2024.04.18
屋上防水工事の種類と選び方|マンション防水の費用・耐用年数・劣化サインを解説
屋上の防水層は、築10年を過ぎたあたりから徐々に劣化が進み、放置すれば雨漏りや建物内部の損傷につながる恐れがあります。特にマンションやビルの屋上では、防水工事のタイミングや工法選びが建物の寿命を大きく左右します。
屋上防水工事には「アスファルト防水」「シート防水」「ウレタン防水」「FRP防水」など複数の種類があり、建物の形状や既存の防水層、使用目的によって最適な工法は異なります。また、施工単価や工期、耐用年数もそれぞれ違うため、選び方に迷う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、防水工事の種類とそれぞれの特徴、費用の目安、適したケース、工事を依頼する際の注意点までを詳しく解説。プロに依頼すべき理由やDIYとの違いにも触れながら、失敗しない防水工事のポイントを紹介します。

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防水工事とは?屋上や屋根を守るための基本知識と重要性
防水工事とは、建物の屋上、屋根、ベランダ、外壁などに施すことで、雨水の浸入を防ぎ、建物内部の劣化を防ぐための重要な工事です。
特に屋上や屋根は、常に雨風にさらされているため、防水層の劣化が進みやすく、定期的な防水工事が必要です。ベランダや外壁も同様に、水分の侵入を防ぐための対策が欠かせません。
雨漏りや建物の劣化を防ぎ、建物の寿命を延ばすために重要な工事となります。
ただし、新築住宅とは異なり、既存の防水層の状態を調査・診断した上で、適切な工法を選択することが必要です。
屋上防水工事の種類一覧とそれぞれの劣化症状・改修目安
屋上の防水層は、経年劣化によって機能が低下し、雨漏りなどの原因となります。
定期的な点検を行い、劣化サインを見つけたら早めの改修工事が必要です。
ここでは、代表的な防水層ごとの劣化サインと改修工事実施の目安をご紹介します。
アスファルト防水|屋上に強い耐久型工法の特徴と改修タイミング
アスファルト防水は、溶融アスファルトとアスファルト材を厚く重ねることで形成される、耐久性に優れた防水工法です。
標準工期は約3週間で、耐用年数は約15~25年と長く、屋上や外壁などの部位に広く採用されています。
アスファルト防水の改修時期は、以下のポイントをチェックすることで判断できます。
- 防水工事を行わず15年以上経過している
- 防水層の重ね合わせ部分に隙間が開いている
- 床面や立面の防水層がふくらみ、水が入っている
- 水切り部分の金物が硬化または破断している
近年では、熱や煙、においが少ない「常温工法」と「トーチ工法」が主流です。
アスファルト防水は、定期的な点検と適切な改修時期の判断によって、建物の長寿命化に貢献します。
雨漏りなどのトラブルを防ぐためにも、専門業者による点検を定期的に行いましょう。
シート防水|紫外線に強く施工が早い工法の特徴と見極めポイント
シート防水は、塩ビシートまたはゴムシートを接着剤で接着する、紫外線に強く、施工が容易な防水工法です。
標準工期は1〜5日と短く、耐用年数は10〜15年と比較的長持ちします。
シート防水の改修時期は、以下のポイントをチェックすることで判断が可能です。
- 防水工事を行わず10年以上経過している
- シート外周の上面に亀裂が見られる
- シートのコーナー部分にシワが寄っている
- 水切り部分の金物が硬化または破損している
- シートの一部に虫食いのような穴が空いている
シート防水の工法には、接着剤で固定する「接着工法」と、ビスや金物で固定する「機械的固定工法」があります。
近年では、接着剤の進歩により、接着工法が主流です。
シート防水は、施工の確実性が特に重要で、シート同士の接合部分は、隙間なくしっかりと接着する必要があります。
接着剤の塗布量や乾燥時間、ローラー圧着など、細部に注意しながら施工することで、高い防水性を発揮することが可能です。
ウレタン防水|複雑形状にも対応できる柔軟性と施工方法の解説
ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を形成する、施工性が高く、コストを抑えたい場合に適した防水工法です。
