2023.10.23
防水工事の種類・工法を解説!施工別に耐用年数や価格も比較
防水工事には複数の工法があり、防水工事を検討されている方の中にはどれを選んだらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
依頼する業者によって、提案される工法が違うということもあるでしょう。
こちらの記事ではそれぞれの工法のメリットデメリット、工期や費用まで比較しながら紹介しています。
特徴を理解し、納得のいく防水工事ができる手助けになればと考えています。
ぜひ最後までご覧ください。
防水工事の種類と特徴
防水工事には、大きく分けて5種類あります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、耐用年数やそれに適した場所も異なります。
特徴をよく理解し比較した上で、最適な工法を選択できるようにしましょう。
防水層の種類名 | 耐用年数 | 適した場所 | 価格(1㎡あたり) | 工期 |
ゴムシート防水 | 10〜15年程度 | 陸屋根・屋上 | 4,000~5,000円 | 1~3日程度 |
塩ビシート防水 | 10〜15年程度 | 陸屋根・ベランダ・バルコニー | 4,000~7,500円 | 1~3日程度 |
ウレタン防水 | 13〜15年程度 | ベランダ・バルコニー・屋上 | 4,500~6,500円 | 3~10日程度 |
FRP防水 | 10〜15年程度 | ベランダ・バルコニー | 5,000~7,000円 | 1~2日 |
アスファルト防水 | 15〜20年程度 | ビル・マンション陸屋根 | 5,000~7,000円 | 7日~10日程度 |
ゴムシート防水
耐用年数 | 10〜15年程度 |
適した場所 | 陸屋根・屋上 |
価格(1㎡あたり) | 4,000~5,000円 |
工期 | 1~3日程度 |
ゴムシート防水は合成ゴムを主成分とした防水シートを、下地に貼り付けることで水の侵入を防ぐ防水工事です。
接着剤や粘着テープを使用して下地に直接貼り付ける方法が一般的です。
ゴムシートは伸縮性・耐候性・耐久性に優れその品質も安定しているため、適切な施工されれば高い防水効果が期待できます。
防水層がやや薄いため、破損しやすいという一面もあります。
ゴムシート防水のメリット
- 伸縮性があるため下地のひび割れや劣化にも対応しやすい
- 温度による変化が少ないため、どの地域でも施工が可能
- 軽量で建物への負担が少ない
- 保護材を塗布すれば歩行も可能
- 安価で耐用年数が長い
ゴムシート防水のデメリット
- 薄いため鳥害や衝撃に弱い
- 施工には高い技術が必要で、施工した職人によって品質にばらつきがある
- シートを貼る施工方法のため、凹凸のある場所や複雑な形の場所への施工ができない
- 接着剤の品質が防水工事の品質に直結する
- 接着剤や粘着テープによるシックハウス症候群に注意が必要
- 塩ビシート防水に比べて、耐久性が低い
塩ビシート防水
ゴムシートと同様のシート防水ですが、塩ビ製の防水シートを使用します。
接着剤で直接貼り付ける密着工法と、専用の機械でビスを打ち込んで固定する機械的固定工法があります。
耐用年数 | 10〜15年程度 |
適した場所 | 陸屋根・ベランダ・バルコニー |
価格(1㎡あたり) | 4,000~7,500円 |
工期 | 1~3日程度 |
塩ビシート防水のメリット
- 紫外線・熱に強く耐久性が高い
- 複雑な形の場所でも、熱で溶かして密着させることで隙間なく施工できる
- 機械式固定工法の場合は、脱気が可能で下地が濡れていたり、雨漏りをおこした場所にも施工可能
- ゴムシートに比べて耐久性や強度が高く、衝撃や鳥害による破れの恐れが少ない。
- 耐摩耗性があるため保護層がなくても歩行が可能
- シートは曲げやすく柔らかいため、扱いやすく施工が安易
- さまざまな色や模様がプリントされたものがあり、人目に着く場所にも最適
- シートが劣化するまでメンテナンスが不要
塩ビシート防水のデメリット
- 平らな場所でないと施工がむずかしい
- 可塑剤によりシートを柔らかくしているため、劣化すると固くなり割れやすくなる
- 施工には技術が必要
ウレタン防水
ウレタン防水は液状にしたウレタンを塗布することで防水層を形成し、水の侵入を防ぐ方法です。
施工できる業者も多く、防水工事の主流となっています。
耐用年数 | 13〜15年程度 |
適した場所 | ベランダ・バルコニー・屋上 |
価格(1㎡あたり) | 4,500~6,500円 |
工期 | 3~10日程度 |
ウレタン防水のメリット
- 液状で下地にも馴染みやすく、凹凸がある場所や複雑な形の場所にも施工が安易
- シームレスで美しい仕上がり
- 下地に別の防水層があってもその上から施工できるため、撤去作業が不要
