2024.04.19
防塵塗装とは?コンクリート床塗装のメリットとデメリット・種類や費用・注意点解説
工場や倉庫のコンクリート床は、経年劣化で表面が粉状になりやすく、歩いたり荷物を運んだりするだけで粉塵が舞ってしまいます。
この粉塵は、機械の故障や製品の品質低下、作業員の健康被害など、様々な問題を引き起こす原因となります。
そこで今回は、コンクリート床の粉塵問題を解決する「防塵塗装」について詳しく解説します。
防塵塗装について理解を深め、ご自身の工場や倉庫に最適な防塵塗装を選ぶためのヒントが得られます。
防塵塗装で快適で安全な作業環境を実現しましょう。
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防塵塗装とは?
防塵塗装とは、床面や壁面などに専用の塗料を施すことで、粉塵の発生を抑制する塗装工事です。
コンクリート床に塗装されることが多いですが、金属や木材などの素材にも適用できます。
防塵塗装が使われている場所は、以下の通りです。
- 工場
- 倉庫
- 食品加工場
- 医療機関
- 精密機器工場
- 研究施設
- クリーンルーム
上記以外にも、粉塵の発生が問題となる場所であれば、どこでも防塵塗装を施すことができます。
防塵塗装のメリット
防塵塗装を施すことによって、以下のようなメリットが得られます。
防塵塗装のメリット|粉塵の舞い上がりを防ぐ
防塵塗装の最大の特徴は、粉塵の発生を抑制することです。
コンクリート床は経年劣化で表面が粉状になりやすく、歩いたり荷物を運んだりするだけで粉塵が舞ってしまいます。
この粉塵は、機械の故障や製品の品質低下、作業員の健康被害などの問題を引き起こす原因となりうるため注意が必要です。
しかし、防塵塗装を施すことで、床面の表面をツルツルに仕上げ、粉塵が剥がれにくくなります。
また、静電気の発生を抑える効果もあり、粉塵が空気中に舞いにくくなります。
防塵塗装のメリット|床材の劣化を防ぐ
粉塵は、床材の表面を削り、劣化の原因となります。
防塵塗装を施すことで、粉塵の発生を抑制し、床材の劣化を防ぐことができます。
特に、コンクリート床は経年劣化でひび割れや欠けが発生しやすいため、防塵塗装による保護効果が重要です。
防塵塗装のメリット|床の滑り止め
防塵塗装は、床の滑り止め効果も期待できます。
床の滑りによる事故は、工場や倉庫で最も多い労災事故の一つです。
特に、雨天時や路面が濡れている場合は、滑りやすくなり、転倒による重大事故に繋がる可能性も高くなります。
防塵塗装は、床面の凹凸を埋めて平滑にすることで、滑りにくい状態にします。
また、摩擦係数を高める効果のある塗料を使用することで、さらに滑り止め効果を高めることも可能です。
防塵塗装のメリット|用途に合わせたゾーニング
防塵塗装は、工場や倉庫の用途に合わせて、適切な種類の防塵塗装を選ぶことが重要です。
用途に合わせたゾーニングをすることで、より効果的に防塵塗装を活かせます。
例えば、食品加工場では、製造エリアと梱包エリアを区切って、それぞれに適した防塵塗装を施せます。
防塵塗装は、工場や倉庫の環境を改善し、作業効率を向上させるための効果的な手段です。
用途に合わせたゾーニングを取り入れることで、さらに効果的に防塵塗装を活かせます。
防塵塗装のメリット|清掃が楽になる
防塵塗装を施すと、床面の表面がツルツルになるので、清掃が非常に簡単になります。
従来のコンクリート床は、表面に凹凸が多く、溝に粉塵が溜まりやすいため、清掃に時間がかかりました。
しかし、防塵塗装を施せば、サッと拭き取るだけで簡単に清掃できるのでおすすめです。
防塵塗装のメリット|駐車場での車両の走行による粉塵の舞い上がりを防ぐ
駐車場の床に防塵塗装を施すことで、車両の走行による粉塵の舞い上がりを効果的に防げます。
駐車場の床から舞い上がった粉塵は、駐車中の車体に付着し、汚れの原因です。
防塵塗装によって粉塵の発生を抑えることで、洗車の手間を省いたり、車体の傷やサビも防げます。