標準工期は1〜5日と短く、耐用年数は10〜12年と比較的長持ちします。
ウレタン防水の改修時期は、以下のポイントをチェックすることで判断が可能です。
- 防水工事を行わず10年以上経過している
- 全体的に白っぽく粉を吹いている(チョーキング現象)
- 防水層が削れて下地が出ている
- 下地がひび割れ、塗膜も一緒に切れている
- 防水層の一部が破れている
ウレタン防水の工法には、下地に密着させる「密着工法」と、空気層を設ける「通気緩衝工法」があります。
床の形状や材質に関わらず施工が可能であるため、屋上やバルコニーなど、複雑な形状の場所にも適しています。
ウレタン防水は、比較的安価で施工が容易ですが、紫外線に弱く、定期的なメンテナンスが必要です。
トップコートの塗り替えを定期的に行うことで、防水性を維持することができます。
アスファルトシングル|屋根材にも使える軽量防水の特長と注意点
アスファルトシングルは、歴史が長く、軽量で施工性に優れていることから、屋根などに広く採用されている防水工法です。
標準工期は5日〜2週間と比較的長く、耐用年数は15〜30年とかなり長持ちします。
アスファルトシングルの改修時期は、以下のような劣化症状が現れた場合に検討が必要です。
- アスファルトシングルが剥がれたり浮いている
- 屋根材が剥がれて飛散している
- 表面がボロボロになっている
- カビやコケが発生している
- 下地の木質パネルが腐食している
アスファルトシングルは、ガラス繊維基盤にアスファルトを浸透・コーティングし、表面に砂粒を吹き付けられています。
北米では100年以上前から屋根材で使われており、日本でも2007年の建築基準法を機に戸建てやマンションで使われるようになりました。
ただし、紫外線に弱く、経年劣化によって色が薄くなる点がデメリットです。
また、施工業者によって施工の仕上がりに差が出るため、信頼できる業者を選びましょう。
防水工事の種類別比較|㎡単価・耐用年数・特徴を一覧で紹介
工法 | 耐用年数 | 費用相場(㎡) | 特徴 | 向いている建物 |
---|---|---|---|---|
アスファルト防水 | 約15〜25年 | 約4,000〜8,000円 | 高耐久・重量あり | 大型マンション・ビル |
シート防水 | 約10〜15年 | 約4,000〜8,000円 | 施工が早く紫外線に強い | 陸屋根・中層建物 |
ウレタン防水 | 約10〜12年 | 約5,000〜8,000円 | 柔軟性あり・複雑な形状に対応 | バルコニー・狭小屋上 |
FRP防水 | 約10〜15年 | 約5,000〜10,000円 | 高強度・硬質仕上げ | 戸建て・ベランダなど小面積 |
アスファルトシングル | 約15〜30年 | 約6,000〜10,000円 | 軽量・遮音性高 | 勾配屋根・木造住宅 |
防水工事における一般的な工事単価・費用について
防水工事はマンションや建物の屋上やベランダ、外壁などにおいて水の侵入を防ぐために行う重要な工事です。適切な防水工事を行うことで、建物の耐久性を保ち、漏水や劣化を防ぐことができます。以下では、防水工事における工事単価と費用について詳しく解説します。
防水工事の種類と特徴|工事ごとの単価や費用の目安
防水工事にはいくつかの種類があり、それぞれの特徴や費用が異なります。以下に主な防水工事の種類と工事ごとの単価や費用の目安を紹介します。
アスファルト防水|耐久性重視の伝統的工法
アスファルト防水は、加熱したアスファルトを用いて防水層を形成する工法で、高い耐久性と信頼性が特徴です。耐用年数は15〜25年と長く、大規模なマンションやビルで多く採用されています。
【メリット】
- 防水層が厚く、耐久性が高い
- 長寿命で改修頻度が少ない
【注意点】
- 加熱・溶融作業により臭気や煙が発生する
- 工期が長めで費用もやや高い傾向
シート防水|施工が早くコストも抑えやすい
シート防水は、塩ビシートやゴムシートを接着・固定して防水層を作る工法です。工期が短く、紫外線や風雨に強いのが特長で、耐用年数は10〜15年です。
【メリット】
- 施工が早く、費用も比較的安価
- 紫外線に強く、劣化しにくい
