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管理会社に大規模修繕を発注する際の注意点と対策

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管理会社に大規模修繕を発注する際の注意点と対策は?

大規模修繕は、マンションの資産価値を維持し、住民の安全と快適性を確保するために欠かせない作業です。

しかし、多額の費用が必要となるため、適切な管理会社を選び、工事内容や価格交渉を慎重に行う必要があります。

ここでは、管理会社に大規模修繕を発注する際の注意点と対策について説明します。

工事価格が明確か確認する

大規模修繕の工事価格は、建物の状況や補修内容によって大きく変わります。

管理会社から提示された見積もりが、適正な価格範囲内にあるかを確認することが重要です。

大規模修繕には多額の費用がかかるため、過剰な価格設定は避けなければなりません。

国土交通省が公表している「マンション修繕積立金に関する調査」によると、大規模修繕の平均費用は、鉄筋コンクリート造で約8,000万円、鉄骨鉄筋コンクリート造で約1億3,000万円となっています。

一方で、過度に安価な見積もりは、手抜き工事や不具合発生のリスクが高くなります。

東京都内のマンションで、過剰に安価な見積もりを受け入れたところ、工事後に雨漏りなどの不具合が発生し、追加費用が発生した事例がありました。

そのため、管理会社の見積もりが、建物の状況や補修内容に見合った適正価格範囲内にあるかを、複数の業者との比較や専門家の助言を得て確認する必要があります。

複数社で見積もりを取っているか

結論: 大規模修繕は高額な工事となるため、1社のみの見積もりに頼らず、複数の管理会社から見積もりを取ることが賢明です。価格だけでなく、各社の実績や体制なども比較して、最適な業者を選ぶことが重要です。

複数の見積もりを比較することで、適正価格を知ることができます。

国土交通省が公表した「マンション修繕積立金に関する調査」によると、大規模修繕の費用は地域によっても大きく異なり、最大で2倍以上の開きがあることがわかっています。

見積もり内容を詳細に比較すれば、各社の工事の質の違いがわかります。

東京都内のマンションでは、3社から見積もりを取り、内容を詳細に比較した結果、最も高額な見積もりが最も手厚い補修工事内容であることがわかりました。

このように、複数の業者から見積もりを取り、内容と価格を比較検討することで、適正な価格と質の高い工事を両立させることが可能となります。

施工内容のチェック体制を確認しておく

大規模修繕工事は、建物の安全性に直結する重要な工事です。

そのため、工事の施工状況を確認し、手抜き工事がないかをチェックする体制を、発注前に管理会社に確認しておくことが重要です。

手抜き工事をしていれば、工事後に不具合が発生するリスクが高くなります。

国土交通省が公表した統計によると、マンション大規模修繕工事の施工不良による事故は、年間100件以上発生しています。

適切な施工状況の確認なしでは、品質が保証されません。

千葉県内の分譲マンションでは、大規模修繕工事後に雨漏りや外壁のひび割れなどの不具合が多数発生しました。

原因は、施工状況の確認が不十分だったためでした。

そこで、管理会社に対して、工事現場での定期的な監督・検査の有無、検査員の資格や人数、サンプル抜き取り検査の実施などのチェック体制を確認することが重要です。

十分な体制が整っていない場合は、別の管理会社を検討するべきでしょう。

管理会社に大規模修繕を依頼するメリット・デメリット

大規模修繕は、マンションの資産価値を維持し、安全性や居住性を確保するために欠かせない工事です。

しかし、多額の費用がかかり、管理組合にとっては大きな負担となります。

管理会社に大規模修繕を依頼する際のメリットとデメリットを押さえておくことが重要です。

メリット

管理会社に大規模修繕を依頼することには、専門性の高い知識・経験が活かせる、手続き全般を任せられる、複数の優良業者から見積もりが取れる、工事事故時の保険加入などのメリットがあります。

管理会社には、建築や設備の専門的な知識と長年の経験があります。

マンション管理適正化法により、一定の基準を満たした優良な管理会社のみが国土交通大臣の認可を受けられるようになっています。

大規模修繕には、事前の修繕計画立案から工事監理、事務手続きまで多岐にわたる業務があります。

東京都内の老朽マンションでは、管理組合だけで大規模修繕を行おうとしたが、手続き面で課題が多く、結局、管理会社に一括して委託することになりました。

管理会社は複数の優良業者と連携しており、適正な価格で工事会社を選定できます。

マンション管理業務主任者試験の試験範囲に「修繕工事業者の選定方法」が含まれるなど、管理会社には業者選定ノウハウがあります。

このように、管理会社の専門性と経験を活かすことで、計画から工事、事務手続きまでをスムーズに進めることができます。

デメリット

一方で、管理会社に大規模修繕を依頼すると、直接発注に比べて費用が高くなる可能性や、施工管理が不十分だと手抜き工事のリスクがあるというデメリットもあります。

管理会社には事務費や工事監理費用などの手数料がかかるため、費用負担が大きくなります。

国土交通省の調査によると、管理会社経由の場合、直接発注に比べて10~20%費用が高くなる傾向にあります。

施工管理が不十分だと、業者の手抜き工事を見逃してしまうリスクがあります。

神奈川県内のマンションでは、管理会社の施工監理が杜撰だったため、業者の手抜き工事が放置され、外壁のひび割れや雨漏りが多発しました。

一部の管理会社では、特定の業者とグルになり、適正な価格や施工でない可能性もあります。

マンション管理業界紙の記事で、そうした不正な癒着構造の実態が指摘されています。

そのため、管理会社を選ぶ際は、実績のある優良な会社を選び、施工管理体制や価格設定根拠をしっかり確認することが重要です。

以上が、管理会社に大規模修繕を依頼するメリットとデメリットの主な内容になります。

いずれにしても、適切な管理会社の選定が大前提となり、手続き面と品質面の双方を十分にチェックすることが肝心です。

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