2024.04.12
30年を超えるマンションに必要な大規模修繕工事の内容や修繕費とは?
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築30年を超えるマンションは、経年劣化により様々な不具合が生じてきます。住環境の維持と安全性を確保するためには、大規模修繕工事が必要不可欠です。本記事では、大規模修繕工事の内容や補修ポイントに加え、業者選びや費用に関する情報を詳しく解説します。
築30年以上のマンションにお住まいの方や、将来の大規模修繕工事に備えたい方は、ぜひ参考にしてください。
30年を超えるマンションに必要な修繕工事は?
30年を超えるマンションでは、経年劣化により様々な部分に修繕が必要になります。
結論から申し上げますと、主な修繕箇所は以下の通りです。
- 外壁や屋上防水層の修繕
- 給排水管や電気設備の更新
- エレベーターの設備更新
- 共用部のリニューアルと改善
外壁・屋根の補修とメンテナンス
外壁は雨風や紫外線にさらされているため、経年劣化によってひび割れや塗装の剥がれなどが発生します。大規模修繕では、外壁の補修や塗装の塗り替えを行います。屋根も劣化によって雨漏りが発生することがあるため、点検と補修が必要です。
給排水管や電気設備の更新
給排水設備、電気設備は経年劣化によって水漏れや詰まりが発生しやすくなったり、電気設備は機器が故障する要因が高まったりします。大規模修繕では、給排水設備、電気設備の更新を行います。更新の際には、配管の交換や水栓の交換、電気設備の更新が必要です。
エレベーターの改修と更新作業
エレベーターは、経年劣化によって故障が発生することがあります。大規模修繕では、エレベーターの改修や更新を行います。改修の際には、制御盤の交換や駆動機の交換が必要です。
共用部のリニューアルと改善
共用部は、経年劣化によって汚れや傷などが発生します。大規模修繕では、共用部のリニューアルを行います。リニューアルの際には、床材の交換や照明の交換が必要です。
国土交通省によれば、マンションの主要構造部分の耐用年数は60年程度とされています。
一方で、給排水管や電気設備などの設備の耐用年数は20年から30年程度と短くなっています。
したがって、経年30年を超えるマンションでは、設備面での修繕が不可欠になるのです。
実例としては、2016年に行われた住宅・土地統計調査によると、築30年を超えるマンション戸数は全体の約21%に上っています。
このように、マンションの老朽化は大きな社会問題となっており、適切な修繕が求められています。
30年後の大規模修繕でかかる費用
マンションの大規模修繕工事は、30年を超えると必要になってくる大規模な工事です。この工事には多額の費用がかかるため、事前に費用を把握しておくことが重要です。
一般的に、大規模修繕工事の費用は、1戸あたり500万円~1,000万円程度かかると言われています。ただし、これはあくまでも目安であり、実際の費用は建物の規模や築年数、劣化状況などによって異なります。
そのほか以下の要因により修繕費用は大きく変動します。
- マンションの規模や構造
- 修繕箇所や工事内容
- 使用する資材の種類
- 所在地の工事単価
大規模修繕費用の負担は、マンションの管理規約によって異なります。一般的には、各戸が平等に負担するケースが多いですが、専有面積に応じて負担するケースや、所有権の割合に応じて負担するケースもあります。
大規模修繕工事は多額の費用がかかりますが、マンションの資産価値を維持するためには必要な工事です。事前に費用を把握し、計画的に修繕積立金を積み立てておくことが重要です。
また、修繕箇所によっても費用は変わってきます。
例えば、外壁のみの修繕であれば1戸当たり100万円程度ですが、給排水管の更新まで行えば600万円以上かかる可能性があります。
しっかりとした長期修繕計画を立て、毎月の修繕積立金を集めておけば、大規模修繕時の負担を軽減できるでしょう。
30年超えのマンションの建替えか修繕かの判断基準
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経年30年を超えたマンションでは、建替えるのか大規模修繕を行うのかの選択を迫られます。
結論から申し上げますと、判断基準としては以下の点が重要です。
- マンション全体の耐久性
- 修繕に要する費用
- 立地環境や資産価値
- 区分所有者の合意形成
理由として、まずマンションの構造躯体の耐久性が最も重要な判断材料となります。
