安い価格で大規模修繕工事を行うポイントと助成金・補助金についてご紹介 | 株式会社新東亜工業  

    コラム    

安い価格で大規模修繕工事を行うポイントと助成金・補助金についてご紹介

マンションに住んでいると避けては通れないのが、大規模修繕工事。

「大規模修繕工事って、一体いくらかかるの?」「少しでも安く合理的な方法はあるの?」

このような疑問をお持ちの方に向けて、費用を抑えるポイントから助成金・補助金制度まで詳しく解説していきます。

マンション大規模修繕工事とは

マンション大規模修繕工事とは、マンションの共用部分を対象に経年劣化による損傷を修繕し、建物の機能維持や居住環境の向上を図る大規模な工事です。

具体的には、外壁の補修や塗装・屋上の防水工事・給排水管の交換などが挙げられます。

大規模修繕工事が必要な理由

マンションも、人間と同じように年月の経過とともに老朽化していきます。定期的なメンテナンスを怠ると、外壁にひびが入ったり雨漏りが発生したりとさまざまな問題が生じます。

さらに放置するとコンクリートの強度が低下し、建物の寿命を縮めることにもなりかねません。大規模修繕工事は、建物の安全性確保の観点からも重要な工事です。

大規模修繕工事を行うメリット

大規模修繕工事を行うことには、以下のようなメリットがあります。

  • 快適な居住環境を維持できる:外壁の補修や屋上の防水工事によって雨漏りや湿気を防ぎ、快適な居住空間を維持できる
  • 建物の安全性が向上する:老朽化した部分を補修することで、地震や災害に強く安全な建物にできる
  • 美観を維持できる:外壁の塗装や共用部分の改修によって、マンション全体の美観を維持できる
  • 資産価値の維持・向上:適切なタイミングで大規模修繕を行うことで、マンションの資産価値を維持できる
  • 光熱費の節約:断熱性能の向上や設備の更新によりエネルギー効率が改善され、光熱費の節約につながる

大規模修繕工事の費用相場

大規模修繕工事の費用は、建物の規模や築年数・劣化状況・工事内容によって大きく異なります。一般的には、1戸あたり75~125万円が目安です。

ただし、築年数が経過しているマンションやタワーマンションなど特殊な構造の建物は、より多くの費用がかかる傾向があります。また建物の状態によっては、想定以上の補修が必要になる場合もあるため注意が必要です。

大規模修繕工事費用の内訳

大規模修繕工事の費用の内訳は、大きく以下の項目に分けられます。

分類項目
直接工事費足場設置などの仮設工事費
外壁補修工事費
防水工事費
共用部分の改修工事費
その他、実際に工事を行うために必要な費用
間接工事費工事監理費
調査設計費
事務手数料
その他、工事を行うために間接的に必要な費用
諸経費工事保険料
運搬費
仮設トイレの設置費用
その他、工事全体にかかる費用

これらの項目の中でも特に費用がかさむのが、仮設工事費と外壁工事費です。足場の設置や解体には相当の費用がかかり、建物の規模が大きくなるほど費用は高額になります。

また外壁工事は建物の面積が広く、使用する材料や工法によって費用が変動します。

大規模修繕費用を安い価格で行うポイント

大規模修繕費用を抑えるためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

複数業者からの相見積もり

複数の施工会社から見積りを取り、比較検討することが重要です。最低でも3社、できれば5社程度から見積りを取得し、それぞれの内容を細かく比較検討することをオススメします。

見積りの内容を精査する際、価格はもちろん各社の技術力・実績・アフターサービスなども含めて総合的に判断することが大切です。非常に安い見積りは、手抜き工事や予期せぬ追加費用につながる可能性があるため注意しましょう。

コンサルタント会社主導の「談合」に注意

大規模修繕工事をコンサルタント会社に一括発注する場合、談合のリスクが高まる可能性があります。

談合とは複数の施工会社が事前に価格調整を行い、不当に高い価格で落札させる行為を指します。このリスクを軽減するためには、コンサルタント会社と施工会社を別々に指名することが望ましいでしょう。また管理組合が主体的に工事に関与し、プロセス全体を監督することも重要です。

施工方法の見直し:無足場工法の提案

施工方法の見直しとして「無足場工法」の採用を検討することをオススメします。従来の足場を設置する工法に比べ、無足場工法を採用することで仮設工事費を大幅に削減できる可能性があります。

ただし、この工法が適用できるかどうかは建物の形状や周辺環境によって異なるため、施工会社に相談して検討する必要があります。また無足場工法は従来の工法と比べて作業効率が低く、工期が長くなる傾向があります。さらに安全対策や近隣への配慮も十分に行う必要があるため、これらの点も考慮に入れて判断しましょう。