【注意点】
- 下地が不陸(凸凹)だと仕上がりにムラが出やすい
- 継ぎ目の接着不良による漏水リスクがある
ウレタン防水|複雑な形状にも対応できる柔軟性
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を作る工法で、複雑な屋上形状や狭い箇所にも適応できる柔軟性が魅力です。耐用年数は約10〜12年。
【メリット】
- 継ぎ目のないシームレスな仕上がり
- コストが比較的安価
【注意点】
- 紫外線に弱く、トップコートの定期塗り替えが必要
- 職人の腕によって仕上がりに差が出やすい
FRP防水|高耐久・高防水性の硬質仕上げ
FRP(繊維強化プラスチック)防水は、樹脂にガラス繊維を混ぜて強化した防水工法で、極めて高い耐水性と耐摩耗性を誇ります。耐用年数は10〜15年程度です。
【メリット】
- 硬質な仕上がりで傷や摩耗に強い
- 耐水性が高く、屋上やバルコニーに最適
【注意点】
- 硬化中に臭いが強く出る場合がある
- 複雑な形状にはやや不向き
防水工事の種類 | 特徴 | 費用の目安(㎡あたり) |
---|---|---|
シート防水 | ゴムシートや塩ビシートを使用して防水層を形成する方法。耐久性が高く、施工が比較的容易。 | 4,000円〜8,000円 |
ウレタン防水 | 液状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成する方法。柔軟性があり、複雑な形状にも対応可能。 | 5,000円〜8,000円 |
FRP防水 | ガラス繊維強化プラスチック(FRP)を使用する方法。耐久性と防水性が非常に高い。 | 5,000円〜10,000円 |
アスファルト防水 | 熱アスファルトや改質アスファルトシートを使用する方法。耐久性があり、大規模建物に適している。 | 4,000円〜8,000円 |
防水工事で失敗しないための注意点|業者選びと施工品質の確認方法
防水工事を行う際には、以下の点に注意する必要があります。
項目 | 説明 |
---|---|
施工業者の選定 | 信頼できる施工業者を選定することが重要です。相見積もりでの費用の確認、業者の実績や口コミを確認しましょう。 |
材料の選定 | 建物の状況や用途に応じて適切な防水材料を選定することが重要です。 |
定期点検とメンテナンス | 防水工事後も定期的に点検を行い、必要に応じてメンテナンスを行うことで、防水効果を長持ちさせることができます。 |
特に防水工事業者を選ぶ際にはしっかり見極めて、選ぶようにしましょう。
防水工事の費用を抑えるコツ|賢い見積もり比較と事前対策とは?
防水工事の費用を抑えるためには、以下の方法が考えられます。
方法 | 説明 |
---|---|
複数業者からの見積もり取得 | 複数の業者から見積もりを取り、内容や価格を比較検討します。 |
事前の点検と小規模修繕 | 定期的な点検と小規模な修繕を行うことで、大規模な防水工事の頻度を減らし、費用を抑えることができます。 |
長期的な計画 | 長期的な視点で防水工事の計画を立て、必要な時期に適切な修繕を行うことが重要です。 |
以上が、防水工事における工事単価と費用についての解説です。防水工事を計画する際には、これらのポイントを参考にし、適切な工法と材料を選定することで、雨漏りや漏水を防ぎ効果的な防水対策を行うことができます。
屋上の劣化状態別に適した防水工法とは?おすすめの選び方ガイド
既存の防水層の状態によって、適切な防水工事の工法は異なります。
ここでは、代表的な既存防水層と、それぞれに適した改修工法の種類について紹介します。
露出アスファルト防水の改修におすすめの防水工法3選
既存の防水層が露出アスファルト防水の場合、以下の工法が適しています。
おすすめの工法1.湿気硬化型アスファルト防水工法
湿気硬化型アスファルト防水工法は、安全で環境に優しい、次世代の防水工法として期待されています。
工法の特徴は、以下の通りです。
- 火を使わず、常温で施工できるため、安全性が高く、周辺環境への影響も少ない
- 改質アスファルトルーフィングとの積層により、高い防水性を実現
- 紫外線や風雨に強く、長期間にわたって性能を維持
