アパートの修繕費の目安は?修繕の必要性とタイミングも解説 | 株式会社新東亜工業  

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アパートの修繕費の目安は?修繕の必要性とタイミングも解説

アパートオーナーのなかには、「アパートの修繕費を知りたい」「そもそも修繕は必要なのか」と不安や疑問を抱く方もいるでしょう。

オーナーは、アパート修繕費の目安を想定し、準備をしておかなければなりません。

そこで、アパートの修繕が必要な理由と修繕費について解説します。

アパートの修繕内容と修繕費の目安

アパートなどの賃貸物件は、建ててから年数が経てば劣化は避けられません。

また、現物資産である以上、突発的な事故や災害によって故障や破損が発生することもあります。

そのため、アパート経営においては、どのような修繕費が、どのくらいの頻度で必要になるのかを把握し、各建物に応じた準備をしておくことが重要です。

ここでは、アパートの修繕内容と、それぞれの費用目安について紹介します。

原状回復

アパートの契約が終了し、入居者が退去した後、室内を原状回復します。

入居時に借主(入居者)が支払った敷金から差し引かれることが一般的です。

通常、退去時の清掃は必要ありませんが、借主の過失による部屋の破損や改造があった場合は、借主負担で修繕を行います。

壁紙・フローリングの張り替え

通常の使用で、クロスの壁は汚れてきます。

調理の煙、タバコのヤニや臭い、日焼けなど原因は様々で、家具の移動で内装が傷むこともあります。

壁紙の張替え費用:4万円~5万6,000円

フローリングの張替え費用:9~20万円

目安としては、5年~8年ごとに交換が必要です。

ハウスクリーニング

清掃業者にハウスクリーニングを依頼し、清掃をするケースが多いです。

費用については、部屋の広さで異なります。

部屋の広さ費用相場
1R/1K約15,000~30,000円
1DK/1LDK約30,000~40,000円
2DK/2LDK約30,000~70,000円
3DK/3LDK約50,000~85,000円
4DK/4LDK約70,000~10万

住む方の生活習慣によって異なりますが、汚れが目立つ場合は費用が高額になることもあります。

部分補修

補修とは、主に入居中に発生した不具合による修繕、設備、付属設備などを指します。

中規模以上の補修費については、想定外の要因もあり、完璧な支出計画を立てることは難しいでしょう。

ここでは、部分補修の例と、それぞれの費用相場を紹介します。

エアコンの修理・交換

エアコンは個体差が大きく、1~2年で頻繁に故障する機械もあれば、15年以上故障しない機械もあります。

修理:1万5,000円~15万円/台

交換:5万円~15万円/台

なお、1度に全部屋の交換をするのではなく、個別に対応しなければなりません。

修理・交換の目安は7~10年です。

キッチンの修理・交換


キッチンの補修としては、主にIHクッキングヒーターの交換が挙げられます。

IHクッキングヒーターを使用するためには、専用の200V回路が必要です。

修理・交換の目安は8~10年です。

ガスコンロ交換:5万円~20万円/台

IHクッキングヒーターの交換:4万円~30万円/台

既存のガスコンロを撤去し、新しいIHクッキングヒーターを設置する工事のほか、配線やブレーカーなどの電気工事、ガスの遮断・撤去工事もあります。

浴槽の修理・交換

浴槽の補修や塗装、交換などの部分補修を行います。

交換の場合、数十万円の費用がかかることもあるでしょう。

浴槽補修・塗装:9万5,000円~15万円

浴槽交換:5万円~60万円

ユニットバス、洗面台などの交換時期は、入居者の使用状況で異なります。

普通に使っていれば10年程度は問題なく使用できますが、設備の老朽化が目立ってきたら、問題がなくても交換した方が空室のリスクも減ります。

配管の修理や交換に関しては、退去のタイミングを考慮することが多いです。

給湯器の修理・交換

給湯器の交換費用は、約10万円です。

給湯器を交換する場合、不具合のあるものだけを交換するのではなく、まとめて交換した方が今後のメンテナンス計画が立てやすいでしょう。

修理・交換の目安は10~12年です。

トイレの修理・交換

トイレの修理・交換は、便器の種類によって費用相場が異なります。

便器の種類費用相場
洋式トイレ5万円~15万円
タンクレストイレ10万円~40万円
洋式トイレ3万円~5万円
システムトイレ6万円~8万円

いずれの場合も、修理・交換の目安は7~10年です。

予防工事

予防修繕とは、大規模修繕が必要になる前に行う修繕です。

大規模修繕(外壁塗装、屋根葺き替え)も予防修繕に含まれます。

問題が発生する前、あるいは軽微な問題や、現時点では使用上問題はないものの、近いうちに故障や破損に至ることが予測される問題が発生した場合に、早期に対策を講じることを指します。

