水勾配の重要性とは?雨漏り被害を防ぐために知っておきたいポイント | 株式会社新東亜工業  

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水勾配の重要性とは?雨漏り被害を防ぐために知っておきたいポイント

雨漏りは、住まいの快適性を損なうだけでなく、建物の構造を劣化させ、深刻な被害をもたらす可能性があります。

雨漏りを防ぐためには、屋根や外壁の防水対策はもちろん、水勾配に関するの理解も重要です。

この記事では、水勾配の重要性について詳しく解説します。

雨漏り被害を防ぐためには、水勾配の重要性を理解し、適切な対策が必要です。

この記事を参考にして、雨漏りに備えましょう。

水勾配とは?

水勾配(みずこうばい)とは、雨水や汚水などの排水を目的とした、水平よりわずかに傾斜させた勾配のことです。

水を流し去る目的で、ベランダやコンクリートの地面、排水管など、さまざまな場所に設けられています。

水勾配は、雨水をスムーズに排水し、水たまりを防ぐ、湿気やカビの発生を抑える、建物の構造を保護するなど、重要な役割があります。

ベランダ・陸屋根における水勾配の重要性

雨漏りやカビの発生を防ぎ、快適な住空間を維持するために、ベランダや陸屋根における水勾配は非常に重要です。

水勾配が不足していると、雨水が一箇所に溜まり続けて水たまりが発生します。

水たまりは滑りやすく、転倒する危険性もあるため、水勾配を設けて安全性を向上させる役割があるのです。

また、水たまりは、カビやコケの発生原因となるだけでなく、建物の構造を劣化させる可能性もあります。

さらに、水がスムーズに流れることで、ベランダや陸屋根の美観を維持できるでしょう。

水勾配の種類

水勾配は、排水目的や場所に合わせてさまざまな種類があります。

水勾配を考える上で、まず理解しておきたいのが「水上」と「水下」の存在です。

  • 水上:床のレベルが最も高い場所、雨水が最初に流れ出す場所
  • 水下:床のレベルが最も低い場所、排水溝がある場所

つまり、水は水上から水下へ流れるように勾配を設ける必要があります。

水勾配には、順勾配、逆勾配、無勾配の3種類があります。

それぞれのメリットとデメリットを理解し、目的に合った水勾配を選択することが重要です。

順勾配

順勾配とは、水の流れ方向と勾配の方向が一致する水勾配のことで、最も一般的な水勾配です。

水の流れをスムーズにして、排水効率を高める役割があります。

施工が比較的容易で、コストが安いうえに排水能力が高い点がメリットです。

ただし、水圧が高くなりやすく、排水管の詰まりが発生しやすいというデメリットもあります。

逆勾配

逆勾配とは、本来水の流れとは逆方向に傾斜している状態のことです。

雨水貯留などのため、意図的に設けられる場合もありますが、排水不良や水たまりなどの問題を引き起こす可能性があります。

水勾配と逆勾配は、役割と意味が全く異なるので、混同しないように注意が必要です。

無勾配

無勾配とは、水平に排水する方法です。

施工が簡単で、コストがほとんどかかりません。

ただし、排水される速度が遅く、水たまりが発生しやすいというデメリットがあります。

勾配を設ける場合、排水量や目的に合った方法を選択することが大切です。

水勾配の適切な角度

水勾配の適切な角度は、場所や目的によって異なります。

水勾配が不足していると水たまりが発生し、水勾配が過度になると、排水速度が速くなりすぎて土砂の流出や排水管の詰まりなどの問題を引き起こす場合があります。

適切な角度を設定することで、水たまりや排水不良を防ぎましょう。

種類別・部位別の目安

水勾配の角度は、場所や用途によって異なりますが、一般的には順勾配で1~3%程度、逆勾配で0.5%以下とされています。

順勾配は排水溝に向かって水が流れるため排水効率が良く、逆勾配はその逆で排水効率が悪く水たまりが発生しやすいです。

陸屋根

陸屋根における水勾配の適切な角度は、1~2%とされています。

これは、雨水をスムーズに排水しつつ、施工や維持管理が容易な範囲です。

バルコニー・ベランダ

バルコニーやベランダの適切な水勾配は、2~3%とされていますが、これはあくまでも目安です。

