防水工事に必要な資格とは?資格の種類と建設業許可の必要性を徹底解説 | 株式会社新東亜工業  

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防水工事に必要な資格とは?資格の種類と建設業許可の必要性を徹底解説

雨漏りや建物の劣化を防ぐために欠かせない大規模な防水工事には、工事を行うための資格が必要です。

この記事では、防水工事の国家資格「防水施工技能士」について解説します。

さらに、防水工事を行う際に必要な建設業許可についても詳しく説明します。

防水工事について何も知らない方でも、必要な資格や許可について理解できるでしょう。

是非、この記事を読んで、建物を長持ちさせるための知識を身につけてください。

防水工事業とは

防水工事業とは、アスファルト、モルタル、シーリング材などの材料を用いて、建物内部への水の侵入を防ぐ工事を業とする建設業です。

主に、屋上、ベランダ、外壁、地下室、水回り、プール、貯水槽などの防水工事を行います。

防水工事の種類は、以下の5種類です。

  • ウレタン防水
  • FRP防水
  • シート防水
  • アスファルト防水
  • シーリング工事

防水工事は、建物の寿命を延ばし、雨漏りなどの被害を防ぐために欠かせません。

その重要な役割を担うのが、防水工と呼ばれる防水工事の専門家です。

熟練した防水工は、長年の経験と高度な技術を活かして、あらゆる状況に対応した最適な防水工事が行えます。

防水工事に必要な資格は?

防水工事を行うために、法令で定められた必須資格はありません。

必要な知識や技術は、現場での実務経験を通じて習得が可能です。

ただし、より高度な防水工事を受注するために、「防水施工技能士」という国家資格があります。

防水施工技能士は、1級と2級に区分されており、1級は防水工事に関する専門知識や技能、2級は防水工事に関する基礎知識や技能が必要です。

防水施工技能士の資格を取得することで、防水工事のスキルを証明でき、現場で指導的な立場につける可能性が高くなります。

防水施工技能士の取得方法

防水施工技能士は、都道府県職業能力開発協会と中央職業能力開発協会が実施する試験に合格すれば、誰でも取得できます。

防水施工技能士は、1級と2級に区分されており、それぞれの受験資格と試験内容は以下の通りです。

受験資格

1級防水施工技能士は、実務経験7年以上で受験可能です。上級技術者程度の技能が必要とされています。

2級防水施工技能士は、実務経験2年以上で受験可能になります。中級技能者程度の技能が必要です。

1級と2級の違いは、知識と技術の熟練度の差によるものです。

試験内容

防水施工技能士の試験内容は、学科試験と実技試験の2つです。

学科試験は、防水工事に関する専門知識が問われます。

実技試験は、実際に防水工事を行い、技能を審査する試験です。

1級の方が、より高難度の知識と技能が必要とされます。

大規模な防水工事は建設業許可が必要

建設工事の完成を請け負うことを営業するためには、その工事が公共工事であるか民間工事であるかを問わず、建設業法第3条に基づき建設業の許可を受けなければなりません。

参考:e-GOV法令検索-建設業法第3条(建設業の許可)

防水工事を行う場合、建設業許可が必要かどうかは、工事の規模と請負契約の内容によって異なります。

建設業許可には、大きく分けて「一般建設業」と「特定建設業」の2種類です。

一般建設業は、比較的規模の小さい工事を請け負うことができます。

一方、特定建設業は、一般建設業よりも規模の大きい工事を請け負うことが可能です。

特定建設業許可が必要となるのは、以下のいずれかに該当する場合です。

  • 発注者から直接請け負った1件の工事代金について、4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上となる下請け契約を締結する場合
  • 特定建設業許可が必要とされる工事を下請けする場合

なお、建設業の許可の有効期間は、5年間です。

5年ごとに更新を受けなければ許可は失効します。

この更新の申請は、有効期間が満了する30日前までに更新の申請を行う必要があります。

建設業許可を取得する要件

建設業許可を取得するためには、以下の要件が必要です。

経営業務の管理責任者を設置する

建設業許可の申請には、以下の要件を満たす経営業務の管理責任者の選任が必要です。

  • 5年以上、建設業に関し管理責任者としての実務経験を有する者、または管理責任者に順じる立場で経営業務の管理を行った経験を有する者
  • 6年以上、建設業に関し管理責任者に順じる立場で管理責任者を補佐する業務を行った経験を有する者
  • 2年以上役員などの経験があり、かつ、5年以上、役員などの立場で常勤役員などを直接補佐する役割として財務管理や労務管理、運営業務に携わった経験を有する者
  • 5年以上役員などの経験があり、かつ、建設業に関し、2年以上役員などの立場であり、常勤役員などを直接補佐する役割として財務管理や労務管理、運営業務に携わった経験を有する者

