【賃貸経営】エントランスリノベーションで「満室&入居者満足度アップ」を実現した築古マンションの考え方
2026/02/18
目次
なぜ“エントランスだけ”でここまで変わるのか
築古マンションで空室が続くと、どうしても「室内リノベ」や「家賃値下げ」に目が行きがちです。
一方で、エントランスだけをしっかり手入れしただけで、入居率と入居者満足度が同時に改善した事例が数多くあります。
理由はシンプルで、
- 内見者が最初に見るのがエントランス
- 既存入居者が毎日通るのもエントランス
だからです。ここが「古い・暗い・雑然」としていると、
- 新規は決まりにくく
- 既存は不満を抱えやすくなる
という二重のマイナスが効いてしまいます。
1. エントランスリノベで変わるのは「数字」だけじゃない
空室対策としての効果
エントランスの改修でよく見られる変化は、
- 内見から申し込みまでの率(成約率)の向上
- 長期空室だった部屋が動き出す
- 家賃を下げずに空室が埋まる
といった「数字」の部分です。
見た目が整うことで、「この家賃ならここで住んでもいい」と感じてもらえるラインに乗せやすくなります。
入居者満足度としての効果
それと同じくらい大きいのが、既存入居者の心理面の変化です。
- 帰ってくるたびに「暗い・汚い」エントランスを通るのか
- 「明るくてきれいな、ちょっと誇らしい」エントランスを通るのか
毎日の積み重ねで、物件への愛着と満足度は大きく変わります。
結果として、
- 退去抑制(長く住んでもらえる)
- 口コミ・紹介での入居
- クレームや不満の減少
といった形で、賃貸経営全体にプラスが広がっていきます。
2. リノベ後に入居者の評価が変わる“4つのポイント”
ここでは、実際の事例で入居者満足度が上がりやすいポイントを、「なぜ効くのか」という視点で整理します。
2-1. 明るく・見通しの良いエントランス
心理的な安心感に最も効くのが、「明るさ」と「見通し」です。
リノベ前によくある状態
- 照明が暗く、夜は少し怖い
- 天井が低く、圧迫感がある
- 死角が多く、誰かが潜んでいそうに感じる
リノベ後に評価が上がりやすい工夫
- 照明をLEDに更新し、光量と色味を統一(昼白色など)
- 天井や壁を明るい色で塗装し、圧迫感を軽減
- 柱や壁のデザインを工夫し、視線が抜けるラインを意識
入居者の声としては、
- 「帰宅時に安心して歩けるようになった」
- 「前より明るくなって雰囲気が良い」
といった感想につながりやすく、特に単身女性や高齢者にとって大きな安心材料になります。
2-2. 館名板・サインが“今の時代”になっている
意外と効くのが、館名板や案内サインの刷新です。
リノベ前
- 錆びた板に古いフォントで建物名が書かれている
- 手書きやバラバラなスタイルの注意書きがあちこちに貼られている
リノベ後
- シンプルなフォント・配色で館名板を作り直す
- 注意書きや案内サインを統一デザインで作成
それだけで、
- 「古くさいマンション」 → 「ちゃんと管理されているマンション」
- 「安っぽい」 → 「落ち着いた・きれい」
という印象に変わります。
入居者にとっても、
- 友人や家族を呼びやすくなる
- 建物名を名乗ることに抵抗がなくなる
といった、“小さな誇り”のような心理的効果が生まれます。
2-3. ポスト・宅配ボックス・ゴミ置き場のアップデート
生活の利便性に直結する部分を整えると、満足度への影響はさらに大きくなります。
具体的には、
- 古い郵便受けを新しいユニットに交換する
- 宅配ボックスを新設する(単身者への訴求力が高い)
- ゴミ置き場を囲い付きにする/清掃しやすい床材に変える
といった施策です。
入居者からの評価としては、
- 「荷物が受け取りやすくなって助かる」
- 「ゴミ置き場がきれいになって、臭いも気にならなくなった」
