アスファルト防水の保護(押さえ)コンクリートとは?改修方法や劣化症状を解説 | 株式会社新東亜工業  

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アスファルト防水の保護(押さえ)コンクリートとは?改修方法や劣化症状を解説

屋上やバルコニーの防水を守るために欠かせない存在、それが「保護(押さえ)コンクリート」です。

アスファルト防水層の上に施工されるコンクリートで、紫外線や衝撃から防水層を守り、長持ちさせる重要な役割を担っています。

しかし、保護コンクリートも万能ではないのです。

長年の風雨や紫外線によって劣化し、防水性能が低下してしまうこともあります。

この記事では、保護コンクリートの役割、種類、改修方法、劣化症状などについて詳しく解説します。

保護コンクリートの基礎知識を身につけ、大切な住まいの防水を守りましょう。

保護コンクリートとは?

保護コンクリートは、アスファルト防水層の上に施工されるコンクリートです。

紫外線・風雨・衝撃から防水層を守り、歩行や車両通行に耐える強度を与える役割があります。

別名では、「押さえコンクリート」「シンダーコンクリート」とも呼ばれています。

建物の屋上やバルコニー、駐車場などに施工されることが多いです。

厚さは6~8cm程度で、軽量コンクリートが使用されています。

保護コンクリートの役割

​​保護コンクリートは、主に防水層を紫外線、風雨、衝撃、熱から守り、防水層の劣化を抑制する役割を担っています。

また、歩行や車両通行などの荷重を負担することで、防水層の破損を防ぎます。

このように、保護コンクリートは、防水性能と耐久性を向上させるために重要な役割を果たしているのです。

保護コンクリートに必要な伸縮目地とは?

保護コンクリートは、アスファルト防水層を保護するために施工されるコンクリートですが、コンクリートは温度変化によって伸縮するため、ひび割れを防ぐために伸縮目地が必要です。

伸縮目地は、保護コンクリートに設けられた隙間で、以下の役割を果たします。

  • 温度変化によるコンクリートの伸縮を吸収
  • ひび割れの発生を抑制
  • 防水層の破断を防ぐ

伸縮目地は、保護コンクリートの端部、建物との接合部、開口部周辺、長方形の保護コンクリートの中央などに設置する必要があります。

一般的には、3m間隔で設置されることが多いです。

適切な場所に伸縮目地を設置することで、ひび割れを抑制し、防水性能を維持することができます。

保護コンクリートの劣化症状

保護コンクリートは、経年劣化によりさまざまな劣化症状が現れます。

主な劣化症状は、以下のとおりです。

ひび割れ

ひび割れは、保護コンクリートにおいて特に注意が必要な劣化症状です。

温度変化や乾燥による伸縮や、荷重による応力、下地の沈下などの要因で、ひび割れが発生します。

目に見えない微細なひび割れからも雨水は徐々に浸入し、浸透した雨水は鉄筋を腐食させ、コンクリートの剥離や建物の構造的な問題に発展する可能性があります。

放置されたひび割れはさらに拡大し、雨水の浸入量が増加、さらに防水層を劣化させ、悪循環が加速するので大変危険です。

保護コンクリートのひび割れは、早期発見・早期対応で建物を守り、将来的なコストを抑えることができます。

剥離

保護コンクリートの剥離は、防水層やコンクリートの劣化、施工不良、重い荷重などの原因によって起こる劣化症状。

保護コンクリートの剥離は、単なる見た目の問題ではなく、剥離した箇所から雨水が浸入し、漏水に繋がる可能性があります。

浸透した雨水は鉄筋を腐食させ、建物の構造的な問題に発展する可能性があります。

また、剥離した箇所は、建物の美観を損なうので見た目も悪いです。

伸縮目地の劣化

伸縮目地の劣化症状は、ひび割れ、剥離、痩せ、シーラントの劣化などがあります。

これらの症状は、目視や触診で確認できるので定期的な点検が重要です。

伸縮目地が劣化すると、防水性能の低下による雨漏り、コンクリートの劣化、建物の構造的な問題などの影響を与えます。

雨漏りは建物の美観を損なうだけでなく、鉄筋腐食やカビの発生など、さまざまな問題を引き起こします。

保護コンクリートの改修方法

保護コンクリートの改修には、「既存の防水層を撤去して新しい防水層を作る方法」と、「既存の防水層の上に新しい防水層を作る方法」の2つがあります。

従来は、劣化部分を撤去して新しいコンクリートを打設する「撤去・打設工法」が一般的でしたが、近年は既存の防水層の上から防水工事を行う「通気緩衝工法」「機械式工程工法(脱気工法)」が主流です。

