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大規模修繕工事での公募の方法について

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大規模修繕工事の公募方法

建物の大規模修繕工事では、コストパフォーマンスの高い施工業者を選定するために、公募方式を採用することが一般的です。

公募方式には、指名競争入札と一般競争入札の2つの方法があります。

結論から述べますと、一般競争入札は広く業者を公募するため透明性が高く、コスト削減が期待できる一方で事務手続きが煩雑になる傾向にあります。

指名競争入札は、発注者が数社の業者を指名して入札を行う方式です。

一定の信頼のおける業者のみに参加を呼びかけるため、品質面のリスクは低くなります。

しかし、発注者が恣意的に指名業者を選ぶ可能性があり、入札金額が高止まりしがちという課題もあります。

一方の一般競争入札は、公告により不特定多数の業者に参加を呼びかけ、価格面で有利な業者を選定する方式です。

競争原理が働くため、修繕費の抑制が期待できます。

ただし、応募業者を事前に絞り込めないため、不適格な業者が入札に参加するリスクもあります。

大規模修繕工事の公募のメリット・デメリット

大規模修繕工事で公募方式を採用するメリットとして、以下の点が挙げられます。

  • 競争原理が働き、施工費が抑制できる
  • 入札プロセスの透明性が確保できる
  • 発注者が恣意的に業者を選定するリスクを回避できる

一方で、公募方式にはデメリットもあります。

  • 公募手続きに伴う事務作業が増える
  • 品質の高い施工を期待できない業者が入札に参加するリスクがある
  • 業者の選定に時間がかかる

このように、公募方式は透明性やコスト面でメリットがある反面、品質面での懸念や事務コストの増大というデメリットも存在します。

発注者は、工事内容に応じてメリット・デメリットを勘案し、最適な方式を選択する必要があります。

大規模修繕工事の公募の進め方

大規模修繕工事における公募の一般的な進め方は、以下の通りです。

  1. 公募内容の決定
    修繕工事の内容と概算費用、工期を明確化する
    応募業者の参加要件や評価基準を設定する
  2. 公募の公示
    公共発注の場合は官報や自治体の入札情報で公示
    民間発注の場合は専門誌や自社サイトで公募を案内
  3. 入札説明会の開催(任意)
    工事内容の詳細を説明し、質疑応答を行う
  4. 設計図書の貸与
    図面や仕様書など、入札に必要な資料を業者に配布
  5. 入札の実施
    公募要領に従い、書類と入札価格を提出させる
  6. 業者の審査・選定
    価格のみならず、実績や体制なども総合的に評価し、最適な業者を選定
  7. 工事の契約・発注
    落札業者と発注者間で工事契約を締結し、工事発注を行う

入札における業者評価の透明性を高めるため、評価基準や審査結果をあらかじめ公表しておくことが重要です。

また、公正な競争を期すため、談合防止対策も徹底する必要があります。

大規模修繕工事の公募時の注意点

大規模修繕工事を公募する際には、様々な注意点がありますが、結論から述べると、応募要件の適切な設定、公平な業者選定プロセス、談合防止対策の徹底が特に重要です。

これらに留意することで、質の高い工事を適正な価格で実現できるでしょう。

応募要件の設定

大規模修繕工事の公募においては、適切な応募要件を設けることが不可欠です。

要件を緩めすぎると、実力不足の業者が参入し、工事の品質が担保できなくなるリスクがあります。

一方で、要件を過剰に厳しくすると、応募者が限定されてしまい、競争原理が働かず、価格が高止まりしてしまう可能性もあります。

そのため、工事の規模や難易度に見合った要件を設定する必要があります。

具体的には、以下の項目について、適正な水準を定める必要があります。

  • 同種工事の実績
  • 施工能力(技術者数、設備の保有状況など)
  • 経営状況(資本金、売上高など)

国土交通省の公共工事の入札参加資格要件をはじめ、多くの事例を参考にすると良いでしょう。

公平な業者選定プロセス

公募における業者選定プロセスの公平性・透明性を確保することも重要です。

価格以外の評価項目とその配点を明確化し、評価基準を事前に公表することが求められます。

また、審査は複数の有識者で構成される委員会が行い、審査経過や選定理由を公表することで、恣意的な判断がなされていないことをアピールする必要があります。

実際に、東京都では「入札監理小委員会」を設置し、入札・契約の過程の透明性を確保するよう努めています。

談合防止対策の徹底

大規模修繕工事の公募では、談合を防止する対策を怠らず、公正な競争環境を整備することが何より重要です。

談合があれば、適正な価格で施工業者を選定することはできません。

まず入札前の情報共有を避けるため、複数業者への一括説明会の開催や設計図書の同時貸与は避ける必要があります。

また、過去に談合の前科がある業者に対しては、指名停止措置を適用するなどのペナルティを設けることが有効です。

さらに、発注者による入念な事前調査を行い、応札予定業者間での接触実態を精査することも求められます。

国土交通省が公表しているデータによれば、平成30年度の一般競争入札における不正行為の確認件数は56件に上ります。

このように根が深い問題だけに、発注者による継続的な監視と厳正な対応が不可欠といえるでしょう。

このように、大規模修繕工事の公募では、応募要件、選定プロセス、談合防止対策など、様々な観点から注意を払う必要があります。

細心の注意を払うことで、初めて適正な価格と質の双方を確保できるのです。

大規模修繕の発注方式の種類

ビルの大規模修繕工事を発注する際の主な発注方式には、以下の3種類があります。

  1. 設計監理分離発注方式
    設計と監理、施工をそれぞれ別の業者に発注する伝統的な方式
  2. 設計監理一括発注方式
    設計と監理を同一業者に一括して発注する方式
  3. 設計施工一括発注方式
    設計から施工まですべてを単一の業者に発注する方式

設計監理分離発注方式は、発注者のチェック体制が充実している場合に適しています。

設計監理者と施工者がけん制し合うため、品質の確保が期待できます。しかし、発注者の事務負担が重くなるデメリットもあります。

これに対し、設計監理一括発注では、設計と施工のつながりが円滑になり、効率的な施工が見込めます。

発注者の事務負担も軽減されるメリットがあります。

設計施工一括発注は施工者にとってメリットが大きい発注方式です。

設計から施工までを一貫して行えるため、合理化が図れます。しかし、発注者側のチェック機能が希薄になるリスクがあります。

このように、発注方式によって特徴が異なるため、発注者は工事内容に応じて、適切な方式を選択することが重要です。

特に公共工事では、設計監理分離を基本に、合理性の高い案件で他の方式を選択するのが一般的です。

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