2024.02.15
雨漏り修理に火災保険は適用できる?対象や費用などについて紹介
「台風で雨漏りが…でも修理費用が心配」そのような時、実は火災保険が使える可能性があります。風災や自然災害による雨漏り被害は、保険金の申請対象となるケースが多く、費用負担を大きく軽減できます。
ただし、経年劣化による雨漏りは補償の対象外で、免責金額の設定もあるため注意が必要です。そこで本記事では、火災保険を活用した雨漏り修理の具体的な進め方から、保険適用の判断基準、申請時の注意点まで、修理費用を抑えるためのポイントを解説します。
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火災保険が適用される雨漏り修理とは
火災保険は、火災だけでなく、風災や雹災、雪災などの自然災害によって建物や家財に被害を受けた場合に補償を受けられる保険です。
以下が、火災保険が適用される雨漏り修理の条件です。
- 雨漏りの原因が自然災害であること
- 建物や家財に被害が発生していること
ただし、雨漏りの原因を特定する場合、自然災害が原因であることを証明する必要があります。
また、以下のような場合、火災保険が適用されない可能性があります。
- 経年劣化による雨漏り
- 施工不良による雨漏り
- 故意または重大な過失による雨漏り
人の怠慢などが原因だと、火災保険が適用されない場合があるので注意しましょう。
自然災害によって発生した雨漏りは火災保険適用の場合あり
自然災害によって発生した雨漏りは、台風や強風、大雪、雹(ひょう)などの影響で、屋根や外壁に破損が生じ、雨水が侵入することで起こる被害です。
自然災害によって発生した雨漏り修理費用は、火災保険で補償される場合があります。
火災保険の補償内容には、「風災」「雹災」「雪災」などの自然災害による被害が含まれています。
これらの自然災害によって雨漏りが発生した場合、火災保険を使って修理費用を補償することが可能です。
以下に、自然災害の詳細と具体例をまとめます。
詳細 | 具体例 | |
風災 | 台風や竜巻、突風などの強風によって引き起こされる災害 | 強風で飛ばされた屋根瓦が、窓ガラスを破損し、雨漏りが発生 強風で破損した雨樋が詰まり、雨水が溢れ、雨漏りが発生 |
雪災 | 豪雪や雪崩によって、建物や家財道具、インフラなどに被害をもたらす災害 | 大雪の重みで屋根が破損し、雨漏りが発生 融雪水が雨樋に詰まり、雨水が溢れ、雨漏りが発生 |
雹災(ひょうさい) | 雹(ひょう)と呼ばれる大きな氷の塊が降ることによって生じる被害 | ひょうの直撃で窓ガラスが割れ、雨漏りが発生 |
また、災害被害ごとの適用条件は、以下のとおりです。
保険の種類は、一般的に住宅火災保険と住宅総合保険の2種類があります。
ただし、適用条件は加入している保険と異なる場合があります。
火災 | 落雷 | 破裂・爆裂 | 風災・雪災・雹災 | 水害 | 水漏れ | 暴行・破損 | 物体飛来・落下・衝突 | 盗難 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
住宅火災保険 | ◯ 適用される | ◯ 適用される | ◯ 適用される | ◯ 適用される | × 適用されない | × 適用されない | × 適用されない | × 適用されない | × 適用されない |
住宅総合保険 | ◯ 適用される | ◯ 適用される | ◯ 適用される | ◯ 適用される | ◯ 適用される | ◯ 適用される | ◯ 適用される | ◯ 適用される | ◯ 適用される |
火災保険は被害を受けてから3年以内に申請
雨漏りの被害は、被害を受けてから3年以内に申請する必要があります。
保険法第95条では、保険金請求権は3年間行使されない場合には時効によって消滅すると規定されています。
つまり、保険金請求権の時効は3年です。
保険金請求権の時効起算点は、保険事故が発生した日です。
例えば、火災保険の場合、火災が発生した日から3年間が保険金請求権の時効期間となります。
保険金請求権の時効が成立すると、保険金請求権は消滅し、保険会社に対して保険金を請求することができなくなります。
雨漏りなども火災保険の補償内容に含まれている
火災保険には、水災補償、風災補償、雪災補償などの自然災害による損害が保険の補償内容に含まれているのが一般的です。
火災保険は、火災だけでなく、洪水や浸水などの水災、雹(ひょう)や雪による雪災・雹災にも対応しており、大切な住まいと家財道具を様々な災害から守ります。
補償内容は、建物のみ、家財のみ、建物+家財の3つから選択可能です。
ただし、これらの補償は、火災保険に含まれていないこともあります。
その場合、追加オプションとして加入しなければなりません。