実際のところ、保護コンクリートを撤去するのは容易ではなく、かなりの労力を要します。

しかし、既存の防水層の上から新しい防水層を作る方法は、コンクリートの劣化状況が激しい場合を除いて、多くの場合有効な手段です。

また、施工の手間とコストを大幅カットでき、工期が短く、住みながらでも施工が可能です。

また、騒音や振動、環境負荷が少ない点もメリットとして挙げられます。

保護コンクリートに適した防水工法は、以下のようなものがあります。

防水工法の種類歩行レベル
アスファルト防水押さえ工法非歩行
ウレタン防水工法軽歩行
シート防水工法非歩行

保護コンクリートの防水工法は、歩行レベルによって適切な工法が異なります。

歩行レベルの非歩行は、メンテナンス(点検、清掃など)程度の歩行が可能です。

軽歩行は、特定多数(マンションの住民など)が、鋲のない革底の靴、ゴム底の靴、スリッパなどによる歩行が可能になります。

アスファルト防水押さえ工法

アスファルト防水押さえ工法とは、アスファルト防水層の上に保護コンクリートを打設する防水工法です。

アスファルト防水押さえ工法には、露出工法と密着工法の2種類があります。

露出工法は、アスファルト防水層の上に保護コンクリートを直接打設する工法です。

施工が比較的簡単で、費用も抑えられるというメリットがあります。

一方、防水層が紫外線などの影響を受けやすいため、定期的なメンテナンスが必要となります。

密着工法は、アスファルト防水層と保護コンクリートの間にアスファルトシートを敷設してから打設する工法です。

露出工法よりも防水性能が高く、耐久性にも優れています。

しかし、施工が複雑で、費用も高くなります。

ウレタン防水工法

ウレタン防水工法は、液体状のウレタン樹脂を塗布して防水層を作る工法です。

ウレタン防水は、アスファルト防水よりも高い防水性能と耐久性を持ち、雨漏りのリスクを低減できます。

また、速乾性があり、施工後の立ち入り検査もが早く行えるため、工期短縮にもつながります。

さらに、弾力性に優れているため、コンクリートのひび割れにも追従し、防水性の維持も可能です。

ただし、ウレタン防水は、アスファルト防水よりも比較的費用が高くなります。

また、紫外線に弱いため、トップコートなどの保護が必要です。

シート防水工法

シート防水工法は、防水シートと呼ばれるシート材を保護コンクリートの上に敷設することで防水層を作る工法です。

防水シートは、主に塩ビシート、ゴムシートの2種類が使われます。

また、シートを接着剤で固定させる接着工法(密着工法)、ディスクや金具で機械を用いて固定させる機械式固定工法に分類されます。

シート材は水を通しにくいため、高い防水性能を発揮し、従来の防水工法よりも耐久性に優れている工法です。

また、シート材は軽量なので、建物の負担を軽減できます。

ただし、下地の状態が悪い場合は、シート防水がうまく接着できない可能性があります。

シート材を繋ぎ合わせる部分に、水漏れのリスクがあるため注意が必要です。

保護コンクリートの防水は大規模改修で行う

保護コンクリートの防水は、必ずしも大規模改修で行う必要はありません。

保護コンクリートの劣化状況や建物の状況によって、適切なタイミングは異なります。

大規模改修は、建物のさまざまな部位をまとめて修繕する工事です。 

保護コンクリートの防水も、大規模改修の一環として行うことができます。

大規模改修で行うメリットは、以下のとおりです。

  • 足場を組む費用を一度で済ませられる
  • 他の工事と合わせて効率的に施工できる
  • 長期的な視点で計画を立てられる

また、大規模改修以外で行うメリットは、費用を抑えられる、工期が短くて済むなどが挙げられます。

保護コンクリートの防水を行うタイミングは、専門業者に調査を依頼し、判断してもらいましょう。

保護コンクリートの防水は、建物の状況や予算などを考慮して、適切なタイミングで適切な工法を選択することが重要です。

保護コンクリート防水業者の選び方

保護コンクリートの防水は、建物の耐久性を維持するために重要な工事です。

しかし、業者選びを誤ると、施工不良や費用トラブルなど、様々な問題に発展する可能性があります。

ここでは、後悔しないための保護コンクリート防水業者の選び方について解説します。

複数の業者から相見積もりを取る

複数の業者から相見積もりを取ることは、業者選びの基本です。

見積もりを取る際には、以下の点に注意しましょう。

  • 少なくとも3社以上の業者から見積もりを取る
  • 見積もり内容を詳細に確認する
  • 同じ条件で見積もりを取って比較する
  • 必ず現地調査を依頼する
  • 口約束ではなく書面で確認する