60年以上の長期使用が見込めれば修繕を、構造が危険な状態であれば建替えを選択することになります。
次に修繕費用とマンション価値を見比べる必要があります。
仮に1,000万円を超える高額修繕となるのに対し、マンションの資産価値が低ければ、建替えを選択する方が得策です。
また、周辺環境の変化によってマンションの立地価値が失われていれば、建替えを検討する材料になるでしょう。
建築基準法の規制強化で建替え後の容積率が下がるケースもあり得ます。
最後に、建替えの場合は全員の合意が必要なため、区分所有者間の調整が重要なポイントです。
修繕であれば委員会で可決できますが、建替えは全員一致の合意が必要になるためです。
このように、建物状況や費用対効果、環境の変化、合意形成など、多角的な観点から総合的に判断することが不可欠です。
30年を超えるマンションの大規模修繕費用を抑える方法
経年30年を超えるマンションにおいて、大規模修繕費用を抑える方法はいくつかあります。
結論から申し上げますと、主な方法は以下の通りです。
- 修繕工事の内容や時期を工夫する
- 補助金や税制優遇措置を活用する
- 設備機器を高効率な物に更新する
- 修繕積立金の上乗せや借入れを検討する
例えば、高額な設備機器の更新は分割して行うなどの工夫が考えられます。また、国や自治体による補助金制度や、固定資産税の軽減措置なども積極的に活用すべきです。
環境省の統計によると、2020年度の住宅関連の補助金受給件数は7万件を超えています。
さらに、大規模修繕時に設備機器を高効率な物に更新すれば、ランニングコストの削減も期待できます。
また、修繕積立金の一時的な上乗せや、マンション管理組合による修繕ローンの借入れなども選択肢として検討できます。
理事会での合意が前提となりますが、負担を分散化する有効な方法です。
このように、様々な工夫を施すことで、品質を維持しつつコストを抑制することが可能になります。
30年を超えるマンションの大規模修繕時の注意点
30年を超えるマンションで大規模修繕工事を行う際には、いくつかの注意点があります。
結論から申し上げますと、主な注意点は以下の通りです。
- 長期修繕計画の見直しと合意形成
- 工事業者の選定と工事監理
- 入居者への配慮と安全対策
- アフターメンテナンスと定期点検
理由として、まず修繕の手順や優先順位、工事費用の見積もりなどを反映して、長期修繕計画の改定が不可欠です。
区分所有者の合意を経て正式に決定する必要があります。
次に、適切な工事業者の選定が重要になります。実績や価格のみならず、マンション修繕に対する専門性も重視すべきです。
さらに、第三者による工事監理を設けることで、工事の品質を担保できます。
また、工事期間中の入居者への配慮も欠かせません。
生活環境への影響を最小限に抑え、安全対策を怠らないことが求められ、騒音や振動対策、養生措置、非常時の避難経路の確保などが考えられます。
最後に、修繕完了後も、定期的な点検とメンテナンスが不可欠です。交通省の調査では、約7割の管理組合が1年以内に修繕後の点検を実施しています。
こうした点検を怠ると、早期に不具合が発生する恐れがあります。
実際の事例としては、東京都内の老朽マンションで大規模修繕工事中に外壁がはがれ落ちる事故が発生しました。
工事業者の選定ミスとモニタリング不足が原因とされ、工事の一時中断を余儀なくされました。
このように、大規模修繕には多くの注意点がありますが、入念な準備と適切な対応により、マンション資産の延命化と資産価値維持につながります。
見落としがあれば、入居者の生活環境や財産に多大な影響を及ぼしかねません。関係者一丸となった取り組みが何より重要となります。
まとめ
30年を超えるマンションは、経年劣化によって様々な不具合が発生する可能性があります。そのため、安全で快適な生活を維持するためには、定期的な大規模修繕工事が必要です。
大規模修繕工事では、外壁や屋根の補修、給排水設備の更新、エレベーターの改修、共用部のリニューアル、防災対策など、様々な工事が行われます。これらの工事を適切に実施することで、建物の寿命を延ばし、資産価値を維持することができます。
大規模修繕工事を行う際には、信頼できる業者を選ぶことが重要です。業者の施工実績や評判、取得資格、見積もり内容などを比較検討し、最適な業者を選びましょう。
また、大規模修繕工事には多額の費用がかかります。事前に資金計画を立てて、資金繰りをしっかりと行うことが大切です。
適切な大規模修繕工事を実施することで、マンションの価値を維持し、安全で快適な生活を確保することができます。