鉄骨ALC造建物の屋上防水工事とは?種類、費用からシーリング工事まで解説 | 株式会社新東亜工業  

    コラム    

鉄骨ALC造建物の屋上防水工事とは?種類、費用からシーリング工事まで解説

鉄骨ALC造建物は、軽量で施工性に優れているため、近年多くの建物で採用されています。

しかし、屋上は雨漏りのリスクが高いため、定期的な防水工事が必要です。

この記事では、鉄骨ALC造建物の屋上防水工事について、種類、費用、シーリング工事まで詳しく解説します。

雨漏りの不安を解消し、建物を長持ちさせたい方は、ぜひ参考にしてください。

ALC造建物とは

ALC造建物とは、軽量気泡コンクリート(ALC)パネルを主要な構造材として使用する建物のことを指します。

ALCパネルは、セメント、生石灰、けい砂、水などを高温高圧で蒸気養生させた軽量な板状の建材で、従来のコンクリートに比べて約3分の1~4分の1と軽量です。

そのため、建物の重量を抑え、地震や台風などの災害時のリスクを軽減できます。

また、ALC造は、鉄骨造の骨組みにALCパネルを組み合わせた構造です。

ALCパネルは、建物の外壁や屋根、床などに用いられています。

ALC造建物のメリット

ALC造建物は、軽量性、耐火性、断熱性、遮音性、施工性、デザイン性、環境性能、コストパフォーマンスなど、さまざまなメリットを有する建物です。

特に、ALCパネルが軽量であるため、建物の骨組みが歪みにくく、地盤が沈みにくいというメリットがあります。

また、ALCパネルの気泡が建物の外部と室内の熱の移動が少なく、湿度の高い日本の気候に最適です。

これらのメリットを活かし、住宅、学校、病院、オフィスビルなど、さまざまな用途に広く用いられています。

ALC造建物のデメリット

ALC造建物は、多くのメリットを有する一方で、コンクリートに比べて耐久性が低い、水に弱いなどのデメリットも存在します。

ALCは多くの気泡を含んでいるため、長時間にわたって水分に触れると、内部に水が浸透し、劣化につながります。

特に冬場は、染み込んだ水が凍り、内部で膨張することでひび割れが発生する可能性が高いです。

さらに、防水塗装の仕上がり具合によって、外壁材の経年劣化に差が生じることがあります。

ALC造建物は、建物の気密性や防水性を高めるコーキングの使用量が他の建物よりも多く、コーキングが劣化してしまうと雨漏りの危険性が高まります。

コーキングはALCよりも劣化が早いので、早めに施工業者に依頼して対応してもらいましょう。

ALC造建物の屋上防水工事

ALCパネルは、水に弱いという弱点があります。

そのため、屋上防水工事は、ALC造建物の耐久性を維持するために非常に重要です。

ここでは、ALC造建物の屋上防水工事について解説します。

防水工事の種類

ALC造建物における屋上防水工事には、以下の種類があります。

アスファルト防水

100年以上の実績をもつアスファルト防水は、ALC造建物における一般的な防水工法の一つです。

熱で溶かした液状のアスファルトとルーフィングシートを塗布または貼り付けることで、防水層を形成します。

アスファルト防水の種類は、改質アスファルト防水、トーチ工法、常温工法(冷工法)があります。

シート防水

シート防水は、塩化ビニール、ゴム製のシートを下地に張り付けて防水層を形成します。

ALC造建物においては、軽量性と施工性の高さから用いられることが多いです。

シート防水の施工方法は、主に機械を使ってシートを固定する機械的固定工法とシートを接着剤で下地に張り付ける密着工法(接着工法)の2種類です。

ウレタン防水

ウレタン防水は、ウレタン樹脂を下地に塗布する工法です。

ウレタン防水は、優れた防水性と耐久性を持ち、軽量であるため、ALC造建物に適しています。

ウレタン防水の種類は、密着工法と通気緩衝工法(絶縁工法)の2種類がありますが、ALC造建物には下地と防水層を間に通気シートを挟む通気緩衝工法が用いられています。

FRP防水

FRP防水は、下地にFRP(繊維強化プラスチック)を塗布する工法です。

FRPは、ガラス繊維などの繊維をポリエステル樹脂などの樹脂で固めた材料で、軽量性、耐水性、耐薬品性、耐熱性、強度などに優れています。

軽量であるALCパネルとの相性も良く、コストの高さはデメリットですが、長い目で見ればランニングコストに優れているといえるでしょう。

ALC造建物屋上防水の費用相場

ALC造建物で屋上防水工事を施工した場合の費用相場は、以下のとおりです。

防水工事の種類費用相場耐用年数
ウレタン防水通気緩衝工法(絶縁工法)約5,500~6,500円/㎡13~15年程度
塩ビシート防水機械的固定工法約5,500~7,500円/㎡15年~20年程度
塩ビシート防水密着工法約4,000~5,000円/㎡10年~15年程度
ゴムシート防水約4,000~5,000円/㎡10年~15年程度
改質アスファルトシート防水約4,500~7,000円/㎡15年~20年程度
FRP防水約5,000~7,000円/㎡10~15年程度

