ビル屋上の防水工事を失敗させないポイントは?種類や費用相場を解説 | 株式会社新東亜工業  

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ビル屋上の防水工事を失敗させないポイントは?種類や費用相場を解説

ビルの屋上は、風雨や紫外線などの厳しい環境にさらされるため、定期的な防水工事が必要です。

適切な防水工事を行わないと、雨漏りなどの深刻な問題を引き起こす可能性があります。

この記事では、ビル屋上の防水工事で失敗しないためのポイントを、種類や費用相場も踏まえながら詳しく解説します。

ビル屋上の防水工事は、建物の寿命を延ばし、雨漏りなどのトラブルを防ぐために欠かせないものです。

この記事で紹介したポイントを参考に、建物の状況に合った防水工事を選び、信頼できる施工業者に依頼しましょう。

ビルの屋上に防水工事が必要な理由とは?

ビルの屋上は、常に風雨や紫外線などの厳しい環境にさらされています。

そのため、適切な防水工事を行わないと、雨漏りなどの深刻な問題を引き起こす可能性が高まります。

雨漏りや建物劣化を防止するためには、防水工事が必要です。


防水層が劣化すると、雨水が屋上から建物内部に侵入し、雨漏りになります。


また、雨水が屋内に侵入すると、建物の木材や鉄筋が腐食し、建物全体の劣化を早めます。

特に、鉄筋コンクリート造の建物は、鉄筋が錆びるとコンクリートが破損し、建物の強度が低下する可能性が高いです。


さらに、屋上の防水層が劣化すると、断熱材や空調室外機、太陽光発電パネルなどが雨水によって濡れて故障してしまう可能性があります。

このように、ビルの屋上に防水工事を行うことは、建物を長持ちさせ、雨漏りなどのトラブルを防ぐために重要です。 

ビルの防水工事の種類と特徴

ビルの防水工事には、以下の4種類が主に用いられます。

それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。

ウレタン防水

ウレタン防水は、ビルや建物の屋上などによく用いられる防水工事の1つです。

液体状のウレタン樹脂を複数回塗り重ねることで、継ぎ目なく一体化した防水層を形成し、高い防水性と耐久性を発揮します。

複雑な形状の屋上や、コンクリート、モルタルなどの下地にも対応可能です。

ただし、ウレタン樹脂には特有の臭いがあるため、施工中は換気を十分に行う必要があります。

また、紫外線に弱いため、トップコートとして耐紫外線塗料の塗布が必要です。

シート防水

シート防水とは、塩化ビニール(塩ビ)シートやゴムシートを接着剤や専用の機械で貼り付けて、防水層を作る工法です。

シート防水は、工場で予め作られたシートを貼り付けるため、比較的短時間で施工できます。

塩化ビニールシートやゴムシートは、水や紫外線に強い素材で作られているため、耐水性と耐候性に優れています。

ただし、シート同士を貼り合わせて作るため、継ぎ目部分は経年劣化により破損しやすいです。

アスファルト防水

アスファルト防水は、歴史が古く、実績豊富な防水工法です。

アスファルトの接着性と柔軟性を活かし、強固な防水層を形成します。

そのため、雨漏りに対する高い防水性を発揮し、長期間にわたって建物を守ることが可能です。

