ビル屋上防水工事の費用相場と工法別価格を解説!見積もり前に知っておきたい業者選定のポイントとは?
2025/07/02
ビルやマンションの屋上は、雨風や紫外線の影響を常に受け続ける過酷な環境です。そのため、定期的な防水工事は建物の寿命を守るうえで欠かせません。
本記事では、防水工事にかかる費用の目安や工法ごとの価格差、見積もり時の注意点についてわかりやすく解説します。
目次
ビル屋上防水工事の費用はどんな要素で決まる?
防水工事の金額は、主に次の4つの要素によって決まります。
防水工事の費用の変動要因1. 面積・施工範囲(㎡単価と総工費)
防水工事は基本的に「1㎡あたりの単価」で計算され、面積が広くなるほど費用も増加します。
- 30㎡:おおよそ15万円〜21万円
- 50㎡:20万円〜35万円
- 100㎡以上:40万円〜70万円以上(工法・下地条件により変動)
規模が大きい場合は、業者によって単価が割引されるケースもあります。
防水工事の費用の変動要因2. 防水工法の違い(材料と施工方法)
代表的な工法とその費用相場は以下の通りです。
- ウレタン防水:4,000〜7,000円/㎡
- シート防水(塩ビ・ゴム):5,000〜8,000円/㎡
- FRP防水:7,000〜10,000円/㎡
- アスファルト防水:6,000〜9,000円/㎡
工法の選定は、建物の構造や耐久年数、メンテナンス性を総合的に判断することが大切です。
防水工事の費用の変動要因3. 下地補修・足場などの付帯工事
以下のような作業が必要になる場合、追加費用が発生します。
- 古い防水層の撤去
- クラック補修・勾配調整
- ドレンまわりの補修・更新
- 足場や仮設通路の設置(高層ビルでは特に重要)
見積書にこれらの費用が明記されていない場合もあるため、内訳をしっかり確認しましょう。
防水工事の費用の変動要因4. 建物の種類・構造の違い
RC造(鉄筋コンクリート造)や高層ビルは、戸建てと比べて施工条件が厳しく、コストがかかる傾向にあります。
- 勾配が複雑
- 配管や設備機器が多い
- 安全対策の仮設設備が必要
これらが重なると、施工費は1.2倍〜1.5倍程度に膨らむこともあります。
工法別に見るビル屋上防水工事の価格と特徴
防水工事にはさまざまな工法があり、それぞれに特徴や適した施工条件があります。以下では、主な防水工法について、特徴と費用、適した建物のタイプをわかりやすく紹介します。
ウレタン防水
液体状の材料を塗り重ねることで防水層を形成する工法です。柔軟性が高く、複雑な形状の屋上にも対応しやすいのが特長です。
- 単価目安:4,000〜7,000円/㎡
- 向いている場所:中〜小規模の屋上、段差や配管の多い構造物
シート防水(塩ビ・ゴム)
あらかじめ成形された防水シートを貼り付けていく工法で、一定の品質を保ちやすいのがメリットです。
- 単価目安:5,000〜8,000円/㎡
- 向いている場所:広い屋上、平坦で整った下地の建物
FRP防水
ガラス繊維に樹脂を染み込ませて硬化させる工法で、高強度・高耐久を誇ります。歩行や車両の通行がある場所にも適しています。
- 単価目安:7,000〜10,000円/㎡
- 向いている場所:バルコニー、屋上駐車場、通行頻度の高い場所
アスファルト防水
アスファルトを熱で溶かしてシートを重ねる工法で、重厚かつ長寿命な防水層を作れます。
- 単価目安:6,000〜9,000円/㎡
- 向いている場所:大規模施設、工場、公共建築物など
コンクリート屋上の追加コスト
コンクリート構造の屋上では、通常の施工に加えて以下のような追加費用がかかる場合があります。
- 勾配修正のためのモルタル施工:数万円〜
- 下地不良の全面補修:㎡単価に+1,000〜2,000円程度の上乗せ
防水塗装(トップコート)の費用
トップコートは防水工事の補助的な役割を持ち、既存防水層の表面を保護します。簡易的な手段ですが、短期間の対応として有効です。
- 単価目安:2,000〜3,500円/㎡
- 耐用年数:おおよそ5年(定期的な塗り替えが必要)
ビル屋上防水工事の見積もりを取る際のポイント
防水工事の費用を正確に把握するためには、見積書の内容をしっかり確認することが重要です。以下のポイントを押さえておけば、無駄な出費やトラブルを未然に防ぐことができます。
見積もりで確認すべき項目
- 施工面積と単価が明記されているか:総額だけでなく、単価(㎡単価)が記載されているかを確認しましょう。
- 工法や材料の詳細が記載されているか:例えば「ウレタン塗膜防水(通気緩衝工法)」など、具体的な記述があるかどうかが重要です。
- 下地補修や撤去作業の費用が含まれているか:追加で費用がかかる可能性があるので、項目ごとの明細があるかをチェック。
- 仮設足場や搬入費用が含まれているか:高所作業では足場設置費が数十万円規模になることもあります。
- 保証の有無とその内容:5年・10年などの保証期間、対応範囲(漏水のみ/全面再施工など)を確認。
複数社の相見積もりを取るのが基本
防水工事を検討する際は、必ず複数の業者から相見積もりを取ることが基本です。1社だけの見積もりでは、その価格が高いのか安いのか判断できず、適正価格を見極めることが難しくなります。