- 溶剤を使用しないため、環境負荷を低減
- 従来のアスファルト防水工法に比べて軽量で、建物への負担が少ない
- 施工が迅速で、工期を短縮できる
- 屋上やバルコニー、地下など、様々な場所で使用可能
おすすめの工法2. 改質アスファルト防水トーチ工法
改質アスファルト防水トーチ工法は、熱で融着させた改質アスファルトルーフィングを重ね貼りすることで、防水層を形成する工法です。
改質アスファルト防水トーチ工法には、以下のような特徴があります。
- 熱融着により、継ぎ目がない防水層を形成するため、高い防水性を誇る
- 改質アスファルトルーフィングは、紫外線や風雨に強く、長期間にわたって性能を維持できる
- 比較的簡単な施工方法で、複雑な形状にも対応可能
- 初期費用は比較的安価だが、定期的なメンテナンスが必要
- トーチバーナーを使用するため、CO2を排出する
おすすめの工法3. 改質アスファルト防水常温工法
改質アスファルト防水常温工法は、火を使わずに行う防水工法です。
工法の特徴は、以下のようなものがあります。
- 火を使わないため、周辺環境への影響が少なく、安全性の高い工法
- 溶剤を使用しないため、臭いやVOCの発生が少なく、環境負荷を抑えられる
- 火を使う必要がないため、養生や乾燥にかかる時間が短く、工期を短縮できる
- 従来のアスファルト防水よりも軽量なため、建物への負荷が少なく、耐震性が向上する
- 表面にエンボス加工が施されているため、歩行にも耐えられる
- 屋上、陸屋根、バルコニーなど、多くの場所に応用可能
- 既存の防水層の上から施工できるため、改修工事に適している
屋上防水工事|既存が保護コンクリート仕上げ(シンダーコンクリート)の場合
既存の防水層が保護コンクリート仕上げ(シンダーコンクリート)の場合は、以下の工法が適しています。
おすすめの工法1. ウレタン塗膜防水
ウレタン塗膜防水は、ウレタン樹脂を塗り重ねて防水層を作る工法です。
ウレタン塗膜防水には、以下のような特徴があります。
- 塗り重ねる工法なので、継ぎ目がないシームレスな防水層を作ることができる
- 他の防水層に比べて軽量で、建物への負荷が小さい
- 弾性があり、建物の動きへの追従が可能
- 耐水性と耐候性に優れている
- 豊富な色や模様のトップコートが選べるため、美観性に優れた防水層が作れる
- トップコートによっては歩行も可能
- 比較的短期間で施工できる
- 他の防水層に比べて比較的安価
おすすめの工法2. 塩ビシート防水
塩ビシート防水は、塩化ビニル樹脂製のシートを接着剤や機械的に固定することで防水層を形成する工法です。
塩ビシート防水には、以下のような特徴があります。
- 耐候性、耐熱性、耐摩耗性に優れ、長持ちする
- 広い面積の防水に適している
- 他の防水工法に比べて軽量
- 豊富な色や柄のシートがあるため、デザイン性に優れている
- 他の防水工法に比べて比較的安価
- 比較的短期間で施工できる
- 表面の汚れを拭き取るだけで簡単にメンテナンスが可能
屋上防水工事|既存がシート防水の場合
既存の防水層がシート防水の場合は、既存のシート防水と新規防水層を接着する際に十分な強度を得るのが難しいため、機械的固定工法という選択肢があります。
機械的固定工法は、従来の接着剤による接着に加えて、専用の金物やビスを用いて固定することで、より確実な防水性を確保することが可能です。
機械的固定工法には、以下のような特徴があります。
- 既存シート防水と新規防水層をしっかりと固定し、雨漏りのリスクが低減できる
- 接着剤のみの場合よりも、長期間にわたって防水性能が維持できる
- 接着剤での施工が難しい場所でも接着が可能
- 接着剤のみの場合よりも、施工に時間がかかり、費用も高くなる
- 金物やビスを使用するため、見た目が損なわれることがある
屋上防水工事|既存がウレタン防水の場合
既存の防水層がウレタン防水の場合、古い防水層を活かすかぶせ工法なら、立上りやドレン周りの防水層を撤去せずに蘇らせることが可能です。
かぶせ工法の特徴は、以下のようなものがあります。
- 撤去工法に比べて費用を抑えられる
- 撤去工法に比べて工期が短くなる
- 施工中に出る廃材を減らせる
- 既存防水層の良好な部分を残せる
