【賃貸経営】賃貸管理会社を変更する手順と注意点|空室・対応・修繕費に悩む個人オーナーへ
2026/02/04
目次
はじめに:今の管理会社に「なんとなく不満」がある方へ
「空室がなかなか埋まらない」「連絡が遅い」「修繕の見積もりが毎回高い気がする」──賃貸経営をしている個人オーナーから、こんな声をよく聞きます。
相続や購入で親の代からの管理会社をそのまま引き継いだものの、「このままで本当にいいのか」「でも変えるのは面倒そうだし、トラブルも怖い」と悩んで動けない方も多いはずです。
管理会社は、一度任せたら変えてはいけない相手ではありません。
むしろ、物件の収益とオーナーの安心感を守るパートナーなので、状況に合わなくなってきたら見直すのは自然な判断です。
この記事では、
- 管理会社を「変えた方がいい」サイン
- 変更する具体的な手順
- 空室・対応・修繕費で失敗しないための注意点
を個人オーナー向けにわかりやすく整理します。
管理会社を変えるべきか迷ったときのチェックリスト
まずは、「今の管理会社を変えるほどの問題なのか、それとも話し合いで改善できるレベルなのか」を整理しましょう。
不満の3本柱を整理する
多くのオーナーが感じている不満は、次の3つに集約できます。
- 空室・募集力への不満
- 退去後、次の入居者が決まるまでに2〜3ヶ月以上かかることが多い。
- 繁忙期(1〜3月)でも空室が埋まらない。
- 募集条件や賃料の提案がほとんどなく、「様子を見ましょう」で終わる。
- 対応・報告への不満
- 電話やメールの返事が遅い、折り返しがない。
- トラブルやクレームが起きても、事後報告しかない。
- 毎月の報告書が簡素で、何をやっているのかよくわからない。
- 修繕・原状回復費への不満
- 見積もりがいつも高く感じるが、比較できていない。
- 10万円、20万円単位の工事が、事後報告的に進んでいる。
- 管理会社のグループ会社ばかりが受注していて、価格の妥当性が不透明。
「感情の不満」と「収益を壊す問題」を分ける
管理会社を変えるべきか判断するには、
- 単なる「相性・好みの問題」なのか
- 物件の収益や将来に直結する「構造的な問題」なのか
を分けて考えることが大切です。
例えば、
- 報告書の書き方が少し雑 → 改善要望で済む可能性大
- 空室が長期化しているのに提案がない → 収益に直結する問題
- 毎年の修繕費が家賃収入の15〜20%を超えている → 収支を大きく悪化させている可能性
「これは収益を削っている」「将来の空室・老朽化を悪化させている」と言える項目が多いなら、管理会社変更を具体的に検討して良いサインです。
まず確認すべき「変えられない・変えにくい」契約
管理会社を変えたくても、契約形態によってはすぐに動けない場合があります。
最初に、自分の契約が「変えられる契約」かどうかを確認しましょう。
サブリース(一括借上げ)契約になっていないか
サブリース契約(管理会社やサブリース会社が一括借上げし、一定の賃料を保証するスキーム)の場合、
- 管理委託ではなく「転貸借契約」になっている。
- 解約・条件変更に制限がある。
といった特徴があります。
この場合、「管理会社を変える」というよりサブリース契約自体を見直す話になるため、解約条件・違約金・保証賃料の見直し条項を慎重に確認する必要があります。
管理委託契約書の解約条項をチェック
一般的な「集金管理・一括管理」の場合でも、契約書には次のような条項があるはずです。
- 解約予告期間(例:1ヶ月前/3ヶ月前通知など)
- 中途解約に伴う違約金の有無
- 契約期間(自動更新なのか、1年ごとの更新なのか)
解約予告期間を守らないと、追加の費用が発生したり、トラブルの元になったりします。
まずは契約書を取り出して、「解約」の項目に目を通すことが第一歩です。
管理会社変更の具体的な手順
ここからは、実際に管理会社を変えると決めた場合の、具体的なステップを整理します。
