脱気筒とは?屋上の防水工事で必要なもの?仕組み・用途・価格などを解説 | 株式会社新東亜工業  

    コラム    

脱気筒とは?屋上の防水工事で必要なもの?仕組み・用途・価格などを解説

脱気筒とは?

脱気筒とは、防水層の下に溜まった水蒸気を外に出すための筒状の部品です。

屋上の下地コンクリートは、日常の雨や屋内の湿気・水分を含んでおり、昼夜の温暖差や太陽の熱により水蒸気を発します。

脱気筒は、この水蒸気を防水層の外へ排気することで、屋上の防水性を維持してくれるのです。

脱気筒の役割

脱気筒の役割は、防水層と下地の間に溜まった水蒸気を外へ排気させ、防水層の膨れを防ぐことです。

屋上やベランダなどの下地コンクリートは、雨や屋内の湿気によって水分を含んでいます。

昼夜の温度差や太陽熱によって、この水分が水蒸気となり、防水層と下地の間に溜まります。

水蒸気は液体よりも体積が大きいため、膨張して防水層を押し上げ、これが防水層の膨れの原因となるのです。

脱気筒を設置することで、防水層の膨れを防止し、防水層の寿命を延ばしてくれるでしょう。

さらに、雨漏りを防ぐことにもつながります。

脱気筒を使用する防水工事

脱気筒は、主にシート防水、ウレタン塗膜防水、FRP防水の工事で使用されます。

脱気筒は、防水層の膨れを防ぎ、防水性を維持するために重要な役割を果たします。

どの防水工法に脱気筒を使用するかは、建物の形状や予算などを考慮して決めましょう。

シート防水

シート防水は、防水シートを敷くことで雨水の侵入を防ぐ工法です。

シートには塩ビシートとゴムシートがあり、どちらも10年以上と長持ちする上に、費用も比較的安価なのが魅力です。

シート防水には、以下の2つの施工方法があります。

接着(密着)工法

接着剤でシートを下地に貼り付ける方法です。 

風に強いというメリットがありますが、下地の影響を受けやすく、下地が割れるとシートも破れてしまう可能性があります。

機械的固定工法

通気シートを挟み、ビスやディスクでシートを機械的に固定する方法です。

湿気や水分の通り道ができるので、シートの膨れを防ぎ、長持ちさせることができます。

シートの継ぎ目は、水分が浸透しやすい箇所です。

脱気筒は、シートの内部に溜まった水蒸気を外へ逃すために用いられます。

ウレタン塗膜防水

ウレタン塗膜防水は、液体状のウレタン樹脂を塗布して防水層を作る工法です。

ウレタン樹脂は、硬化するとゴムのような弾力性を持つ膜となり、高い防水性を発揮します。

また、施工費用も比較的安く、多くの防水工事で採用されています。

ウレタン塗膜防水は、職人が手塗りで施工するため、職人の技量によって仕上がりに差が出る工事です。

ウレタン塗膜防水の工法は、以下の2種類があります。

密着工法

ウレタン樹脂を下地に直接塗り、塗膜によって防水層を作る工法です。

複雑な形状にも対応し、継ぎ目がないため、雨漏りのリスクを大幅に軽減します。

通気緩衝工法

下地の上に通気緩衝シートを張り付け、その上からウレタン樹脂を塗る工法です。

下地と防水層の間にある通気緩衝シートが、水蒸気による防水層の膨れを抑えてくれます。

FRP防水

FRP防水は、FRP(繊維強化プラスチック)を用いた塗膜防水工法です。

ガラス繊維とポリエステル樹脂を組み合わせることで、強靭で軽量な防水層を形成します。

FRP防水は、継ぎ目がないシームレスな防水層を形成するため、高い防水性を誇ります。

従来の防水工法に比べて軽量で、建物の重さによる負担を軽減し、紫外線や風雨にも強いのがメリットです。

さらに、さまざまな色や模様に仕上げることができ、デザイン性も高く、数々の屋上に採用されています。

ただし、他の防水工法に比べて施工費用が高いのがデメリットです。

また、下地の状態によっては施工できない場合があり、施工には専門的な知識と技術が必要なため、施工業者選びが重要です。

脱気筒の種類

脱気筒の種類は、主にステンレス製、アルミ合金製、塩化ビニールの3種類です。

以下に、それぞれの特徴を紹介します。

ステンレス製

ステンレス製の脱気筒は、ステンレス鋼を素材とした脱気筒です。

ステンレス製の脱気筒には、以下のような特徴があります。

  • 高い耐久性:ステンレス製脱気筒は、錆や腐食に強く、長持ちします。
  • 耐熱性:ステンレス製脱気筒は、熱に強いので、直射日光が当たる場所にも設置できます。
  • 耐候性:ステンレス製脱気筒は、風雨に強いので、屋外でも安心して使用できます。
  • 軽量:ステンレス製脱気筒は、他の金属製脱気筒に比べて軽量です。
  • デザイン性:ステンレス製脱気筒は、光沢のある美しい仕上がりです。

