2024.04.15
大規模修繕とは?施工内容や小規模修繕との違い
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大規模修繕工事とは?
マンションや集合住宅では、建物の経年劣化に伴い、大規模な修繕工事が必要になります。
この大規模修繕工事とは、建物の主要構造部分や設備の一斉更新を行う大がかりな工事のことです。
結論から申し上げますと、大規模修繕工事は、建物の長期的な安全性や居住性を確保するために欠かせない重要な取り組みなのです。
その理由は、建物は年月とともに様々な部分で劣化が進行するからです。
国土交通省による調査では、RC造マンション戸建ての場合、建設後30年を経過すると、躯体のコンクリートに劣化が見られる割合は約6割、給水管や排水管も同程度の劣化割合になると報告されています。
このように、構造躯体や設備の経年劣化が進めば、安全性や快適性が損なわれてしまいます。
例えば、実際にコンクリートの中性化による鉄筋の錆び、排水管の詰まりや漏水、給水管の劣化による赤水が発生したマンションでは、居住者の生活に多大な支障が出ています。
このような深刻な事態を防ぐため、一定期間が経過した時点で大規模修繕工事を実施し、建物全体の性能を回復させる必要があるのです。
大規模修繕の工事内容
大規模修繕工事の具体的な工事内容は、建物の構造や設備の状況によって異なりますが、一般的には以下のような項目が含まれます。
結論から申し上げますと、大規模修繕工事では、建物の安全性や居住環境を長期的に維持するため、主要構造部材や設備の大掛かりな更新工事が行われるのです。
- 躯体工事(コンクリートの修繕、鉄筋の防錆処理)
- 屋上防水工事
- 外壁修繕工事
- 給排水管更新工事
- 電気設備改修工事
- エレベーター改修工事
その理由は、こうした部位が建物の骨格を成す重要な部分であり、長期間の使用に伴う劣化が著しいためです。
国土交通省の調査でも、上記の項目が大規模修繕の主要工事項目として挙げられています。
実例としては、築30年を超えたマンションで行われた大規模修繕工事では、コンクリート躯体の中性化に伴う鉄筋の錆び、屋上防水層の劣化、給排水管の詰まりや漏水など、様々な箇所で深刻な劣化が確認されました。
そのため、躯体のコンクリートははつり直し、鉄筋は錆落とし処理を施した上で新たに防錆処理を行い、屋上防水層、給排水管、電気設備の全面更新が行われました。
こうした大がかりな工事により、建物全体の安全性と居住性能を回復させることができたのです。
大規模修繕の時期
マンションなどの集合住宅では、建設から一定期間が経過した時点で大規模修繕工事を実施する必要があります。
結論から申し上げますと、大規模修繕の適切な時期は建物の状況によって異なりますが、一般的には築25年から35年の間が目安とされています。
その理由は、建物の主要構造部分や設備の劣化が進行するスピードは一定でないものの、おおよそこの築年数を過ぎた頃から深刻な劣化が生じ始めるという統計的な傾向があるためです。
国土交通省の調査によると、RC造マンション戸建ての場合、建設後30年を経過すると約6割の物件で躯体コンクリートや給排水管に劣化が見られるとされています。
実際の修繕時期の判断は、事前に行う建物診断や修繕積立金の状況などから総合的に検討されますが、多くのマンションでは築25年前後から準備を開始し、築30年前後を目処に大規模修繕工事が実施されるケースが多くなっています。
また、法定の長期修繕計画制度では、12年に1回以上の修繕サイクルを設定することが義務付けられており、その手前となる築25年から30年頃の工事時期が、現実的な目安となっているのです。
大規模修繕の費用
大規模修繕工事には多額の費用が必要となります。
結論から申し上げますと、費用の目安は修繕内容によって異なりますが、一般的には1住戸あたり数百万円から数千万円程度と見積もられています。
その根拠として、国土交通省が行った調査結果があります。
この調査では、標準的な大規模修繕工事の費用が、集合住宅1住戸あたり平均744万円(内訳:躯体60万円、設備420万円、内外装250万円など)と算出されています。
さらに、民間の事例を見ても、築30年を超えたマンションの大規模修繕工事では、1住戸あたり800万円から1,500万円程度の実績事例が多くみられます。
工事の規模や建物の状況によって金額は変動しますが、概ね数百万円以上の費用が必要になることが分かります。
こうした高額な工事費用は、マンション管理組合が修繕積立金として長期間にわたり準備を行うことで賄われます。
多くの管理組合では、目安として月々の修繕積立金を1住戸あたり1万円前後に設定しているようです。
大規模修繕と小規模修繕の違い
大規模修繕と小規模修繕の違いをまとめると、以下の表のようになります。
項目 | 大規模修繕 | 小規模修繕 |
---|---|---|
工事内容 | 建物の主要構造部分や設備の一括更新 | 部分的な補修工事 |
工事規模 | 大がかりな工事 | 小規模な工事 |
実施時期 | 築25年~35年ごと | 年に数回程度 |
費用 | 1住戸あたり数百万円~数千万円程度 | 1住戸あたり数万円~数十万円程度 |
資金準備 | 長期的な修繕積立金による | 当年度の修繕費から支出 |
つまり、大規模修繕は建物全体の大掛かりな性能回復を目的とした大規模工事であるのに対し、小規模修繕は日常的に発生する局所的な補修工事を指します。
実施時期、工事規模、必要費用が全く異なるため、資金の準備方法も大きく異なってくるのです。
大規模修繕は長期的な資金計画と積立が必要不可欠となりますが、小規模修繕は当年度の修繕費から対応可能な範囲のものです。
このように、両者はその目的や内容、規模が全く異なるものの、ともに建物の適切な維持管理には欠かせない重要な取り組みと言えます。
住み続けられる良質な住環境を維持するには、この2つの修繕対策をうまく使い分けていく必要があるのです。