防水工事とは?種類や工法の特徴・耐用年数・費用相場を徹底解説|株式会社新東亜工業  

    コラム    

防水工事とは?種類や工法の特徴・耐用年数・費用相場を徹底解説

防水工事は一般住宅でもよく行われる工事ですが、種類や工法などについてほとんど知らないという方も多いのではないでしょうか。

一般住宅でも定期的に実施する必要がある防水工事だからこそ、正しい情報を知っておくと安心です。

今回は、そんな防水工事について、種類や工法、耐用年数や費用相場などを詳しく紹介していきます。

防水工事を検討している方から新築以来実施できていないという方まで、ぜひ参考にしてみてくださいね。

防水工事とは?

防水工事とは、建物の屋根やベランダなど、雨水の影響を受ける場所に防水層を形成して保護する工事のことです。

防水工事を行って建物を保護することによって、建物を健康に長持ちさせることができます。

防水工事にはさまざまな種類があり、施工場所や環境、目的などによって最適なものを選んで施工することが重要です。

防水層は経年劣化していき性能が損なわれるため、一度施工したら終わりというわけではなく定期的に実施する必要があります。

防水工事の種類は?

防水工事は、以下のような3種類に大きくわけることができます。

  • 塗膜防水
  • シート防水
  • アスファルト防水

また、この3種類の中にも異なる種類の工事があるので、それぞれの工事内容や耐用年数などについて詳しく紹介します。

塗膜防水

塗膜防水とは、液体状の防水塗料を使用して防水層を形成する工事のことです。

液体状の防水塗料を、ハケなどの道具を用いて塗布することが特徴です。

塗膜防水の中にも、以下のような種類があります。

  • ウレタン防水
  • FRP防水

それぞれの工事について詳しく紹介します。

ウレタン防水

ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を塗布することで防水層を形成する工事のことです。

液体状の防水材を使用するので、複雑な形状の場所に対しても施工可能できることが特徴です。

継ぎ目のない防水層が形成できるため水密性が高いことや、既存防水層を選ばす重ねて施工できることが大きなメリットだといえます。

素材が軽量で下地を選ばないので、改修工事にも適している工法です。

工期が比較的短く費用も抑えられることから、一般家庭の防水工事としてよく選ばれています。

ウレタン防水には目立った短所はないのですが、ウレタン防水材を職人の手作業で塗布するため、完成度が職人に技術に左右される点に注意が必要です。

ウレタン防水の耐用年数は、12年程度が目安です。

紫外線の刺激から防水層を保護するためにはトップコートの塗布が必須で、トップコートは5年に一度を目安とした塗り替えが必要になります。

そのため、耐用年数を目安とした防水工事のほかにも、定期的なトップコートの塗り替えによるメンテナンスが必要であることを覚えておきましょう。

FRP防水

FRP防水は、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)を使用して防水層を形成する工法です。

FRPは軽量かつ強度が高く、浴槽やロケットなどの部品としても使用される材料です。

そのため、FRP防水で形成した防水層も軽量で強度が高いことが大きなメリットだといえます。

車両走行にも耐えられる強度を持っているため、屋上駐車場の床面や人の出入りが多いバルコニー・屋上などでもよく使用されます。

FRP防水の耐用年数は、10年程度が目安です。

FRP防水は硬化にかかる時間が短く、1〜2日程度の工期で工事が完了することも魅力です。

継ぎ目がなく密着性に優れた防水層を形成できますが、紫外線の刺激に弱い点に注意しましょう。

紫外線の影響を長時間受けると、防水層が劣化してひび割れを起こしてしまうリスクが高まります。

そのため、トップコートを塗布して表面を保護し、5年に一度を目安としてトップコートの塗り替えによるメンテナンスが必要です。

また、FRP防水は伸縮性に劣るため、温度変化による伸縮や地震などの揺れによってひび割れが生じる場合もあります。

工事中は硬化の際に強いにおいが生じるため、周辺環境への配慮が必要です。

シート防水

シート防水は、防水シートを下地に貼り付けることで防水層を形成する工事のことです。

工場で作られた防水シートを使用した工事なので、防水層の完成度が職人の技術に左右されにくいことがメリットだといえるでしょう。

シート防水は使用するシートの素材によって、以下のような種類にわけられます。

  • 塩ビシート防水
  • ゴムシート防水

