不動産投資における大規模修繕って?どのように対策すべきか | 株式会社新東亜工業  

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不動産投資における大規模修繕って?どのように対策すべきか

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不動産投資おける大規模修繕とは?

大規模修繕とは、建物の老朽化に伴い発生する大掛かりな補修工事のことを指します。

一般的な大規模修繕には、外壁の塗り替えや屋根の葺き替え、給排水管の取り替えなどが含まれます。

不動産投資においては、長期的な収益確保のためにこうした大規模修繕への備えが欠かせません。

建物は年月の経過とともに劣化が進行するため、大規模修繕は不動産投資において避けられない出費である言えます。

国土交通省の調査によると、RC造の民間共同住宅の60%が築30年を超えているとされています(2018年)。

鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物でも、35年程度で大規模修繕が必要となるケースが多く試算では「○○マンション大規模修繕工事を実施」(全555戸、総工費約10億円)といった金額が計上されることも想定されます。

規模修繕を怠ると、建物の資産価値が大きく低下する恐れがあります。

国土交通省資料によると、大規模修繕を行わないと、建物の耐用年数が20年程度短くなる可能性があるともされています。

以上のことから、大規模修繕工事は非常に重要な工事であることがわかります。

大規模修繕の内容はどんなもの?

大規模修繕で行われる工事内容の主なものは、以下のようなものです。

  • 外壁の塗り替え
  • 屋根の葺き替え
  • 給排水管の取り替え
  • 電気設備の更新
  • 昇降機の更新
  • 共用部分(廊下、階段等)の修繕

幅広い箇所に及ぶ大掛かりな工事が必要となり、特に建物の主要構造部材は長期間の使用で劣化が進行するため必須工事となります。

大規模修繕工事で上記の工事を行わない場合、以下のような不具合が起こる可能性があります。

  • コンクリートの中性化により、鉄筋が錆びて強度が低下する
  • 屋根材や外壁材の劣化で、雨水の浸入や結露発生のリスクが高まる
    実例あり:東京23区内の分譲マンション(46戸)の大規模修繕工事
  • 外壁塗装、屋根葺き替え、給排水管更新、共用部改修等(総工費約2億円)
    ※設備機器の経年劣化も大規模修繕の大きな理由となる
  • 水周りの給排水管は、使用年数の長期化に伴い詰まりや漏水の危険が高まる
  • 昇降機や受変電設備なども、安全性や法令への適合性確保のため定期的な更新が求められる

大規模修繕でかかる費用

修繕内容や建物の規模によって金額は大きく変わりますが、一般的な大規模修繕の費用は以下の通りです。

賃貸マンション(RC造、30戸)の修繕費用の目安

外壁・屋根工事2,000万円前後
給排水設備工事1,000万円前後
共用部分工事1,000万円前後
その他工事、附帯費用1,000万円前後
総工費5,000万円~1億円程度

大規模修繕には多額の費用が必要となりますが、高額な工事費のほか、様々な付帯費用の発生も想定されます。

  • 設計監理費、施工業者選定費用、住民説明会費用など
  • 国交省データによると、付帯費用は工事費全体の10~20%程度の見積もりが一般的
    実例:大規模修繕引当金の積立額(RC造、20戸のケース)
  • 月額25万円を30年間積み立てた場合、総額で9,000万円
    ※修繕時期を逸すると工事費が高くつく可能性が高い
  • 劣化が進行すると補強工事が必要になり、費用が増大する
  • 計画的な修繕が重要、引当金の準備が不可欠

不動産投資の物件選びのポイント

大規模修繕を見据えた上で、費用負担能力のある物件を選ぶ必要があります。

大規模修繕費用は、物件の種類や築年数によって大きく異なってきます。

国交省データによると、分譲マンション(RC造、1棟平均60戸)の25年目の修繕費は約1億4,000万円ほどで賃貸アパート(RC造、1棟平均20戸)でも、築30年目には4,000万円以上が必要であると想定されます。

築年数が浅い物件ほど、修繕を見据えた長期的な備えが重要となり例えば築20年の分譲マンション1棟62戸ですと以下のような引当金準備状況です。

1戸あたりの月額積立額:15,000円×20年=3,600,000円(予定額の1/3程度)

収支バランスを考えると、やはり高経年の物件ほど修繕リスクが高く築40年を超える物件では、突発的な大規模修繕の発生リスクがとても高まる。

賃料収入から修繕費を賄えるかどうかが重要なポイントになってきます。

不動産投資で大規模修繕をする際のポイント

計画的且つ適切な資金準備により、大規模修繕への備えを怠らないことが重要です。

修繕時期や内容を的確に予測し、引当金の積立計画を立てておくことがポイントとなります。

  1. 業界団体の「修繕積立基準額」等を参考に、長期の積立計画を策定する
  2. PML値(地震リスク)なども考慮する必要がある。
    実例:中規模分譲マンション(62戸)の25年目大規模修繕計画
  3. 外壁・屋根工事費:48,400,000円
  4. 給排水設備工事費:35,600,000円
  5. その他共用部分工事費:19,800,000円
  6. 引当金準備総額:103,800,000円
    ※区分所有者全員の合意が不可欠なので、早期の準備と説明を行う
  7. 区分所有法で、修繕工事には区分所有者の4分の3以上の賛成が必要
  8. 修繕内容、積立額、工事業者選定等について、丁寧な事前説明が欠かせない

こうした一連のプロセスにおいて、適切な助言が得られるよう専門家に相談することも重要です。

長期的な資産価値維持のため、計画的な大規模修繕への備えが不可欠となります。

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