しかし、アスファルトは溶かす際に独特の臭いが発生し、防水層の重量が重くなります。

さらに、火を使うので、周辺の環境に影響が出ないよう配慮が必要です。

FRP防水

FRP防水とは、繊維強化プラスチック(FRP)を用いた防水工法です。

FRPは、ガラス繊維などの補強材と樹脂を組み合わせた素材で、軽量で強靭、耐水性、耐食性、耐候性に優れています。

ただし、他の防水工法に比べて費用が高くなります。

また、下地の状態が良好であることが必要です。

ビルの屋上に適した防水工事を選ぶポイント

ビルの屋上に適した防水工事を選ぶには、以下のポイントについて考慮が必要です。

躯体の劣化状態

ビルの屋上で防水工事を行う際、躯体の劣化状態は、適切な工法を選ぶ上で非常に重要な要素となります。

躯体の劣化状態によって、適した防水工法の種類や施工方法が大きく変わってくるからです。

躯体の劣化状態を判断するには、専門業者による調査が必要です。

軽微なひび割れや表面の劣化のみの場合は、ウレタン防水やシート防水などの工法で補修可能です。

ひび割れや欠損が大きくなった場合は、FRP防水やアスファルト防水などの耐久性の高い工法が必要になります。

躯体が大きく劣化している場合は、ウレタン防水やFRP防水などの防水工法に加え、モルタルやコンクリートによる躯体の補修が必要です。

ビルの屋上で防水工事を行う際は、躯体の劣化状態をしっかりと調査し、適切な工法を選ぶことが重要です。

適切な防水工事を施すことで、建物の寿命を延ばし、雨漏りなどのトラブルを防ぐことができます。

既存防水層の種類

既存の防水層の種類は、新しい防水工法を選択する上で重要なポイントです。

既存の防水層に適した防水工法の組み合わせは、以下のようになります。

既存防水層新しい防水工法
露出アスファルト防水露出アスファルト防水
保護コンクリートウレタン塗膜防水、塩ビシート防水
シート防水塩ビシート防水
ウレタン塗膜防水ウレタン塗膜防水
アスファルトシングルアスファルトシングル、改質アスファルト常温防水

防水工事を行う前に、業者に依頼して雨漏りの有無を調査する必要があります。

雨漏りがある場合は、原因を突き止めて修繕してから、防水工事を行うことが必要です。

屋上の用途

ビルの屋上に適した防水工事を選ぶには、屋上の用途を考慮する必要があります。

人や車が頻繁に出入りする屋上は、耐久性に優れているアスファルト防水やFRP防水が適しています。

屋上で人が歩行のみを行う場合は、安価で施工できるシート防水やウレタン防水が最適です。

屋上にプールや貯水槽がある場合は、高い防水性のあるFRP防水や塩ビシート防水が適しています。

屋上緑化がある場合は、耐水性の高いウレタン防水やシート防水が最適です。

各防水工法のメリットとデメリットを理解した上で、最適な防水工法を選びましょう。

ビルの防水工事の費用相場

防水工事の種類ごとの費用相場は、以下の通りです。

防水工事の種類費用相場耐用年数
ウレタン防水3,000円~7,000円/㎡10〜12年程度
FRP防水4,000円~7,500円/㎡12〜20年程度
シート防水2,500円~7,500円/㎡10〜15年程度
アスファルト防水5,500円~8,000円/㎡15〜25年程度