費用は、建物の規模、屋上の形状、防水工法の種類、施工業者などの要素によって変動します。

業者選びのポイント

ここでは、ALC造建物における屋上防水業者選びのポイントについて解説します。

屋上防水は専門知識と技術が必要なため、信頼できる業者を選ぶことが重要です。

経験や実績が豊富な業者であれば、ALC造建物の特性に合わせた最適な防水工法を提案し、高品質な施工を行ってくれます。

業者選びのポイントは、以下のとおりです。

  • ALC造建物における屋上防水の実績が豊富かどうか
  • 防水工法に関する専門知識と技術を持っているかどうか
  • 顧客の要望や予算に合わせて、最適なプランを提案できるかどうか

業者を選ぶ際には、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが重要です。

安易に価格だけで業者を選ばず、信頼できる業者を選びましょう。

保証期間

ALC造建物の屋上防水の保証期間は、防水工法や施工業者などによって異なります。

一般的には、5年~10年です。

保証期間の種類は、以下のようなものがあります。

  • 材料保証:防水材料自体の保証
  • 施工保証:施工技術や品質に対する保証
  • システム保証:材料と施工を合わせた保証

保証期間を長く保つためには、信頼できる業者を選び、適切なメンテナンスを行うことが大切です。

また、保証期間だけでなく、保証内容もしっかり確認しましょう。

ALC造建物に重要なシーリング工事

ALCパネルは水分に弱いため、シーリング工事は建物の耐久性を維持するために非常に重要です。

シーリング工事は、ALCパネルの接合部にシーリング材を充填することで、以下の役割を果たします。

  • 雨水の浸入を防ぎ、建物内部の腐食やカビの発生を抑制する
  • 外部からの空気の侵入を防ぎ、断熱性や遮音性を向上させる
  • 風雨や紫外線によるALCパネルの劣化を防ぎ、建物の寿命を延ばす
  • 建物の外観を整え、美観を維持する

シーリング材は、経年劣化によって性能が低下します。

主な劣化原因は、紫外線、風雨、温度変化などです。

劣化が進むと、シーリング材のひび割れや切れなどが現れ、その部分から雨水が侵入すると雨漏りにつながるリスクがあります。

雨漏りのリスクを防ぐためには、定期的なメンテナンスや補修が必要です。

シーリング工事の費用相場

シーリング工事費用は、施工範囲やシーリング材の種類などの要素によって変動します。

また、シーリング工事の工法には、打ち替えと増し打ちの2種類があります。

シーリングの打ち替えは、既存のシーリング材を撤去してから、新しいシーリング材を充填する工法です。

シーリングの増し打ちは、既存のシーリング材の上から、新しいシーリング材を充填します。

打ち替えと増し打ちの費用相場は、以下のとおりです。

  • 打ち替え工事:1mあたり900円~
  • 増し打ち工事:1mあたり500円~

これらの費用単価に、施工面積を掛けた金額が、大体の費用相場です。

マンションなどの高層建物では、足場を組む必要があり、1㎡あたり900円~1,100円と別途費用が発生します。

打ち替え工事の方が、費用は高くなりますが、耐久性が高く、長期的な視点では経済的になる場合があります。

正確な費用を知りたい場合は、複数の業者に見積もり取って確認しましょう。

ALC造建物の屋上防水工事を行うタイミング

ALC造建物の屋上防水工事は、適切なタイミングで適切な工法を選択することで、建物の寿命を延ばし、雨漏りなどのトラブルを防ぐことができます。

ALC造建物で屋上防水工事を行うべきサインは、以下のとおりです。

  • 防水層の劣化:ひび割れ、剥がれ、膨れ、色あせなどの劣化症状が現れたら、防水工事が必要となります。
  • 雨漏り:雨漏りが発生している場合は、早急に防水工事を行う必要があります。
  • 定期的なメンテナンス:一般的には、10年~15年に1回の定期的なメンテナンスが必要です。

防水層の劣化、雨漏り、定期的なメンテナンスなどのサインを見逃さず、適切な工法を選択することが重要です。

また、屋上防水工事は、信頼できる業者を選びましょう。

ALC造建物で行ってはいけない防水工事とは?