たとえば、同じ工事内容でも業者によって以下の点に違いが出ることがあります。
- 単価や総額の設定
- 使用する材料や採用する工法
- 保証の内容(年数・範囲)
- 担当者の説明の丁寧さや対応の誠実さ
また、信頼できる業者かどうかを見極めるためには、説明に納得感があるか、過去にどのような施工実績があるかも重要な判断材料です。費用の安さだけで業者を選ぶのではなく、トータルでの信頼性と施工品質のバランスを見て比較・検討することが大切です。
ビル屋上防水工事の費用を抑える3つの工夫
工事の品質を落とさずに、費用を適正に抑えるためのポイントをご紹介します。
1. 必要最小限の工事内容に絞る
すべてを一気に直す必要があるとは限りません。たとえば、
- 雨漏りしていない箇所のトップコート塗替えで一時対応
- 劣化の激しい部分のみ部分補修を先行
など、段階的な施工で全体の費用を分散する方法も有効です。
2. 助成金・補助金制度を活用する
自治体によっては、防水工事を含む外装リフォームに対して補助金制度を設けている場合があります。
- 対象:耐震改修、省エネ改修、長寿命化改修等
- 金額:工事費の1/3補助や上限20万円など(地域により異なる)
- 条件:事前申請が必須/業者の登録要件あり
施工前に必ず自治体のサイトや相談窓口で確認しましょう。
3. 実績豊富な業者に直接依頼する
中間マージンが発生する一括請負方式よりも、専門業者に直接依頼したほうが費用を抑えられるケースがあります。地域密着型の防水専門業者は価格交渉にも柔軟に対応してくれることが多く、費用対効果の高い施工が期待できます。
信頼できるビル屋上防水工事業者の選び方
防水工事は施工の品質によって建物の寿命を左右する重要な工事です。費用だけでなく、以下のような観点で業者を選定しましょう。
信頼できる防水工事業者の選び方1. 防水専門業者かどうか
塗装・リフォーム業者の中には防水の専門知識が乏しい業者も存在します。防水技能士などの資格保有者が在籍し、実績豊富な「防水専門業者」を選ぶことが重要です。
信頼できる防水工事業者の選び方2. 見積書・施工内容が明確である
見積書に工事内容、工法、材料、保証範囲が具体的に記載されているかどうかを確認しましょう。「一式」「一括」といった不明確な記載が多い場合は注意が必要です。
信頼できる防水工事業者の選び方3. 施工実績や口コミの確認
過去の施工事例や顧客の評価は、業者の信頼性を見極めるうえで有効です。ホームページに実績紹介があるか、GoogleレビューやSNSなども参考にしましょう。
信頼できる防水工事業者の選び方4. 写真付きの報告・記録があるか
施工中や完了後に「写真付きの工程報告書」を出してくれる業者は、透明性が高く安心できます。仕上がりだけでなく、下地処理の段階から丁寧に管理されているかが見えてきます。
ビル屋上防水工事に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、防水工事に関してよく寄せられる質問とその回答を紹介します。はじめて防水工事を検討する方にも役立つ内容です。
Q
防水工事のタイミングはどれくらいが目安ですか?
A
防水工法によって耐用年数は異なりますが、一般的に10〜15年を目安に点検・再施工を検討するのが理想です。特に屋上は雨風や紫外線の影響を強く受けるため、定期的なメンテナンスが必要です。
Q
雨漏りしていないのに防水工事は必要?
A
雨漏りは防水層の劣化が進行した「結果」であり、症状が出てからでは内部の腐食や断熱材の損傷など、修繕費用が大きくなりやすくなります。早めの予防的な工事がコスト削減にもつながります。
Q
DIYで防水工事はできる?
A
小規模な補修やトップコートの塗り替えであればDIYも不可能ではありませんが、プロによる診断と施工が基本です。特に屋上全体の防水は高度な技術が求められるため、専門業者に依頼することを強くおすすめします。
防水工事の費用は比較と計画がカギ
ビル屋上の防水工事は、面積や工法、構造、下地の状態によって費用が大きく異なります。単価だけにとらわれず、
- 工法の耐用年数とコストのバランス
- 見積もりの内訳と保証の明確さ
- 実績のある業者の選定
などを総合的に比較検討し、信頼できる業者に依頼することが満足度の高い施工につながります。
費用を抑えるためには、助成金の活用や段階的な工事の選択肢もあります。まずは複数社に見積もりを依頼し、自分の物件に合った最適な防水プランを見つけましょう。
大規模修繕工事・防水工事・外壁塗装・外壁補修参引用、参考サイト
国土交通省
特定非営利活動法人集合住宅管理組合センター
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会
一般社団協会マンション管理業協会
一般社団法人日本防水協会
日本ペイント
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)
一般社団法人 マンション大規模修繕協議会
日本ウレタン建材工業会
FRP防水材工業会
株式会社ダイフレックス(シーカ・ジャパン株式会社)