賃貸マンションの設備修理費は誰の負担になる? | 株式会社新東亜工業  

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賃貸マンションの設備修理費は誰の負担になる?

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賃貸マンションの修理費用は誰が負担する?

賃貸マンションの修理費用は、状況によって高額になってしまうこともあります。

その費用について、誰が負担するのか?はとても重要な問題です。

賃貸マンションの修理費用について解説していきます。

貸主が負担するケース

通常の使用による経年劣化や老朽化が原因で設備にトラブルが発生した場合、賃貸人(貸主)が修理費用を負担する必要があります。

借地借家法第8条では、「賃借人は、借りた目的物を、修繕を加えなければ、返還することができない」と定められています。

つまり、賃貸期間中の設備の維持管理は貸主の義務となっているのです。

国土交通省の調査によれば、2022年の賃貸住宅の平均修繕費は19,380円でした。

実例として上げると、下記のような修理は基本的に貸主の負担になることが想定されます。

  • 空調設備の経年劣化による故障
  • 排水管の老朽化による詰まり
  • 玄関扉の鍵の破損(借主に過失がない場合)
  • 漏水による天井や壁の損傷(借主に過失がない場合)
  • 給湯器や電気温水器の故障
  • ユニットバスの劣化による浴室トラブル

借主が負担するケース

一方で、借主自身の過失や不注意による損傷・汚損については、借主側が修理費用を負担しなければなりません。

民法第415条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、損害を賠償する責任を負う」と定めています。

つまり、借主の責任に帰すべきトラブルが発生した場合、借主が修理代を払わなければならないということです。

民間調査会社の推計では、2021年の借主過失による修理費平均額は6万2,100円でした。

  • キッチンコンロの火災による天井や壁の損傷
  • 洗面台の水漏れによる床や壁の損傷
  • クロゼットのドアの破損
  • ペットによる床やカーテンの損傷
  • 大型家具の移動による壁や床の傷
  • タバコの火による畳やカーペットの焼け穴

以上のように、賃貸マンションの修理費負担は、トラブルの原因が経年劣化なのか借主の過失なのかによって区別されます。

双方でその原因を特定し、法令に則って適切に対応することが重要になります。

賃貸物件の初期設備とは?

賃貸物件の初期設備とは、賃貸人(貸主)が最初から備え付けている設備のことを指します。

建物に付随する基本的な設備が含まれます。

国土交通省の賃貸住宅標準管理委託契約書によると、賃貸借契約時に賃貸人が最初から用意している設備が「初期設備」と定義されています。

賃貸人は初期設備の維持管理を適切に行う義務があります。

初期設備には以下のようなものが含まれます。

  • キッチン設備(コンロ、レンジフード、流し台)
  • 浴室設備(ユニットバス、シャワー、換気扇)
  • 洗面設備(洗面化粧台、鏡、照明)
  • トイレ設備(トイレ本体、収納棚)
  • 照明器具
  • 空調設備(エアコン、換気扇)
  • 収納設備(クローゼット、下駄箱など)
  • 給湯設備(給湯器、温水器など)

通常の使用による経年劣化が原因で初期設備にトラブルが発生した場合、貸主側が修繕費を負担する必要があります。

初期設備は建物の一部としての性質を持つため、適切な維持管理が義務付けられているのです。

残留物とは?

残留物とは、借主(入居者)が賃貸借期間中に付け加えた設備や物品のことを指します。

退去時に残置したものが該当します。

民法第617条では「賃借人が賃借物に付け加えた物については、附合の規定を準用する」と定められています。

つまり、借主が設置した残留物は、従物とみなされるため、貸主の所有となります。

残留物の具体例としては、以下のようなものがあります。

  • 家具(ベッド、タンス、テレビ台など)
  • 照明器具
  • カーテン、ブラインド
  • 室内物干し竿
  • 洗濯機、冷蔵庫などの家電製品

原状回復の義務がある借主は、退去時にこれらの残留物を撤去するか、貸主の承諾を得る必要があります。

撤去費用は借主が負担します。

以上のように、初期設備と残留物は区別されますが、双方ともに借主が退去時の適切な処理を行わなければなりません。

経年劣化や老朽化による修理は初期設備についての責任であり、残留物の撤去費用は借主が負担することになります。

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