【賃貸経営】「修繕費」はいくら見ておけばいい?家賃収入から逆算する修繕費の目安と、失敗しない計画の立て方

なぜ修繕費の“目安”が分からないと危ないのか

賃貸経営でよくある失敗が、「修繕費をなんとなくで見ていた結果、ある年に大きな工事が重なり、キャッシュフローが一気に崩れる」というパターンです。
家賃収入がそこそこあっても、「毎年いくら修繕に回すべきか」「10年単位でどれくらいの工事が来るのか」が見えていないと、資金繰りは運任せになってしまいます。

この記事では、賃貸経営の修繕費について、

  • 家賃収入の何%くらいを目安にすれば良いか
  • 修繕の種類ごとの「タイミング」と「ざっくり金額」
  • 家賃収入から修繕用のプールを作る具体的なステップ

を、オーナー目線で分かりやすく整理します。

Q1. 賃貸経営の修繕費は、家賃収入のどれくらいを見ておけばいい?

A:目安は「家賃収入の5〜10%+大規模修繕の積立」です

一般的な解説や調査では、賃貸経営における修繕費の目安として、

  • 日常的な修繕・小修繕・軽微な原状回復など:家賃収入の5〜10%程度
  • これとは別に、外壁・屋上防水・設備更新などの大規模修繕費を、10〜15年スパンで積み立てる

という考え方が紹介されています。

物件の築年数や構造にもよりますが、

  • 築浅〜築15年くらい:5%前後(大規模修繕はまだ先)
  • 築15〜30年:7〜10%(設備や外装の更新が増える)

を一つの目安にしつつ、別枠で大規模修繕用の積立を考えると、現実に近くなります。

Q2. 修繕にはどんな種類があって、それぞれいつ・いくらかかるの?

A:日常修繕・原状回復・計画修繕の3つに分けて考えます

賃貸経営の「修繕」と一口に言っても、性質の違う支出が混ざっています。
まずは、次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。

  1. 日常修繕・小修繕(随時)
  2. 原状回復(退去時)
  3. 計画修繕(長期的な大規模・中規模の工事)

1:日常修繕・小修繕

  • 例:水栓金具交換、ドアクローザー調整、共用灯交換など
  • 発生タイミング:年間を通じてバラバラに発生
  • 金額感:1件数千〜数万円、年トータルで数十万円〜

これらは「予測しにくいが必ず発生する」性質の支出なので、家賃収入の数%を常に見ておくイメージです。

2:原状回復(退去時の室内修繕)

  • 例:クロス・床の貼り替え、クリーニング、設備の交換など
  • 発生タイミング:退去が出たとき
  • 金額感:1室あたり数万円〜数十万円(仕様や傷み方による)

入居年数・汚れ・破損の程度によって負担区分が変わるため、ガイドラインを踏まえた精算ルールが必要です。
戸数が多い物件・入退去の回転が速い物件ほど、年間の原状回復費は重くなります。

3:計画修繕(大規模・中規模)

  • 例:外壁塗装、屋上防水、共用部床・手すり更新、給排水管更新、受水槽更新など
  • 発生タイミング:10〜15年ごと、20〜30年ごと など
  • 金額感:数百万円〜数千万円単位になることもある。

ここは「その年の家賃で払う」感覚ではなく、長期修繕計画を組んで、毎年少しずつ積み立てるイメージが重要です。

Q3. 家賃収入から修繕費をどうやって積み立てればいい?

