
    屋上をウッドデッキ化する、緑化するなど利用方法を変更する際は、必ず防水の再施工が求められます。上に構造物を載せることで、防水層に負担がかかりやすくなるためです。

屋上防水工事の価格相場【3階建ての場合】

3階建て住宅の屋上防水工事を検討する際に、最も気になるのが「費用の相場」ではないでしょうか。
屋上防水は、工法や面積・建物の高さによって費用が大きく変動するため、事前に目安を知っておくことが大切です。
延べ床面積や屋上の広さから見たおおよその費用感・工法別の単価比較、さらには仮設費用や足場代については以下の通りです。

延べ床面積・屋上面積から見た費用の目安

屋上防水工事の費用は、現地の状況や屋上の面積・工法の選択によって異なります。
以下は、ウレタン防水の単価を約5,000〜8,000円/㎡とした時の費用目安です。

屋上面積(㎡)概算費用(ウレタン防水の場合)
20㎡約 100,000〜160,000円
30㎡約 150,000〜240,000円
40㎡約 200,000〜320,000円
50㎡約 250,000〜400,000円

上記は防水工事本体のみの概算であり、建物の形状や劣化状態・施工環境により変動します。
実際の総費用には、必要に応じて追加費用が加わります。

工法別の単価比較

屋上防水工事にはさまざまな工法があり、それぞれ単価や特徴が異なります。
以下は代表的な防水工事の1㎡あたりの相場価格です。

工法名単価相場(1㎡あたり)特徴・備考
ウレタン防水約5,000〜8,000円柔軟性あり・複雑な形状に対応・費用も比較的安価
シート防水約6,000〜10,000円耐久性が高い・施工が早い・広い面積向き
アスファルト防水約4,000〜7,000円耐久性抜群・重量があるため躯体補強が必要なケースもある
  • ウレタン防水はコストパフォーマンスが良く、戸建て住宅で最も多く使われています。
  • シート防水は施工条件が合えば、耐久性・仕上がりの良さが魅力です。
  • アスファルト防水は集合住宅や大規模施設向けで、個人宅では採用頻度が低めです。

仮設工事・足場費用はかかるの?

3階建ての場合、屋上へのアクセスや作業環境を確保するために足場の設置が必要になるケースがほとんどです。
そのため、本体工事費用に加えて仮設工事費や足場費用が追加で発生します。

仮設内容費用相場
足場設置費用約1,000〜2,000円/㎡
仮設トイレの設置1台あたり約3,000〜5,000円
仮設水道設置1箇所あたり約10,000~20,000円

注意点

  • 狭小地や高低差がある土地では、足場組立に特別な設計が必要となり、追加費用が発生することもあります。
  • 工事期間中は建物の周囲を囲う形になるため、近隣への配慮や事前説明も重要です。

費用を抑えるためにできる3つのポイント

屋上防水工事は、建物を長く快適に保つために欠かせないメンテナンスですが、その分ある程度の費用がかかるのも事実です。
「なるべく安くしたい」「予算内で質の高い工事をしたい」と考える方も多いでしょう。
防水工事の価格を抑えるために実践できる3つのポイントをご紹介します。

複数業者から見積もりを取る

最も基本でありながら、非常に効果的な方法が「相見積もり」です。
同じ面積・同じ工法であっても、業者によって見積もり金額は大きく異なることがあります。
人件費の設定や材料の仕入れルート・施工体制などが違うため、費用に差が出ることは珍しくありません。
しかし、安い業者が良い業者とは限りません。
重要なのは、価格の内訳(材料・工法・保証内容)まで明確に提示されているかどうかです。
最低でも2~3社から見積もりを取り、比較検討しましょう。

工法の選定と長期的視点でのコスト管理

防水工事の費用は初期費用だけでなく、耐用年数やメンテナンス頻度も含めて考えることが大切です。
初期費用は安くても、頻繁な再施工が必要になることがあります。

例えば、ウレタン防水は施工費が比較的安く柔軟な施工が可能ですが、耐用年数は10〜12年程度です。
一方で、シート防水は初期費用がやや高くなるものの、耐用年数が15年以上と長いものもあり、トータルコストで見ると割安になるケースもあります。
家計に急な負担をかけないためにも、事前に「次の補修はいつ頃必要か」「部分補修で済む可能性があるか」など、長期的な視点でコストを予測しておくことが重要です。

助成金や補助金の活用可否を調べる

意外と見落とされがちですが、地域によっては防水工事に対して助成金・補助金が利用できるケースがあります。
地方自治体によっては「長寿命化改修」や「省エネ住宅促進」の一環として、屋上防水や外装改修に対する補助制度を設けていることがあります。
特に古い建物や木造住宅で、他の改修とセットで行う場合に適用されることもあるでしょう。
補助制度は工事前に申請が必要であり、工事後にさかのぼって適用されることはほとんどありません。
地域の市役所や自治体のホームページ、もしくはリフォームに詳しい業者に確認するとよいでしょう。

