建物の“今”を見ていますか? 賃貸経営は小さな変化に気づくことから始まる
2025/11/10
「親の物件を引き継いだので、ひとまず管理会社に任せています。」
賃貸物件を相続すると、最初はこうした形でスタートするケースが多くあります。突然オーナーとなり、建物の状態や今後の修繕計画まで把握する余裕が持てない。家賃が安定して入っているのであれば、なおさら「とりあえずこのままで良いだろう」と思うのは自然なことです。
しかし、建物は時間とともに“静かに変化”しています。
大きなトラブルはある日突然ではありません。その前には必ず、小さな前触れが存在します。
今回は、専門知識を前提にせず、相続オーナー様でも「建物の状態を正しく見て判断できるようになる」ための視点についてお話しします。
目次
「まだ問題ない」・・・でも、建物はゆっくりと変化する
建物は雨、風、温度差、紫外線など、外からのストレスを毎日受け続けています。
それは、人が仕事や生活の疲れを少しずつ溜めていくのと似ています。
たとえば……
- 外壁をよく見ると、細かい線が入っている
- ベランダの手すりを触ると、以前はなかったザラつきがある
- 窓まわりのゴムが硬くなり、押しても弾力がない
こうした変化は「壊れた」というほど目立ちません。
むしろ、普段の生活では見逃してしまうほど小さなものです。
しかし、これらは “内部で進んでいる劣化の入口” です。
ここで気づくことができれば、「部分補修」や「小規模な対策」で費用を抑えながら建物を守ることができます。
逆に、この変化に気づかず時間が経つと、
- 雨漏りにつながる
- 建物内部のコンクリートの保護が失われる
- 鉄筋が錆び、補修範囲が大きくなる
といった、大きな修繕につながるステージに移ってしまいます。

修繕は「築年数」ではなく「今どうなっているか」で考える
「築○年だから修繕時期」という考え方をしがちですが、実際の劣化スピードは建物によってまったく異なります。
- 日の当たりやすい場所
- 雨が吹き込みやすい方向
- 付近の建物の影響
- 過去に行った修繕の内容・質
- 屋上や外壁に使われている素材
これらによって、同じ築年数でも劣化の進行度には大きな差が生まれます。
だからこそ、修繕は 「年数」ではなく「状態」 で判断することが大切です。

オーナー自身で気づける “3つの小さな変化”
難しい技術や専門用語は不要です。
次の3つだけ、意識していただければ十分です。
| 観察ポイント | どんな変化? | それが意味すること |
| 外壁 | 手で触ると粉がつく/細かなスジ | 表面保護が弱り、水分を抱え込みやすい状態 |
| 窓まわり | ゴム(シーリング)が硬く、指で押しても戻らない | 隙間から雨水が回りはじめる前兆 |
| 鉄部(階段・手すり) | ザラつき、塗膜のめくれ | 内部でサビが進行中。放置すると膨らむ |
この段階で気づければ、
修繕は “守るための調整” で済みます。
管理会社任せにしてしまうと起こりやすいこと
管理会社は、入居者対応や契約管理など、日常の管理のプロです。
ただし、「修繕工事の選定と見積調整」になると、事情が変わります。
管理会社には、日頃から取引している協力業者がいます。
そのため、見積は自然と限定され、比較検討が行われないまま話が進むケースが少なくありません。
これは、管理会社が悪いのではありません。
ただ、オーナー様が選択肢を知らない状態だと、“選べないまま決まってしまう” ということです。
大切なのは、
建物の状態を自分でも把握できていること
納得して選択できる状態になっていること
です。

新東亜工業の役割 — 「一緒に整理すること」から始める
私たちは、工事をただ提案する会社ではありません。
まずオーナー様と一緒に建物の前に立ち、
- どこに負担がかかっているのか
- 今すぐ対応すべき場所はどこか
- まだ様子を見て良い場所はどこか
を、ひとつずつ整理します。
無理な工事を勧めたり、結論を急がせたりしません。
「納得して判断できる状態をつくる」ことを大切にしています。
相続で引き継いだ物件は、考えることが多く、不安もつきものです。
だからこそ、一人で抱え込まなくて大丈夫です。
「まずは見てもらうだけ」 で、十分です。
まとめ
- 建物の変化は小さなサインから始まる
- 修繕は「築年数」ではなく「状態」で判断する
- 気づきが早いほど、費用は抑えられ、資産は守られる
- 管理会社任せにせず、納得できる検討の場をつくることが大切
- 判断に迷うときは、一緒に整理すれば良い
賃貸経営は「所有」ではなく、「育てていく」こと。
新東亜工業は、その歩みに寄り添うパートナーであり続けます。
「今の状態、少し見てもらえますか?」
その一言から、安心は始まります。