屋上防水のかぶせ工法とは?メリット・デメリットを解説 | 株式会社新東亜工業  

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屋上防水のかぶせ工法とは?メリット・デメリットを解説

雨漏りは、建物の構造や住環境を著しく損なう深刻な問題です。

特に、屋上は雨水に直接晒されるため、防水対策は必須となっています。

そこで注目されているのが、これまで使用していた防水層を撤去せずに新しい防水層を被せる「かぶせ工法」です。

この記事では、屋上防水のかぶせ工法について詳しく解説します。

メリット・デメリットだけでなく、改修工法の選び方や注意点まで網羅しています。

最適な屋上防水工法を選ぶための参考になれば幸いです。

かぶせ工法とは

かぶせ工法とは、従来の防水層を撤去せずに、その上から新しく防水層を形成する工法です。

下地の劣化が比較的軽微な場合に、かぶせ工法が用いられることが多いです。

これまで使用していた防水層を撤去しないため、工期が短く、費用も抑えることができます。

かぶせ工法は、工期や費用を抑えながら、屋上の防水性を向上させることができる有効な手段です。

かぶせ工法と撤去工法との違い

改修工事には、大きく分けて かぶせ工法撤去工法 という2種類の工法があります。

それぞれの工法は、特徴に以下のような違いがあります。

かぶせ工法撤去工法
工期短い
(1〜2日)
長い
(1〜2週間)
費用安価高価
重量重量が増加する重量が軽くなる
下地処理不要必要
騒音・振動少ない大きい
排水性悪くなる可能性がある適切な施工で問題ない
効果既存の防水層の状態による確実な防水性

かぶせ工法と撤去工法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。

それぞれの工法の特徴を比較して、屋上の状況や予算に合わせて最適な工法を選びましょう。

かぶせ工法のメリット

かぶせ工法は、従来の防水層を撤去せずに新しく防水層を形成する屋上防水の工法です。

従来の撤去工法と比較すると、以下のようなメリットがあります。

  • 工期が短いため、住民の負担が少ない
  • 費用が比較的安価で経済的
  • 騒音や振動が少ないため周囲への影響が少ない
  • 下地処理が不要なので手間と時間が省ける

工期が短いため、住民の負担が少ない

かぶせ工法は、工期が短く、住民の負担が少ないという大きなメリットがあります。

防水層を撤去する必要がないため、従来の防水工法に比べて工期が約3分の1に短縮できます。

工期が短縮されることで、住民が仮住まいする必要がありません。

また、短期間で完了するため、住民の負担が少なく済みます。

荷物の移動や、養生の手間が少ないのもメリットの1つです。

特に、小さい子供や高齢者がいる家庭や、仕事などで家を空けられない方には、かぶせ工法は大きなメリットとなります。

費用が比較的安価で経済的

屋上防水のかぶせ工法は、従来の防水工法と比べて費用が30%~50%程度安くなります。

これは、従来の防水層を撤去する必要がないため、撤去費用や廃棄費用がかからないことが理由です。

まず、かぶせ工法は防水層を撤去しないため、撤去費用がかかりません。

防水層を撤去する場合は、相場として1平方メートルあたり1,000〜2,000円かかります。

さらに、防水層を撤去して発生した廃棄物の廃棄費用もかかりません。

以上のことから、かぶせ工法は費用が比較的安価で経済的といえるでしょう。

騒音や振動が少ないため周囲への影響が少ない

かぶせ工法は、騒音や振動が少ないため、周囲への影響を最小限に抑えながら屋上防水工事が可能です。

従来の撤去工法では、重機を使用した撤去作業で大きな騒音や振動が発生するため、近隣住民への影響が懸念されていました。

しかし、かぶせ工法は重機を使用しないので、大きな騒音や振動は比較的少ないです。

かぶせ工法は、病院、学校、住宅密集地など、騒音や振動に敏感な場所での施工に適しています。

下地処理が不要なので手間と時間が省ける

​​撤去工法では、これまで使用していた防水層を撤去してから新しく防水層を形成するため、下地処理に多くの時間と手間がかかっていました。

しかし、かぶせ工法では、従来の防水層を撤去せずに新しく防水層を形成するため、下地処理が不要です。

撤去工法では、下地処理に数日かかる場合がありますが、かぶせ工法は下地処理が不要なため、工期の大幅な短縮が可能です。

また、下地処理には、人件費や材料費がかかります。

かぶせ工法では下地処理が不要なため、これらの費用を削減することができます。

かぶせ工法のデメリット

かぶせ工法は、下地処理が不要で、工期短縮、費用削減、環境負荷軽減、騒音抑制、防水層の状態を問わず施工できるというメリットがあります。

しかし、以下のようなデメリットもあります。

  • 防水層が二重になるため重量が増加する
  • 既存の防水層の状態が悪い場合効果が期待できない
  • 排水性が悪くなる可能性がある

防水層が二重になるため重量が増加する

かぶせ工法は、工期短縮や費用削減といったメリットがある一方で、防水層が二重になるため重量が増加するというデメリットがあります。

建物構造上、重量増加が問題となる場合は、かぶせ工法は適していない可能性があります。

重量増加を克服するためには、以下のような対策が有効です。

  • 軽量な防水材を使用する
  • 屋上全体ではなく、部分的にかぶせ工法を行って重量増加を抑える
  • 専門業者に相談し、建物の状況に合わせた最適な対策を提案してもらう。

