外壁塗装で塗り壁を選ぶと後悔する?種類別の特徴や費用・デメリットからおしゃれに見せる方法を紹介
2025/07/31
外壁塗装に塗り壁を取り入れることで、住まいの印象は一気におしゃれで個性的なものになります。ナチュラル・モダン・南欧風・和モダンなど、デザインの幅が広がる一方で、コストやメンテナンス面での注意も必要です。
また、塗り壁は素材や仕上げ方法によって性能や施工難易度が大きく異なるため、特徴や違いを正しく理解したうえで選択することが大切です。
この記事では、塗り壁の基礎知識から外壁塗装との違い、メリット・デメリット、代表的な素材や仕上げ方法、施工時に気をつけたいポイントまで詳しく解説します。理想の住まいづくりの参考にしてください。
目次
塗り壁とは?外壁塗装との違いも解説
塗り壁と外壁塗装は、どちらも外壁の仕上げ方法として知られていますが、施工方法や使われる材料、仕上がりの風合いなどに明確な違いがあります。ここでは、両者の基本的な特徴を押さえ、どんな住まいにどちらが適しているのかを理解しましょう。
塗り壁とは?|モルタルや漆喰で仕上げる壁材のこと
塗り壁とは、モルタルや漆喰、珪藻土などを主原料とした塗材を、コテやローラーを使って厚く塗り重ねて仕上げる外壁工法の一種です。
表面には独特の凹凸や手仕事ならではの模様が生まれ、ナチュラルでやさしい雰囲気を演出することができます。湿度を調整したり、遮熱・断熱効果を高めたりと、見た目だけでなく機能面でも優れた特性を持ちます。
また、塗り壁は継ぎ目がなく一体感のある美しい仕上がりを実現できるのが大きな魅力です。日本家屋や南欧風住宅のような、素材感を活かした外観づくりに最適です。
外壁塗装との違い|素材・施工方法・風合いに注目
外壁塗装は、既存の壁面にアクリルやウレタン、シリコン、フッ素などの塗料をローラーやスプレーで吹き付ける仕上げ方法です。コストパフォーマンスが高く、耐候性や防水性を手軽に向上できるため、一般住宅からビル・マンションまで幅広く使われています。
一方、塗り壁は塗装よりも厚みのある層で仕上げるため、立体感や素材の風合いを楽しめるという点で大きく異なります。以下の表で違いを整理してみましょう。
| 項目 | 塗り壁 | 外壁塗装 |
|---|---|---|
| 材料 | 漆喰・珪藻土・モルタルなど | アクリル・ウレタン・シリコンなど |
| 施工方法 | コテ・ローラーで厚塗り | ローラーやスプレーで薄く塗布 |
| 仕上がり | 凹凸・質感・温かみのある風合い | ツルっとした均一な見た目 |
| 耐用年数 | 約10〜20年(素材による) | 約10〜15年(塗料による) |
| メリット | デザイン性・調湿性・自然素材 | 低コスト・短工期・塗り直ししやすい |
外壁塗装における塗り壁仕上げのメリットとデメリット
外壁を塗り壁で仕上げることで、デザイン性や機能性の面で多くのメリットがあります。しかし一方で、素材の特性や施工方法によって注意が必要な点も存在します。
ここでは、塗り壁の代表的なメリット・デメリットを分かりやすく解説します。
塗り壁のメリット
- デザイン性が高い:職人の手作業により多様な模様・風合いを表現可能。世界に一つだけの外観が実現します。
- 自然素材の風合い:漆喰や珪藻土などの天然素材が多く、調湿性・通気性・抗菌性にも優れています。
- 継ぎ目がなく一体感がある:塗り重ねて仕上げるため目地が目立たず、美しく均一な外観を演出できます。
- 耐火性が高い:モルタル・漆喰など不燃性素材が主で、火に強く防災性も向上します。
- 塗り替え・補修しやすい:ひび割れや汚れがあっても部分補修で対応可能。経年変化を楽しむこともできます。
塗り壁のデメリット
- 施工費用が高め:材料費が高く、手作業による工期・人件費もかかるため全体コストが上がります。
- ひび割れが起こりやすい:下地や建物の揺れ・経年による収縮などでクラックが発生する場合があります。
- 汚れが付きやすい:表面がザラついていると、雨だれや粉塵が付きやすく美観が損なわれやすいです。
- 職人の技術に左右される:美しい仕上がりには経験豊富な職人の存在が不可欠。技術差が仕上がりに直結します。
- デザイン調整が難しい場合も:一度塗ってしまうとデザイン変更が難しく、色変更は上塗りでの対応となります。
外壁塗装の費用相場|塗り壁に使われる主要な材料と特徴も紹介