屋上防水工事|既存がアスファルトシングル葺きの場合
既存の防水層がアスファルトシングル葺きの場合、以下の防水工事の工法が適しています。
- 勾配屋根用シングル防水
- 改質アスファルト防水常温工法
改質アスファルト防水常温工法については、前述した内容を参照してください。
おすすめの工法1. 勾配屋根用シングル防水
勾配屋根用シングル防水は、アスファルトシングルと呼ばれるシート状の防水材を用いて施工する防水工法です。
勾配屋根用シングル防水には、以下のような特徴があります。
- アスファルトシングルは非常に軽量な素材のため、建物の重量負担を軽減できる
- 比較的簡単に施工できるため、工期が短くなる
- アスファルトシングルは耐候性に優れており、長持ちする
- 適切に施工すれば、高い防水性を発揮する
- 色や柄が豊富にあるので、建物の外観に合わせて選択が可能
- アスファルトシングルには遮音性があるため、雨音を軽減できる
- 表面を定期的に清掃することで、長持ちさせられる
屋上防水工事はDIYできる?プロに任せるべき理由と注意点
屋上防水工事は、建物の劣化を防ぐ重要な工事ですが、費用を抑える目的で「DIYでできないか」と検討する方も少なくありません。しかし、結論から言えば、屋上の防水工事をDIYで行うのはおすすめできません。
防水工事には高度な技術が求められ、下地処理や勾配の調整、防水層の均一な施工、気温や湿度に応じた乾燥管理など、施工の質が防水性能に直結します。DIYではこうした調整が難しく、施工不良によって数年以内に雨漏りが再発するリスクが高くなります。
また、マンションの屋上などは共有部に該当するため、管理組合の許可なく個人で施工を行うこと自体がトラブルの元になります。防水工事の不備によって他住戸に被害が出た場合、法的責任を問われる可能性もあります。
例外的に、トップコートの塗り替えなど軽微なメンテナンスであればDIYも不可能ではありませんが、その場合も事前に既存防水層の状態確認と材料選定が必要です。
防水性能を長期間維持するためには、信頼できる専門業者に依頼し、適切な工法・材料を選定してもらうのが最も確実です。施工保証がつく点も、DIYにはない大きな安心材料と言えるでしょう。
屋上防水工事の施工の流れ
屋上防水工事は、適切な時期に適切な工法で施工することが重要です。
ここでは、一般的な屋上防水工事の流れを紹介します。
屋上防水工事の施工の流れ1.現地調査
まず、専門業者が現地調査を行い、既存の防水層の状態を調査します。
調査内容は以下の通りです。
- 目視による調査:既存の防水層に亀裂や破れ、膨れなどの劣化がないかを確認する
- 打診調査:ハンマーで防水層を叩き、内部の状態を確認する
- 漏水調査:必要に応じて、漏水箇所を特定する
調査結果に基づき、改修に必要な工法や材料を決定します。
屋上防水工事の施工の流れ2. 足場の設置
必要に応じて、足場を設置します。
足場の設置は、高所での作業を行う際に必要です。
屋上防水工事の施工の流れ3. 既存防水層の撤去
既存の防水層を撤去し、下地を清掃します。
撤去方法は、既存の防水層の種類や状態によって異なるため、適切な方法で行うことが重要です。
- アスファルト防水:アスファルトカッターなどで切り取り、撤去する
- 塩ビシート防水:接着剤を剥がして撤去する
- ウレタン防水:専用の剥離剤を使用して撤去する
清掃は、高圧洗浄機やブラシを使用して、下地をきれいに清掃します。
屋上防水工事の施工の流れ4. 下地処理
下地に亀裂やひび割れなどの欠損がある場合は、補修材で補修します。
下地の状態は、防水層の施工において重要な要素です。
下地を補修した後、プライマーを塗布して、防水層の接着性を向上させます。
屋上防水工事の施工の流れ5. 防水層の施工
選択した防水工法に従って、防水層を施工します。
主な防水工法は以下の通りです。
- アスファルト防水:アスファルトルーフィングと呼ばれるシートを接着剤で貼り付け、その上からアスファルトルーフィング用の塗料を塗布する
- 塩ビシート防水:塩ビシートと呼ばれるシートを接着剤で貼り付け、その上からシート専用の塗料を塗布する
- ウレタン防水:ウレタン塗料と呼ばれる塗料を複数回塗り重ねて、防水層を形成する