既存の防水層の状態が悪い場合効果が期待できない

かぶせ工法は、従来の防水層の状態によっては、効果が期待できない場合があります。

具体的には、以下のような状態です。

  • 亀裂や穴が空いている場合
  • 剥がれている場合
  • 防水層の劣化が激しい場合

上記のような状態の場合、かぶせ工法ではなく、撤去工法を選択する必要があります。

撤去工法は、従来の防水層を完全に撤去してから、新たに防水層を形成する工法です。

かぶせ工法が適切かどうかは、専門業者に判断してもらうことが重要です。

排水性が悪くなる可能性がある

かぶせ工法は、既存の防水層を活かす工法ですが、排水性が悪くなる可能性があります。

原因としては、以下の3点が挙げられます。

  • 既存防水層の排水性の低下
  • 施工不良
  • 雨水溜まり

新規防水層の施工が不十分な場合、排水勾配が適切に取られなかったり、排水口が適切な位置に設置されなかったりして、排水性が悪くなる可能性があります。

また、雨水などが防水層の下に溜まってしまうと、漏水や防水層の劣化、屋上の腐食などの原因となります。

排水性を悪化させないためには、以下の対策が必要です。

  • 排水性の高い防水材を使用する
  • 適切な排水勾配を設ける
  • 適切な位置に排水口を設置する
  • 定期的なメンテナンス

かぶせ工法は、多くのメリットを持つ工法ですが、排水性には注意が必要です。

排水性を悪化させないためには、適切な対策を講じる必要があります。

専門業者に相談し、建物の状況に合った対策を検討しましょう。

改修工法の選び方

屋上防水の改修工法には、かぶせ工法と撤去工法という2つの選択肢があります。

実際にどちらを選ぶべきか迷った場合、以下のポイントを参考にしてください。

防水層の再利用が可能な場合はかぶせ工法

既存の防水層がまだ健全であれば、かぶせ工法は費用と時間を節約できる賢い選択です。

具体的には、以下の条件に合致する場合に適しています。

  • 比較的新しい防水層
  • 費用を抑えたい
  • 工期を短縮したい
  • 環境負荷を軽減したい

かぶせ工法を選択する前に、既存の防水層と新規の防水層の相性を事前に確認することが必要です。

相性が悪い場合、防水性能が低下する可能性があります。

また、一度かぶせ工法を施工すると、既存の防水層を撤去せずに再び施工することはできません。

防水層や下地の状態が悪い場合は撤去工法

防水層や下地の状態が悪い場合は、撤去工法が適切な選択肢です。

従来の防水層を完全に撤去し、新しく防水層を形成することで、確実な防水性を確保できます。

以下のような状況では、撤去工法を検討することをおすすめします。

  • 亀裂・穴・剥がれなど、防水層が劣化している場合
  • 下地に亀裂、陥没、浮きなどの問題がある場合
  • 排水性が悪い場合
  • 10年以上防水性を維持したい場合

撤去工法は、下地の状態を把握し、適切な補修を行うことができるため、長期的な防水性を確保できます。

撤去工法が適しているかどうかは、専門業者に相談するのがおすすめです。

専門業者は、建物の状況や予算などを考慮して、最適な工法を提案してくれます。

まとめ

この記事では、屋上防水の代表的な2つの工法である「かぶせ工法」と「撤去工法」を解説してきました。

それぞれのメリット・デメリット、比較ポイント、そして最適な工法の選び方など、要点は以下のとおりです。

  • 最適な工法は建物の状況、予算、求める防水性によって異なる
  • かぶせ工法のメリット:工期短縮、費用削減、騒音・振動抑制、下地処理不要、環境負荷低減
  • かぶせ工法のデメリット:重量増加、既存防水層の状態が悪い場合効果なし、排水性悪化の可能性
  • かぶせ工法が適している場合:防水層の再利用が可能
  • 工期、費用、騒音・振動、下地処理、重量などを比較検討
  • 専門業者に相談し、最適な工法を選択

かぶせ工法のメリット・デメリットを理解し、建物の状況、予算、求める防水性に合致した工法を選びましょう。

専門業者に相談し、確実な防水対策を実現してください。

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