複数の業者から相見積もりを取ることで、施工費用の相場が分かったり、どんな材料を使うのかなどが分かってきます。

各業者の見積もりを比較して、最適な業者を見つけましょう。

施工実績が豊富か

保護コンクリート防水業者を選ぶ際には、施工実績が豊富であることは重要な要素の1つです。

施工実績は、以下のポイントについて確認しましょう。

  • 過去にどのような保護コンクリート防水工事を行ってきたのか
  • 規模や構造が似ている建物の実績があるか
  • 施工後の状況 (漏水などの問題がないか)を確認できるか

防水業者の施工実績は、ホームページなどで確認が可能です。

自社施工している業者を選ぶ

保護コンクリート防水工事において、自社施工を行っている業者を選ぶことは、多くのメリットがあるのでおすすめです。

自社施工業者は、下請け業者を介さずに施工を行うため、中間マージンが発生せず費用を抑えられるというメリットがあります。

自社施工業者は、職人の技術や施工管理を自社でコントロールできるため、高品質な施工が期待できます。

また、自社施工業者は、施工に関する責任が明確です。

何か問題が発生した場合でも、迅速かつ確実に対応してもらえます。

担当者が丁寧な業者を選ぶ

担当者が丁寧かどうかは、業者の信頼性を判断する重要なポイントです。

以下のような点に注意して、担当者とのコミュニケーションを図りましょう。

  • 説明が丁寧で分かりやすい
  • 質問に丁寧に答えてくれる
  • 見積もりが明確
  • 工事内容をしっかりと説明してくれる
  • アフターフォローが充実している

資格保有者が在籍しているか確認する

防水工事には、専門的な知識や技術が必要です。

業者を選ぶ際には、防水施工技能士や1級建築士などの資格保有者が在籍しているかどうかを確認しましょう。

資格保有者は、以下のような知識や技術を持っていることを証明します。

  • 防水材料に関する知識
  • 施工方法に関する知識
  • 安全に関する知識
  • 法令に関する知識

上記のポイントを参考に、信頼できる業者を選びましょう。

保証内容・アフターサービスを確認する

業者によって施工方法や保証内容、アフターサービスなどが大きく異なるため、慎重に業者を選ぶ必要があります。

防水工事には、以下のような保証があります。

  • 防水性能保証:防水層の防水性能を保証するもの
  • 施工保証:施工の品質を保証するもの
  • 漏水保証:漏水が発生した場合に修理費用を保証するもの

保証期間は、業者によって異なりますが、一般的には5年~10年程度です。

保証内容が充実している業者を選ぶことが重要です。

また、アフターサービスが充実している業者を選ぶことで、万が一漏水が発生した場合でも迅速に対応してもらえます。

まとめ

ここまで、保護コンクリートに関する基礎知識について解説してきました。

この記事の要点は、以下のとおりです。

  • ​​保護コンクリートとは、アスファルト防水層の上に施工されるコンクリート
  • 保護コンクリートの役割:防水層を紫外線、風雨、衝撃、熱から守る、歩行や車両通行などの荷重を負担
  • 保護コンクリートの劣化症状:ひび割れ、剥離、伸縮目地の劣化
  • 保護コンクリートの改修方法は、既存の防水層を撤去して新しい防水層を作る方法と既存の防水層の上に新しい防水層を作る方法の2種類
  • 保護コンクリートに適した防水工法は、アスファルト防水押さえ工法、ウレタン防水工法、シート防水工法

保護コンクリートの防水は、建物の耐久性を維持するために重要な工事です。

保護コンクリートについて理解を深め、適切な業者選びによって、防水効果が維持できます。

この記事のポイントを参考に、屋上などの防水効果を高めていきましょう。

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