外壁のひび割れと雨漏りの原因とは?ひび割れの種類、放置リスクなど解説 | 株式会社新東亜工業  

    コラム    

外壁のひび割れと雨漏りの原因とは?ひび割れの種類、放置リスクなど解説

外壁は、風雨や紫外線から家を守ってくれる大切な存在です。

しかし、経年劣化や地震などの影響で、外壁にひび割れが生じることがあります。

一見、小さなひび割れに見えても、放置すると雨漏りの原因となり、住まいの健康を損なうだけでなく、修繕費用が高額になる可能性もあるので注意が必要です。

この記事では、外壁のひび割れと雨漏りの関係について詳しく解説します。

ひび割れの種類や放置した場合のリスク、そして雨漏りを防ぐための対策まで、分かりやすくお伝えします。

この記事を参考に、外壁の状態をチェックし、適切なメンテナンスを行いましょう。

ひび割れが起こりやすい外壁とは?

外壁材の種類や施工方法、環境などによって、ひび割れの起こりやすさは変わります。

外壁材は大きく分けて

  • 板状の外壁材を張り付けるサイディングボード
  • モルタルなどのペースト状の外壁材を塗るタイプの塗り壁

の2種類に分かれます。

クラックが発生するのは、主に塗り壁タイプの外壁材です。

塗り壁に使用されるモルタルは、セメントと水を混ぜて作られます。

乾燥する過程で水分が蒸発すると伸縮が起こり、小さなクラックが発生することがあります。

外壁のひび割れの種類と原因

モルタルやコンクリートの外壁は、水を使用する湿式工法で施工されるため、ひび割れが発生しやすいです。

ひび割れの原因は、塗膜の劣化や感想、外壁内部の構造的な問題の2つに分けられます。

塗膜が原因のひび割れは、比較的軽微なケースが多く、塗装の塗り替えなどで補修可能です。

外壁内部が原因である場合は、建物の安全性に関わる重大なリスクにつながる可能性があります。

放置すると、雨漏りの原因となり、建物の腐食や劣化を進行させる可能性があるため、早急な調査・補修が必要です。

主なひび割れは、以下のような種類があります。

ヘアークラック

ヘアークラックとは、幅0.3mm以下の細いひび割れを指します。

外壁のひび割れの中では最も軽微な種類ですが、放置すると雨漏りの原因となる可能性があるため、早めの対応が必要です。

ヘアークラックにも、以下のような種類があります。

開口クラック

開口クラックとは、窓や扉などの開口部周辺に発生する亀裂のことを指します。

建物の揺れなどによって外壁にズレが生じ、亀裂が始まります。

亀裂が大きな場合は内部に水が侵入し、雨漏りに繋がる可能性があるため、早急な補修が必要です。

縁切りクラック

縁切りクラックは、モルタルの外壁でよく見られる現象です。

前回行った塗装が完全に乾燥していない状態で後の塗装を行うと、乾燥収縮によってひび割れが発生する可能性があります。

また、塗装中に中断すると、塗膜が完全に形成されないまま乾燥し、ひび割れが発生しやすくなります。

特に、気温や湿度が高い時期は、乾燥速度が速いため、中断によるひび割れが発生しやすいです。

乾燥クラック

乾燥クラックも、モルタルの外壁でよく見られます。

近くで見ないと気づかないほど軽微なひび割れですが、放置すると雨漏りの原因となる可能性があるため、早めの対応が必要です。

乾燥による収縮や、塗膜の劣化によって、ひび割れが発生しやすくなります。

構造クラック

外壁内部から発生するクラックは、構造クラックと呼ばれ、建物の構造に関わる重大な問題です。

構造クラックは、地震や強風などの外的要因、経年劣化、設計ミスや施工不良などが原因で発生します。

放置すると、建物の安全性に影響を与える可能性があります。

外壁のひび割れを放置した場合の被害

外壁のひび割れは、小さいからといって放置すると外壁内部にまで進行し、重大な被害に繋がる可能性があります。

ひび割れを発見したら、早急な補修が必要です。