シロアリの予防・駆除

シロアリ駆除にかかる費用は、約3,000円~5,000円/平方メートルです。

1匹でもシロアリを見つけたら、できるだけ早く点検・駆除することが大切です。

放っておくと建物の木材を蝕み、耐久性に問題が生じる可能性が高まります。

外壁の劣化調査

外壁の劣化調査には、打診調査と赤外線調査があり、それぞれ費用が異なります。

打診調査:1㎡あたり約280~700円

赤外線調査:1㎡あたり約120~350円

打診調査とは、打診棒と呼ばれる棒で壁の表面を叩き、音の違いから外壁材の浮きの有無を調べる方法です。

赤外線調査とは、赤外線カメラで壁を撮影し、壁の温度変化による浮きやひび割れ、剥がれの有無を調べます。

耐震調査

耐震調査は、木造なのか鉄骨なのか、鉄筋コンクリート造なのかで費用が異なります。

建物の構造費用相場
木造約40万円~50万円
鉄骨造約1,000円/㎡~3,000円/㎡
鉄筋コンクリート造約1,000円/㎡~約2,500 円/㎡

入居者や周辺住民の安全確保のためにも必須の調査のため、アパート修繕の際に実施しましょう。

大規模修繕

アパート経営で最も高額になる修繕は、屋根や外壁など外回りの修繕です。

大規模修繕は、建物の劣化速度を遅らせ、完全な修繕が必要になる前に資産価値を維持するために行う予防修繕の一環と考えられています。

屋上・屋根の防水工事

屋根の防水工事は、雨漏りを防ぐために必要です。

雨漏りが起こってからでは工事が大規模になるため、定期的なメンテナンスで屋根のひび割れや劣化をチェックしましょう。

防水工事の費用は、工法によって異なります。

防水シート:約10,000円/㎡

防水塗装:約3,500円~7,000円/㎡

屋根・屋上の防水工事は、定期的なメンテナンスが必要です。

修繕を行わないと、雨漏りによって物件そのものが深刻なダメージを受け、大規模な修繕工事が必要になる恐れがあります。

約10年を目安に、屋上や屋根の防水工事を行いましょう。

外壁塗装工事

外壁塗装工事は、使用する材料によって費用が異なります。

シリコン塗料:約3,000円/㎡

フッ素塗料:約4,000円/㎡

光触媒塗料:約5,000円/㎡

外壁の仕上げ材にもよりますが、タイルやモルタルの場合、ひび割れから雨が浸入しやすく、建物の劣化を招きやすいため、定期的な点検と交換の検討が必要です。

サイディングの場合、7~8年程度で紫外線などによる劣化や、コーキング部分にひび割れが生じて雨漏りにつながることもあります。

目安としては、15年程度でタイルなどを全面的に張り替えることをおすすめします。

給排水管の清掃や交換

築10年以内のマンションでは、年1回の排水管の洗浄を行います。

大規模修繕で工事をする場合は、配管更生工事、配管更新工事があり、費用が異なります。

配管更生工事:1戸あたり約15万円~

配管更新工事:1戸あたり約40万円~

配管更生工事は、配管に樹脂を流し込んで新しい配管を作り、劣化を防ぐ工事です。

内部を壊さずに、短期間で施工ができます。

配管更新工事は、新しい配管を設置する工事です。

古い配管を露出させて交換するため、外壁や内装を解体する必要があります。

耐震補強工事

建物の強度を維持するための柱補強工事では、柱自体を取り替えるケースもあります。

工事中、構造体を露出させるため、すべての床と壁を取り除かなければなりません。

そのため、工期はどうしても長くなり、状況によっては半年以上工事を継続することもあります。

柱の補強工事は、金具の追加量や既存の柱の傷み具合によって費用が大きく変わりますが、工期が長くなるため平均100万円前後です。

アパートの工事でかかった費用の計上方法|修繕費・資本的支出

修繕費には、その年の必要経費として1度に計上できる修繕費と、一定の年数で少しずつ計上する資本的支出とがあります。

修繕費は、必要経費として一括計上できるため、その期の課税所得を減らすことが可能です。

一方、資本的支出は、長期資産の取得や改良を目的とするもため、減価償却の対象となります。

両者の違いは、1回の工事費が20万円未満の場合は 「修繕費」、20万円以上の場合は 「資本的支出 」となることです。

ただし、グレードアップを伴わない外壁塗装の場合は、20万円を超えても資本的支出ではなく修繕費として計上できます。

アパートの大規模修繕を成功させるポイント

修繕積立金とは、大規模修繕などの修繕に必要な資金を毎月積み立てておくお金を指します。

大規模修繕には多額の資金が必要となるため、早い段階から大規模修繕資金を貯めておくことが重要です。