塗り壁といっても、実際にはさまざまな種類の素材が存在し、それぞれに個性と機能があります。以下では代表的な5種類の塗り壁材とその特徴・費用相場について詳しく見ていきましょう。
塗り壁材の種類と費用相場(目安)
| 材料名 | 主な特徴 | 費用相場(/m²) |
|---|---|---|
| 漆喰 | 調湿・抗菌・白系で高級感あり | 約9,000〜10,000円 |
| 珪藻土 | 調湿・脱臭・DIYでも人気 | 約5,000〜8,000円 |
| モルタル | 自由な模様付けが可能・高耐久 | 約7,000〜8,000円 |
| 土壁 | 日本古来の素材・断熱・吸音性 | 約20,000〜25,000円 |
| ジョリパット | カラー・仕上げ多彩・近代的 | 約8,500〜9,500円 |
漆喰|伝統と機能性を兼ね備えた素材
漆喰は、石灰を主成分とした自然由来の塗材で、調湿・抗菌・防カビ・防火性能に優れています。主に白を基調とした上品な仕上がりが特徴で、和風建築から洋風住宅まで幅広く対応可能です。
また、経年により風合いが変化することから、長く住むほど味わいが増す外壁材としても人気です。
珪藻土|呼吸する壁として人気
珪藻土は、海や湖に生息していたプランクトンの殻が堆積してできた自然素材で、無数の孔が空いているため高い吸放湿性を誇ります。カビ・ダニの発生を抑える効果もあり、室内用としても高く評価されています。
外壁に使用する際は、防水性を高めるために専用の仕上げ材と組み合わせることが一般的です。
モルタル|自由度の高いデザイン性と耐久力
外壁塗装において、モルタルは非常に人気のある塗り壁素材のひとつです。セメントに砂や水を混ぜたシンプルな構成ながら、塗り方によって無限の表情を作り出すことができ、意匠性に優れた外壁を演出できます。
モルタルは無機質でマットな質感が特徴で、現代的なシンプルモダン住宅や、コンクリート調のスタイリッシュなデザインによく採用されます。また、耐久性に優れており、雨風や紫外線といった自然環境にも強いため、外装材としての信頼性も高いです。
さらに、適切な防水処理と仕上げを施すことで、水の浸入を防ぎ、長く美しさを保つことが可能です。ただし、仕上がりにムラが出やすいため、施工は経験豊富な左官職人に依頼するのがベストです。
土壁|伝統建築にマッチする自然派素材
土壁は、日本の伝統的な建築に多く使用されてきた塗り壁素材で、自然素材である「土」「藁(わら)」「砂」などを練り合わせて作られます。現代の住宅では珍しくなったとはいえ、環境性能の高さや意匠性の面から再評価されつつあります。
土壁の大きな特徴は、その高い断熱性と吸音性です。外気温の影響を受けにくく、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を保ちやすいため、冷暖房効率の面でも優れた性能を発揮します。また、室内の音が外に漏れにくくなるため、防音性も確保できます。
環境や健康に配慮した住まいを求める方には非常に適した素材です。ただし、乾燥に時間がかかる点や、耐水性が弱いため定期的なメンテナンスが必要になるなど、施工と維持管理には手間がかかる点も考慮しましょう。
ジョリパット|デザインバリエーションが豊富な人気素材
ジョリパットは、アクリル樹脂に骨材を配合した意匠性塗材で、非常に多彩なカラーバリエーションとテクスチャーを実現できる点が魅力の塗り壁素材です。1975年に日本で発売されて以来、住宅・店舗・公共施設などさまざまな建物で採用されてきました。
ジョリパットの特徴は、塗り方次第で大理石風、タイル調、波模様など、自由自在な仕上げが可能であること。さらに耐久性・防汚性にも優れ、雨風や排気ガス、紫外線にさらされる外壁にも安心して使用できます。
また、製品としての安定性が高く、メーカー保証も整っているため、設計士や施工業者からの信頼も厚い素材です。個性ある外観を演出したい方には、特におすすめです。
外壁塗装における塗り壁の仕上げ方法|外観を左右する重要ポイント
塗り壁は仕上げ方法によって表情が大きく変わるため、どのようなイメージに仕上げたいかを明確にしたうえで仕上げパターンを選ぶことが重要です。道具や塗り方の違いによって、同じ素材でもまったく異なる印象を与えることができます。
| 仕上げ方法 | 特徴 |
|---|---|