加入するかどうかは、住んでいる地域の自然災害リスクや、自分の財産を守るために必要な補償内容などを考慮した上で判断が必要です。
損害額が一定金額を上回っている
火災保険で雨漏り修理が適用されるためには、損害総額が一定の金額を上回っていることが重要です。
損害総額とは、修理において発生する修理費用の合計を指します。
つまり、「損害総額=修理工事費用の見積もり」と考えて良いでしょう。
なお、保険金請求の最低金額は、保険会社によって異なります。
また、保険の支払われ方が「免責方式」か「フランチャイズ型」のどちらに加入しているかによっても異なります。
詳しくは、加入している保険会社に確認しましょう。
免責方式の場合
火災保険の「免責方式」は、損害額から一定額を差し引いた金額を保険金として支払う方式です。
免責方式は、保険料を抑えるメリットがある一方で、自己負担額が発生するデメリットもあります。
免責方式では、保険金請求時に設定された免責金額を損害額から差し引いた金額が保険金として支払われます。
例えば、免責金額が5万円の場合、損害額が30万円であれば25万円が保険金として支払われる仕組みです。
フランチャイズ型の場合
フランチャイズ型は、損害額が一定額を超えた場合にのみ保険金が支払われる方式です。
免責方式と異なり、自己負担額が発生するのは損害額が免責金額を超えた場合のみです。
フランチャイズ型では、損害額が設定された免責金額(フランチャイズ)を超えた場合にのみ保険金が支払われます。
例えば、免責金額が20万円の場合、損害額が30万円であれば10万円が保険金として支払われます。
火災保険が適用されない雨漏り修理を解説
火災保険は、自然災害による雨漏りの修理費用を補償してくれる便利な制度ですが、すべての雨漏りに適用されるわけではありません。
火災保険が適用されない雨漏り修理のケースは、以下のとおりです。
経年劣化による雨漏り
屋根や外壁などの素材が経年劣化によって劣化し、雨漏りが発生した場合は、火災保険は適用されません。
経年劣化による雨漏りは、以下のような事例が挙げられます。
- 屋根材や外壁材の劣化
- シーリング材の劣化
- 雨樋の詰まり
- 塗装の剥がれ
経年劣化による雨漏りは、定期的なメンテナンスによって防ぐことができます。
故意または過失による雨漏り
故意による雨漏りとは、故意に雨漏りを発生させる行為です。
例えば、いたずらで屋根に穴を開けるなど、故意に雨漏りを発生させた場合は、火災保険は適用されません。
過失による雨漏りとは、故意ではないものの、注意義務を怠りによって雨漏りを発生させてしまった場合です。
例えば、定期的な屋根の点検を怠り、その結果、雨漏りを発生させてしまった場合は、過失による雨漏りとなります。
火災保険は、自然災害による損害を補償するものです。
故意または過失による雨漏りは、自然災害による損害ではないため、火災保険は適用されず、雨漏りの修理費用は、自己負担となります。
新築から10年以内の雨漏り
火災保険は、台風や突風などの自然災害によって生じた損害を補償するものです。
新築10年以内の雨漏りの多くは、施工ミスや手抜き工事による初期不良が原因であり、自然災害とはみなされないため、火災保険の対象外となります。
新築10年以内の雨漏り修理は、火災保険ではなく、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づく瑕疵担保責任によって補償を受けることができます。
品確法では、住宅建築時に欠陥や施工不良があった場合、10年間の保証期間内に無料で補修を受けることが可能です。
雨漏りもこの保証の対象となります。
参考:e-GOV法令検索-品格法第3条(日本住宅性能表示基準)
保険の補償内容に含まれていない雨漏り
火災保険の補償内容は、契約によって異なります。
以下の補償がセットになっているか確認が必要です。
- 水濡れ被害特約
- 破損・汚損特約
- 付帯サービス(雨漏り修理費用特約など)
特約とは、基本補償に付加して加入できる補償です。
また、地震や津波による雨漏りは、火災保険の風災雹災特約で補償されます。
ただし、地震保険に加入していない場合は、補償されません。
地震保険は、地震や津波による建物の損害を補償する保険です。
加入している保険の内容を改めて確認しておきましょう。
損害額が一定金額を下回る
多くの火災保険では、免責金額(自己負担額)が設定されており、損害額が免責金額を下回ると保険金が支払われません。
火災保険の補償を受けるためには、損害額が免責金額を超えることが必要です。
免責金額は契約時に設定し、一般的には3万円、5万円、10万円などがあります。
免責金額を高く設定すると保険料は安くなりますが、自己負担額も大きくなります。
したがって、免責金額を考慮することが必要です。