排水口が複数ある場合は、各排水口に向かって水が流れるように、複数の勾配をつける必要があります。

排水口が1つしかない場合、排水口を中心に向かって水が流れるように、放射状に勾配をつけることが重要です。

また、バルコニー・ベランダの形状によって勾配のつけ方も変わってきます。

バルコニー・ベランダの形状が長方形の場合、長辺方向に勾配をつけるのが一般的です。

正方形の場合は、2つの対角線方向に勾配をつけましょう。

水勾配を付けないと起こるトラブル

水勾配を付けないと、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。

新築やリフォームの際には、必ず適切な水勾配を設けるようにしましょう。

水たまり

水たまりは、雨水や雑水が溜まってしまった場合に起こるトラブルです。

水たまりは、夏場になると蚊の発生源となり、悪臭が発生します。

また、床材の腐食や劣化を促進し、滑って転倒する危険性もあります。

冬場などは、水たまりが凍結し、床材や排水管を破損するトラブルも起こりうることです。

歩行時には滑りやすくなり、転倒による怪我のリスクが高まります。

排水不良

水勾配をつけないことで、排水不良を起こす可能性もあります。

排水不良は、水たまりができたり、湿気が溜まりやすくなるので、さまざまなトラブルを引き起こします。

特に、建物の構造体が腐食しやすくなり、建物安全性が低下すると修繕費用が増加し、建物の寿命を縮めることにもつながるので注意が必要です。

漏水

漏水は、雨水が排水できずに、建物内部に浸入するトラブルです。

バルコニーやベランダの防水層が劣化し、水が染み込んだり、排水口が詰まって水が溢れ出してしまいます。

漏水の影響は、天井や壁のシミ、カビの発生、健康被害などが考えられます。

建物の劣化

水勾配をつけないことが、建物の劣化につながる可能性もあります。

建物劣化の例は、以下のとおりです。

  • 雨水の浸透により、木材腐朽や鉄筋コンクリートの劣化が進む
  • 外壁や内装の損傷、ひび割れが発生する
  • 建物の構造体へのダメージにより、安全性に問題が生じる

水勾配は、建物の耐久性を維持するために非常に重要です。

適切な水勾配を設けることで、雨水のトラブルを防ぎ、建物の寿命を延ばすことができます。

水勾配の測定方法

水勾配は、水勾配計やレーザー距離計を使って測定できます。

水勾配は定期的に確認し、必要に応じて調整が必要です。

それぞれの機器を使った測定方法について解説します。

水勾配計

水勾配計には、アナログ式とデジタル式の2種類があります。

アナログ式水勾配計は、傾斜計と目盛りが一体になったシンプルな構造で、電池が不要なため、いつでもどこでも使用可能です。

デジタル式水勾配計は、液晶画面に傾斜角度をデジタル表示で確認できます。

測定精度が比較的高く、傾斜以外にも、高さや距離も測定できる多機能タイプもあります。

水勾配計の底面を測定面にしっかりと当て、水平になるように調整が必要です。

レーザー距離計

レーザー距離計は、水勾配の測定に便利なツールです。

従来の水平器やメジャーを使った方法よりも、迅速かつ高精度に測定できます。

レーザー距離計を水平に設置し、高点となる場所の床までの距離を測定します。

そして、測定された数値を基に導き出される水勾配の割合は、以下のとおりです。

水勾配 = (高点の距離 – 低点の距離) / 両点間の距離

水勾配の直し方

水勾配を直す前に、以下の準備が必要です。

  • どこに水たまりがあるかを把握する
  • 図面と現場を見て、現状の水勾配を把握する

水勾配を直す方法はいくつかありますが、ここでは代表的な方法を紹介します。

セメント

セメントは、比較的安価で施工でき、施工した箇所は丈夫で長持ちします。

ただし、セメントで水勾配を直す場合は、以下のような注意が必要です。

  • セメントは、必ずメーカーの指示に従って調合する
  • 水勾配は、場所や用途によって異なる
  • 一度に広い範囲を修正しようとせず、少しずつ作業を進める
  • セメントが乾燥するまで、歩いたり物を置いたりしない