また、駐車場内を走行する際、粉塵が立ち込めると視界が悪くなり、事故のリスクが高まります。
防塵塗装によって粉塵の発生を抑えることで、視界を確保し、安全運転に貢献できるでしょう。
防塵塗装のデメリット
防塵塗装は、床面の粉塵発生を抑制する効果的な方法ですが、既存の塗料との相性には注意が必要です。
防塵塗装には、既存の塗料と相性の悪いものがあり、既存塗料の上から直接塗ると、剥がれや膨れなどの問題が発生する可能性があります。
防磁塗装を施工する際には、既存の塗料をすべて撤去してから防塵塗装を行う場合が大半です。
撤去には時間とコストがかかりますが、仕上がりの美しさや耐久性が高められます。
また、一般的な塗床材と異なり、防塵塗装にはカラーバリエーションが少ないという特徴があります。
グリーンやグレーなど、限られた色しか選択できない場合が多いです。
カラーにこだわりがある場合は、特注色を取り扱っている業者を探す必要がありますが、費用が高額になる可能性があります。
防塵塗装の種類|水系防塵塗料・溶剤系防塵塗料とは
防塵塗装で使われる塗料の種類は、大きく分けて水系と溶剤系の2種類に分けられます。
それぞれの塗料の特徴や、メリット・デメリットについて解説します。
水系防塵塗料
水系防塵塗料は、水性樹脂を主成分とした防塵塗装です。
近年、環境負荷の低さや作業性の高さから注目を集めています。
水系防塵塗料は、VOC(揮発性有機化合物)の含有量が少なく、環境負荷が低い点が特徴です。
また、臭いが少なく、人体への影響が少ないため、人通りが多い場所への施工が適しています。
弾力性があり、ひび割れもしにくく、乾燥速度が速いため、高い施工性を誇ります。
ただし、比較的耐摩耗性が低く、結露が発生しやすい場所への施工は適さないとされているので注意が必要です。
溶剤系防塵塗料
溶剤系防塵塗料は、高い耐久性と耐薬品性を備え、重作業の工場や倉庫など、厳しい環境で使用されることが多い塗料です。
乾燥速度が速く、施工時間短縮に貢献します。
豊富なカラーバリエーションがあり、比較的安価です。
ただし、溶剤を含んでいるため、特有の臭いが発生します。
また、揮発性有機化合物(VOC)を発生するため、環境負荷や人体への影響に注意が必要です。
防塵塗装の塗料別費用を1m2あたりの価格で紹介
防塵塗装の費用相場は、1㎡あたり4,000円~20,000円と幅広く、塗料の種類、施工面積、下地の状態、業者の見積もりによって大きく異なります。
塗料の種類ごとの費用
防塵塗装に使用される塗料には、エポキシ樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系などの種類があり、それぞれ価格が異なります。
塗料の種類 | 費用相場 |
---|---|
エポキシ樹脂 | 5,000〜20,000円/㎡ |
ウレタン樹脂 | 4,000〜15,000円/㎡ |
アクリル樹脂 | 4,000〜10,000円/㎡ |
エポキシ樹脂系は、比較的高価な塗料で、高い耐久性と耐薬品性を備えています。
ウレタン樹脂系は、エポキシ樹脂系に比べて安価で、耐久性と耐摩耗性に優れた塗料です。
アクリル樹脂系は、比較的安価で、乾燥速度が速く、施工性が高いのが特徴です。
防塵塗装の工期について紹介
防塵塗装の工期は、施工面積によって異なりますが、一般的には1~3日程度です。
ただし、塗装が完全に乾いていなくても、塗膜の上を歩くだけであれば、4~6時間程度で可能です。
例えば、事務所への通路のみ先に塗装し、事務所の内部は後日塗装するといったことができます。
ただし、重量のあるフォークリフトなどの通行には、24時間の硬化時間が必要です。
工期を短縮したい場合は、硬化が早いアクリル樹脂系塗料を選びましょう。
アクリル樹脂系塗料は、ウレタン樹脂系やエポキシ樹脂系塗料に比べて硬化速度が速いため、工期短縮に効果的です。
また、夜間施工は、日中の作業に比べて気温や湿度が低く、塗料の乾燥が早くなるため、工期短縮に貢献します。
防塵塗装の工期は、状況に合わせて調整が可能です。