火災保険で雨漏り修理を行うメリット
火災保険で雨漏り修理を行うには、いくつかの条件を満たす必要がありますが、以下のようなメリットがあります。
修理費用を大幅に節約できる
雨漏り修理は、高額な費用がかかる場合があります。
火災保険で修理費用を補償することで、自己負担額を抑え、経済的な負担を軽減できます。
火災保険には免責金額が設定されていますが、多くの場合、雨漏り修理では免責金額が適用されません。
そのため、自己負担額を抑えることができます。
迅速に修理を依頼できる
雨漏りは放置すると、建物の腐食やカビの発生など、二次被害につながる可能性があります。
しかし、火災保険を利用すれば、保険金が支払われるためすぐに修理業者に依頼できます。
火災保険の加入により、迅速な雨漏り修理が可能です。
精神的な負担を軽減できる
雨漏り修理は、原因調査、業者選定、修理費用支払いなど、多くの手続きが必要です。
火災保険を利用することで、これらの手続きを保険会社が代行してくれるため、精神的な負担を軽減できます。
また、高額な修理費用を心配する必要もなくなるでしょう。
火災保険で雨漏り修理を行うデメリット
火災保険で雨漏り修理を行うと、以下のようなデメリットがあります。
申請手続きが煩雑
火災保険は、申請手続きが煩雑になることがあります。
雨漏りの原因を証明する書類や修理費用の見積書など、多くの書類が必要です。
また、火災保険会社による調査が必要になる場合もあります。
保険金が支払われるまでに時間がかかる
火災保険金請求には、原因調査や書類審査などが必要なため、保険金が支払われるまでに時間がかかる場合があります。
特に、雨漏りの原因が複雑な場合や、必要書類が不足している場合は、さらに時間がかかる可能性があります。
火災保険金の請求には、以下の書類が必要です。
- 雨漏り発生状況報告書
- 雨漏り原因調査報告書
- 修理費用の見積書
- 修理業者の領収書
- 写真
- その他、火災保険会社が必要と判断した書類
これらの書類が不足していると、保険金請求が認められず、保険金が支払われない可能性があるため注意が必要です。
保険料が上がる可能性がある
火災保険金請求を行うと、翌年度以降の保険料が上がる可能性があります。
これは、保険会社が過去の保険金請求状況に基づいて、保険料を算定するためです。
雨漏り修理によって保険金請求を行うと、翌年度以降の保険料が上がる可能性があります。
火災保険で雨漏り修理を行う際の注意点
火災保険で雨漏り修理を行うためには、以下の点に注意する必要があります。
申請前に必ず保険会社に確認する
火災保険で雨漏り修理を行う前に、必ず加入している火災保険会社に連絡し、以下の内容を確認する必要があります。
- 雨漏りの原因が自然災害によるものであるかどうか
- 雨漏りの被害状況が補償対象となるかどうか
- 補償内容と免責金額
- 必要書類
火災保険は、風災、雹災、雪災などの自然災害による雨漏りしか補償しません。
そのため、雨漏りの原因が自然災害であることを証明することが必要です。
被害状況の証拠を提出できるように、雨漏りの被害状況を写真や動画で記録しておきましょう。
被害状況を記録することで、保険金請求手続きがスムーズに進みます。
保険タイプを確認する
火災保険のタイプを確認することも重要です。
火災保険のタイプは、「免責型」と「フランチャイズ型」の2種類があります。
免責型は、損害額から免責金額を差し引いた金額が補償され、フランチャイズ型は、損害額から自己負担額を差し引いた金額が補償されます。
保険料を抑えたい場合は免責型、確実に補償を受け取りたい場合はフランチャイズ型がおすすめです。
修理業者選びに注意する
火災保険で雨漏り修理を行う際には、修理業者選びに注意が必要です。
信頼できる修理業者を選ぶためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 資格を持っているか確認する
- 複数の業者から見積もりを取る
- 口コミや評判を調べる
- 契約内容をしっかりと確認する
- 不明点は遠慮なく質問する
もし、修理業者選びに迷ったら、加入している火災保険会社に相談するのもおすすめです。
火災保険会社は、信頼できる修理業者を紹介してくれる場合があります。
また、悪徳業者に騙されないための対策として、安易に契約せず、見積書の内容をしっかりと確認することが大切です。
高額な前払い金を要求された場合はしっかりと断り、おかしいと感じたら、すぐに火災保険会社や消費生活センターなどに相談しましょう。
書類をしっかりと準備する
請求に必要な書類を漏れなく準備することも重要です。
請求に必要な書類は、以下のとおりです。
- 保険金請求書
- 事故状況報告書・損害箇所の写真
- 修理費見積書
必要書類を漏れなく準備し、事前に分かりやすく整理しておきましょう。