ALC造建物は、軽量性、耐火性、断熱性、遮音性などに優れた建築材料ですが、水に弱いという弱点があります。

そのため、防水工事は建物の耐久性を維持するために非常に重要です。

しかし、ALC造建物には、施工する際に注意しなければならない防水工事があります。

その中の1つであるアスファルト防水は、重量が重いため、ALCパネルに負担をかけ、破損の原因となる可能性があります。

また、アスファルト防水は経年劣化によってひび割れが発生しやすく、そこから雨水が浸入する可能性があります。

シート防水は、軽量で施工性に優れていますが、ALC造建物には注意が必要です。

シート防水は、ALCパネルに接着剤で貼り付けるため、接着力の低下によって剥がれ落ちる可能性があります。

シートを固定する際に、釘やビスなどの貫通部から雨水が浸入する可能性があります。

上記以外にも、通気性や下地処理に注意が必要です。

ALCパネルは、内部に湿気が溜まりやすい性質があります。

そのため、通気性を確保できない防水工事は、結露の原因となる可能性があります。

また、防水工事を行う前に、ALCパネルの表面を清掃し、平滑にすることが必要です。

ALC造建物の雨漏り対策

ALC造建物は、軽量性、耐火性、断熱性、遮音性などに優れた建築材料ですが、水に弱いという弱点があります。

そのため、雨漏り対策は建物の耐久性を維持するために非常に重要です。

ここでは、ALC造建物の雨漏りの原因や、雨漏り防止のためのポイントについて解説します。

雨漏りの原因

ALC造建物における雨漏りの主な原因は、防水層の劣化、シーリング材の劣化が考えられます。

防水層の劣化症状は、ひび割れ、剥がれ、膨れなどです。

経年劣化や地震などの影響によって、防水層にひび割れが発生し、そこから雨水が浸入する可能性があります。

また、防水層がALCパネルから剥がれたり、防水層が膨れることによって、防水性が低下し、雨水が浸入する可能性があります。

シーリング材は、ALCパネルの接合部を防水するために使用されますが、経年劣化によってひび割れが発生したり、硬化することで柔軟性を失って雨漏りの原因となるので注意が必要です。

雨漏り防止のためのポイント

シーリング材の寿命は、約10年と言われています。

しかし、これはあくまで目安であり、実際には建物の方角や立地環境、使用されているシーリング材の種類などによって大きく異なります。

外壁の劣化は、主に紫外線によるものです。

日当たりが良く、紫外線の影響を受けやすい南面は、北面よりも劣化が早くなります。

また、海沿い地域など塩害の影響を受けやすい地域では、劣化が早まる傾向があります。

定期的な点検は、建物の耐久性を維持するために非常に重要です。

ALCパネル自体にひび割れがある場合は、ひび割れの幅を計測して適切な工法で補修してから再塗装が必要です。

まとめ

ここまで、ALC造建物の屋上防水について解説してきました。

この記事の要点は、以下のとおりです。

  • ALC造建物とは、軽量性、耐火性、断熱性、遮音性などに優れた建築材料ですが、水に弱いという弱点がある
  • ALC造建物の屋上防水工事には、アスファルト防水、シート防水、ウレタン防水、FRP防水
  • 屋上防水の費用相場は工法や業者によって異なる
  • 業者選びのポイントは、経験や実績、専門知識、顧客対応が重要
  • 屋上防水の保証期間は、一般的に5年~10年
  • シーリング工事は、ALCパネルの接合部にシーリング材を充填すること
  • 屋上防水工事を行うタイミングは、防水層の劣化や雨漏りが起きた場合は早急に対応が必要
  • ALC造建物で行ってはいけない防水工事は、アスファルト防水とシート防水の施工に注意が必要
  • 雨漏り対策は、定期的な点検が重要

鉄骨ALC造建物の屋上防水工事は、建物の耐久性を維持するために非常に重要です。

定期的な点検と適切なメンテナンスを行うことで、雨漏りなどのトラブルを防ぎ、建物の寿命を延ばすことができます。

信頼性が高い施工業者に依頼して、適切なメンテナンスを行ってもらいましょう。

関連記事
LINE TEL MAIL