手順1:現状と不満点を整理する
- ここ1〜2年の入居率・空室期間。
- 家賃収入と管理費・修繕費を含めた年間の収支。
- 管理会社に対する不満と、逆に良いと感じている点。
**「何が不満で、どうなれば満足か」**を整理しておくと、新しい管理会社に求める条件も明確になります。
特に修繕費については、
- 年間でいくらかかっているか
- 一回あたりの単価(原状回復・設備交換など)が妥当か
を、過去の請求書からざっくり洗い出しておくとよいでしょう。
手順2:新しい管理会社候補を探す
管理会社の数は多いため、「どこでもいい」ではなく、「物件エリアに強い会社」を中心に探すことが大切です。
探し方の例:
- 物件所在地の「賃貸管理 市区町村名(駅名)」で検索し、複数社を比較する。
- すでに賃貸経営をしている知人オーナーに紹介をもらう。
- 賃貸オーナー向け情報サイト・セミナーで、管理会社を紹介しているところに相談する。
この段階で、最低でも2〜3社を候補としてリストアップしましょう。
手順3:候補会社と面談し、提案と見積もりをもらう
候補会社とは、必ず一度は対面またはオンラインで面談し、次のようなポイントを確認します。
- 対応エリアと管理戸数(そのエリアでの実績)
- 空室対策の具体的な方針(ポータル掲載、賃料提案、広告料など)
- 管理内容(入金管理・クレーム対応・巡回など)の範囲
- 管理手数料率とその他費用(更新事務手数料、募集手数料など)
- 報告の頻度と内容(月次レポートのイメージ)
そして、今回重要なのが修繕・原状回復に関する質問です。
- 修繕業者は自社グループか外部業者か。
- オーナーが業者を指定したり、相見積もりを取ったりできるか。
- いくら以上の工事は事前承認が必要か(例えば5万円以上など)。
- 原状回復の仕様・単価の目安。
ここを曖昧にしたまま契約すると、今と同じように「修繕費が高い」悩みを繰り返す可能性が高くなります。
手順4:新管理会社を決め、変更のスケジュールを組む
候補複数社の提案・条件を比較し、「ここなら任せられそう」という会社を決めたら、変更スケジュールを相談します。
ポイント:
- 解約予告期間を踏まえ、旧管理会社との契約終了日を決める。
- 家賃締め日・送金日を考慮し、月末〜月初の切り替えがスムーズ。
- 繁忙期(1〜3月)ど真ん中での変更は避けるのが無難(バタバタしやすい)。
この段階で、「いつまでに何をするか」を新管理会社と一緒に簡単なタイムラインにしておくと、抜け漏れが減ります。
手順5:旧管理会社に解約通知を出す
解約は、口頭ではなく必ず書面で行います。
- 契約書に記載の解約期日・方法(書面・内容証明など)を守る。
- トラブルを避けるため、文面は感情的な表現を避け、「事情により」「一身上の都合」など、中立的な理由にとどめる。
- 新管理会社への切り替え日も明記しておく。
多くの管理会社は、解約自体を理由にトラブルを起こすわけではありませんが、期日や手続きを守らないと揉めやすくなるので注意が必要です。
手順6:新旧管理会社の間で引き継ぎを行う
管理会社変更で最も重要なのが、引き継ぎの精度です。
引き継ぎ項目の例:
- 入居者情報(氏名・連絡先・入居日・契約内容)
- 賃貸借契約書一式
- 敷金の預かり状況
- 家賃・共益費の入金状況(滞納の有無・金額)
- 保証会社・火災保険の情報
- 設備・修繕の履歴(直近の故障・交換履歴など)
本来は新旧管理会社同士でやり取りしますが、オーナー側でもチェックリストを持ち、重要項目については自ら確認しておくと安心です。
手順7:入居者への管理会社変更通知
最後に、入居者へ「管理会社が変わること」を案内します。
通知で必ず伝えるべき内容:
- 変更日
- 新しい管理会社名・連絡先(電話・メール)
- 家賃振込先が変わる場合は、新口座の情報と「いつから変更か」
- 今後の鍵・設備のトラブル窓口