防水層が完全に乾燥したら、トップコートを塗布して仕上げます。
トップコートは、紫外線や風雨から防水層を守る役割があります。
屋上防水工事の施工の流れ6. 水漏れ検査
防水層の施工完了後、検査を行います。
検査方法は、工法によって異なりますが、一般的には以下の方法で行われます。
- 目視検査:防水層に亀裂や破れなどの欠損がないかを確認する
- 通水検査:防水層に水を張って、漏水がないかを確認する
- 電気抵抗測定:防水層に電流を流して、漏電がないかを確認する
検査に合格すれば工事完了です。
屋上防水工事の施工の流れ7. 足場撤去
設置していた足場を撤去します。
最上段から順番に、部材を丁寧に解体していきます。
解体した部材は、落下防止ネットなどで安全に地上に降ろし、工具は使用後すぐに所定の場所に収納しましょう。
最終的な確認によって、紛失や落下による事故を防ぎます。
屋上防水工事の施工の流れ8. アフターサービス
多くの防水業者では、保証期間内に無償で補修を行うアフターサービスを提供しています。
定期的な点検サービスを提供している業者もあります。
屋上防水工事を検討している場合は、複数の業者から見積もりを取り、内容を比較検討することが重要です。
また、アフターサービスの内容も確認しましょう。
屋上防水工事の失敗例と対策
屋上防水工事は、適切な施工を行わないと、雨漏りなどのトラブルを引き起こす可能性があります。
以下では、よくある失敗例と対策を紹介します。
屋上防水工事の失敗例と対策その1.適切な工法を選ばなかった
既存の防水層の状態を調査せずに、新しい防水層を施工してしまうと、既存の防水層と新しい防水層の間に隙間が生じ、雨漏りにつながる可能性があります。
既存の防水層の状態を調査し、必要に応じて撤去してから新しい防水層を施工することが重要です。
また、防水層を施工する前に、下地の清掃や乾燥を怠ると、防水層の接着力が低下し、剥がれやすくなる可能性があります。
下地をしっかりと清掃・乾燥してから、防水層を施工することが重要です。
屋上防水工事の失敗例と対策その2. 業者選びを誤った
屋上防水工事は、専門的な知識と技術が必要な工事です。
悪徳業者に依頼してしまうと、誤った材料を使用されたり、施工方法が間違っているなどのトラブルが発生する可能性があります。
業者選びの際は、複数の業者から見積もりを取り、内容を比較検討しましょう。
契約前に、具体的な施工内容や保証内容を文書で確認することも重要です。
悪徳業者に依頼してトラブルに巻き込まれないよう、慎重に業者を選びましょう。
屋上防水工事の失敗例と対策その3. 施工不良が起きた
屋上防水工事における施工不良の失敗例は、以下のようなものがあります。
- 既存防水層の処理不備
- 防水層の厚塗りが不十分
- 養生・通気対策の不備
施工不良を防ぐためには、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
業者選びの際には、実績や資格、保証内容などを確認しましょう。
また、施工中もこまめに現場をチェックし、疑問点があれば遠慮なく業者に質問しましょう。
屋上防水工事の失敗例と対策その4.定期的なメンテナンスを怠った
屋上防水工事は、定期的なメンテナンスを怠ると、以下のような問題が発生する可能性があります。
- 経年劣化による防水層の破損
- 紫外線による防水層の劣化
- 風雨による防水層の劣化
- 凍害による防水層の劣化
- コケやカビの発生による防水層の劣化
対策としては、定期的な点検・メンテナンスを行うのを前提として、トップコートの塗り替え、防水層の補修を行います。
見積書に記載されている保証内容や、アフターサービスの内容を確認することが重要です。
また、保証期間内に不具合が発生したら、すぐに業者に連絡しましょう。
屋上防水工事の失敗例と対策その5.無理に費用を抑えようとした
マンション屋上防水の費用を抑えようと無理な施工を行うと、後々大きなトラブルに繋がる可能性があります。
特に、安価な見積もりを提示してくる業者には注意が必要です。
また、建物の状況や予算に合っていない防水工法を選ぶと、十分な防水性が得られなかったり、早期に劣化してしまう可能性があります。