それぞれの工事について、詳しく紹介します。

塩ビシート防水

塩ビシート防水は、塩化ビニール樹脂製の防水シートを使用したシート防水のことです。

塩化ビニール樹脂製の防水シートを、接着剤などを使用して下地に貼り付けます。

塩ビシート防水では、シートの継ぎ目がたくさん生じた場合でも、シート同士を熱風で溶かして一体化することができます。

塩ビシート防水の耐用年数は、13年程度が目安です。

紫外線や熱に強く耐候性に優れているため、耐久性が高いことがメリットです。

既存防水層がある下地に改修工事を行う場合でも下地調整をほとんど必要としないため、工期の短縮や工事費用の節約につながります。

さまざまな色やデザインのシートから選ぶことができるため、意匠性に優れていることもメリットだといえるでしょう。

塩ビシート防水は下地に防水シートを貼り付けるため、接着性を高めるためにも下地が平らである必要がある点に注意が必要です。

ゴムシート防水

ゴムシート防水は、合成ゴムをシート状に成形したものを使用するシート防水のことです。

防水シートを接着剤や粘着テープなどを使用して下地に貼り付けます。

ゴムシート防水の耐用年数は、13年程度が目安です。

合成ゴムを使用した防水シートは伸縮性に優れていて、多少の下地の亀裂であれば対応できることが大きなメリットです。

塩ビシート防水よりもコストを抑えることができる点もメリットだといえるでしょう。

ただし、ゴムシート防水はシートが薄く、鳥のついばみや衝撃に弱い点に注意が必要です。

また、防水シート自体の寿命というよりも、シートの接着に使用する接着剤の耐用年数が問題となるケースが多いです。

ゴムシート防水は低コストで手軽に施工できるため、応急処置として最適な防水工事だといえます。

アスファルト防水

アスファルト防水は、溶かしたアスファルトを合成繊維不織布に染み込ませた「アスファルトルーフィング」を貼り重ねることで防水層を形成する工事です。

日本で最も古くから行われている防水工事で、信頼性も高い工法だといえます。

アスファルト防水の耐用年数は、20年程度が目安です。

アスファルト防水最大のメリットは、防水性能が高く耐久性にも優れていることです。

他の工法に比べても耐用年数が長く、防水工事の回数を減らすことができます。

アスファルト防水では高温でアスファルトを溶かす必要があるため、工事中に強いにおいが発生します。

また、アスファルトを使用するため防水層がとても重く、建物への負担が大きい点にも注意が必要です。

防水工事が必要な建物・場所

防水工事は必要に応じて行うことで、建物を健康に長持ちさせることができます。

防水工事が必要な建物や場所は、以下の通りです。

  • マンション・アパート・ビル・ALC住宅の屋上
  • 陸屋根
  • ベランダ・バルコニー

屋上や陸屋根、ベランダ・バルコニーは建物の中でも雨風の影響を強く受ける場所です。

防水層は徐々に劣化していき防水性能が低下するため、定期的に防水工事を行なって十分な防水性能を維持する必要があります。

防水工事を行わずに雨水が建物の内部に侵入すれば、雨漏りはもちろん躯体の腐食やカビの増殖などのさまざまな悪影響を及ぼします。

このような悪影響によって建物の寿命を縮めてしまうため、適切に防水工事を行うことが建物の寿命を伸ばすことにつながるのです。

防水工事が必要な建物や場所に対しては、必ず定期的に防水工事を行うようにしましょう。

防水工事のタイミング

防水工事は一度行ったら終わりではなく、適切なタイミングで定期的に実施していく必要があります。

しかし、どのようなタイミングで防水工事を検討すればいいかわからないという方も多いのではないでしょうか。

防水工事は、以下のようなタイミングで必要になります。

  • 表面の色褪せ
  • 防水層のひび割れ・膨れ・浮き
  • パラペットや笠木の劣化
  • 雨漏り

それぞれの症状について、詳しく紹介していきます。

表面の色褪せ

防水層の劣化が始まると、まず表面が色褪せてきます。

トップコートがはげてきているため、手で床面を触ると白い粉が付着することが多いです。

防水層の色褪せはすぐに雨漏りが生じるような劣化症状ではありませんが、全体的に劣化が始まってきているサインです。

この段階で対応できればトップコートの塗り替えのみで済む場合も多く、雨漏りなどの大きな被害がなく防水工事を行えるため費用の節約にもつながります。

早い段階でメンテナンスや補修を行うことで、防水層を長持ちさせることができるでしょう。

防水層が色褪せてきていると感じたら、劣化が進行する前に防水工事を実施することをおすすめします。

防水層のひび割れ・膨れ・浮き