信頼できる防水業者の選び方

3階建て住宅の屋上防水工事は、高所作業や施工難易度の高さも相まって、業者選びが工事の品質や費用に直結する非常に重要な工程です。
そのため「どこに頼めばいいか分からない」「後からトラブルにならないか不安」という方も多いのではないでしょうか。
ここでは、見積書でのチェックポイント、保証や実績の確認方法、さらに評判の調べ方など、信頼できる防水業者を選ぶための具体的な基準を解説します。

見積書でチェックすべきポイントについて

信頼できる防水業者かどうかは、見積書の内容からある程度見極めることが可能です。

  • 明細が細かく記載されているか
    「一式」でまとめられた見積もりでは、材料費・人件費・仮設工事費などの内訳が不透明のため比較ができません。優良業者であれば、項目ごとに費用が明記されている詳細な見積書を提示してくれます。
  • 工法や材料の説明が明確か
    「ウレタン防水」と記載されていても、使用するメーカーやグレードによって品質や価格は異なります。どの材料を、どの工程で使用するのか、工法の詳細や数量、使用製品名まで記載されているかを確認しましょう。
  • 追加費用の有無・条件が記載されているか
    「施工途中で追加費用を請求された」というトラブルもよくあります。信頼できる業者は、追加費用が発生する可能性とその条件について事前に説明してくれます。

アフター保証や施工実績の確認

3階建ての防水工事では、施工後のメンテナンスや保証体制があるかどうかも、業者選びの重要なポイントです。
「5年保証」「10年保証」といった表記があっても、適用条件や保証内容を必ず確認しましょう。
口頭だけでなく、契約書や保証書として書面で交付されるかも要チェックすることが大切です。
また、建物の高さによって足場の設置や作業の難易度が異なるため、3階建ての屋上防水に対応した経験があるかを確認しましょう。
実績写真や過去の事例を見せてもらえる業者であれば、より安心です。

口コミなど評判もチェック

最終的な業者選びの後押しとなるのが、過去の利用者からの評価や口コミです。
SNSや施工業者比較サイト・地域密着型のリフォームポータルなどには、実際に依頼した人の口コミが多数掲載されています。
「対応が丁寧だった」「施工が早かった」「仕上がりに満足」などの具体的なコメントを参考にしましょう。
ただし、星5つの口コミばかりが並んでいる業者は、レビューを操作している可能性もあります。
複数サイトを横断的に確認し、評価の一貫性や口コミの内容に違和感がないかを確認しましょう。
地域密着の業者の場合は、その土地での信頼を重視して営業しているため、ご近所の紹介や地元の工務店からの評判をたどるのも有効です。

よくある質問(FAQ)

3階建て住宅の屋上防水工事に関して、実際に多くの方が気にされる疑問点をQ&A形式でまとめました。
検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q

3階建ての屋上防水工事に足場は必要ですか?

A

多くの場合、足場の設置が必要です。
3階建ての屋上での作業は高所となり、安全対策として足場や仮設手すりの設置が不可欠です。作業員の転落防止だけでなく、資材の搬入・撤去の効率、安全管理の面でも重要な役割を果たします。

特に、屋上の端部での施工がある場合や、勾配がある屋根形状・手すりのない屋上では、足場がなければ作業ができないケースもあります。
そのため、見積もり時には「足場工事費」が含まれているかどうかもチェックしましょう。

Q

防水工法はどれを選ぶべき?耐用年数の違いは?

A

目的や予算、既存の状態によって適した工法は異なります。
特に3階建て住宅では、防水層の重さや耐久性・屋上の形状に応じた工法を選ぶことが重要です。
また、施工業者の得意工法によっても提案内容が異なるため、複数社から比較検討するのが安心です。

Q

雨漏りしてからでも間に合いますか?

A

応急処置は可能ですが、早めの対応が必要です。
雨漏りが発生している場合、防水層の劣化がかなり進行している可能性が高く、迅速な対応が求められます。放置すると構造材にまで水が浸透し、建物全体の劣化やシロアリ被害の原因になることも少なくありません。

雨漏り箇所の特定と応急処置(防水テープ・シーリング等)を行った後、速やかに本格的な防水工事を検討しましょう。防水層の劣化が屋上全面に及んでいる場合は、部分補修よりも全面改修のほうが結果的に安く済むケースもあります。

まとめ

3階建て住宅の屋上防水工事は、雨漏りや建物劣化を防ぐために欠かせない大切なメンテナンスです。
特に高所作業となる3階建てでは、安全性の確保や工法の選定がより重要となり、その分コストもかかりやすくなります。
費用を抑えるためには、複数業者からの見積もり取得・長期的なコストを見据えた防水工法の選定・助成金や補助金の活用可否の確認といったポイントを意識することが大切です。
ポイントを押さえることで、品質と価格のバランスを取りながら工事を進めることができます。

また、信頼できる防水業者選びも、防水工事を成功させるカギです。
見積書の明細・保証内容・施工実績・口コミなど、総合的な視点で判断することが、満足のいく仕上がりにつながります。
3階建ての屋上防水工事は、価格だけでなく信頼性も重視して選択することが、長く安心して暮らすための第一歩となるため、納得のいく業者選びと工事計画を進めていきましょう。

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