| コテ波仕上げ | 職人の手仕事による波打つような模様で柔らかさと動きを演出 |
| ハケ引き仕上げ | 筋目模様が特徴。ナチュラルかつ繊細な印象を与える仕上げ |
| 扇仕上げ | 扇形の模様が連続的に広がり、和風の風情を強調する仕上げ |
| スタッコ仕上げ | 厚塗りで凹凸を出し重厚感を演出。南欧風住宅に人気の仕上げ |
| スポンジローラー | やさしく自然な凹凸が出る。ナチュラルで暖かみのある風合い |
| ゴムローラー仕上げ | 細かな模様が均一に入り、高級感のある落ち着いた外観に |
| マーブル仕上げ | 大理石のような美しい模様。ツヤ感と立体感が印象的 |
| スクラッチ仕上げ | 専用の器具で引っかいたようなライン模様を出す個性的な仕上げ |
外壁塗装における塗り壁施工時の注意点と成功のコツ
塗り壁の施工は、他の外壁材に比べて技術と手間がかかるため、しっかりとした準備と信頼できる施工業者の選定が極めて重要です。以下に注意点と成功のポイントをまとめます。
業者選びは実績と職人力を重視
塗り壁施工は、職人の腕が仕上がりを大きく左右します。必ず過去の施工実績をチェックし、どのような塗り方が得意なのかを確認しましょう。塗り壁専門の左官職人がいる業者を選ぶのが理想です。
相見積もりで内容と価格を比較
2〜3社以上の見積もりを取り、価格の安さだけでなく、使用材料、下地処理の有無、仕上げ方法の明記、保証内容まで細かく比較することが重要です。
デザインの打ち合わせは念入りに
事前にカタログや色見本、仕上がりサンプルを確認し、イメージと相違がないかを確認します。施工前に色や模様をCGシミュレーションしてもらうと、より具体的に把握できます。
DIYは慎重に判断を
塗り壁用のDIYキットも販売されていますが、外壁への施工は非常に難易度が高く、失敗時のリスクも大きいため、基本的にはプロに依頼することを強くおすすめします。特に下地処理や防水処理は素人には難しい工程です。
塗り壁の外壁塗装費用の内訳とコストダウンのポイント
塗り壁工事の費用は、「使用する素材」「塗り方」「外壁の面積」「下地の状態」「施工の難易度」などによって大きく変動します。ここでは一般的な内訳と、費用を抑える工夫を紹介します。
| 項目 | 内容例 |
|---|---|
| 材料費 | 漆喰・珪藻土・ジョリパットなどの本体価格 |
| 人件費 | 職人の手作業費用(工法によって変動) |
| 足場代 | 仮設足場の設置・撤去費用 |
| 養生費 | 周辺部分の保護・シート張り |
| 諸経費 | 運搬・管理・産廃処理などの雑費 |
コストダウンのポイント
- 外壁塗装と屋根塗装を同時に依頼して足場費用を節約
- 使用素材のグレードを見直す(ジョリパット→モルタルなど)
- 地元の施工業者を選び、中間マージンをカット
- 火災保険・リフォーム補助金などの活用も検討
外壁塗装における塗り壁に関するよくある質問(FAQ)
Q
塗り壁の耐用年数はどのくらいですか?
A
素材や施工方法によりますが、おおむね10〜20年が目安です。塗り直しや補修でさらに延命可能です。
Q
ひび割れた場合はどうすれば?
A
表面だけの軽微なクラックであれば部分補修が可能ですが、下地まで影響するひび割れは専門業者に診断してもらいましょう。
Q
塗り壁の防水性は大丈夫?
A
モルタルやジョリパットは防水性が高いですが、漆喰や珪藻土は防水処理との併用が必要です。適切な下地処理とトップコートが重要です。
Q
マンションの外壁にも使える?
A
デザイン重視の物件では使われることもありますが、施工面積が大きくなる分、費用と工期が増加するため、予算に余裕がある場合に向いています。
Q
塗り壁は夏場に暑くならない?
A
漆喰や土壁は断熱性・遮熱性にも優れており、夏の直射日光による熱を和らげる効果が期待できます。
まとめ|塗り壁外壁で理想の住まいを実現
塗り壁外壁は、素材の風合い・職人の技・設計の工夫が融合した、世界にひとつだけの外観を実現できる贅沢な仕上げです。漆喰や珪藻土、モルタル、ジョリパットなど、素材ごとに特徴があるため、予算や建物の雰囲気に応じて最適なものを選びましょう。
施工費用やメンテナンス面での注意は必要ですが、それを上回る魅力と付加価値を住まいに与えてくれます。理想の住まいづくりに向けて、ぜひ塗り壁を選択肢の一つとしてご検討ください。