2024.04.03
中規模修繕とは?施工内容や大規模修繕との違い
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中規模修繕工事とは?
中規模修繕工事とは、マンションの共用部分を部分的に修繕する工事のことです。
通常は5年から10年の周期で行われ、建物の経年劣化に対処するための大切な維持管理作業となります。
中規模修繕工事は、マンションの快適な生活環境を維持するために不可欠な工事です。
マンションの設備や設備は年月と共に劣化します。
そのため定期的な点検と修繕が必要になります。
東京都の統計によると、25年以上経過したマンションの約7割で中規模修繕工事が実施されています。
小規模な修繕では対応しきれない大がかりな工事が必要な場合があります。
一般社団法人マンション管理業協会の調査では、中規模修繕の主な工事内容は外壁・屋上防水・給排水設備の修繕となっています。
中規模修繕の工事内容
中規模修繕では、マンションの共用部分における劣化に対処するため、以下のような部分的な修繕工事が行われます。
- 外壁の塗装工事、ひび割れ補修
- 屋上や陸屋根の防水工事
- 給水管や排水管などの給排水設備の修繕・更新
- エントランスや廊下の床・壁のクラック補修
- 電気設備の幹線や分電盤の修繕
- エレベーターのリニューアル工事
このように、主に共用部分における劣化に対処する工事が中心となります。
ただし躯体である基礎、柱、梁の補強工事は含まれません。
特に外壁と屋上の防水工事は、中規模修繕で最も重要視される工事です。
外壁と屋上の防水は、建物の最外殻を守る重要な役割を担っています。
外壁や屋上の劣化は、内部への雨水の浸入などを引き起こします。
国土交通省の調査によると、外壁や屋上の劣化は全マンションの約3割で確認されています。
防水の劣化は、内部への雨水浸入による2次被害の原因になります。
防水工事は手が込む反面、将来の大規模修繕を先送りできる可能性もあり、事前の対策が重要視されています。
中規模修繕の分散方式とは?
中規模修繕には多額の費用が必要になるため、分散会計方式による修繕積立金の事前準備が一般的に行われています。
分散会計方式とは、将来の修繕費用を平準化し、計画的に準備する方式です。
マンションの大規模な修繕には数千万円から億単位の高額な費用が必要です。
国土交通省が公表した標準的な修繕積立金の目安は、専有面積1㎡当たり月額350円~700円とされており 一時に多額の費用を集めることは困難であり、長期的な準備が必要不可欠です。
例えば有面積70㎡のマンションで、中規模修繕予定額が5,000万円の場合、25年で分散払いすると月額約1,500円の積立金になります。
分散会計方式には、以下のようなメリットがあります。
- 将来の修繕費用の平準化ができ、一時金の負担が軽減される
- 長期的な修繕計画に基づき、計画的な資金準備が可能に
- 金利運用などにより、将来の修繕費用の一部を賄うことも可能
分散方式は、マンション管理において合理的で重要な方式と言えます。
突発的な多額の費用負担を避けられ、居住者の経済的負担が軽減されます。
一般社団法人マンション管理業協会の調査では、8割以上の管理組合で分散積立が実施されています。
分散積立額の設定
分散積立額の設定は、以下の要素を総合的に勘案して決められます。
- マンションの規模(戸数・延べ面積など)
- 建物の構造、設備の状況
- 修繕工事の内容と規模
- マンション開設時の修繕計画書
- 前回の修繕からの経過年数
- 居住者の年収水準
適切な積立額を設定し、計画的に準備を進めることが重要です。
過小に設定すると積立不足に伴う工事の遅延や費用のアップにつながります。 理由: 過大に設定すると、居住者の負担が重くなり資金運用の必要も生じます。
分散方式の適切な運用により、マンションの資産価値を維持できます。
中規模修繕の時期
中規模修繕の適切な時期は、主に以下の2点から判断されます。
- 計画修繕周期:修繕の計画時期が 近づいたら検討
- 建物の劣化状況 :定期的な点検で劣化が進行していれば前倒しで実施
建物や設備の状況に応じて、柔軟に時期を決める必要があります。
環境により劣化の進行は異なります。
一律の周期では対応できません。
早期の修繕が、将来的な大規模修繕を先送りできる可能性があります。
一般社団法人マンション管理業協会の調査では、前回の修繕からの経過年数より劣化の度合いで時期を決める管理組合が6割を超えています。
中規模修繕の費用
中規模修繕の費用は、工事の内容や範囲、マンションの規模などで大きく変わります。
一般的な目安は以下の通りです。
戸数 | 金額 |
---|---|
50戸未満 | 2000万円~5000万円 |
50戸~100戸 | 5000万円~8000万円 |
100戸以上 | 8000万円~ |
早期に修繕計画を立て、適切な修繕積立金を準備することが重要です。
計画を立てずに修繕時期を迎えると、一時金の支払額が重くのしかかります。
予算不足が生じると、工事の遅延や分割発注による費用の増加が起こりかねません。
マンション管理業協会の調査では、修繕積立金の積み立て不足により、修繕工事が遅延したケースが2割に上ります。
大規模修繕と中規模修繕の違いをまとめ
中規模修繕と大規模修繕の主な違いは以下の通りです。
項目 | 中規模修繕 | 大規模修繕 |
---|---|---|
工事内容 | 共用部分の部分修繕 | 共用部分の全面的修繕・改修 |
工事範囲 | 外壁、屋上防水、設備などの部分工事 | 工事範囲が広範囲に及ぶ |
工事周期 | 5年~10年程度 | 概ね25年~30年の長期周期 |
工事費用 | 2,000万円~1億円程度 | 数億円~数十億円規模の高額 |
修繕計画 | 中期的な計画 | 長期的な大規模修繕計画が必須 |
まとめると、中規模修繕は範囲が狭く、費用も大規模修繕に比べて抑えられます。
計画立案も柔軟に対応できます。
一方、大規模修繕は、事前の長期計画と十分な修繕積立金の準備が必要不可欠です。
適切な修繕サイクルを維持することが重要になります。