屋上防水層の劣化現象とその原因は?耐用年数やメンテナンス方法などを解説 | 株式会社新東亜工業  

    コラム    

屋上防水層の劣化現象とその原因は?耐用年数やメンテナンス方法などを解説

屋上は、雨風や紫外線など厳しい環境に常にさらされています。

そのため、防水層は経年劣化によって機能が低下し、雨漏りなどのトラブルが発生する可能性があります。

雨漏りは、天井や壁のシミやカビ、建物の腐食など、住環境の悪化や建物の構造的な損傷を引き起こす深刻な問題です。

この記事では、屋上防水層の劣化現象とその原因、耐用年数、そして適切なメンテナンス方法について解説します。

定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、雨漏りなどのトラブルを防ぎ、快適な住環境を維持することができます。

屋上防水の種類と耐用年数

屋上防水には、主に以下の4種類です。

防水材料耐用年数
ウレタン塗膜防水8〜10年
シート防水10〜15年
アスファルト防水15〜25年
FRP防水10〜12年

上記はあくまでも目安であり、実際の耐用年数は、施工方法や下地の状態、環境条件などによって異なります。

耐用年数を過ぎた防水層は、風雨や紫外線などの自然的な要因によって劣化しやすくなります。

屋上防水の劣化症状

屋上防水層は、経年劣化によって機能が低下し、さまざまな劣化症状が現れます。

防水材料別の劣化症状については、以下のとおりです。

ウレタン塗膜防水

ウレタン塗膜防水は、液体状のウレタン樹脂を塗布して形成する防水層です。

優れた防水性と弾力性を持ち、屋上やベランダなどの防水に使用されています。

しかし、ウレタン塗膜防水も経年劣化によって機能が低下し、さまざまな劣化症状が現れます。

  • ひび割れ:塗膜が乾燥収縮によってひび割れ、雨水が浸入している
  • 浮き:防水層の下地に水分が含まれ、塗膜が膨らみ浮いてきている
  • 剥がれ:塗膜が下地から剥がれている
  • 色褪せ:紫外線などの影響で、塗膜の色が褪せている
  • チョーキング現象:表面が粉状になり、白い粉が付着している

これらの症状は、防水層の表面が劣化し、防水性が低下していると考えられます。

放置すると、雨漏りなどの深刻なトラブルが発生する可能性があり注意が必要です。

シート防水

シート防水は、塩化ビニールやゴム製のシートを専用の接着剤や機械で施工箇所に固定し、水の侵入を防ぐ防水工事です。

シート防水の劣化症状は、以下のようなものが挙げられます。

  • 膨れ:シート防水の下地に水分が侵入し、水蒸気となってシートを押し上げることで発生
  • 破れ:台風などの強風による飛来物や、歩行による摩擦などによって発生
  • 剥がれ:シート防水と下地の接着力が低下することで発生
  • シワ:シートの施工が不十分な場合、下地の動きや経年劣化によって発生
  • ディスクの浮き:シート防水層に設けられた円形の固定ディスクが浮き上がってしまう現象
  • シートの口開き:シート防水材同士の接合部や、シートと立ち上がり部分の接合部が剥がれ、隙間が生じる現象
  • 水たまり:シートが破損していると、水が浸入して水たまりが発生する

シート防水の劣化の原因は、経年劣化や施工不良などが考えられます。

雨漏りになる前に、早急な対処が必要です。

アスファルト防水

アスファルト防水は、アスファルトを主材料とする防水工法です。

他の防水工法に比べて耐久性が高く、適切な施工とメンテナンスを行えば20年以上もつこともあります。

アスファルト防水の劣化症状は、以下のとおりです。

  • ひび割れ:経年劣化や温度変化などで防水層が伸縮し発生する
  • 色褪せ:紫外線や酸性雨の影響で引き起こされる
  • 防水層の口開き:経年劣化によるアスファルトの硬化・収縮により、防水層が徐々に剥離する
  • 膨れ:アスファルト防水の下地に水分が残っていると、水分が蒸発して水蒸気となり、アスファルト防水を押し上げる
  • 押出し:建物の温度変化や沈下によってアスファルト防水層が膨張・収縮して発生する
  • 伸縮目地の突出:アスファルト防水層が劣化すると、伸縮目地の動きを吸収できなくなり、突出が発生する

アスファルト防水は、防水層だけでなく、パラペットの天端及び立上りや、立上り押え金物シール、ドレン周りも劣化が進行しやすい箇所です。

定期的な点検で早期発見、早期補修を心がけましょう。

FRP防水

FRP防水とは、繊維強化プラスチック(FRP)を用いた防水工法です。

FRPは、ガラス繊維などの補強材とポリエステル樹脂などの樹脂を組み合わせた素材で、軽量で強靭、耐水性・耐食性・耐候性に優れているのが特徴です。

FRP防水の劣化症状は、以下のようなものが挙げられます。

  • 膨れ:FRP防水の下地に水分が含まれている場合、水蒸気となってFRP防水層を押し上げ、膨れが発生する
  • 剥がれ:紫外線や外部からの衝撃で防水層が剥がれやすくなります
  • ひび割れ:経年劣化や下地の動きに追従できない場合、ひび割れが発生する
  • 水たまり:排水勾配の不良や下地の不陸によって水たまりが発生する