A:①パーセンテージを決める → ②別口座でキープ → ③大規模修繕は別枠で

修繕費の積立は、「ルール化して自動に近づける」ほどブレにくくなります。

ステップ1:年間家賃収入と修繕目安を決める

  1. 物件ごと、または全体で、年間家賃収入の合計を出す。
  2. その5〜10%を「経常的な修繕・原状回復の目安」として設定する。

例)年間家賃収入1,000万円なら、

  • 日常修繕・原状回復:年間50〜100万円程度を目安。

ステップ2:修繕用口座を分けておく

  • 毎月の家賃入金から、あらかじめ「修繕用口座」に一定額を移す。
  • 決算のたびに、「今年は修繕にいくら使ったか」を振り返り、パーセンテージを微調整する。

これをやらずに、家賃が入った口座からそのまま生活費や他の支出をしていると、いざ修繕のタイミングで資金不足に陥りやすくなります。

ステップ3:大規模修繕は、別枠で長期積立を考える

  • 外壁・屋上防水などの大規模修繕は、「●年後に●●万円前後かかりそう」という単位で事前に把握する。
  • その金額を、例えば10年で割り、毎年の積立目安額を出す。

例)10年後に1,000万円の大規模修繕を見込むなら、

  • 年間100万円、月約8〜9万円を「大規模修繕用」として別枠で考える。

現実には、修繕積立金に加えて借入を組み合わせるケースもありますが、「ゼロから全額借りる」か「ある程度積み立ててから足りない分だけ借りる」かで、資金計画の負担は大きく変わります。

Q4. 修繕費の目安を考えるとき、物件のどんな条件を見ればいい?

A:構造・築年数・戸数・設備レベルの4点がポイントです

同じ「年間家賃収入1,000万円」でも、物件の条件によって必要な修繕費の水準は変わります。

チェックすべき主なポイントは次の4つです。

  1. 構造(木造・鉄骨・RC)
  2. 築年数(築浅か、20年超か、30年超か)
  3. 戸数(入退去の頻度、共用部の規模)
  4. 設備レベル(オートロック・エレベーター・給排水設備など)

例えば、

  • エレベーター付きの中規模マンション:設備点検・更新のコストが高くなるため、修繕費の比率も高めに見る必要あり。
  • 木造の築古アパート:初期の家賃利回りは高めでも、構造・防水・設備の更新が重なる時期には、まとまった修繕費が必要になりやすい。

こうした条件を踏まえて、「自分の物件は平均より修繕多めになりそうか、少なめか」をざっくり評価し、5〜10%の幅の中でどこに置くか決めるのが現実的です。

Q5. 修繕費の見積もりや計画を立てるとき、何から始めればいい?

A:過去10年と今後10年を、1枚の「修繕シート」にまとめるのが近道です

修繕の全体像をつかむには、

  • 過去10年にどんな修繕をいくらでやったか
  • 今後10年にどんな修繕が必要になりそうか

を1枚のシートにまとめるのが効果的です。

ステップの例:

  1. 過去の修繕履歴を洗い出す
    • 年ごとに、工事内容・金額・実施会社を一覧化する。
  2. 設備ごとの使用年数・更新年を整理する
    • 屋上防水・外壁・給湯器・エレベーターなど、主要設備の築年数と更新履歴を並べる。
  3. 管理会社や専門家に「今後10年で必要な修繕」をざっくり出してもらう
    • 概算でも良いので、「どのタイミングで、どのくらいの工事が来そうか」をコメントしてもらう。

この「10年シート」があるだけで、

  • 何年後に、どのくらいの金額が動きそうか
  • そのために年間いくらずつ積み立てるべきか

が、具体的な数字として見えてきます。

まとめ:修繕費の“目安”を決めてしまえば、あとは毎年の微調整だけで済む

賃貸経営における修繕費は、「よく分からないから後回し」になると、一番痛いタイミングで資金を奪っていきます。
逆に、

  • 家賃収入の5〜10%を経常修繕の目安にする
  • 大規模修繕は別枠で、10年単位の積立を考える
  • 過去10年と今後10年の修繕を1枚に整理する

この3つさえ押さえてしまえば、「あとは毎年の数字を見ながら少しずつ調整するだけ」にできます。

「自分の物件だと、どのくらいの割合で見ておくべきか」「今の積立ペースで足りるのか不安」という場合は、家賃収入・物件条件・過去の修繕履歴を一度整理したうえで、第三者に10年の修繕計画と資金計画を一緒に見てもらうと、次に取るべき行動がかなりクリアになります。