家賃振込口座の変更は、もっともトラブルになりやすいポイントです。
郵送だけでなく、掲示・メール・SMSなど、複数の手段で周知してもらうよう新管理会社に依頼すると安心です。
管理会社変更で起こりやすいトラブルと事前対策
管理会社変更は、やり方を間違えるとトラブルの元にもなります。
よくあるトラブルと、その予防策を押さえておきましょう。
トラブル1:引き継ぎ情報の漏れ・食い違い
- 滞納があるのに、新管理会社に正確に伝わっていない。
- 敷金の預かり額が旧管理会社の資料と合わない。
- 過去の設備不具合・修繕歴が共有されず、同じトラブルが繰り返される。
対策
- 旧管理会社からの最終報告書・残高一覧をしっかり受け取る。
- 新管理会社からも、引き継ぎ内容の一覧を出してもらい、自分で照合する。
- 滞納がある入居者については、個別に状況を聞いておく。
トラブル2:家賃振込口座変更の伝達ミス
- 入居者が旧口座に振り込み続けてしまい、「未入金扱い」になる。
- 返金や振替処理に時間と手間がかかる。
対策
- 変更前後の2ヶ月程度は、旧口座も残高を確認しつつ、新口座への誘導を徹底する。
- 通知は書面+メール・掲示など「二重三重」で行うように新管理会社に依頼する。
トラブル3:工事進行中のタイミングでの変更
- 大規模修繕や長期工事を旧管理会社が進めている最中に変更すると、責任の所在が複雑になる。
対策
- 大きな修繕工事が予定されている/進行中の場合は、どこまでを旧管理会社に任せ、どこから新管理会社に引き継ぐかを明確にする。
- 契約書・見積もりの名義・支払先を確認し、途中変更による追加費用が出ないかチェックする。
良い管理会社を選ぶためのチェックポイント(修繕費も重視)
管理会社変更の成功は、「誰に任せるか」で決まります。
単に「管理手数料が安い会社」を選ぶのではなく、収益とストレスの両方を見てくれる会社かどうかをチェックしましょう。
空室・募集力のチェック
- 主要ポータルサイトへの掲載体制(写真・コメントの質)。
- AD(広告料)の考え方、仲介会社との関係性。
- 賃料・条件の提案力(データに基づいて提案してくれるか)。
対応・報告のチェック
- 担当者1人あたりの管理戸数(抱えすぎていないか)。
- 月次レポートのサンプル(どこまで情報が見えるか)。
- 緊急時の対応窓口(24時間対応か、どこまでオーナーに報告するか)。
修繕・原状回復のチェック(ここが重要)
- 修繕業者の選定方法(自社系か複数社から選ぶのか)。
- 相見積もりの可否(一定額以上は相見積もりを取ってくれるか)。
- オーナー承認が必要になる金額ライン(例:5万円以上、10万円以上)。
- 原状回復工事の仕様・単価の透明性(「一式」ではなく明細を出してくれるか)。
修繕費は、家賃収入以上に収支を左右することがあるため、ここを曖昧にしないことが、管理会社変更の最大のポイントです。
管理会社を変えるか迷っている個人オーナーへのメッセージ
管理会社変更は、確かに手間もかかるし、少なからずリスクもあります。
それでも、
- 空室が常に目立つ
- 連絡・報告にストレスを感じる
- 修繕費が年々重くなっている
という状態を放置しておくと、物件の収益性と資産価値がじわじわと削られ続けることになります。
「本当に変えるべきか」「変えるならどこに任せるべきか」は、オーナーだけで悩んでいても答えが出にくいテーマです。
だからこそ、
- 現状の収支と管理内容を整理して、
- 第三者の視点で見てもらい、
- 管理会社変更も含めた選択肢を一緒に検討する
というプロセスを一度踏んでみる価値があります。
管理会社は「変えられない相手」ではなく、見直すことで賃貸経営を立て直せる重要なパートナーです。
「空室・対応・修繕費のどれか一つでも当てはまる」と感じたなら、まずは現状をヒアリングし、数字と契約内容を整理するところから始めてみてください。