なお、「役員」とは、株式会社または有限会社の取締役、指名委員会などを設置する会社の執行役、持分会社の業務を執行する社員、法人格のある各種組合などの理事を指します。

管理責任者が不在となった場合は、速やかに新任者の選任が必要です。

専任技術者を設置する

建設業許可を取得するには、許可を受けようとする建設業の種類ごとに定められた要件を満たす専任技術者を常勤で設置する必要があります。

専任技術者の要件は、大きく分けて一般建設業と特定建設業の2種類です。

一般建設業

  • 高校卒業後5年以上または大学卒業後3年以上の実務経験があり、在学中に指定学科を修了している人
  • 専門学校で指定学科を修了し、卒業後5年以上の実務経験がある人
  • 専門学校卒業後5年経っていない場合は、専門士または高度専門士の称号を持ち、卒業後3年以上の実務経験がある人
  • 許可を取得したい建設業の建設工事において10年以上の実務経験がある人
  • 国家資格者

特定建設業

  • 一般建設業の専任技術者の要件を満たしたうえで、指導監督的な実務経験が2年以上ある人
  • 国家資格者
  • 大臣特別認定者

なお、指定建設業の許可を取得したい場合は、国家資格者もしくは大臣特別認定者のいずれかの要件を満たす必要があります。

参考:国土交通省-建設業の許可(許可の要件)

安定した財産を保有している

建設業許可を取得するには、安定した財産を保有していることも条件の1つです。

一般建設業と特定建設業の、それぞれに定められた財産要件を満たす必要があります。

一般建設業

  • 自己資本の額が500万円以上あること
  • 500万円以上の資金調達能力を証明できること
  • 許可申請直前の5年間、許可を受けて営業していたこと

特定建設業

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
  • 流動比率が75%以上であること
  • 資本金の額が2,000万円以上であること
  • 自己資本の額が4,000万円以上であること

参考:国土交通省-建設業の許可(許可の要件)

欠格事由に当てはまらない

建設業許可を取得するには、一定の要件を満たすだけでなく、欠格事由に該当しないことも必要になります。

欠格事由とは、建設業許可の申請者、経営業務の管理責任者、専任技術者などが、過去に一定の犯罪歴や不正行為を行った場合などに、建設業許可が与えられないことを規定したものです。

主な欠格事由は以下の通りです。

  • 過去に暴力団員であった者
  • 建設業法違反により許可取消処分を受けた者
  • 法人税法違反により法人税の加算金等の納付義務を怠っている法人
  • 所得税法違反により所得税等の納付義務を怠っている者
  • 労働基準法違反により罰金等の刑罰を受けた者
  • その他、誠実性を欠くと認められる者

欠格事由に該当するかどうかは、個々の状況によって判断されます。

参考:国土交通省-建設業の許可(許可の要件)

まとめ

ここまで、防水工事の資格及び建設業の許可の必要性について解説してきました。

この記事の要点は、以下の通りです。

  • 防水工事は、建物の寿命を延ばし、雨漏りなどの被害を防ぐために欠かせない
  • 防水工事を行うには、法令で定められた必須資格はないが、より高度な防水工事を受注するために、「防水施工技能士」という国家資格がある
  • 防水施工技能士は、1級と2級に区分されており、1級の方が高度な知識と技能が必要とされる
  • 大規模な防水工事を行う場合は、建設業許可が必要
  • 建設業許可を取得するには、経営業務の管理責任者、専任技術者の設置、安定した財産の保有、欠格事由に該当しないことなどの要件を満たす必要がある

防水工事は、建物の寿命を延ばし、資産価値を守るために重要な工事です。

資格や建設業の許可を有していれば、信頼できる防水業者として位置付けられます。

信頼できる業者に依頼して、適切な防水工事を行ってもらいましょう。

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