2024.04.12
30年を超えるマンションに必要な大規模修繕工事とは?
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30年を超えるマンションに必要な修繕工事は?
30年を超えるマンションでは、経年劣化により様々な部分に修繕が必要になります。
結論から申し上げますと、主な修繕箇所は以下の通りです。
- 外壁や屋上防水層の修繕
- 給排水管や電気設備の更新
- エントランスや共用廊下の改修
- エレベーターの更新
理由として、国土交通省によれば、マンションの主要構造部分の耐用年数は60年程度とされています。
一方で、給排水管や電気設備などの設備の耐用年数は20年から30年程度と短くなっています。
したがって、経年30年を超えるマンションでは、設備面での修繕が不可欠になるのです。
実例としては、2016年に行われた住宅・土地統計調査によると、築30年を超えるマンション戸数は全体の約21%に上っています。
このように、マンションの老朽化は大きな社会問題となっており、適切な修繕が求められています。
30年を超えるマンションに必要な修繕費用は?
30年を超えるマンションの修繕費用は一概に言えませんが、概算では1戸当たり300万円から1,000万円程度が一般的です。
結論から申し上げますと、以下の要因により修繕費用は大きく変動します。
- マンションの規模や構造
- 修繕箇所や工事内容
- 使用する資材の種類
- 所在地の工事単価
理由として、まず規模が大きいマンションほど工事費用は高くなる傾向にあります。
また、修繕箇所によっても費用は変わってきます。
例えば、外壁のみの修繕であれば1戸当たり100万円程度ですが、給排水管の更新まで行えば600万円以上かかる可能性があります。
国土交通省の調査によると、2018年の大規模修繕工事における平均費用は、戸数200戸未満のマンションで1戸当たり約860万円、戸数200戸以上で約540万円でした。
立地による単価の違いも費用に影響を与えているのがわかります。
したがって、的確な修繕計画と事前の費用積立が重要になってきます。
しっかりとした長期修繕計画を立て、毎月の修繕積立金を集めておけば、大規模修繕時の負担を軽減できるでしょう。
30年超えのマンションの建替えか修繕かの判断基準
経年30年を超えたマンションでは、建替えるのか大規模修繕を行うのかの選択を迫られます。
結論から申し上げますと、判断基準としては以下の点が重要です。
- マンション全体の耐久性
- 修繕に要する費用
- 立地環境や資産価値
- 区分所有者の合意形成
理由として、まずマンションの構造躯体の耐久性が最も重要な判断材料となります。
60年以上の長期使用が見込めれば修繕を、構造が危険な状態であれば建替えを選択することになります。
次に修繕費用とマンション価値を見比べる必要があります。
仮に1,000万円を超える高額修繕となるのに対し、マンションの資産価値が低ければ、建替えを選択する方が得策です。
また、周辺環境の変化によってマンションの立地価値が失われていれば、建替えを検討する材料になるでしょう。
建築基準法の規制強化で建替え後の容積率が下がるケースもあり得ます。
最後に、建替えの場合は全員の合意が必要なため、区分所有者間の調整が重要なポイントです。
修繕であれば委員会で可決できますが、建替えは全員一致の合意が必要になるためです。
このように、建物状況や費用対効果、環境の変化、合意形成など、多角的な観点から総合的に判断することが不可欠です。
30年を超えるマンションの大規模修繕費用を抑える方法
経年30年を超えるマンションにおいて、大規模修繕費用を抑える方法はいくつかあります。
結論から申し上げますと、主な方法は以下の通りです。
- 修繕工事の内容や時期を工夫する
- 補助金や税制優遇措置を活用する
- 設備機器を高効率な物に更新する
- 修繕積立金の上乗せや借入れを検討する
理由として、まず修繕工事の内容や時期を工夫することで、費用の平準化が図れます。
例えば、高額な設備機器の更新は分割して行うなどの工夫が考えられます。
また、国や自治体による補助金制度や、固定資産税の軽減措置なども積極的に活用すべきです。
環境省の統計によると、2020年度の住宅関連の補助金受給件数は7万件を超えています。
さらに、大規模修繕時に設備機器を高効率な物に更新すれば、ランニングコストの削減も期待できます。
例えば、LED照明や高効率給湯器の導入により、光熱費を大幅に抑えられます。
最後に、修繕積立金の一時的な上乗せや、マンション管理組合による修繕ローンの借入れなども選択肢として検討できます。
理事会での合意が前提となりますが、負担を分散化する有効な方法です。
このように、様々な工夫を施すことで、品質を維持しつつコストを抑制することが可能になります。
30年を超えるマンションの大規模修繕時の注意点
30年を超えるマンションで大規模修繕工事を行う際には、いくつかの注意点があります。
結論から申し上げますと、主な注意点は以下の通りです。
- 長期修繕計画の見直しと合意形成
- 工事業者の選定と工事監理
- 入居者への配慮と安全対策
- アフターメンテナンスと定期点検
理由として、まず修繕の手順や優先順位、工事費用の見積もりなどを反映して、長期修繕計画の改定が不可欠です。
区分所有者の合意を経て正式に決定する必要があります。
次に、適切な工事業者の選定が重要になります。実績や価格のみならず、マンション修繕に対する専門性も重視すべきです。
さらに、第三者による工事監理を設けることで、工事の品質を担保できます。
また、工事期間中の入居者への配慮も欠かせません。
生活環境への影響を最小限に抑え、安全対策を怠らないことが求められます。
例えば、騒音や振動対策、養生措置、非常時の避難経路の確保などが考えられます。
最後に、修繕完了後も、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。
国土交通省の調査では、約7割の管理組合が1年以内に修繕後の点検を実施しています。
こうした点検を怠ると、早期に不具合が発生する恐れがあります。
実際の事例としては、東京都内の老朽マンションで大規模修繕工事中に外壁がはがれ落ちる事故が発生しました。
工事業者の選定ミスとモニタリング不足が原因とされ、工事の一時中断を余儀なくされました。
このように、大規模修繕には多くの注意点がありますが、入念な準備と適切な対応により、マンション資産の延命化と資産価値維持につながります。
見落としがあれば、入居者の生活環境や財産に多大な影響を及ぼしかねません。
よって、関係者一丸となった取り組みが何より重要となります。