コラム    

伸縮目地がある屋上の防水工事の注意点は?役割や必要性・処理方法を解説

屋上防水工事には様々な工法があり、現況に適したもの、適さないものがあります。

例えば、伸縮目地がある場合は、当然それに適した防水工事を選択しなければなりません。

誤った工法を選択してしまうと、すぐに防水層が不具合を起こしてしまうため注意が必要です。

そこで今回は、伸縮目地がある屋上の防水工事について、注意点や処理方法、目地の役割まで詳しく解説します。

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伸縮目地とは?その役割と必要性

伸縮目地(しんしゅくめじ)とは、建物の構造体や仕上げ面にあらかじめ設けられる“すき間”のような部分で、主に温度変化や構造の動きに対応するための緩衝帯としての役割を果たします。
特に、屋上のような広い面積を持つ部位では、気温差や荷重の変化によってわずかながら建物が膨張・収縮を繰り返しており、その動きを吸収するのがこの伸縮目地です。

なぜ伸縮目地が必要なのか?

建物は一見“動かない”ように見えても、実際には日々さまざまな力を受けています。たとえば:

  • 夏と冬での温度差による膨張と収縮
  • 地震や風圧、交通振動などによる微細な揺れ
  • 躯体そのものの乾燥収縮・クリープ現象

これらの変化が積み重なると、屋上の防水層や仕上げ材にひび割れや浮き、剥がれといった劣化が発生する原因になります。

伸縮目地は、こうした構造の動きを目地部分で受け止めることで、建物全体に負担をかけず劣化を抑えるという重要な役割を担っています。

屋上における伸縮目地の特徴

屋上は外気にさらされているため、気温差・直射日光・雨風などの影響を最も受けやすい部位です。そのため、伸縮目地の設置と適切な処理は、以下のような目的で行われます:

  • 防水層のひび割れや破断の予防
  • 防水材の膨れ・浮きの抑制
  • 雨漏りリスクの軽減
  • 躯体クラックの誘発防止

また、建物の形状や構造に応じて、一定間隔で目地を配置する設計が一般的です。

伸縮目地の劣化サインと点検方法

伸縮目地は、建物の揺れや温度変化による伸縮・歪みに対応して建物を保護する役割を持つ重要なパーツです。特に屋上防水においては、伸縮目地の機能が低下すると防水層の破断や漏水の原因にもつながるため、定期的な点検と適切な補修が不可欠です。

ここでは、伸縮目地の主な劣化サインと、点検のポイントをわかりやすく解説します。

1. 劣化の主なサイン

以下のような症状が見られる場合、伸縮目地の劣化が進んでいる可能性があります:

  • 目地材(シーリング)のひび割れ
     → 紫外線や雨風によって硬化・乾燥し、割れている状態。
  • 目地材の肉やせ・痩せ細り
     → 長期間の経過により、目地の厚みが薄くなり機能が低下。
  • 剥がれ・接着不良
     → 目地材が端部から建物表面から浮いている、剥がれている。
  • 変色・黒ずみ・カビの発生
     → 長期間の水分滞留や素材の劣化により、目に見える汚れが発生。
  • 周辺コンクリートや防水層のクラック
     → 伸縮目地が動きに追従できず、隣接部材にひび割れが発生。

2. 点検のタイミングと方法

点検のタイミング

  • 築10年前後または前回の補修から10年が目安
  • 雨漏りや外壁クラックが発生した場合は、同時に点検を推奨

点検方法(セルフ or 専門業者)

点検項目チェックポイント実施者
目視点検ヒビ・痩せ・剥がれの有無居住者でも可能
接着状況端部を軽く押して浮きや剥がれを確認居住者/業者
打診検査裏面の浮き・空洞確認専門業者
防水層との密着性防水層と目地の接合部の切れ・隙間専門業者

💡 屋上など高所は危険を伴うため、無理な自己点検は避け、可能な範囲での目視確認にとどめるか、専門業者への依頼を検討しましょう。

3. 劣化が見つかった場合の対応

劣化症状を発見した際は、放置せずに早期の補修が大切です。
伸縮目地の補修には以下のような対応が一般的です:

  • 目地材の再充填(打ち替え・増し打ち)
  • 目地部防水層の再施工(防水補強)
  • 破損が進んでいる場合は、目地ごとの取り替え

伸縮目地は目立たない部分ですが、劣化を見逃すと重大な構造トラブルに発展しかねません。定期的な点検と適切な補修により、建物全体の防水性能を維持し、長寿命化を実現することができます。

