【賃貸経営】確定申告「赤字」は節税のチャンス?経費の落とし穴と経営見直しのポイント

毎年2月〜3月は、賃貸経営者(アパート・マンションオーナー)にとって頭の痛い「確定申告」の時期です。 領収書の整理や計算に追われ、「とにかく終わらせること」が目的になっていませんか?

しかし、リストにあるキーワード「確定申告 赤字」「節税 サラリーマン」が示す通り、この時期こそが経営の是非を判断する最大のチャンスでもあります。

今回は、賃貸経営における確定申告のポイントとして、「戦略的な赤字(損益通算)」と「経費の判断(修繕費)」、そして申告書から読み解く「経営の危険サイン」について解説します。


1. 不動産所得の「赤字」は悪ではない?(損益通算の仕組み)

一般的に「赤字」と聞くと経営失敗のように思えますが、不動産投資(特にサラリーマン大家さん)においては、意図的に赤字を作ることでメリットが出る場合があります。これが**「損益通算」**です。

損益通算で税金が戻る仕組み

不動産経営で生じた赤字は、給与所得などの「他の所得」から差し引くことができます。 例えば、本業の年収が800万円あっても、不動産所得で200万円の赤字があれば、課税所得を600万円として再計算でき、払いすぎた所得税や住民税が還付・減額されます。

【ここがポイント】 重要なのは**「減価償却費」**です。これは実際にお金が出ていかないのに「経費」として計上できる項目です。

  • 良い赤字: 手元の現金(キャッシュフロー)はプラスだが、減価償却費によって帳簿上が赤字になっている状態。→ 節税成功
  • 悪い赤字: 減価償却費を足してもなお、現金が出ていってしまっている状態。→ 経営破綻の予兆

確定申告書を作る際は、単に「赤字になったから税金が安くなってラッキー」で終わらせず、それが「良い赤字」なのかを確認する必要があります。


2. どこまでが経費?「修繕費」と「資本的支出」の境界線

オーナー様から最も多く寄せられる悩みが**「これは経費になりますか?」**という相談です。 特に判断が難しいのが、リフォームや大規模修繕にかかった費用です。ここには大きな落とし穴があります。

「修繕費」として一括計上できるもの

  • 壊れた給湯器の交換
  • 入居者退去後の原状回復(クロスの張り替えなど)
  • 通常の維持管理費用

これらはその年の経費として全額計上できるため、その年の利益を圧縮し、節税効果が高まります。

「資本的支出」として資産計上するもの(減価償却)

  • 建物の価値を高めるリノベーション(間取り変更など)
  • 避難階段の取り付けなど、新たな機能の付加

これらは「資産の価値が上がった」とみなされ、その年に全額を経費にできません。数年〜数十年かけて少しずつ経費化(減価償却)する必要があります。

【注意点】 「今年の利益が多いから、大規模リフォームをして一気に経費にしよう!」と思っても、内容によっては資本的支出とみなされ、思ったような節税にならないことがあります。この判断ミスが、翌年以降の資金繰りを苦しくする原因になります。


3. 確定申告書は「経営の健康診断書」

無事に確定申告が終わったら、作成した「青色申告決算書(または収支内訳書)」を改めて見直してみてください。そこには、今の物件を持ち続けるべきかどうかのヒントが隠されています。

① デッドクロスの予兆はないか?

「減価償却費」よりも「ローンの元金返済額」が大きくなっている状態をデッドクロスと呼びます。 帳簿上は黒字(利益が出ている)なので税金は取られるのに、手元の現金は残らない、という最も苦しい状態です。「黒字倒産」のリスクが高まっています。

② 修繕費比率は適正か?

家賃収入に対して修繕費の割合が年々高くなっていないでしょうか? 築古物件で修繕費が圧迫し始めている場合、節税メリットよりも持ち出しリスクが上回っている可能性があります。


まとめ:数字を見て「不安」を感じたらファシリテーションへ

確定申告は、1年間の経営成績表です。

  • 「節税できていると思っていたが、実はキャッシュが減り続けている」
  • 「修繕費がかさみすぎて、実質利回りがマイナスになっている」

もし申告書を作っていてこのような不安を感じたら、それは**「売り時」「借り換え」**のサインかもしれません。

税理士は「税金の計算」はしてくれますが、「その物件を今後どう運用すべきか」までの経営判断(ファシリテーション)には踏み込んでくれません。

確定申告をきっかけに、一度ご自身の物件の収支構造をプロの視点で分析し、**「持ち続けるべきか、売却すべきか」**のシミュレーションを行ってみてはいかがでしょうか。