など、「暮らしやすさ」に直結する感想が出てきます。
ここは家賃アップとの相性も良く、「宅配ボックスがあるならこの賃料でも納得」と判断されやすいポイントです。
2-4. 植栽・自転車・雑多なモノの整理
最後に、**“何を足すか”より“何を引くか”**が効いた事例も多くあります。
リノベ前の典型
- 中途半端な植栽が伸び放題
- 放置自転車が並び、通路が狭い
- 物置や古いベンチが置かれていて雑然としている
リノベ後
- 植栽を撤去・縮小し、花壇を整理
- 自転車置き場をライン引き・ラック設置で整列
- 不要な物はまとめて撤去し、「何もない空間」をつくる
結果として、
- 通りやすくなる(動線の良さ)
- 見栄えが良くなる(写真映え)
- 清掃しやすくなる(きれいさの維持)
という効果が出て、入居者も「前よりすっきりして気持ちいい」と感じるようになります。
3. エントランスリノベで満足度が上がった“典型パターン”
ここでは、よくあるパターンを「ビフォー/アフター」の形でイメージしやすく整理します。
パターン1:暗くて古いエントランスを「明るい共用ラウンジ風」に
- ビフォー
- コンクリートむき出し
- 蛍光灯1本で薄暗い
- 古いポストが雑多に並んでいる
- アフター
- 床にタイル・長尺シートを貼り、壁を明るい色で塗装
- ダウンライトや間接照明で陰影をつける
- ポストユニットを一新し、宅配ボックスも追加
→ 内見者から「古いけど感じがいい」「帰ってきたときの印象が全然違う」という声が増え、既存入居者からも「マンション自体がグレードアップしたように感じる」と評価されるケース。
パターン2:ゴミ・自転車・植栽が雑然としたエントランスを「整った動線」に
- ビフォー
- エントランス前に自転車が乱雑に停められている
- ゴミ置き場が丸見えで、美観を損ねている
- 植栽が伸び放題で視界が悪い
- アフター
- 自転車置き場を別に設け、ラインやラックで整理
- ゴミ置き場に目隠しパネル・扉を設置
- 植栽を剪定・一部撤去し、見通しを確保
→ 「前より通りやすい」「見た目がきれいになっただけでなく、防犯面も安心できる」といった入居者の声につながりやすいパターン。
4. 満足度を上げるリノベにするための“設計のコツ”
4-1. オーナー目線だけで考えない
エントランスリノベは、オーナーの好みだけで決めると的外れになりがちです。
- どんな人が住んでいるか(単身・ファミリー・高齢者・外国人など)
- どんなシーンでエントランスを使うか(自転車・ベビーカー・荷物の出し入れ)
- 何にストレスを感じているか(暗さ・段差・狭さ・汚れなど)
を踏まえて、「入居者の動線と思考」を一度トレースしてみることが大切です。
4-2. すべてを一気にやらない
理想を全部詰め込もうとすると、
- 予算オーバー
- 工期が長くなる
- 回収期間が読めなくなる
といった問題が出てきます。
現実的には、
- 明るさ・安全性(照明・見通し・段差)
- 生活利便性(ポスト・宅配ボックス・ゴミ置き場)
- デザイン・ブランド感(色・素材・サイン)
の順に優先度を付けて、段階的にアップデートしていく方が、キャッシュフローにも優しく、失敗も少なくなります。
5. 第2回では「具体事例+数字」に踏み込みます
第1回では、
- エントランスリノベが入居者満足度を上げる理由
- 満足度アップにつながりやすいポイント
- よくあるビフォー/アフターパターン
を、考え方ベースで整理しました。
第2回では、
- 「いくらかけて、どのくらいの賃料アップ・稼働率改善が見込めるか」という数字の考え方
- 築年数・戸数・ターゲット別に、どこまでやるべきかの“ライン”
- 相談・計画の進め方(大規模修繕・長期修繕計画との組み合わせ方)
といった、より実務寄りの内容に踏み込んでいきます。