外壁のひび割れを放置すると、以下のような被害が起こり得ます。

修繕費用の増加

外壁のひび割れを放置すると、被害が拡大し、修繕費用も増加します。

軽微なひび割れは、早期に発見・補修すれば、比較的安価での修繕が可能です。

しかし、進行したひび割れは、進行の度合いによって必要な補修範囲が広がり、費用も増加します。

また、ひび割れの放置などによって、雨漏りや鉄筋爆裂など重大な被害が発生すると、修繕費用が数百万円から数千万円に達することもあります。

建物の耐久性低下

ひび割れが進行すると、建物の構造体である鉄筋コンクリートにまで達し、建物の強度低下を招きます。

鉄筋コンクリートの劣化によって、ひび割れから水が侵入し、鉄筋コンクリート内部の鉄筋が腐食します。

また、鉄筋の断面積減少やコンクリートの剥離など、建物の耐荷重低下につながる重大な問題を引き起こす可能性があるため、放置は厳禁です。

建物の耐震性の低下は、地震などの外力を受けた際に、ひび割れが拡大し、建物の倒壊リスクが高まります。

雨漏りによる二次被害

外壁のひび割れは、放置すると雨漏りを招き、建物の構造体や内部空間、さらには住人の健康まで脅かす二次被害を引き起こします。

具体的な二次被害は、以下の通りです。

シロアリの発生・繁殖

雨漏りによって壁や床が湿り、シロアリが発生・繁殖しやすい環境になります。

シロアリは湿度の高い場所を好むため、雨漏りの影響を受けやすい部位は特に注意が必要です。

また、雨水で腐食した木材は、シロアリにとって格好のエサとなります。

シロアリは木材を食害し、建物の構造体や家具などを損傷させるため、早めに駆除しましょう。

カビなどによる健康被害

雨漏りによってカビなどの二次被害を引き起こし、建物の劣化や住人の健康被害に繋がる可能性があります。

カビの胞子を吸い込むことで、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状、喘息や肺炎などの呼吸器疾患を引き起こす可能性があります。

また、カビを含めた化学物質が原因で、頭痛や吐き気、めまいなどの症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

外壁のひび割れの補修方法

外壁のひび割れの補修方法は、ひび割れの大きさや深さ、原因などによって異なります。

主なひび割れの補修方法は、以下の通りです。

フィラー

軽微なひび割れの場合、比較的簡単な方法として「フィラー」の使用が挙げられます。

フィラーは、ひび割れや穴を埋めて補修するための材料です。

パテ状のものや、液状のものなどがあり、外壁材やひび割れの大きさに合わせて選びます。

専門的な知識や技術がなくても、比較的簡単に作業が可能です。

また、他の補修方法に比べて、費用が抑えられ、乾燥が早いので短時間で補修が完了します。

ただし、深さ0.3mm以下の軽微なひび割れにしか適用できません。

コーキング

幅0.3mm〜1mm程度のクラックは、コーキングによる補修が適しています。

コーキングは、ひび割れにコーキング材を注入することで、防水・気密性を回復させる補修方法です。

コーキングによって、防水・気密性の向上、建物の耐久性向上などの効果が得られます。

コーキング材の種類には、シリコーン系、変成シリコーン系、ウレタン系があり、各種類の特徴に合わせた補修が重要です。

コーキング補修は、専門知識と技術が必要となるため、経験豊富な施工業者に依頼することをおすすめします。

V字カット・コーキング

一般的なコーキング補修に加え、確実な仕上がりを求める場合、V字カットと呼ばれる手法を用いることがあります。

V字カットの利点は、以下の通りです。

  • V字にカットすることで、コーキング材を隅々まで注入し、空洞を防ぐ
  • 十分な厚みのコーキング材を注入することで、剥がれにくくなる
  • 接着面積が増えるため、耐久性が向上する

