【賃貸経営】賃貸マンションの修繕費はいくら見ておくべき?大規模修繕と日常修繕の“ざっくり目安”を新東亜工業が整理
2026/02/13
賃貸マンションやアパートを運営していると、「修繕費はいくら見ておけば安心なのか」「どのくらいのペースでお金が出ていくのか」が、常に気になるテーマだと思います。
キャッシュフローの読み違いで資金繰りが苦しくなるパターンは、家賃収入がしっかり入っている物件でも普通に起こり得ます。
株式会社新東亜工業では、大規模修繕や外壁塗装・防水工事のご相談と同時に、「日常の修繕費も含めて、年間どのくらい見ておくべきか」というご質問を数多くいただいてきました。
本記事では、賃貸オーナー向けに「大規模修繕」と「日常修繕」を分けて、修繕費のざっくり目安と考え方を整理します。
目次
修繕費には“大きく2種類”ある
まず、修繕費は大きく次の2つに分けて考えると整理しやすくなります。
- 日常修繕:
設備故障の交換、軽微な漏水対応、原状回復での小さな補修など「毎年ちょこちょこ出ていく」もの - 大規模修繕:
外壁・防水・共用部床・シーリングなど、足場を掛けて何年かに一度、まとまった金額で行うもの
この2つをごちゃ混ぜで考えると、「ある年だけ急に修繕費が跳ね上がった」「毎年どのくらい見ておけばいいか分からない」といった状態になりやすくなります。
逆に、「日常」と「数年に一度のイベント」に分けてイメージしておくだけでも、資金計画のストレスはかなり減ります。
日常修繕費のざっくり目安
日常修繕費は、戸数や築年数・設備構成によって変わりますが、実務上は「年間の家賃収入の〇%」でざっくり把握しておくのが現実的です。
目安としては:
- 築浅〜築15年くらい:家賃収入の3〜5%程度
- 築15〜30年くらい:家賃収入の5〜8%程度
- 設備が多い物件(オートロック・エレベーター・機械式駐車場など):さらに+1〜2%見ておく
例えば、年間家賃収入が2,000万円の一棟マンションであれば、
- 築10年台であれば、年間60〜100万円程度
- 築20年台であれば、年間100〜160万円程度
を「毎年どこかしらにかかるもの」として見ておくイメージです。
もちろん、年によってブレはありますが、「家賃収入の何%かは日常修繕に消えていく」と考えておくと、キャッシュフローの読み違いを防ぎやすくなります。
エレベーター・機械式駐車場などの設備がある場合は、その点検費・部品交換費も忘れずに織り込んでおきたいところです。
大規模修繕費のざっくり目安
大規模修繕は、「いつ・どれくらいかかるか」がオーナーにとって大きなテーマになります。
規模や仕様によって大きく変わりますが、イメージを掴むうえでの目安として、次のように考えておくと分かりやすくなります。
- 1戸あたり:80〜120万円程度
- 実施周期:築12〜15年で1回目、その後10〜12年ごと
つまり、30戸のマンションであれば、1回目の大規模修繕でおおよそ2,400万〜3,600万円程度をイメージしておくと、極端に外れることは少ない感覚です。
これには、足場・外壁補修・塗装・シーリング・屋上防水・共用廊下の床、鉄部の塗装といった「建物の外回りを一通り整える」内容が含まれることが一般的です。
もちろん、
- 使用する塗料や防水材のグレード
- 長尺シートの更新有無
- 付帯設備(宅配BOX・オートロック更新など)をどこまで含めるか
によって総額は上下します。
ですが、「1戸あたり100万円前後 × 戸数」を基準としつつ、「うちはもう少し軽めに」「もう少しグレードを上げて」と調整していくと、検討しやすくなります。
年間ベースで“いくら積み立てるか”の考え方
日常修繕と大規模修繕を別々に見てきましたが、資金計画としては「年間ベースでいくら修繕に回すか」を決めておくと管理しやすくなります。
考え方の一例として:
- まず「年間家賃収入」に対して、日常修繕分として何%かを確保する
- さらに「次の大規模修繕までに必要な金額÷残り年数」を足して、年間の“修繕積立目安”にする
例えば、
- 年間家賃収入:2,000万円
- 築20年台で、10年後に3,000万円規模の大規模修繕を想定
とすると、 - 日常修繕:家賃収入の6% → 年間120万円
- 大規模修繕の積立:3,000万円 ÷ 10年 → 年間300万円
合計で「年間420万円(家賃収入の21%)」が、“修繕関連で押さえておきたいライン”というイメージになります。
もちろん、実際にはローン返済・税金・管理費などとのバランスもあるので、毎年きれいにこの金額を積み立てるのが難しいケースも多いです。
それでも、「この物件は本来これくらい修繕に回しておくべきなんだな」という“標準ライン”を持っておくことで、資金繰りの判断がしやすくなります。
修繕費を“あとから慌てて工面する”状態を避ける
現場でよく見かけるのが、
- 突発的な設備故障
- 長年後回しにしてきた外壁・防水の不具合
が重なったタイミングで、「急ぎでまとまった修繕費が必要になった」というケースです。
このとき、
- 想定以上の借入を行う
- 手元資金を大きく取り崩す
- 他の投資計画を諦める
など、賃貸経営全体のプランに影響が出てしまうことがあります。
そうならないためには、
- 「日常修繕にこれくらいは毎年かかる」
- 「何年後に、どのくらいの大規模修繕をするつもりか」
をざっくりでも描いておき、少しずつ準備しておくことが大切です。
「完璧な長期修繕計画」を作ることがゴールではなく、「慌ててお金を工面しなくていい状態」を作ることが目的、と考えるとイメージしやすくなります。
まとめ|“日常”と“イベント”を分けて考えれば、修繕費は読みやすくなる
修繕費は、「毎年ちょこちょこ出ていく日常修繕」と、「10年に一度ドンと来る大規模修繕」に分けて考えると、ぐっと整理しやすくなります。
- 日常修繕:家賃収入の数%(築年数・設備に応じて3〜8%程度)
- 大規模修繕:1戸あたり80〜120万円を目安に、10〜15年ごと
この2つを年間ベースでならして、「うちの物件は毎年どのくらい修繕に回すのが健全か」をイメージしておくだけでも、賃貸経営の安心感はかなり変わります。
新東亜工業では、具体的な工事のご相談だけでなく、「この物件なら修繕費をどれくらい見ておくべきか」「どのタイミングで何をやるべきか」といった整理からお手伝いすることも可能です。
「なんとなく不安だけど、数字に落とせていない」という感覚があるオーナー様は、一度ざっくりでも一緒に整理してみましょう。