- 軽量で上から塗り重ねることができるため、部分的な改修工事にも最適
ウレタン防水のデメリット
- 液剤を塗布するため、職人の技術によっては塗りムラがでることがある
- 5〜8年を目処にトップコートを塗り直す必要がある
FRP防水シート
FRP防水では、ガラス繊維強化プラスチックを液状にしたものを塗布することにより、強靭な防水層をつくることができます。
耐用年数 | 10〜15年程度 |
適した場所 | ベランダ・バルコニー |
価格(1㎡あたり) | 5,000~7,000円 |
工期 | 1~2日 |
FRP防水のメリット
- 軽量でありながら、非常に強靭で車両の走行も可能
- シームレスで美しい仕上がり
- 軽量のため建物への負担が少なく、高層の建物や木造住宅にも最適
- 硬化が早く工期が短い
- 液状で下地にも馴染みやすく、凹凸がある場所や複雑な形の場所にも施工が安易
FRP防水のデメリット
- 紫外線に弱く、劣化するとひび割れを起こしやすい
- 伸縮性がないため、広い面積や木造建築物では変形性に対応できず、ひび割れてしまうことがある
- 伸縮性がないため、地震などで建物が揺れるとひび割れてしまうことがある
- 施行中に化学物質が発生するため、独特な臭いがあり換気が必要
- 5〜8年を目処にトップコートを塗り直す必要がある
アスファルト防水
液状にしたアスファルトとルーフィングシートと呼ばれる防水シートを重ねることにより、強靭な防水層を形成します。
古くから施行されてきた信頼度の高い防水工事です。
耐用年数 | 15〜20年程度 |
適した場所 | ビル・マンション陸屋根 |
価格(1㎡あたり) | 5,000~7,000円 |
工期 | 7日~10日程度 |
アスファルト防水のメリット
- 保護モルタルを施工すれば、耐用年数が非常に長くメンテナンスも簡単
- 防水層が厚く、高い防水性能が期待できる
- デメリットでもある臭いや煙が発生しない新しい工法が可能となっている
アスファルト防水のデメリット
- アスファルトを溶かす際に独特な臭いや煙が発生する(熱工法)
- 重量があるため建物への負担が大きい。木造建築や高層建築物では採用できない場合がある
- 熱工法、トーチ工法は密着性が高いが、熱を使うので燃えすいものがあったり木造の場所では施工できない
防水工事の種類一覧表|耐用年数と価格
防水工事の種類 | 耐用年数 | 価格(1㎡あたり) |
ウレタン防水通気緩衝工法(絶縁工法) | 13~15年程度 | 5,500~6,500円 |
ウレタン防水密着工法 | 2~5年程度 | 4,500~5,500円 |
塩ビシート防水機械固定方 | 15年~20年程度 | 5,500~7,500円 |
塩ビシート防水密着工法 | 10年~15年程度 | 4,000~5,000円 |
ゴムシート防水 | 10年~15年程度 | 4,000~5,000円 |
改質アスファルトシート防水 | 15年~20年程度 | 4,500~7,000円 |
FRP防水 | 10~15年程度 | 5,000~7,000円 |
防水工事でよくある質問
防水工事とは?
防水工事とは主に屋上や陸屋根、バルコニー、ベランダなど主にコンクリート製の部分に施される工事をいいます。
外壁や屋根などに行う塗装工事とは分けて考えられるのが一般的です。
雨水が建物内部へと侵入するのを防ぐために、防水層を形成する工事となります。
ゴムシート防水の上にウレタン防水を施工することはできる?
ゴムシート防水とウレタンは相性が悪くあまりお勧めできません。
ゴムシート防水の防水層を剥がした上で、ウレタン防水する方が確実です。
密着性をたかめるプライマーを使用することで施工が可能となる場合があるので、検討する場合にはメーカーや専門業者に相談してみてもいいでしょう。
シート防水とウレタン防水、どちらが安い?
シート防水とウレタン防水は施工費用はあまり変わりません。
ただウレタン防水の場合には、5年毎にトップコートを塗り直す必要があります。
それに比べてシート防水は施工後のメンテナンスに費用がかからないことが多く、長期的に考えるとシート防水の方が安く抑えられます。
まとめ
防水工事のそれぞれの方法について比較したことをまとめると、
- 工期はFRP工法、シート防水が短い
- ウレタン防水・シート防水は施工費用が安く、アスファルト工法・FRP工法は高い
- 最も耐用年数が長いのはアスファルト防水
- シート防水は平らな場所でないと施工できない
- 塗膜防水は複雑な形や凹凸のある場所にも施工が安易
- FRP防水は定期的なトップコートの塗り替えが必要
となります。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、施工する場所にあった方法を選択して納得のいく防水工事を行なってください。