V字カットは、電動工具を用いるため、技術と経験が必要です。

必要以上にカットすると、外壁の強度が低下する可能性があります。

また、工具の取り扱いには、安全面への配慮が必要です。

確実なクラック補修のためには、V字カットを含む施工を専門業者に依頼することをおすすめします。

業者に修理を依頼したほうがいい外壁のひび割れ

以下のような場合は、業者に修理を依頼した方が賢明です。

幅1mmを超えるような大きなひび割れは、構造的な問題に繋がる可能性があり、専門的な知識と技術を持ったプロによる補修が必要です。

ひび割れから水が染み出している場合は、雨漏りが発生している可能性があります。

早急な補修が必要となるため、プロに依頼しましょう。

また、足場が必要となる高所での作業は、安全性確保のためにプロに依頼することをおすすめします。

外壁の補修・修理工事の費用相場

外壁補修・修理の費用相場を以下の表にまとめました。

補修・修理の種類費用相場
部分補修約1万〜10万円/箇所
コーキング補修打ち替え:約900〜1,200円/㎡
打ち増し:約500〜900円/㎡
全体塗装約2,000〜5,000円/㎡
カバー工法約6,000〜8,000円/㎡
張り替え約7,000〜9,000円/㎡

外壁のひび割れ補修には、主に部分補修と全体補修の2種類があります。

いずれの補修方法においても、作業箇所が高所となる場合、安全確保のために足場の設置が必要です。

足場設置には、10~20万円の追加費用が発生することがあります。

事前に業者に確認して、足場が必要かどうか、必要な場合は費用がどのくらいになるのかを知ることが重要です。

外壁の修理工事で火災保険や住宅保険が適用されるケースとは?

外壁のひび割れや塗装剥がれなどの修理工事は、火災保険や住宅保険で補償される場合があります。

適用されるケースは、以下の通りです。

  • 火災:火災によって外壁が損害を受けた場合
  • 風災:台風や突風などの強風によって外壁が損害を受けた場合
  • 雪災:大雪によって外壁が損害を受けた場合
  • 雹災:雹によって外壁が損害を受けた場合
  • 落雷:落雷によって外壁が損害を受けた場合
  • 破裂・爆発:ガス爆発などの破裂・爆発によって外壁が損害を受けた場合

一方、火災保険や住宅保険が適用されないケースは、外壁の経年劣化や故意や過失による外壁の損傷などがあります。

火災保険や住宅保険の契約内容によっては、外壁修理工事が補償されない場合があるため、契約書類をしっかり確認しましょう。

DIY可能なひび割れの大きさと直し方

ひび割れの大きさが幅0.3mm以下のヘアークラックや、長さ10cm程度のひび割れの場合は、コーキングを用いたDIYでの補修が可能です。

DIYでひび割れを補修する場合、以下の道具が必要です。

  • ワイヤーブラシ
  • 養生テープ
  • コーキングガン
  • コーキング剤
  • ヘラ
  • スポンジ
  • 脚立(必要に応じて)

補修方法は、以下のような流れで行います。

  1. ワイヤーブラシでひび割れ周辺の汚れや浮きを落とす
  2. 養生テープでひび割れ周辺を保護する
  3. コーキングガンにコーキング剤をセットする
  4. ひび割れにコーキング剤を注入する
  5. ヘラでコーキング剤を平らにならす
  6. スポンジで水拭きして余分なコーキング剤を拭き取る
  7. 養生テープを剥がす

作業時間は、1時間ぐらいで完了します。

ただし、コーキング剤の乾燥には1日ほど必要です。

外壁のメンテナンス

外壁は定期的な点検、適切なメンテナンスによって建物の美観を保ち、耐久性を向上させることができます。

ここでは、具体的なメンテナンス方法について解説します。

定期的な点検

外壁を長持ちさせるためには、定期的な点検が欠かせません。

年に1回は専門業者に外壁の点検を依頼することをおすすめします。

点検では、ひび割れや剥がれ、コケやカビの発生などをチェックします。

点検によって外壁の劣化を早期に発見し、適切なメンテナンスを行うことで、建物の寿命を延ばすことが可能です。

ただし、放置すると、雨漏りなどの二次被害に繋がる可能性があります。

適切なメンテナンス方法

外壁のメンテナンスには、以下のような方法があります。

  • 高圧洗浄機やホースを使って、外壁の汚れやコケなどを落とす
  • 外壁の劣化を防ぎ、美観を保つために塗装を行う
  • ひび割れや目地にコーキング材を注入し、防水性を高める
  • ひび割れや剥がれなどの損傷を補修する