ビルの防水工事の費用相場は、防水の種類、施工面積、建物の状態、施工業者によって大きく異なります。

予算に合わせて最適な防水工法を選びましょう。

防水工事が必要な屋上の劣化症状

ビルの屋上は、常に風雨や紫外線などの厳しい環境にさらされています。

以下のような劣化症状が現れたら、防水工事が必要です。

ひび割れ

ひび割れは、防水層の劣化を示す最も目に見やすい症状の1つです。

屋上のひび割れは、紫外線によるトップコートの劣化が原因です。 

トップコートがひび割れると、防水層が露出し、雨水が浸入しやすくなります。

防水層の劣化は、建物の耐久性に影響を与え、雨漏りなどの深刻な問題を引き起こす可能性があります。

剥がれ

剥がれは、防水層の劣化が進行している深刻な症状の1つです。

防水層の剥がれによる雨漏りは、建物の構造体を腐食させ、カビやダニの繁殖を招き、健康被害にも繋がる恐れがあります。

早めのメンテナンスで、建物を守るだけでなく、健康被害のリスクも軽減しましょう。

膨れ

膨れは、防水層の下に水分が溜まっている可能性があり、放置すると雨漏りなどの深刻な問題を引き起こす可能性があります。

雨水が防水層の下に染み込み、蒸発した水蒸気が膨れの原因となることがあります。

施工時に下地処理が不十分であった場合も、膨れの原因となる可能性が高いです。

また、冬場に防水層の下に溜まった水が凍結し、融解するときに膨張して膨れが発生することがあります。

コケやカビの発生

コケやカビの発生は、防水層の劣化だけでなく、建物の美観にも悪影響を与える問題です。

コケやカビは、防水層の表面を覆い、防水性能を低下させます。

また、緑色のコケや黒色のカビは、屋上の美観を損ないます。

建物の老朽化や管理不良という印象を与え、資産価値の低下にも繋がる可能性が高いです。

さらにカビは、アレルギーや呼吸器疾患などの原因となる胞子を発生させます。

特に、高齢者や子供は抵抗力が弱く、健康被害を受けやすいので注意が必要です。

雨漏り

雨漏りは、亀裂や剥がれから雨水が侵入し、柱の錆や腐食、耐震性の低下を招き、最悪の場合、建物の崩壊にも繋がる可能性があります。

また、天井や壁のシミやカビだけでなく、床の腐食、家具の損壊、電気系統のショートなどの被害を引き起こします。 

内部まで水が浸透すると、リフォームが必要になり、多額の費用が発生する可能性が高いです

雨漏りは早期発見・早期解決が重要です。

 少しでも異変を感じたら、すぐに専門業者に相談しましょう。

ビルの屋上に防水工事を行うタイミング

防水工事を実施する一般的な目安は10〜15年と言われています。

築10年を過ぎたら、防水工事の必要性を検討し始めるのが良いでしょう。

ただし、中古ビルを購入した場合、前回の防水工事がいつ頃行われたか把握できないケースも多くあります。

このような場合、専門業者に調査を依頼し、必要に応じて防水工事を行うことをおすすめします。

また、以下のような劣化の兆候が現れた場合は、防水工事が必要です。

  • 色褪せ
  • チョーキング現象
  • ひび割れ
  • 剥がれ
  • 膨れ
  • ドレンや脱気筒の錆び

上記以外にも、雨漏りなどのトラブルが発生した場合は、すぐに専門業者に相談しましょう。

防水工事の業者選びのポイント

防水工事は専門的な知識と技術が必要なため、業者選びを間違えると、思わぬトラブルに繋がる可能性があります。

後悔しないための業者選びのポイントは、以下の通りです。

施工実績

防水工事の業者選びにおいて、施工実績は最も重要なポイントの1つです。

過去の施工実績は、業者の技術力と経験を証明するものです。

豊富な施工実績を持つ業者は、あらゆる状況にも対応できるノウハウを蓄積しており、高品質な防水工事を期待できます。

また、同じような規模や構造のビルの防水工事を経験している業者を選んだ場合、より適切な施工方法を提案してくれるでしょう。

複数の業者から見積もりを取る

複数の業者から見積もりを取ることは、適正な価格で高品質な工事を依頼するために非常に重要です。

最低3社以上の業者から見積もりを取り、見積もり内容を詳細に比較しましょう。

見積もり内容の比較ポイントは、以下の通りです。

  • 使用する材料
  • 工法
  • 費用
  • 保証内容
  • 工期
  • アフターサービス

また、見積もりを取るだけで料金が発生するかどうかを事前に確認しておきましょう。

保証内容

保証内容の確認ポイントは、保証期間、保証内容、免責事項、加入している保険などがあります。

保証期間は長いほど安心です。

一般的には、5年~10年程度ですが、中には15年~20年保証している業者もあります。

保証内容は、施工不良による雨漏りだけでなく、材料の劣化や施工ミスによるトラブルなども含むのか確認しましょう。

防水材メーカーが提供する保証や施工業者が独自に提供する保証制度などもあります。

また、工事瑕疵保険は国土交通省が定める保険制度であり、施工不良による雨漏りなどを保証するものです。

担当者の対応

担当者は、顧客との窓口となる重要な役割を担っており、その対応によって、工事全体の質や満足度に大きく影響します。

防水工事に関する知識や施工内容を、分かりやすく丁寧に説明してくれるかどうか、質問や問い合わせに対して、迅速かつ丁寧に回答してくれるかどうかなどが、業者を選ぶポイントです。