修繕積立金の額は、建物が古くなるにつれて増加します。

一般的には、建物の築年数と工事費をもとに見積りをします。

築年数に応じた工事費の目安は以下のとおりです。

築年数1~10年目建築費の0.3%
築年数10年~20年目建築費の0.5%
築年数21年目以降建築費の1.0%

事業計画書や収支計画書を作成する際には、修繕積立金を当初から考慮しておきましょう。

アパート修繕費用を抑えるポイント

アパート修繕費用は、オーナーの工夫次第で抑えることが可能です。

ここでは、修繕費用を抑え、適正金額で工事をするためのポイントを紹介します。

業者に丸投げしない

工事を専門業者に委託する場合でも、すべてを任せきりにするのではなく、オーナー自身が積極的に工事に介入し、検討することが大切です。

例えば、工法によっては足場1本だけでもコストダウンできる場合があります。

指摘しない限り、高額な工法や材料で修繕が行われる可能性もあるため、施工業者との連絡は怠らないようにしましょう。

補助金や助成金を利用

大規模修繕の場合、国や自治体の補助金や助成金で一部カバーできることがあります。

例えば、バリアフリー化、防音工事など、アパートを長期優良住宅にする場合は支援を受けることが可能です。

ただし、自治体によって補助金や助成金の内容が異なるため注意しなければなりません。

アパートがある都道府県・市区町村で、どのような補助金・助成金があるのかを確認し、活用しましょう。

通常、大規模修繕の費用は住民から徴収する修繕積立金で賄われます。

しかし、補助金や助成金があれば、アパート住民の負担を軽減することが可能です。

十分に事前プランを練る

アパートの修繕費を抑えるためには、先を見据えた綿密な予算計画が大切です。

目先の収支だけを把握していると、いざ修繕が必要になったときに慌ててしまうことがあります。

基本的に、修繕費は事前に貯めておかなければなりません。

収支計画には、いつ、どこで、どれくらいの修繕費が必要になるのかを必ず入れておきましょう。

アパート経営を始める際には、長期的な収支計画を立て、資金管理をしていくことが大切です。

火災保険を活用する

アパート経営では、火災保険に加入します。

条件によっては、火災保険を修繕費に充てることが可能です。

自然災害による損害で、補償されないと思っていたものが補償される場合があります。

経年劣化、シロアリ、虫害など、突発的でない損害は火災保険ではカバーされません。

しかし、以下の修繕は補償される場合があります。

  • 水漏れ
  • 盗難
  • 飛来物との衝突
  • 自然災害
  • 落雷
  • いたずら

加入している火災保険のプランによるため、まずは保険会社に確認しましょう。

定期的な修繕を検討

修理費を抑えるためには、定期的なメンテナンスも重要です。

大きな修理が必要になるまで放置しておくと、多額の費用がかかってしまいます。

早いうちから少しずつメンテナンスを行うことで、1度に多額の出費をせずに済む可能性が高いです。

全体として、定期的なメンテナンスはお金の節約につながるでしょう。

中古アパートの場合は修繕履歴を確認する

中古アパートを購入した場合、購入後すぐに大規模修繕が必要になるケースがあります。

購入前に、修繕履歴をしっかり確認することをおすすめします。

一見問題がないように見えても、見えない部分で修繕が必要な場合もあります。

可能であれば、購入前に建物診断を受けるのもひとつの方法です。

入居者を慎重に選ぶ

入居者を募集する際、マナーの悪い人を選ばないことも修繕費を抑える方法として有効です。

マナーの悪い方ほど掃除をしないため、退去時に水回りにカビが生えていたり、トイレが汚れていたりするケースがあります。

見た目ではわかりませんが、管理会社には「マナーが悪そうな人は入居をお断りします」と伝えておくと良いでしょう。

例えば、管理会社の担当者に対して横柄な態度を取る方や、喫煙所を確認せずにタバコを吸うなどモラルやマナーに問題がある方は、トラブルを起こす可能性があります。

アパート修繕費を抑えるためにも専門業者に相談しよう

アパート経営に必要な修繕費をしっかりと把握し、長期的な収支計画を立てることは、コストを抑えるために必要なことです。

しかし、アパートの修繕は専門的な内容を伴うことが多く、専門業者への相談が欠かせません。

アパートの資産価値を長く維持するためにも、専門業者に修繕費や工事内容の相談をしましょう。

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