ステンレス製は、脱気筒の中で最も多く使われており、さまざまな建物の屋上などに設置されています。

アルミ合金製

アルミ合金製脱気筒は、軽量で耐久性に優れています。

ただし、強度が弱いので、他の金属と融合させた合金製の脱気筒が多いです。

また、腐食を防ぐために、酸化皮膜をアルマイトで加工しているものが多いです。

アルミ合金製脱気筒は、以下のような特徴があります。

  • 軽量:アルミ合金製脱気筒は、ステンレス製や塩化ビニール製脱気筒に比べて軽量です。
  • 耐久性:アルミ合金製脱気筒は、腐食に強く、耐久性に優れています。
  • デザイン性:アルミ合金製脱気筒は、様々な色や形状に仕上げることができ、デザイン性も高いです。
  • 価格:アルミ合金製脱気筒は、ステンレス製脱気筒よりは安価ですが、塩化ビニール製脱気筒よりは高価です。

塩化ビニール製

塩化ビニール製脱気筒は、塩化ビニール樹脂を主原料として製造された脱気筒です。

塩化ビニール製脱気筒には、以下の特長があります。

  • 軽量:塩化ビニール製脱気筒は、ステンレス製やアルミ製脱気筒に比べて軽量です。そのため、施工が容易で、建物の負担も軽くなります。
  • 安価:塩化ビニール製脱気筒は、ステンレス製やアルミ製脱気筒に比べて安価です。
  • 耐食性:塩化ビニール製脱気筒は、酸やアルカリなどに強い耐食性を持ちます。
  • 耐水性:塩化ビニール製脱気筒は、水に強い耐水性を持ちます。
  • 加工性:塩化ビニール製脱気筒は、加工性に優れているため、様々な形状に加工できます。

脱気筒の設置基準

脱気筒は、やみくもにただ付ければ良いというものではありません。

防水層に溜まった水蒸気を外部へ逃がすために、以下のような、設置箇所、設置間隔、設置方法があります。

設置箇所

脱気筒は、水蒸気が溜まりやすい場所に設置します。

一般的に、屋上の中央や、勾配が最も高い場所に設置します。

また、日照時間が長いところが好ましいでしょう。

これは、水蒸気が上に昇っていく性質があるからです。

設置間隔

脱気筒の設置間隔は、防水層の種類や屋上の面積によって異なります。

一般的には、50~100㎡に1個程度設置するのが目安となるでしょう。

設置間隔については、施工業者に相談するのが一番です。

設置方法

脱気筒の設置方法は、以下のような手順で行います。

  1. 脱気筒を設置する箇所を定め、シートをカッターなどで切り取る
  2. 固定用のビス穴をドリルで開ける
  3. 脱気筒を設置し、専用のビスで固定する
  4. 脱気筒とシートの隙間をシーリング材で埋める
  5. メッシュテープで補強し、防水シール材で目止めする

防水層を傷つけないように、しっかりと固定することが重要です。

また、防水シートの場合は、防水テープを使用して固定することもあります。

脱気筒の費用相場

一般的な脱気筒の費用相場は、以下のとおりです。

脱気筒の種類費用相場
ステンレス製1万〜2万円
アルミ合金製5千〜1万円
塩化ビニール製3千〜5千円

設置費用は、1箇所あたり5千〜1万円ぐらいです。

上記はあくまでも目安であり、実際の費用は以下の要素によって異なります。

  • 脱気筒の種類:ステンレス製、アルミ製、塩化ビニール製など、脱気筒の種類によって費用は異なります。
  • 脱気筒の大きさ:脱気筒の大きさによって、費用は異なります。
  • 設置場所:屋上、ベランダ、バルコニーなど、設置場所によって費用は異なります。
  • 施工業者:施工業者によって、費用は異なります。

具体的な費用は、専門業者に相談しましょう。

また、複数の業者から相見積もりを取るのもおすすめです。

関連記事
LINE TEL MAIL