さらに、既存防水層の撤去や下地の補修などの必要な工事を省略すると、新しい防水層が剥がれたり、雨漏りに繋がる可能性が高いです。
見積もり内容をよく確認し、必要な工事が全て含まれていることを確認しましょう。
屋上防水工事は、建物の寿命に大きく影響する重要な工事です。
失敗を防ぐためには、信頼できる業者を選び、適切な防水工法で施工すること、そして定期的な点検を行うことが重要です。
新東亜工業による屋上防水工事の実例紹介
ここでは新東亜工業の屋上防水工事の施工事例を紹介します。
【個人オーナー様】千葉県浦安市K様邸 屋上防水工事


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防水工事での助成金や補助金について【屋根防水や屋上防水】
大規模修繕に関わらず屋根防水、屋上防水などは場合によって多くの資金が必要になります。
そんな時に活用できるのが助成金や補助金です。各地方自治体では修繕工事や外壁塗装などにおいて補助金などを用意している場合があります。
防水工事の場合リフォーム補助金や住宅改修工事における助成金などがあり、該当する場合には防水工事の補助金を受けることが可能です。
以下の内容が基本的な補助金申請時の条件です。
- 補助金申請できる地域に住んでいる
- 以前同じ補助金や助成金を受け取っていない
- 税金を滞納していない
- 省エネに関するものや耐震補強など、その地方自治体の目的にあった工事であること
詳しくはお住まいの各自治体のホームページ、または問い合わせをして確認してみましょう。
防水工事に関してのよくある質問を紹介
ここでは防水工事に関してよくある質問を紹介していきます。
Q
防水工事前に何か準備は必要ですか?
A
防水工事前には、施工箇所の周りを整理し、私物や家具などは移動が必要になります。また、工事中の騒音や振動について、事前に確認しておきその時間帯の過ごし方などを決めておくとスムーズに対応できます。
Q
防水工事を行う周期はどのくらいですか?
A
一般的に、防水工事は10年から15年ごとに行うのが目安です。定期的な点検を行い、劣化が見られる場合は早めに工事を実施すると、建物の寿命を延ばすことができます。
Q
雨天時も防水工事は行いますか?
A
防水工事は晴天時に行うのが基本です。雨天時に施工すると、乾燥が不十分になり、防水効果が落ちることがあります。そのため、天気を見ながらスケジュールを調整し、品質を確保します。
Q
防水工事中に臭いがすることはありますか?
A
防水工事では、使用する材料によって臭いが発生することがあります。特に溶剤系の材料を使うと匂いが強くなることがあります。臭いについて気になる場合はご相談の上、水性材料を選べば臭いは抑えられます。工事中は換気をしっかり行い、匂いがこもらないようにしましょう。
屋上防水工事の種類について|まとめ
ここまで、屋上防水工事の種類について解説してきました。
この記事の要点は、以下の通りです。
- 屋上防水工事とは、経年劣化や災害などで傷んだ既存の防水層を新しく作り替える工事
- 屋上防水工事の種類:アスファルト防水、シート防水、ウレタン防水、FRP防水
- 屋上防水工事の選び方:既存の防水層の状態、建物の用途、予算、保証内容
- 屋上防水工事は、専門業者に依頼することが重要
- 複数の業者から見積もりを取り、比較検討が必要
- 契約前に、具体的な施工内容や保証内容を文書で確認する
- 定期的な点検・メンテナンスを行う
屋上防水工事は、建物の安全と快適性を守るために欠かせません。
これまでの記事を参考に適切な業者を選び、適切な工法で施工してもらいましょう。
大規模修繕工事・防水工事・外壁塗装・外壁補修参引用、参考サイト
国土交通省
特定非営利活動法人集合住宅管理組合センター
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会
一般社団協会マンション管理業協会
一般社団法人日本防水協会
日本ペイント
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)
一般社団法人 マンション大規模修繕協議会
日本ウレタン建材工業会
FRP防水材工業会
株式会社ダイフレックス(シーカ・ジャパン株式会社)