2024.02.27
コーキングとシーリングの違いは?役割と種類、劣化症状、費用相場など解説
雨漏りや隙間風を防ぎ、建物の耐久性を高めるために欠かせない「コーキング」と「シーリング」。
しかし、その違いを明確に理解している人は少ないのではないでしょうか?
この記事では、コーキングとシーリングの役割、種類、劣化症状、メンテナンス方法などを分かりやすく解説します。
建物の長持ちと快適な住環境を守るために、ぜひ参考にしてください。
コーキングとは?
コーキングとは、建築物の外壁や窓枠などの隙間にコーキング材と呼ばれる充填材を注入し、防水性・気密性を高める作業です。
コーキングは、建物の防水・気密性を高め、長持ちと快適な住環境を守るために重要です。
コーキングの役割
コーキングの主な役割は、以下のものが挙げられます。
- 防水性を高める:雨水の浸入を防ぐ、雨漏りを抑制する、外壁材の劣化を防ぐ、建物の耐久性を向上させる
- 気密性を高める:外気による隙間風を防ぐ、室内の温度・湿度を快適に保つ、騒音やホコリの侵入を防ぎ、住環境を快適にする
- その他:外壁材や窓枠の動きを吸収し、破損を防ぐ、建物の美観を保つ
具体的には、外壁のサイディング材の隙間、窓枠と壁の隙間、浴槽と壁の隙間、サッシ周りの隙間に使用されるものです。
建材の固定や、衝突を防ぐためのクッション代わりとしての役割もあります。
コーキング材の種類
コーキング材には、以下の種類があります。
- シリコーン系コーキング材
- 変成シリコーン系コーキング材
- ウレタン系コーキング材
- 油性コーキング材
- アクリル系コーキング材
分類できる方法は、1成分形、2成分形のどちらか、どのように硬化するかです。
さらに、空気中の水分と反応したり、乾燥によって硬化する方法などでも分類されます。
コーキング材は、種類によって硬化する過程や性質が異なるため、用途や目的に合ったものを選ぶことが重要です。
コーキングの劣化症状
コーキングの劣化は、紫外線、変形、施工不良が原因で起こる可能性があります。
主な劣化症状は、以下のとおりです。
- 黒く汚れている(ブリード現象)
- コーキングの痩せ
- 目地からの剥離
- ひび割れ
- 亀裂
コーキングが黒く汚れているように見えるのは、可塑剤と塗料の相性が悪い場合に可塑剤が浮き上がるからです。
コーキングの寿命は、大体5年〜10年とされています。
これらの症状が現れた場合は、早めに補修を行う必要があります。
放置すると、建物の劣化や住環境の悪化につながる可能性が高いです。
シーリングとは?
シーリングとは、建物の外壁や窓枠など、隙間ができやすい箇所にシーリング材と呼ばれる充填材を注入し、ひび割れや隙間を埋めて防水性・気密性を高める作業のことを指します。
コーキングと混同することもありますが、建築業界的に明確な違いはないようです。
ただし、シーリングは建物の外側での作業を指している場合が多く、コーキングは建物内での作業を指している場合が多いようです。
シーリングの役割
シーリングは、コーキング同様、建物の防水性、気密性を高めてくれる役割があります。
特に、建物の外壁に使用されるサイディング材のひび割れを補修する際に、シーリングが用いられます。
また、建材を固定させることも、シーリングの役割です。
シーリングの種類
シーリングの種類は、以下のとおりです。
- シリコーン系シーリング材
- 変成シリコーン系シーリング材
- ポリウレタン系シーリング材
- アクリル系シーリング材
シーリングの種類は、コーキングと同様に構1成分形か2成分形かによって分類されます。
1成分形は専用のガンに充填して使い、2成分形は基材と硬化材を混ぜて使います。
また、どのように硬化するかについても、分類される方法の1つです。
シーリングの劣化症状
シーリングは、経年劣化や施工不良によって以下の症状が現れることがあります。
- ひび割れ
- 目地からの剥離
- 黒ずみ
これらの症状が現れた場合は、早めに補修が必要です。
シーリングの寿命は、約5〜10年とされています。
目視で何らかの劣化が見つかったら、施工業者に連絡しましょう。
コーキングとシーリングの違い
シーリングとコーキングは、基本的に同じ意味で使われます。