伸縮目地がある屋上の防水工事の注意点

伸縮目地がある屋上では、通常の防水工事とは異なる注意点や施工上の配慮が必要です。
なぜなら、伸縮目地は建物の動きに追従するために設けられており、防水層にも柔軟性と追従性が求められるからです。

防水層にひび割れを起こさせないための処理

伸縮目地の上に通常の防水材をそのまま塗布すると、目地の動きに防水層が追従できず、ひび割れや破断が発生するおそれがあります。
こうしたトラブルを防ぐには:

  • 目地部分の補強クロス貼り
  • シーリング材の充填による緩衝機能の確保
  • 防水層の段差を極力なくす施工法

など、目地の動きに対応できる処理が欠かせません。

目地材の交換や下地処理の重要性

経年劣化した既存の目地材(バックアップ材やシーリング材)は、柔軟性を失って動きに追従できない状態になっていることがあります。
そのため防水工事の前には、

  • 目地材の撤去と交換
  • 下地コンクリートの清掃・目荒らし
  • プライマー処理などの下地調整

を適切に行う必要があります。

足場・作業計画にも配慮を

伸縮目地は屋上面をまたいで連続して配置されているため、防水処理には連続性のある施工計画が求められます。
また、立上りや入隅部に目地がかかっている場合、詳細納まりの確認・施工手順の整理が重要です。

伸縮目地の具体的な処理方法

伸縮目地の防水処理は、建物の動きに対応しながら防水性能を確保するための重要な工程です。
特に屋上防水工事では、防水層の割れや剥離を防ぐために、目地部分の処理を丁寧に行う必要があります。

ここでは、一般的な伸縮目地の処理方法を4つのステップに分けて解説します。

ステップ1:既存目地材の撤去と下地調整

まず、既存の目地に古いシーリング材やバックアップ材が使用されている場合、それらをすべて撤去します。
長年の使用で劣化・硬化した目地材は動きに追従できず、防水層に悪影響を与えるためです。

撤去後は、以下の処理を行います:

  • コンクリートの清掃・目荒らし
  • 必要に応じてプライマーを塗布
  • 目地幅や深さを整え、均一な下地を作る

ステップ2:バックアップ材の挿入

目地の深さに応じて、適切な径のバックアップ材(発泡ポリエチレン製など)を挿入します。
これにより、後に充填するシーリング材の三面接着を防ぎ、正しい動きを確保
できます。

バックアップ材は、目地幅に対して20〜30%ほど太めのものを選び、適切に圧入することがポイントです。

ステップ3:シーリング材の充填と仕上げ

目地に沿ってプライマーを塗布した後、高耐候・高伸縮性のシーリング材を均一に充填します。
よく使われる材料には、変成シリコン系やポリウレタン系などがあります。

充填後は、ヘラで目地の形状を整える(ヘラ押さえ)ことで密着性を高め、仕上がりの精度を向上させます。

ステップ4:補強クロスの貼り付けと防水層の塗布

シーリング材の上から補強クロス(ガラスメッシュやポリエステル不織布など)を貼り、
その上から防水材(ウレタン樹脂など)を塗布して目地を包み込むように施工
します。

この処理により、目地部分にかかる動きが分散され、防水層の割れや断裂を防ぐ効果があります。

伸縮目地処理のポイント

工程ポイント
撤去古い目地材は必ず取り除く
下地調整清掃と目地寸法の確保が重要
材料選定弾力性と耐久性のある材料を選ぶ
クロス補強目地部分の動きに備えた層構成をつくる

このように、伸縮目地の処理には複数の工程と材料選定、正確な施工技術が求められます。
適切な処理を行うことで、防水層の寿命を延ばし、建物の耐久性を確保することができます。

伸縮目地がある屋上に適した防水工法

伸縮目地がある屋上には、「柔軟性」「追従性」「断裂に対する強さ」がある防水工法を選ぶことが重要です。
ここでは、実際に多く採用されている代表的な防水工法を紹介します。

ウレタン防水(通気緩衝工法)

もっとも一般的に用いられる防水工法のひとつで、伸縮目地がある場合にも対応可能です。

特徴:

  • 下地の動きに追従しやすい「柔軟性」の高い塗膜を形成
  • 通気緩衝シートで下地の水分や空気を逃し、膨れを防止
  • 下地が複雑でも施工しやすい

施工時のポイント:

  • 伸縮目地部には補強クロスを貼り、層厚を確保する
  • 目地には新しいシーリング材とプライマー処理を行う

塩ビシート防水(機械的固定工法)

伸縮目地をまたいでもシート自体が動きに対応できるため、構造の動きが多い建物に適しています。

特徴:

  • 下地の影響を受けにくい「浮かし工法」
  • 防水層が一体的に連続し、伸縮目地を跨いで処理しやすい
  • 工場製品のため、防水層の品質が安定しやすい

注意点:

  • 結露や風圧の影響を受けやすいため、固定ディスクの位置計画や端部処理が重要

その他の選定基準

  • 施工箇所の勾配や既存仕上げ材の状況
  • 屋上使用の有無(歩行可能/不可)
  • 将来的なメンテナンス性

これらを踏まえて、現場ごとの条件に最適な工法を選定することが防水性能の維持に直結します。

伸縮目地がある屋上にやってはいけない防水工事

伸縮目地がある屋上でやってはいけない防水工法は「密着工法」です。

密着工法とは、下地と防水層を密着させる工法です。

密着工法で施工する防水工事には、

  • ウレタン防水
  • 塩ビシート防水
  • FRP防水

があります。

伸縮目地の役割の一つは、コンクリートの動きを吸収することです。

伸縮目地の上に密着工法で防水層を形成してしまうと、伸縮目地の働きが防水層によって阻害されるため、新しい防水層にひび割れが生じます。また、下地のコンクリートが割れたりすることもあります。

したがって、密着工法による防水工事は避け、ウレタン防水の場合は通気緩衝工法、シート防水の場合は機械固定工法で防水工事を行いましょう。

FRP防水の工法は密着工法のみなので、伸縮目地がある屋上はFRP防水以外の防水工事を選びましょう。

防水工事での助成金や補助金について【屋根防水や屋上防水】

大規模修繕に関わらず屋根防水、屋上防水などは場合によって多くの資金が必要になります。

そんな時に活用できるのが助成金や補助金です。各地方自治体では修繕工事や外壁塗装などにおいて補助金などを用意している場合があります。

防水工事の場合リフォーム補助金や住宅改修工事における助成金などがあり、該当する場合には防水工事の補助金を受けることが可能です。

以下の内容が基本的な補助金申請時の条件です。

  • 補助金申請できる地域に住んでいる
  • 以前同じ補助金や助成金を受け取っていない
  • 税金を滞納していない
  • 省エネに関するものや耐震補強など、その地方自治体の目的にあった工事であること

詳しくはお住まいの各自治体のホームページ、または問い合わせをして確認してみましょう。

防水工事に関してのよくある質問を紹介

ここでは防水工事に関してよくある質問を紹介していきます。

Q

防水工事前に何か準備は必要ですか?

A

防水工事前には、施工箇所の周りを整理し、私物や家具などは移動が必要になります。また、工事中の騒音や振動について、事前に確認しておきその時間帯の過ごし方などを決めておくとスムーズに対応できます。

Q

防水工事を行う周期はどのくらいですか?

A

一般的に、防水工事は10年から15年ごとに行うのが目安です。定期的な点検を行い、劣化が見られる場合は早めに工事を実施すると、建物の寿命を延ばすことができます。

Q

雨天時も防水工事は行いますか?

A

防水工事は晴天時に行うのが基本です。雨天時に施工すると、乾燥が不十分になり、防水効果が落ちることがあります。そのため、天気を見ながらスケジュールを調整し、品質を確保します。

Q

防水工事中に臭いがすることはありますか?

A

防水工事では、使用する材料によって臭いが発生することがあります。特に溶剤系の材料を使うと匂いが強くなることがあります。臭いについて気になる場合はご相談の上、水性材料を選べば臭いは抑えられます。工事中は換気をしっかり行い、匂いがこもらないようにしましょう。

伸縮目地がある屋上の防水工事まとめ

伸縮目地がある屋上の防水工事について解説してきました。

まとめると、

  • 伸縮目地とは建物の動きを吸収する
  • 伸縮目地のある屋上に適した防水工事がある
  • ウレタン防水通気緩衝工法と塩ビシート防水機械固定工法が有効

伸縮目地のある屋上を防水する場合、伸縮目地の動きに追従できる工法を選ぶことが大切です。

伸縮目地のある屋上防水を検討している方は、施工実績があり、丁寧な点検のうえ施工を提案してくれる業者に相談をしましょう。

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