助成金と補助金制度の活用

大規模修繕工事の費用を抑えるためには、各種助成金と補助金制度を活用することも効果的です。

以下は、主な助成金と補助金の例です。

劣化診断補助事業

大規模修繕前の建物・設備の劣化状況調査費用を助成する制度です。住宅本体や設備が対象で、税抜き調査費の50%が交付されます。分譲マンション管理組合と賃貸マンション所有者で条件が異なるため、注意が必要です。

大規模修繕に不可欠な工程であり、検討中の管理組合は積極的に活用すべき制度といえます。

アスベスト除去等事業補助金

健康被害リスクのあるアスベストの調査・除去費用を補助する制度です。アスベストは平成18年に使用禁止となりましたが、既存建築物には残存している可能性があります。大規模修繕時にはアスベスト調査と必要に応じた除去工事が求められるため、この補助金を利用することでこれらの費用負担を軽減できます。

分譲マンション共用部分改修費用助成

分譲マンションの共用部における修繕・防災対策工事の費用を助成する制度です。壁面改修・防水工事・耐震対策等が対象となります。設計費用は対象部分の2/3(上限100万円)で、工事費用は対象工事費の10%の2/3(上限1,000万円)が助成されます。

ただし、10年間で2回までの申請制限があるので注意が必要です。

分譲マンション計画修繕調査支援制度

長期修繕計画の見直しや建物劣化診断の調査費用を補助する制度です。共用部分の防水・給排水設備等の調査・長期修繕計画の策定・改定、改修計画作成が対象となります。

補助金額は税込み調査費用の1/3以内(上限50万円)で、計画的な修繕の促進を目的としています。

マンション耐震診断助成制度

旧耐震基準の分譲マンションの耐震診断・補強設計・改修工事費用の一部を助成する制度です。3階以上、複合用途の場合は延べ面積の過半が居住用である等の条件があります。

安全で災害に強いまちづくりが目的ですが、適用条件が複雑なため事前に詳細確認が必要です。

大規模修繕工事のタイミング

大規模修繕工事は建物の経年劣化を防ぎ、安全性と快適性を維持するために不可欠です。適切なタイミングでの実施が重要であり、一般的には築12〜15年目を目安に開始し、その後10〜15年おきに行われます。

以下は、工事時期の目安と主な工事内容です。

時期主な工事内容
築12〜15年目外壁塗装
屋上防水
給排水管の更新
築25〜30年目1回目の工事内容
設備の更新(エレベーター等)
耐震補強
築40〜45年目1,2回目の工事内容
外壁の張替え
間取りの変更

ただし、建物の状態や環境によって最適な時期は変わります。

例えば海に近いマンションでは塩害による劣化が早まることがあり、湿気の多い地域では防水工事が早めに必要になる場合があります。また使用する建材の品質や住民の生活スタイルも影響します。これらの要素を踏まえ、建物診断を定期的に行い必要に応じて修繕計画を見直すことが大切です。

大規模修繕工事の実施時期を決める際のポイント

長期修繕計画の策定と見直し

  • 25~30年程度の長期修繕計画を策定し、定期的に見直すことが重要
  • 修繕積立金の収支計画も合わせて検討する

建物診断の実施

  • 定期的な建物診断を行い、劣化状況を正確に把握する
  • 専門家による診断結果を基に、修繕の優先順位を決定する

修繕積立金の状況確認

  • 計画している修繕内容と現在の修繕積立金の残高を照らし合わせる
  • 必要に応じて、修繕積立金の値上げや一時金の徴収を検討する

居住者の意向調査

  • 大規模修繕工事に対する居住者の要望や意見を事前に調査する
  • 工事の必要性や内容について、居住者の理解と協力を得る

社会情勢や法改正への対応

  • 省エネ基準の強化や耐震基準の改定など、法改正への対応を検討する
  • 新技術や新工法の採用可能性も考慮に入れる

適切なタイミングで大規模修繕工事を実施することで、建物の長寿命化と資産価値の維持・向上につながります。また、計画的に実施することで、突発的な大規模修繕に伴う多額の費用負担を避けることができます。

まとめ

マンションの大規模修繕工事は、建物の長寿命化と資産価値の維持・向上のために欠かせない重要な取り組みです。適切なタイミングで行うことで居住者の安全性と快適性を確保し、将来的な修繕費用の増大を防ぐことができます。

しかし、その費用は決して安くはありません。多くの管理組合にとって大きな経済的負担となるため、効率的かつ効果的な工事の実施が求められます。

本記事で紹介した以下のポイントを押さえることで、費用を抑えつつ効果的な大規模修繕工事を実施できるでしょう。

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