放置すると、下地の劣化にとどまらず、建物の構造部分にまで影響が出てしまいます。

上記の劣化症状を確認したら、早急に業者へ連絡しましょう。

屋上の防水層が劣化する原因

屋上の防水層は、雨水などの侵入を防ぎ、建物を保護するために重要な役割を担っています。

しかし、経年劣化やさまざまな要因によって防水層は劣化し、雨漏りなどのトラブルが発生する可能性があります。

屋上の防水層が劣化する主な原因は以下のとおりです。

紫外線の影響

太陽光に含まれる紫外線は、防水層を構成する材料を劣化させます。

特に、アスファルト防水やシート防水は紫外線に弱いため、定期的なメンテナンスが必要です。

排水溝の詰まり

排水溝の詰まりは、屋上の防水層の劣化に大きく影響する要因の一つです。 

排水溝が詰まると、雨水が屋上に溜まり、防水層に負荷がかかります。

強風や台風などで飛ばされた落ち葉やゴミが排水溝に溜まり、詰まりの原因となります。

メンテナンス不足

屋上の防水層は、メンテナンス不足によって防水性能が低下し、雨漏りなどのトラブルが発生する可能性があります。

定期的な点検・清掃を行わないと、防水層にゴミやコケなどが蓄積し、排水不良や防水層の劣化を招きます。

また、小さなひび割れや剥がれなどの初期症状を放置すると、症状が進行し、大きな修繕が必要になる可能性が高いです。

パラペット・笠木の劣化

パラペットや笠木は、屋上の防水層を守るために重要な役割を果たしています。

しかし、パラペットや笠木自身が劣化すると、防水層に悪影響を及ぼし、雨漏りの原因となることがあります。

特に、パラペットや笠木の接合部の隙間が最も劣化しやすい箇所です。

屋上防水の劣化によるリスク

屋上防水の劣化によって、以下のようなリスクが考えられます。

小さな劣化だと放置していると、後になって大規模な補修が必要になる可能性が高いので注意しましょう。

雨漏り

屋上の防水層が経年劣化によって性能が低下し、雨漏りが発生すると以下のようなリスクがあります。

  • 建物の構造体の腐食
  • カビやコケの発生
  • 室内設備の故障

また、雨漏りが発生した建物は、資産価値が低下します。

屋上防水は、定期的に点検を行い、劣化の兆候がないか確認することが重要です。

美観の低下

防水層が劣化すると、表面にひび割れや剥がれなどが発生し、建物の美観が低下します。

美観が低下した建物は、売却や賃貸に出す際に、資産価値が低下する可能性があります。

建物の寿命の短縮

屋上防水の劣化は、建物の構造体や設備を腐食させ、建物の寿命を短縮する原因となります。

また、建物の寿命を短縮するだけでなく、健康被害や資産価値の減少などのリスクも伴います。

定期的な点検とメンテナンスを行い、屋上防水を良好な状態に保つことが重要です。

屋上防水の劣化対策

屋上防水は、建物を雨漏りから守るために重要な役割を果たします。

しかし、屋上防水は経年劣化によって性能が低下し、雨漏りなどのトラブルが発生する可能性があります。

屋上防水の劣化を防ぐためには、以下の対策が有効です。

定期的な点検

屋上防水の劣化を防ぐためには、定期的な点検が重要です。

以下の箇所を重点的に点検しましょう。

  • 防水層表面にひび割れ、剥がれ、膨れなどがないか
  • 排水口周辺に水たまりがないか
  • パラペットや笠木にひび割れ、剥がれ、隙間などがないか

点検は、年に2回程度行うことで、小さな劣化症状を見逃さずに済みます。

定期的なメンテナンス

屋上防水の劣化を防ぐためには、定期的なメンテナンスが重要です。

特にトップコートの塗り替えや、ひび割れの補修が有効です。

トップコートは、防水層表面を保護する役割があり、5~10年程度を目安に塗り替える必要があります。

また、ひび割れを発見したら、早めに補修する必要があります。

適切な材料の選択

屋上防水に使用される主な材料は、ウレタン塗膜防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水があります。

材料を選ぶ際には、予算、防水性、耐久性、施工性、メンテナンス性、屋上の形状や環境なども考慮する必要があります。

専門業者に相談して、最適な材料を選ぶのがおすすめです。

施工業者の選定

施工業者の選定は、屋上防水の仕上がりに大きく影響します。

施工業者を選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。

  • 実績と経験
  • 技術力
  • 資格
  • 保証
  • 複数業者から見積もりを取り、比較する
  • 担当者の対応が丁寧か
  • 質問にきちんと答えられるか
  • 口コミ・評判

以上のポイントを参考に、複数の業者を比較検討し、信頼できる業者を選ぶことが大切です。

まとめ

ここまで、屋上防水の劣化症状とメンテナンス方法について解説してきました。

この記事の要点は、以下のとおりです。

  • 屋上防水の種類は、ウレタン塗膜防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水の4種類
  • 各防水材料の劣化症状を紹介
  • 屋上の防水層が劣化する要因は、紫外線の影響、排水溝の詰まり、メンテナンス不足、パラペット・笠木の劣化
  • 屋上防水の劣化によるリスクは、雨漏り、美観の低下、建物の寿命の短縮
  • 屋上防水の劣化対策は、定期的な点検・メンテナンス、適切な材料の選択、施工業者の選定

屋上防水は、建物の重要な機能の一つです。

劣化を放置すると、雨漏りなどの重大な問題を引き起こす可能性があります。

定期的な点検と適切な対策を行うことで、建物を長持ちさせることができます。

この記事を参考に、屋上防水を検討してみてはいかがでしょうか。

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