アパートの大規模修繕の周期や費用の目安は? | 株式会社新東亜工業  

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アパートの大規模修繕の周期や費用の目安は?

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アパートの大規模修繕の特徴は?

アパートの大規模修繕は、戸建て住宅とは異なる特徴があります。

主な特徴は以下の通りです。

  • 共同住宅のため、入居者全員に影響が及ぶ
  • 規模が大きく、工事費用も高額になる
  • 修繕計画の合意形成が必要不可欠
  • 法的な規制や義務が存在する

つまり、多くの住人に影響があり、費用負担の調整が必要不可欠です。

また、適切な計画と合意形成のプロセスが欠かせません。マンション管理適正化法などの法令にも従う必要があります。

このように、アパートの大規模修繕は戸建てに比べてハードルが高く、十分な事前準備と工夫が求められます。

しかし、老朽化への適切な対応は資産価値の維持につながり、重要な取り組みといえます。

アパートの大規模修繕の周期の目安は?

アパートの大規模修繕は、建物の経年変化に合わせて一定の周期で実施することが一般的です。

周期の目安は以下の通りです。

  • 鉄筋コンクリート造 : 25~30年周期
  • 木造アパート : 15~20年周期

これは、国土交通省が示す目安値です。

鉄筋コンクリート造の寿命は60年程度と言われており、建物の半分程度の時期に大規模修繕が求められます。

ただし、この周期は目安の概算値にすぎません。

実際の大規模修繕時期は、以下の要素を総合的に勘案して判断する必要があります。

  • 建物の立地環境(気候、地盤など)
  • 構造、建設時期、設計水準
  • 日頃の維持管理状況
  • 設備機器の経年劣化度合い

つまり、計画修繕時期の前後で、建物の状況を専門家に診断してもらい、適切な時期を判断することが肝心です。

早期の修繕は無駄費用に、遅れた修繕は事故の危険性が高まります。

アパートの大規模修繕の費用の目安は?

アパートの大規模修繕には、高額な費用が掛かります。

一般的な費用の目安は以下の通りです。

【鉄筋コンクリート造の場合】

  • 35年経過ごろ : 1,000万円~2,000万円/棟
  • 45年経過ごろ : 1,500万円~3,000万円/棟
  • 60年経過ごろ : 2,000万円~5,000万円/棟