セメントを使って水勾配を直す方法は、比較的簡単ですが、時間と労力がかかります。

モルタル

モルタルも、セメントと同様に比較的安価で施工できます。

強度もあり、耐久性にも優れています。

モルタルを塗る前に、下地にプライマーを塗ると、接着性を向上させることが可能です。

ただし、モルタルが乾燥する過程で、ひび割れが発生することがあります。

ひび割れが発生した場合は、速やかに補修しましょう。

また、モルタルは重いため、落下や転倒の危険性があるので、作業を行う際は安全面に注意しましょう。

防水シート

防水シートは、水勾配に沿って貼り付けることが重要です。

コーキング剤は、防水シートと床の間にしっかりと密着させるように塗布します。

テープは、防水シートの種類に合ったものを選びましょう。

仕上げは、丁寧に作業することで、防水性を高めることができます。

水勾配の直しはDIYでできる?

水勾配の直しは、DIYでできる場合もありますが、難易度やリスクは勾配不足や修正の方法など、さまざまな要素によって異なります。

DIYで水勾配を直した場合、費用がかからず、自分のペースで進めることができます。

ただし、時間と労力がかかるため、DIYの経験があまりない場合は、施工業者に依頼するのがおすすめです。

水勾配の直しを業者に依頼する場合

水勾配の直しは、専門業者に依頼することをおすすめします。

確実に施工してもらえるうえ、安全に施工を進めてくれるからです。

以下で、業者に依頼する場合の費用相場、業者選びのポイントについて解説します。

費用相場

水勾配の直しをセメント、モルタルで施工した場合、1平方メートルあたり5,000〜10,000円が相場です。

防水シートで施工した場合は、1平方メートルあたり8,500〜12,000円ぐらいが相場になります。

ただし、修正方法、修正箇所、施工面積、使用する材料、依頼した業者などの要因で費用は変わってきます。

業者選びのポイント

水勾配の直しは、確実な施工と安全性を確保するために、業者に依頼することをおすすめします。

しかし、業者によって技術力や費用、サービス内容などが大きく異なるため、慎重に選ぶことが重要です。

業者選びのポイントを以下に紹介します。

  • 実績と経験
  • 費用
  • 保証内容
  • 担当者の対応
  • 口コミや評判

業者選びの前に、水勾配の直しに関する知識をある程度身につけておくと、業者とのコミュニケーションがスムーズになります。

複数の業者から見積もりを取ることで、費用相場や施工内容を知ることが重要です。

水勾配の直しは、上記のポイントを参考に、実績と経験、費用、保証、対応、口コミや評判などを総合的に判断して、信頼できる業者を選びましょう。

まとめ

ここまで、水勾配の重要性について解説してきました。

この記事の要点は、以下のとおりです。

  • 水勾配とは、雨水や汚水を排水するための、水平よりわずかに傾斜させた勾配
  • 水勾配の種類:順勾配、逆勾配、無勾配
  • 水勾配の適切な角度は、場所や目的によって異なる
  • 順勾配:1~3%程度、逆勾配:0.5%以下、陸屋根:1~2%、バルコニー・ベランダ:2~3%
  • 水勾配を付けないと起こるトラブルは、水たまり、排水不良、漏水、建物の劣化など
  • 水勾配の測定方法:水勾配計、レーザー距離計
  • 水勾配の直し方:セメント、モルタル、防水シート
  • 水勾配の直しを業者に依頼する場合の費用相場:5,000~12,000円/平方メートル
  • 業者選びのポイント:実績と経験、費用、保証、対応、口コミや評判

水勾配修正前に雨漏りの原因を特定し、水勾配修正後は定期的に確認することが重要です。

水勾配は定期的に確認し、必要に応じて調整しましょう。

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