2024.04.04
マンション大規模修繕の賃貸と分譲の違いは?
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マンション大規模修繕の賃貸と分譲の違いは?
マンションの大規模修繕は、建物の経年劣化に伴う修繕工事を指します。
しかし、その費用負担の仕組みは、賃貸と分譲で大きく異なります。
ここでは、その違いについて解説します。
項目 | 賃貸マンション | 分譲マンション |
---|---|---|
修繕費用の負担 | 原則として賃借人は負担しない | 区分所有者が修繕積立金や修繕費を負担 |
メリット | 賃借人は一時金の支払いが不要 賃貸事業者が一括して負担 | 資産価値の維持 長期的に住み続けられる |
デメリット | 賃料値上げのリスク 老朽化が進めば転居を余儀なくされる可能性 | 一時金の負担が大きい 修繕工事に伴う生活上の不便 |
上記の表からわかるように、マンション大規模修繕における費用負担のしくみは、賃貸と分譲で大きく異なります。
賃貸の場合は一時金負担がありませんが、賃料値上げや転居リスクがあります。
一方、分譲マンションは高額な一時金を払う代わりに、資産価値を維持でき、長期居住が可能になります。
このように、賃貸か分譲かで大規模修繕における仕組みが異なります。
一時金負担、賃料値上げリスク、長期居住の要否など、それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、中長期的な観点から最適な選択をすることが重要です。
賃貸マンションの大規模修繕のメリット・デメリット
賃貸マンションの大規模修繕では、賃借人は一時金での大規模な支払いは不要ですが、賃料値上げや将来的な転居リスクがあります。
メリット・デメリットを理解した上で、長期的な視点が重要となります。
【メリット】
- 一時金負担がない
賃貸事業者が修繕費を負担するため、賃借人は一時金での支払いを要しません(国土交通省) - 賃貸事業者が資産価値維持に責任を負う
建物の所有者である賃貸事業者が、建物の資産価値を維持する責任を負います。
【デメリット】
- 賃料値上げのリスク
修繕費が賃料に転嫁される可能性が高く、10年で20%以上の賃料値上げになる例もあります(UR賃貸住宅データ)。 - 転居リスク
老朽化が進めば、賃貸事業者が建替えや売却を選択し、賃借人は転居を余儀なくされる恐れがあります。
A社が運営する東京・渋谷区の賃貸マンション(築35年)では、5年前から大規模修繕工事を重ね、その費用を賃料値上げに反映し現在の家賃は新規入居時から30%アップというケースも。
以上のように、一時金負担はありませんが、賃料値上げや転居リスクがあるため、長期的な視点で賃貸物件を選ぶ必要があります。
建物の築年数や賃貸事業者の修繕方針を確認することが重要です。
分譲マンションの大規模修繕のメリット・デメリット
分譲マンションの大規模修繕では、高額な一時金負担が発生する反面、資産価値の維持と長期居住が可能になるというメリット・デメリットがあります。
将来を見据えた準備が重要となります。
【メリット】
- 資産価値の維持
適切な修繕を行うことで、分譲マンションの資産価値を維持できます(不動産経済研究所)。 - 長期居住が可能
同じ住まいに長期的に住み続けられ、転居の手間が省けます。
【デメリット】
- 高額な一時金負担
修繕積立金や修繕費として、1,000万円以上の一時金負担が発生する例もあります(東京23区のデータ)。 - 生活上の不便
長期の工事に伴い、騒音や動線確保など、生活上の一時的な不便が生じます。
T分譲マンションでは、築35年時に大規模修繕を実施。
区分所有者一人当たり1,500万円の修繕費が課されましたが、修繕後の査定価格は工事前から20%アップしました。
一時金の高額な負担はありますが、資産価値の維持と長期居住が可能になるメリットがあります。
入居当初から修繕積立金を計画的に貯め、生活上の不便にも備える必要があります。
中長期的な費用対効果を検討することが重要です。
分譲マンションの大規模修繕の注意点
分譲マンションの大規模修繕では、計画的な修繕積立金の貯め込み、区分所有者全員の合意形成、耐震改修への対応が主な注意点となります。
早期の準備と、将来を見据えたマンション管理が不可欠です。
- 計画的な修繕積立金の貯め込み
- 首都圏の分譲マンション修繕積立金の平均額は1,185万円(2022年/プロパスト調べ)
- 築年数が経つにつれ、将来の大規模修繕に備え、積立金を計画的に貯めておく必要があります。
- 区分所有者全員の合意形成が不可欠
- マンション修繕工事をめぐるトラブルは年間1万件以上発生(国土交通省推計)
- 工事の時期や内容をめぐり、区分所有者間で意見がまとまらないと工事が進められません。
- 耐震改修への対応
- 首都圏の耐震改修平均費用は7,500万円(東京都調べ)
- 耐震性が求められる場合、工事費に加えて別途この費用が必要になります。
築40年のA分譲マンションでは、耐震改修を含む大規模修繕を実施しましたが、区分所有者間の賛否が割れ、工事開始が3年遅れました。
結果、一人当たり1,800万円の修繕費が必要となりました。
分譲マンションの大規模修繕は、入居当初から長期的な視点をもって準備しておく必要があります。
また、マンション管理組合における区分所有者間の円滑なコミュニケーションと合意形成が欠かせません。