【木造アパートの場合】

  • 15年経過ごろ : 500万円~1,000万円/棟

この費用は、建物1棟あたりの概算値です。

規模が大きければ、さらに費用が高くなります。

また、地域による建設単価の違いによっても変動します。

この費用をどのように賄うかが課題となります。

多くの場合、修繕積立金からの充当と一時金の徴収を組み合わせることになります

。個々の入居者負担は、大規模修繕の規模と時期によって異なります。

長期修繕計画に基づいて、適切な積立金の設定が重要です。

突発的な費用発生は入居者への大きな負担となるため、事前の準備が欠かせません。

アパートの大規模修繕の工事内容について

大規模修繕の具体的な工事内容は、建物の構造や経年劣化の状況によって異なりますが、一般的な内容は以下の通りです。

【外装関係】

  • 外壁の打診検査と補修
  • 屋上防水工事
  • サッシ、ガラス、手摺の改修
  • 外構(植栽、フェンス、駐車場)の改修

【共用部分】

  • エントランス、廊下、階段の改修
  • 給排水配管の更新
  • 電気設備の更新
  • 避難設備の改修

【住戸内】

  • 間取り変更
  • 給排水設備の更新
  • 床、壁、天井の修繕
  • ユニットバス、キッチンの取替え

これらの工事では、構造体の劣化対策と共に、設備の更新による性能向上も図られます。

また、住戸内のリフォームも合わせて実施することで、防犯性や省エネ性を高めることができます。

大規模修繕の内容は、事前に専門家の建物診断を経て決定されます。

入居者の要望も加味しながら、優先順位を付けた適切な修繕計画を立てることが重要です。

アパートの大規模修繕のメリット

アパートの大規模修繕には、以下のようなメリットがあります。

  1. 建物の長寿命化と資産価値の維持
    適切な時期に修繕を行えば、建物の寿命を延ばすことができます。国土交通省によると、大規模修繕を実施すれば、建物の耐用年数を最大1.4倍に延長できるとされています。これにより、建物資産の経済的価値を長期にわたって維持することができます。
  2. 居住環境の改善と付加価値向上
    大規模修繕では、設備機器の更新や間取り変更なども行われます。照明のLED化や給排水設備の改修により、快適性や省エネ性が高まります。バリアフリー化なども可能です。つまり、建物の居住性を向上させ、付加価値を高めることができるのです。
  3. 維持管理費の低減
    計画的に修繕を行えば、緊急時の高額な修繕費用を抑えられます。また、設備機器の更新により、ランニングコストの低減が期待できます。長期的な視点で見れば、修繕費用以上のコストメリットが生まれます。
  4. 長期修繕計画の実現
    複数回の大規模修繕を見据えた長期修繕計画を立てることで、将来の費用を平準化できます。また、優先順位に従った着実な修繕が可能になり、建物の適切な維持管理につながります。
  5. 入居者の安全・安心の確保
    大規模修繕では、構造体の補強や避難設備の改修なども行われます。これにより、地震などの災害時の安全性が高まり、入居者の安心感も得られます。

このように、大規模修繕には多額の費用がかかりますが、長期的な視点で見れば、さまざまなメリットが生まれます。

適切な計画と実施が、建物資産の有効活用につながるのです。

アパートの大規模修繕の進め方

アパートの大規模修繕は、入居者全員に影響を及ぼすため、適切な進め方が重要です。

一般的な進め方は以下の通りです。

【事前準備段階】

  1. 長期修繕計画の策定
  2. 修繕設計・積算
  3. 修繕工事業者の選定
  4. 入居者への説明会の実施
  5. 修繕積立金の検討・決定
  6. 総会での工事計画の承認

まずは専門家に長期修繕計画の作成を依頼し、工事の優先順位と時期、概算費用を確認します。

そして、設計図書と見積書を基に工事業者を選定し、入居者への丁寧な説明を行います。

修繕積立金の目標額を決め、総会で計画を承認する必要があります。

【実施段階】

  1. 着工前の入居者説明会
  2. 工事の着工
  3. 中間検査と進捗確認
  4. 完了検査と引渡し
  5. 修繕記録の作成

工事に先立ち、入居者に対して詳細な説明会を開催します。

工事期間中は、施工業者との綿密な連絡を取りながら、中間検査と進捗確認を行います。

完了後は最終検査を経て引渡しを受け、今後の修繕記録を残します。

【事後対応】

  1. 費用の精算
  2. 修繕積立金の見直し
  3. 次回の大規模修繕に向けた準備

工事費の精算と修繕積立金の見直しを行います。

そして次の大規模修繕に向け、計画の検討を始めます。

長期修繕計画に基づき、サイクルを継続していくことが重要です。

このように、事前の準備から実施、事後対応まで、一連の手順を着実に進める必要があります。

管理組合と入居者、施工業者の三者が緊密に連携し、スムーズな工程を心がけることが不可欠です。

アパートの大規模修繕の注意点

アパートの大規模修繕には、以下のような注意点があります。

  1. 費用負担への配慮
    大規模修繕には多額の費用が掛かるため、入居者への過度な負担とならないよう、十分な事前準備が必要です。長期修繕計画に基づく積立金の設定と、複数回の修繕に備えた平準化が重要です。計画外の費用が生じた場合の対応方針も事前に決めておく必要があります。
  2. 入居者合意の徹底
    工事計画は全入居者の合意が前提となります。入居者への十分な説明を重ね、不安や要望を汲み上げる必要があります。高齢者への配慮も欠かせません。合意が得られない場合、強行することは難しいでしょう。
  3. 工事中の安全対策
    アパートでの工事は、入居者の日常生活に大きな影響を与えます。騒音、振動、埃などによる生活環境の悪化に加え、転倒や落下物などの危険性もあります。入居者の安全を最優先に、充分な対策を講じる必要があります。
  4. 工程管理の徹底
    工期の大幅な遅れは、入居者への迷惑が大きくなります。施工業者との綿密な打合せと監理体制を整え、計画どおりの工程を実現する必要があります。天候不順など、工期に影響する要因にも備える必要があります。
  5. 品質管理の重視
    アパートの大規模修繕は、100年に一度の大がかりな工事です。
  6. 施工業者の技術力と経験を十分に見極め、日々の品質管理体制を徹底する必要があります。

以上のように、大規模修繕には多くの注意点が存在します。

入居者への影響が大きいだけに、事前の周到な準備と、細部にわたる注意深い対応が求められます。

不備があれば、トラブルを招く恐れがあり、十分な注意が必要不可欠です。

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