防水工事の下地処理とは?重要性や作業内容を解説 | 株式会社新東亜工業  

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防水工事の下地処理とは?重要性や作業内容を解説

防水工事では、防水層を形成する前に「下地処理」と呼ばれる作業を行います。

そんな下地処理ですが、「どのような作業なの?」「なぜ必要なの?」などと疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

今回は、防水工事の下地処理について、目的や重要性、作業内容などを徹底解説していきます。

下地処理について知りたい方や、防水工事を検討している方はぜひ参考にしてみてくださいね。

下地処理の目的

防水工事の前に行う下地処理には、下地の上に施工する防水層を長持ちさせる目的があります。

下地処理によって下地を整えてから防水層を形成することで、下地と防水層がしっかりと接着してくれるため、長期間防水機能を維持することができます。

下地処理自体は直接的に防水機能を得られる作業ではありませんが、防水層を長持ちさせるためにも絶対に必要な作業なのです。

下地処理が不十分だとどうなる?

「下地処理は本当に必要なの?」「下地処理を省けば費用の節約になるのでは?」などと考える方もいるのではないでしょうか。

もし防水工事の際に下地処理を行わなかったり、作業が不十分だったりすれば、下地と防水層がうまく密着せずに早い段階で不具合が生じてしまうでしょう。

例えば、耐用年数よりもずっと早く防水層に剥がれ・浮き・ひび割れなどの劣化症状が現れたり、防水層の上に水たまりやコケ・雑草などが発生したりなど、早い段階で防水層が劣化してしまうリスクが考えられます。

また、下地処理を行わない場合は下地に汚れや凹凸などが残った状態のまま防水層を形成することになります。

そうすると、下地処理なしで形成した防水層は本来の十分な防水性能が発揮できず、はじめから防水機能が低い状態になってしまうのです。

このように、下地処理を怠ると防水層にさまざまな悪影響を及ぼします。

すぐに補修や再工事が必要になったり、雨漏りが発生して建物全体にダメージを与えてしまったりと、大きなトラブルへの発展が予想されます。

防水性能を十分に発揮して長く正常に保つためにも、下地処理は防水工事にとって重要な作業です。

下地処理の作業内容

防水工事における下地処理の重要性がわかったところで、作業内容について詳しく説明します。

それぞれの工程ごとの作業内容を紹介するので、チェックしてみてください。

高圧洗浄

まずは、高圧洗浄機を使用して施工面の清掃を行います。

施工面には、砂やほこり、コケやカビなどのさまざまなものが付着しています。

なかなか取れない頑固な汚れも多いので、高圧洗浄機で丁寧にしっかりと清掃することが重要です。

既存防水層の撤去

防水工事は、大きくわけて以下の2種類の工法で行われます。

  • かぶせ工法
  • 撤去工法

かぶせ工法は、既存防水層を撤去せずに上から重ねて新規防水層を形成する工法です。

撤去工法は、既存防水層を全面撤去してから新規防水層を形成する工法です。

既存防水層の劣化が激しい場合は全面撤去してから新規防水層を形成する撤去工法を行うことになるため、この工程で既存防水層の撤去を行います。

かぶせ工法は、既存防水層の撤去を行わないため廃材が出ないことから、環境に優しいと近年主流になっている工法です。

既存防水層の劣化が軽微であれば、かぶせ工法で補修を行うことができるため、既存防水層の撤去は行いません。

ケレン

ケレンとは、塗膜や汚れなどを落として下地を整えていく作業です。

また、防水層と下地の密着性を高める役割のある「目粗し」もこの工程で行います。

目粗しとは、スクレーパーなどの道具を使用して、施工面にあえて細かい傷をつける作業のことです。

目粗しを行い下地と防水層との密着性が高めることが、防水層を長持ちさせることにつながります。

ケレンは、表面の仕上がりをきれいに保ったり、防水層の耐久性を高めるために必要な作業です。

目地処理

目地には、温度変化による伸縮が起きた際にクッションとなり、コンクリートやモルタル同士がぶつかって損傷することを防ぐ役割があります。

防水工事を行う際には、古い目地は一度撤去してから施工します。

古い目地をそのままにして防水工事を施工すると、経年劣化によってひび割れが生じて雨漏りの原因となってしまうでしょう。

古い目地を撤去したらしっかりと清掃を行い、新しいシーリングを充填して目地処理は完了です。

ひび割れ(クラック)補修

髪の毛のような軽微なひび割れはヘアクラックと呼び、大きな問題はありません。

一方で、0.3mm以上のひび割れは補修が必要となります。

ひび割れは、放置してしまうと防水層まで影響して亀裂を生じさせるため、雨漏りの直接的な原因となってしまうからです。

クラックの補修は、クラック周辺をV字やU字の形にカットし、コーキング材を充填することで行います。

クラック周辺をはじめにカットすることによって、コーキング材が奥まで入り込みやすくする効果があります。

ノロ引き

セメント・樹脂・水を混ぜ合わせて作った材料のことを、樹脂ノロといいます。

この樹脂ノロを下地に塗布する作業が、ノロ引きです。

下地の劣化が激しい場合には、下地を整える目的でノロ引きを行います。

また、既存防水層と新規防水層の相性によってノロ引きが必要となるケースもあるでしょう。

下地の状態によっては、樹脂ノロと硅砂を混ぜて作る樹脂モルタルという材料を使用することもあります。

ドレン(排水溝)廻りの補修

ドレン廻りは、不具合が起きやすいといわれている部分です。

劣化があると雨漏りに直結してしまう部分でもあるので、不具合がある場合は補修を行いましょう。

ドレン廻りの既存防水層は、防水モルタルや防水材などを使用して平らに調整します。

劣化が激しい場合は、改修用ドレンの設置を行います。

改修用ドレンを既存ドレンの上からかぶせるように施工することで、ドレン廻りの補修が可能です。

まとめ

今回は、防水工事の下地処理について紹介しました。

  • 下地処理は、下地と防水層の密着性を上げる役割がある
  • 下地処理を行うことで、防水層がより長持ちする
  • 下地処理が不十分だと、早い段階で防水層が劣化するリスクが高い

下地処理は直接的に防水機能が得られる工事ではありませんが、防水工事にとっては欠かせない作業です。

しっかりと下地処理を行うことで、防水性能を高く発揮し、効果を維持することができます。

今回の記事が、下地処理について気になっている方の参考となれば幸いです。

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