防水層の色褪せを放置すると、徐々にひび割れや膨れ、浮きなどの劣化症状が現れるようになります。

ひび割れは雨水の侵入経路となるため、雨漏りや内部への浸水につながる劣化症状です。

アスファルト防水の場合は、表面の押さえコンクリートの床が収縮や劣化によってひび割れを起こすケースがあります。

防水層の膨れは、主にウレタン防水で生じる劣化症状です。

防水層がぼこぼこと膨れるため、一般の方でも目視で簡単に発見できます。

膨れの内部に水分が入っていたり破れやすくなっていたりするため、早急に対応が必要な劣化症状です。

防水層の浮きは、シート防水でよく見られる劣化症状です。

シートが浮いたり剥がれたりした部分から雨漏りにつながるため、早急に修理する必要があります。

防水層のひび割れ・膨れ・浮きはすべて早急に対応する必要がある劣化症状なので、雨漏りが生じる前に補修や防水工事を行ってくださいね。

パラペットや笠木の劣化

防水層の劣化ばかりを気にしがちですが、実はパラペットや笠木の劣化も雨漏りにつながります

パラペットは屋上などの外周部分にある立ち上がりのこと、笠木はその最上部に設けられた仕上げ材のことです。

パラペットや笠木が劣化すると、割れや剥がれが生じて隙間ができ、雨水の侵入経路となってしまいます。

また、笠木の継ぎ目に充填されているコーキング材の劣化にも注意しましょう。

笠木を外したところ内部で劣化が進んでいるというケースも多いので、専門業者に床面と合わせて点検してもらうと安心です。

雨漏り

すでに雨漏りが生じている場合は、早急に防水工事を行う必要があります。

雨漏りが生じているということは、防水層の劣化がかなり進行している可能性が高いです。

ただし雨漏りの原因は防水層の劣化だけではなく、外壁や給水管の劣化、目地の破損などのさまざまな原因が考えられます。

雨漏り調査を行った結果雨漏りの原因に防水層の劣化が関係している場合は、防水工事を実施しましょう。

雨漏りが生じると、雨漏り調査や浸水した部分の補修などにも費用がかかるため、工事費用の総額が高額になりやすいです。

建物にダメージを与えないためにはもちろん、工事費用の節約という意味でも雨漏りが生じる前に防水工事を実施できることが理想です。

防水工事はどこに頼む?

防水工事をトラブルなく成功させるためには、依頼する業者選びが重要なポイントになります。

信頼できる業者に依頼することで、満足度の高い防水工事を実施できるでしょう。

防水工事の依頼先には、以下のような業者があります。

  • 防水工事専門業者
    防水工事に特化した専門業者。防水工事に関する経験と知識を持つ。
  • 塗装業者
    防水工事も可能だが、外壁などの塗装工事が専門の業者。外壁塗装と防水工事の同時施工も可能。防水層を形成する技術はない。
  • リフォーム会社
    防水工事を専門業者に委託していることがほとんど。中間マージンが発生するため費用は高額になるケースが多い。
  • ハウスメーカー
    建材製造から建設、販売、アフターフォローまでを自社で一貫して行う業者だが、防水工事を含むメンテナンス工事は専門業者に委託していることがほとんど。中間マージンが発生するため費用は高額になるケースが多い。

上記のように、防水工事の依頼先としておすすめするのが防水工事専門業者です。

正しい知識と経験を持った業者に依頼することで、大きなトラブルなく工事を成功させられる可能性が高まります。

また、できるだけ費用を節約したいと考えている方は、中間マージンが発生しない自社施工を行なっている業者に依頼することもポイントです。

リフォーム会社やハウスメーカーに依頼すると、中間マージンが発生して工事にかかる費用総額が高額になるケースが多いので注意しましょう。

まとめ

今回は、防水工事の種類や特徴などについて詳しく紹介しました。

  • 防水工事とは、屋根やベランダなどに防水層を形成して建物を雨水から保護する工事のこと
  • 防水工事は塗膜防水・シート防水・アスファルト防水の3種類に大きくわけられる
  • 防水工事の種類ごとに異なる特徴やメリット・デメリットを持っているため、施工場所や目的に適した工法を選択することが重要
  • 適切なタイミングで防水工事を行うことで、建物の寿命を伸ばすことができる
  • 防水工事は防水工事専門業者に依頼するのがおすすめ

防水工事は、雨水の影響から建物を保護するために必要な工事です。

防水層はどうしても経年劣化していってしまうため、今回の記事を参考に必要なタイミングで最適な種類の防水工事を行ってくださいね。

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