外壁のメンテナンスは、建物の状況や環境によって異なるため注意がh。

適切なメンテナンス方法については、専門業者に相談することをおすすめします。

ひび割れ以外で外壁から雨漏りが起こる原因

外壁のひび割れは雨漏りの原因としてよく知られていますが、ひび割れ以外にも以下のような原因が考えられます。

サッシ廻り

サッシと外壁の間には、防水性を高めるためにコーキング材が充填されています。

しかし、経年劣化や紫外線による影響で、コーキング材が劣化したりひび割れたりすると、防水性が低下し雨漏りの原因となります。

窓枠の排水穴の詰まりや、サッシ枠の傾斜が不十分だったりすることも、雨漏りの原因の1つです。

サッシの取り付けが不十分な場合、隙間が生じて雨水が侵入する可能性があります。

窯業系サイディングやALCなどの目地部分

窯業系サイディングやALCなどの目地部分に充填されている、シーリングの劣化が原因となる場合も考えられます。

シーリング材は、目地部分の防水性を保つために使用されるものです。

しかし、経年劣化によりシーリング材が硬化したり、痩せたり、剥がれたりすることで、防水性が失われると、雨漏りが発生する可能性が高まります。

また、サイディングやALC板の施工不良や地震などの影響で、目地が浮いてしまうことがあります。

浮いている目地部分から雨水が浸入し、雨漏りに繋がる可能性が高いです。

水切り金具の不具合

水切り金具とは、外壁の各部に取り付けられ、雨水を建物内部に侵入させないようにするための金属製の部材です。

主に、屋根と外壁の取り合い部分、サッシの上部、ベランダやバルコニーの下などに設置されています。

水切り金具の劣化、浮き、取り付け不良、詰まりなどの不具合が、雨漏りの原因となる場合があります。

屋上・ベランダ・バルコニーの防水層の劣化

屋上・ベランダ・バルコニーの防水層の劣化も、雨漏りの原因の1つです。

防水層に亀裂や穴が開いたり、外壁材との接合が劣化すると、そこから水が浸入して雨漏りにつながります。

また、排水口の詰まりによって水が溜まって防水層を劣化させることもあります。

笠木の劣化

笠木の劣化によって雨漏りが起こることもあります。

笠木とは、屋根や外壁の上端に設置されている金属製の板状の部材です。

雨水が壁面を伝って流れ落ちるのを防ぎ、壁面を保護する役割があります。

笠木の劣化には、経年劣化による腐食、塗装の剥がれ、取り付け不良などが考えられます。

まとめ

ここまで、外壁のひび割れと雨漏りの関係性について解説してきました。

この記事の要点は、以下の通りです。

  • 外壁のひび割れの種類と原因:ヘアークラック、構造クラックなど
  • 外壁のひび割れの放置リスク:雨漏りの原因となり、建物の腐食や劣化の進行など
  • 外壁のひび割れの補修方法:程度によってフィラー、コーキング、V字カットを使い分ける
  • DIYによる外壁補修は、軽微なものであれば可能
  • 外壁の定期的な点検、メンテナンスが重要
  • 雨漏りは、ひび割れ以外にもサッシ廻り、目地部分、水切り金具、屋上・ベランダ・バルコニーの防水層、笠木などの劣化が原因となる場合がある
  • 外壁のひび割れによる雨漏りは、火災保険や住宅保険で補償される場合がある

外壁のひび割れは、放置すると雨漏りの原因となり、建物の耐久性や耐震性を低下させ、健康被害に繋がる可能性があります。

定期的な点検と適切なメンテナンスを行い、ひび割れを発見したら早めに対処しましょう。

関連記事
LINE TEL MAIL