元々、シーリング作業で使われたのが、油性コーキングだったことから、「シーリング」を「コーキング」と呼ぶ方もいるようです。
厳密には、シーリングは建物の外側、外壁の目地に使われ、コーキングは建物の内側、窓枠・サッシに使われることで呼び方が変わっています。
コーキングとシーリングは、ともに防水性・気密性を高めて建物の劣化を防ぎ、住環境を快適なものにしてくれる重要な役割があります。
コーキングとシーリングの費用相場
コーキングとシーリングには、打ち替え、増し打ちと2種類の工法があります。
劣化症状が軽微なものであれば、増し打ちで対応できますが、劣化がひどい場合は打ち替えが必要です。
増し打ちは、既存のシーリングの上から充填し、打ち替えは、古いシーリングを撤去して新たに打ち直します。
各工法の費用相場は、以下のとおりです。
工法の種類 | 費用相場 |
打ち替え | 約800〜1,200円/m |
増し打ち | 約500〜900円/m |
打ち替えの場合、古いコーキングを撤去する必要があるため、別途費用がかかります。
また、高所での作業となる場合は、足場の設置、解体費用がかかります。
足場の設置、撤去費用の相場は、約15万〜20万円です。
一般的な住宅でコーキングを行った場合、仮に180メートルの長さを施工したとします。
打ち替えでは約30万〜45万円、増し打ちでは約25万〜35万円かかると想定しておくとよいでしょう。
詳細な金額は、施工業者から見積もりを取って確認しましょう。
適切な方法を選ぶポイント
コーキング、シーリングは、建物の防水性・気密性を高め、劣化を防ぐために重要な役割を果たします。
適切な方法を選ぶためには、以下のポイントを考慮する必要があります。
建物の素材
コーキング、シーリング方法は、建物の素材によって異なります。
代表的な建物の素材と適切なシーリング方法を、以下にまとめました。
建物の素材 | シーリング方法 |
木造 | 充填シーリング:弾力性のあるシーリング材を使用 コーキングガン:打ち替え・増し打ち |
モルタル・コンクリート | 打ち込みシーリング:硬化性の高いシーリング材を使用 コーキングガン:増し打ちシーリングガン:打ち替え |
サイディング | 目地シーリング:サイディングボードの目地に注入 コーキングガン:打ち替え・増し打ち |
タイル | 目地材 |
ガラス | シーリング材 |
このように、シーリング材は、建物の素材や目地の幅に合ったものを選ぶことが重要です。
施工場所
コーキング、シーリングの適切な方法を選ぶためには、施工場所を考慮する必要があります。
施工場所が外壁の場合、風雨に晒されるため、耐候性の高い材料を使用することが必要です。
窓枠・サッシは、動きのある箇所であるため、弾力性の高い材料を使用する必要があります。
屋内の場合は、外壁や窓枠・サッシほど厳しい条件ではないため、比較的安価な材料を使用できます。
また、目地の幅が太い場合は、打ち替えが必要です。
細い目地の場合は、増し打ちで対応できます。
予算
コーキング、シーリングの施工は、費用面も考慮に入れた方がよいでしょう。
増し打ちよりも打ち替えの方が、古いシーリングを撤去する分、費用は高くなります。
適正な費用で施工するためには、複数の業者から見積もりを取ることが重要です。
また、費用だけでなく、施工実績や保証内容もしっかり確認しましょう。
まとめ
ここまで、コーキングとシーリングの違いについて解説してきました。
この記事の要点は、以下のとおりです。
- コーキングとシーリングは、基本的に同じ意味で使われる
- 厳密には、シーリングが建物の外側、コーキングは建物の内側と区別される
- 実際には、外壁はシーリング、窓枠・サッシはコーキング のように使い分けられることが多い
- 役割と材料は同じ
- 費用相場は、工法や使用する材料、施工箇所によって異なる
適切な方法を選ぶには、施工箇所、劣化状況、費用、見た目、耐久性、保証などを考慮する必要があります。
また、業者選びは、複数の業者から見積もりを取り、費用だけでなく、施工実績や保証内容も確認することが重要です。
ご自宅の外壁などで劣化症状が見えたら、早急に業者に連絡して対応してもらいましょう。