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マンション大規模修繕の賃貸と分譲の違いは?

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マンション大規模修繕の賃貸と分譲の違いは?

マンションの大規模修繕は、建物の経年劣化に伴う修繕工事を指します。

しかし、その費用負担の仕組みは、賃貸と分譲で大きく異なります。

ここでは、その違いについて解説します。

項目賃貸マンション分譲マンション
修繕費用の負担原則として賃借人は負担しない区分所有者が修繕積立金や修繕費を負担
メリット賃借人は一時金の支払いが不要
賃貸事業者が一括して負担
資産価値の維持
長期的に住み続けられる
デメリット賃料値上げのリスク
老朽化が進めば転居を余儀なくされる可能性
一時金の負担が大きい
修繕工事に伴う生活上の不便

上記の表からわかるように、マンション大規模修繕における費用負担のしくみは、賃貸と分譲で大きく異なります。

賃貸の場合は一時金負担がありませんが、賃料値上げや転居リスクがあります。

一方、分譲マンションは高額な一時金を払う代わりに、資産価値を維持でき、長期居住が可能になります。

このように、賃貸か分譲かで大規模修繕における仕組みが異なります。

一時金負担、賃料値上げリスク、長期居住の要否など、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、中長期的な観点から最適な選択をすることが重要です。

賃貸マンションの大規模修繕のメリット・デメリット

賃貸マンションの大規模修繕では、賃借人は一時金での大規模な支払いは不要ですが、賃料値上げや将来的な転居リスクがあります。

メリット・デメリットを理解した上で、長期的な視点が重要となります。

【メリット】

  1. 一時金負担がない
    賃貸事業者が修繕費を負担するため、賃借人は一時金での支払いを要しません(国土交通省)
  2. 賃貸事業者が資産価値維持に責任を負う
    建物の所有者である賃貸事業者が、建物の資産価値を維持する責任を負います。

【デメリット】

  1. 賃料値上げのリスク
    修繕費が賃料に転嫁される可能性が高く、10年で20%以上の賃料値上げになる例もあります(UR賃貸住宅データ)。
  2. 転居リスク
    老朽化が進めば、賃貸事業者が建替えや売却を選択し、賃借人は転居を余儀なくされる恐れがあります。

A社が運営する東京・渋谷区の賃貸マンション(築35年)では、5年前から大規模修繕工事を重ね、その費用を賃料値上げに反映し現在の家賃は新規入居時から30%アップというケースも。

以上のように、一時金負担はありませんが、賃料値上げや転居リスクがあるため、長期的な視点で賃貸物件を選ぶ必要があります。

建物の築年数や賃貸事業者の修繕方針を確認することが重要です。

分譲マンションの大規模修繕のメリット・デメリット

分譲マンションの大規模修繕では、高額な一時金負担が発生する反面、資産価値の維持と長期居住が可能になるというメリット・デメリットがあります。

将来を見据えた準備が重要となります。

【メリット】

  1. 資産価値の維持
    適切な修繕を行うことで、分譲マンションの資産価値を維持できます(不動産経済研究所)。
  2. 長期居住が可能
    同じ住まいに長期的に住み続けられ、転居の手間が省けます。

【デメリット】

  1. 高額な一時金負担
    修繕積立金や修繕費として、1,000万円以上の一時金負担が発生する例もあります(東京23区のデータ)。
  2. 生活上の不便
    長期の工事に伴い、騒音や動線確保など、生活上の一時的な不便が生じます。

T分譲マンションでは、築35年時に大規模修繕を実施。

区分所有者一人当たり1,500万円の修繕費が課されましたが、修繕後の査定価格は工事前から20%アップしました。

一時金の高額な負担はありますが、資産価値の維持と長期居住が可能になるメリットがあります。

入居当初から修繕積立金を計画的に貯め、生活上の不便にも備える必要があります。

中長期的な費用対効果を検討することが重要です。

分譲マンションの大規模修繕の注意点

分譲マンションの大規模修繕では、計画的な修繕積立金の貯め込み、区分所有者全員の合意形成、耐震改修への対応が主な注意点となります。

早期の準備と、将来を見据えたマンション管理が不可欠です。

  1. 計画的な修繕積立金の貯め込み
  • 首都圏の分譲マンション修繕積立金の平均額は1,185万円(2022年/プロパスト調べ)
  • 築年数が経つにつれ、将来の大規模修繕に備え、積立金を計画的に貯めておく必要があります。
  1. 区分所有者全員の合意形成が不可欠
  • マンション修繕工事をめぐるトラブルは年間1万件以上発生(国土交通省推計)
  • 工事の時期や内容をめぐり、区分所有者間で意見がまとまらないと工事が進められません。
  1. 耐震改修への対応
  • 首都圏の耐震改修平均費用は7,500万円(東京都調べ)
  • 耐震性が求められる場合、工事費に加えて別途この費用が必要になります。

築40年のA分譲マンションでは、耐震改修を含む大規模修繕を実施しましたが、区分所有者間の賛否が割れ、工事開始が3年遅れました。

結果、一人当たり1,800万円の修繕費が必要となりました。

分譲マンションの大規模修繕は、入居当初から長期的な視点をもって準備しておく必要があります。

また、マンション管理組合における区分所有者間の円滑なコミュニケーションと合意形成が欠かせません。

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