防塵塗装を行う際の注意点
防塵塗装は、床面の粉塵発生を抑制する効果的な方法ですが、以下のような注意点があります。
下地の清掃
防塵塗装の効果を最大限に発揮するためには、下地の清掃が非常に重要です。
下地には、汚れや油分が付着している場合が多くあります。
下地部分の汚れや油分は、塗料の密着を妨げ、塗装剥がれの原因となるため、必ず除去しなければなりません。
基本的には水洗いで問題ありませんが、頑固な汚れには洗剤や、高圧洗浄機を使用しましょう。
また、下地に凹凸があると、塗料の厚みが不均一になり、仕上がりが悪くなるだけでなく、剥がれやすくなる可能性があります。
このような場合は、パテやモルタルで埋めましょう。
換気
防塵塗装は、有害な物質を含む塗料を使用するため、換気を十分に行うことが重要です。
防塵塗装に使用される塗料には、有機溶剤やホルムアルデヒドなどの有害物質が含まれています。
これらの物質を吸い込むと、頭痛、めまい、吐き気などの症状を引き起こしたり、重症化すると呼吸器疾患や発がん性のリスクを高めたりする可能性があります。
特に、屋内での作業では換気が必要です。
塗装場所の窓を開け、十分な外気を取り入れたり、換気扇や送風機を設置して、強制的に換気を行うなどの対策を施しましょう。
施工業者の選定
防塵塗装は、床面の粉塵発生を抑制する効果的な方法ですが、施工業者選びを誤ると、効果が得られなかったり、問題が発生したりする可能性があります。
防塵塗装は、経験や知識のある専門業者に依頼して施工するのが一般的です。
ただし、不適切な施工は、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
- 塗料の剥がれや膨れ
- 床面のデコボコ
- 効果が得られない
- 早めの劣化
実績豊富な業者は、過去の施工経験に基づいて、最適な塗料を選び、適切な施工方法で作業を進められます。
また、複数の業者から見積もりを取り、比較した上で業者を選びましょう。
不明な点があれば、遠慮なく質問することも重要です。
防水工事での助成金や補助金について【屋根防水や屋上防水】
大規模修繕に関わらず屋根防水、屋上防水などは場合によって多くの資金が必要になります。
そんな時に活用できるのが助成金や補助金です。各地方自治体では修繕工事や外壁塗装などにおいて補助金などを用意している場合があります。
防水工事の場合リフォーム補助金や住宅改修工事における助成金などがあり、該当する場合には防水工事の補助金を受けることが可能です。
以下の内容が基本的な補助金申請時の条件です。
- 補助金申請できる地域に住んでいる
- 以前同じ補助金や助成金を受け取っていない
- 税金を滞納していない
- 省エネに関するものや耐震補強など、その地方自治体の目的にあった工事であること
詳しくはお住まいの各自治体のホームページ、または問い合わせをして確認してみましょう。
防塵塗装についてのまとめ
ここまで、防塵塗装について解説してきました。
この記事の要点は、以下の通りです。
- 防塵塗装とは、コンクリート床に専用の塗料を施すことで、床面や壁面から発生する粉塵を抑える塗装方法
- 防塵塗装のメリット:粉塵の発生を抑制、床材の劣化を防ぐ、床の滑り止め、用途に合わせたゾーニング、清掃が楽になる、駐車場での車両の走行による粉塵の舞い上がりを防ぐ
- 防塵塗装のデメリット:既存塗料との相性、カラーバリエーションが少ない
- 防塵塗装の種類:大きく分けると水系防塵塗料と溶剤系防塵塗料の2種類
- 防塵塗装の費用:1㎡あたり4,000円~20,000円
- 防塵塗装の工期は、一般的には1~3日程度。状況に合わせて調整可能
- 防塵塗装を行う際の注意点:下地の清掃、換気、施工業者の選定
防塵塗装は、粉塵問題を解決し、快適で安全な作業環境を実現する効果的な方法です。
施工業者選びを慎重に行うことで、より効果的に防塵塗装を活かせます。
この記事を参考に、防塵塗装について理解を深め、ご自身の工場や倉庫に最適な防塵塗装を選ぶためのヒントになれば幸いです。