また、約束を守り、誠実に対応してくれるか、トラブルが発生した場合、迅速かつ適切に解決してくれる担当者であれば安心して依頼できます。

資格

防水工事の業者選びにおいて、資格は重要な判断材料の1つです。

代表的な防水施工に関する国家資格には、防水施工技士があります。

一級防水施工技士は防水工事の施工管理や指導を行うための国家資格です。

防水工事に関する幅広い知識と技術を持っていることを証明しています。

二級防水施工技士は、防水工事の施工を行うための国家資格です。

一級防水施工技士に比べると知識や技術の範囲は限定されますが、基本的な防水工事であれば問題なく施工できます。

上記以外にも、特定建設業許可や塗装技能士などの資格を持っている業者もあります。

これらの資格は、防水工事に関する専門性を証明するものではありませんが、業者の信頼性を判断する材料の1つです。

防水工事をしてもビルの雨漏りが解決されない原因は?

屋上の防水工事をしても雨漏りが改善されないケースは、意外と多いものです。

特に築年数が経ったビルの場合、雨漏りの原因は屋上だけではない可能性があります。

ここでは、その原因について解説します。

鉄筋コンクリート造(RC造)の漏水原因

コンクリートは雨水が染み込みやすく、劣化が進行しやすいという問題があります。

新築当初は問題が見られない場合でも、築年数が経過するにつれて、雨漏りの原因となる可能性が高いのです。

また、コンクリートは一見劣化しにくいイメージがありますが、酸性雨、凍害、塩害、炭酸化など、外部からの影響を受けて徐々に劣化していきます。 

これらの劣化によって、コンクリートの強度が低下し、ひび割れや剥離などの症状が現れるようになります。 

ひどい場合には、鉄筋が露出してしまい、建物の構造体自体が損傷を受ける可能性もあるため注意が必要です。

鉄骨造(S造)の漏水原因

鉄骨造は、鋼材の柱と梁を組み合わせて骨組みを造る構造です。

外壁には、ALC板、サイディング、押出成形セメント版など、工場で生産されたパネル材を使用します。

パネル同士の接着にはコーキング材が使われており、経年劣化によって硬化し、建物の揺れに対応できなくなるのです。 

その結果、パネル間の隙間から雨水が浸入し、雨漏りの原因となる可能性があります。

また、パネル自体も経年劣化によってひび割れが生じ、そこから雨水が漏水するケースもあります。 

特に、ALC板は吸水性が高いため、雨水が染み込みやすく、劣化が進行しやすいです。

その他の漏水原因

ビルの雨漏りは、必ずしも屋上から侵入しているとは限りません。

防水工事が完了しても雨漏りが止まらない場合、以下の原因が考えられます。

  • ルーフドレン(排水口)の詰まり
  • 屋上やベランダに設置している笠木の劣化
  • パラペットの劣化
  • 外壁のひび割れ
  • 外壁や天窓のシーリング材の劣化

防水工事をしても雨漏りが止まらない場合は、原因を特定するために専門業者に調査を依頼することが大切です。

原因を突き止めれば、適切な対策を講じることができ、雨漏りを確実に止めることができます。

まとめ

ここまで、ビル屋上の防水工事について解説してきました。

この記事の要点は、以下の通りです。

  • ビル屋上に防水工事が必要な理由:雨漏りなどのトラブルを防ぐ、建物の寿命を延ばす、熱材や空調室外機などを守る
  • ビルの防水工事の種類:ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水
  • ビルの屋上に適した防水工事を選ぶポイント:躯体の劣化状態、既存防水層の種類、屋上の用途
  • 防水工事が必要な屋上の劣化症状:ひび割れ、剥がれ、膨れ、コケやカビの発生、雨漏り
  • ビルの屋上に防水工事を行うタイミング:築10年を過ぎ、劣化の兆候が現れたら検討
  • 防水工事の業者選びのポイント:施工実績、複数の業者から見積もりを取る、保証内容、担当者の対応、
  • 資格
  • 防水工事をしてもビルの雨漏りが解決されない原因:鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造(S造)の劣化

ビル屋上の防水工事は、建物の寿命を延ばし、雨漏りなどのトラブルを防ぐために欠かせません。

以上のポイントを参考に、建物の状況に合った防水工事を選び、信頼できる施工業者に依頼しましょう。

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