申請期限を守る
火災保険で雨漏り修理を行う場合、被害発生から3年以内に申請する必要があります。
これは、保険法によって定められている期限です。
3年を過ぎると、たとえ自然災害による雨漏りであっても、保険金請求が認められなくなる可能性があります。
申請期限を守るために、雨漏りを見つけたら、すぐに原因調査を行うことが大切です。
原因調査の結果、自然災害による雨漏りであることが確認できたら、速やかに火災保険会社に連絡し、申請を行いましょう。
保険が適用されるまでは工事契約は結ばない
火災保険が適用されるまでは、工事契約を結んではいけません。
雨漏り修理の費用は高額になる場合もあり、早めに修理をしたいという気持ちはよく分かります。
しかし、火災保険が適用されるかどうかが確定する前に工事契約を結んでしまうと、保険が適用されない場合、全額自己負担になる可能性があります。
雨漏り発生時には、まずは加入している火災保険会社に連絡しましょう。
火災保険会社は、雨漏りの原因調査や修理業者の選定など、さまざまなサポートを提供してくれます。
防水工事での助成金や補助金について【屋根防水や屋上防水】
大規模修繕に関わらず屋根防水、屋上防水などは場合によって多くの資金が必要になります。
そんな時に活用できるのが助成金や補助金です。各地方自治体では修繕工事や外壁塗装などにおいて補助金などを用意している場合があります。
防水工事の場合リフォーム補助金や住宅改修工事における助成金などがあり、該当する場合には防水工事の補助金を受けることが可能です。
以下の内容が基本的な補助金申請時の条件です。
- 補助金申請できる地域に住んでいる
- 以前同じ補助金や助成金を受け取っていない
- 税金を滞納していない
- 省エネに関するものや耐震補強など、その地方自治体の目的にあった工事であること
詳しくはお住まいの各自治体のホームページ、または問い合わせをして確認してみましょう。
火災保険で雨漏り修理を行う際の申請手順ための流れ
火災保険において、保険金の請求から雨漏り修理までは、以下の流れで行われるのが一般的です。
ただし、保険会社によって異なるため、事前に問い合わせておきましょう。
- STEP
保険会社に連絡する
雨漏り発生時には、まず加入している火災保険会社へ連絡しましょう。
火災保険会社に連絡する内容は、雨漏り発生日時、雨漏り箇所、被害状況、雨漏りの原因と思われる状況です。
- STEP
必要書類を準備する
以下の必要書類を準備します。
- 雨漏り発生状況報告書
- 雨漏り原因調査報告書
- 修理費用の見積書
- 修理業者の領収書
- 写真
- その他、火災保険会社が必要と判断した書類
- STEP
保険会社による現場調査を受ける
火災保険会社から派遣された調査員が、雨漏りの原因を調査します。
調査内容は、雨漏り箇所の確認、雨漏りの原因調査、写真撮影などを行います。
- STEP
現場調査結果を受け取る・保険金の支払い
火災保険会社から派遣された調査員による現場調査の結果を受け取ります。
結果内容は、雨漏りの原因、火災保険の補償対象となるかどうか、補償金額などです。
現場調査結果に基づいて、保険金が支払われます。
- STEP
雨漏りの補修工事を行う
保険金の支払いが決定したら、雨漏りの補修工事を行います。
火災保険会社から保険金の支払いが決定したと連絡が来てから工事を行いましょう。
決定前に工事を着工してしまうと、保険金が支払われないことがあります。
- STEP
修理業者に修理を依頼する
修理業者は、火災保険会社から候補が提示されることもあります。
提示されない場合は、ご自身で修理業者を選ばなければなりません。
複数の業者から見積もりを取り、悪徳業者には注意が必要です。
- STEP
保険金請求を行う
火災保険会社へ火災保険金請求を行います。
火災保険会社が書類を審査し、問題がなければ保険金が支払われます。
火災保険と雨漏り修理についてのまとめ
ここまで、雨漏り修理の火災保険適用について解説してきました。
この記事の要点は、以下のとおりです。
- 火災保険が適用される雨漏りは自然災害によるもの
- 申請期限は雨漏り被害発生から3年以内
- 申請前に必ず保険会社に確認することが重要
- 火災保険のメリットは、修理費用を大幅に節約できる、迅速に修理を依頼できる
- 火災保険のデメリットは申請手続きが煩雑、保険金が支払われるまでに時間がかかる
- 関連情報として、火災保険金請求の手続きや火災保険の補償内容を紹介
雨漏り修理は高額になる場合が多いため、事前に火災保険の補償内容を確認しておくことが重要です。
また、悪徳業者にはくれぐれも注意しましょう。
万が一の雨漏りも、火災保険に加入していれば安心です。
この記事をきっかけに検討してみてはいかがでしょうか。