ビルのリノベーションを成功させる!建て替えの違いやメリット・費用相場を解説
2025/11/18
築年数が経過したビルをお持ちのオーナー様は、空室率の上昇や設備の老朽化、賃料の低下といった課題に直面されているのではないでしょうか。
こうした問題を解決する有効な手段として、近年注目を集めているのが「ビルのリノベーション」です。
建て替えと比較して約6割程度の費用で実施でき、既存の構造を活かしながら建物の機能性・デザイン性を大幅に向上させることができます。
しかし、「具体的にどれくらいの費用がかかるのか」「どんなメリット・デメリットがあるのか」「失敗しないためにはどうすればよいのか」といった疑問をお持ちの方も多いはずです。
本記事では、ビルのリノベーションの基礎知識から費用相場、成功事例まで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。
これからリノベーションを検討される方はもちろん、すでに計画を進めている方にも参考になる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
- ビルのリノベーションの定義と建て替えとの違い
- リノベーションによる資産価値向上や空室対策のメリット
- 構造的制約や追加費用などのデメリットと注意点
- 区分・一棟別の詳細な費用相場
- 築50年のビルや工期、用途変更に関するQ&A
目次
ビルのリノベーションとは?建て替えとの違いと基本知識
ビルのリノベーションを検討する前に、まずはその定義や建て替えとの違い、注目される背景について正しく理解しておくことが重要です。
ここでは、ビルのリノベーションと建て替えとの違いといった基本知識を解説します。
ビルのリノベーションの定義と目的
ビルのリノベーションとは、建物の骨組み(躯体)を残したまま、価値を再構築する工事です。
単なる修繕ではなく、時代に合わせた機能向上や用途変更により、資産価値の向上を図れることが大きな特徴です。
リノベーションの主な目的には、以下のようなものがあります。
- 機能性の向上:老朽化した設備を最新仕様へ更新
- 用途変更:住居 → 店舗、オフィス → ホテルなど
- デザイン性の向上:内外装を刷新し魅力的な空間に
- 資産価値の向上:テナント価値・収益性の向上
こうした取り組みにより、古いビルを現代ニーズに合った施設として再活用できます。
ビルのリノベーションと建て替えの違い
ビルのリノベーションと建て替えの違いは、既存の構造を活かすかどうかが最大のポイントです。
解体費用の有無や工期・コストに大きな差が生じます。
以下に、リノベーションと建て替えに違いを表でまとめました。
| 項目 | リノベーション | 建て替え |
|---|---|---|
| 既存躯体の活用 | する | しない |
| 初期費用 | 中程度 | 非常に高い |
| 解体・廃材処分費 | 不要または最小 | 必要 |
| 工期 | 短い | 長い |
| 設計自由度 | やや制限あり | 高い |
| 賃料収入の機会損失 | 少ない | 大きい |
工期短縮・コスト削減ができる一方で、構造制約により設計自由度が下がる点は理解しておく必要があります。
ビルのリノベーションが注目される背景
近年、ビルのリノベーションが注目を集めている背景には、いくつかの社会的要因があります。
まず、高度経済成長期に建てられた築40年以上のビルが増加しており、これらの建物は老朽化が進む一方で、好立地に位置しているケースが多く見られます。
建て替えには膨大なコストがかかるため、既存の資産を有効活用できるリノベーションが経済的に合理的な選択肢として選ばれています。
また、環境意識の高まりも大きな要因です。
建て替えに比べて廃材の排出量を大幅に削減できるリノベーションは、SDGsの観点からも評価されており、企業のブランドイメージ向上にも貢献します。
さらに、テナントや入居者のニーズが多様化する中で、用途変更を含めた柔軟な空間づくりが求められており、リノベーションはこうしたニーズに応える手段として有効なのです。
ビルのリノベーションにはどんなメリットがある?
ビルのリノベーションには、建て替えにはない以下のようなメリットがあります。
- 建て替えより費用を抑えられる
- 既存ビルの資産価値を向上させられる
- 間取りや用途変更で空室対策ができる
- 環境負荷を軽減できる
では、それぞれについて詳しくにていきましょう。
建て替えより費用を抑えられる
ビルのリノベーションの最大のメリットは、建て替えと比較して工事費用を大幅に抑えられる点です。
一般的に、リノベーションは建て替えの約6割程度の費用で実施できるとされています。
これは、既存の鉄筋コンクリート造の躯体部分をそのまま活用できるため、解体費用や廃材処分費、基礎工事費用などが不要になるためです。
例えば、延床面積500㎡のオフィスビルを建て替える場合、総工事費が1億円を超えるケースも珍しくありませんが、リノベーションであれば6,000万円前後で済む可能性があります。
初期投資を抑えることで、投資回収期間が短縮され、経営リスクの軽減にもつながります。
既存ビルの資産価値を向上させられる
リノベーションを実施することで、築年数が経過したビルでも資産価値を大きく向上させることが可能です。
外観デザインの刷新や最新設備の導入、快適な室内環境の整備により、競合物件との差別化が図れます。
その結果、賃料の引き上げや稼働率の改善が期待でき、中長期的な収益性の向上につながります。
また、耐震補強や省エネ改修を併せて実施すれば、建物の安全性や機能性が現行基準に適合し、テナントや入居者からの信頼も高まります。
不動産市場においても、適切にリノベーションされた物件は評価が高く、売却時の査定額にも良い影響を与えます。
間取りや用途変更で空室対策ができる
築年数が経過したビルは、建築当時の間取りや用途のままでは現代のニーズに合わず、空室率が高くなりがちです。
リノベーションでは、時代に合わせた間取り変更や用途転換が可能なため、効果的な空室対策が実現できます。
例えば、細かく仕切られた昔ながらのオフィスを、開放的なワンフロアのオープンオフィスに変更したり、住居として使われていた空間をカフェやコワーキングスペースに用途変更したりすることができます。
地域のニーズや市場動向を分析し、最適な用途に転換することで、入居率の向上と賃料収入の増加が期待できます。
環境負荷を軽減できる
ビルのリノベーションは、環境面でも大きなメリットをもたらします。
建て替えでは大量の廃材が発生し、その処分には多くのエネルギーとコストがかかります。
一方、リノベーションは既存の構造を活かすため、廃材の発生量を大幅に削減でき、環境負荷の低減につながります。
また、解体工事に伴う騒音や振動、粉塵なども最小限に抑えられるため、周辺環境への影響も少なくなります。
近年、企業の社会的責任(CSR)やESG投資が重視される中、環境に配慮したリノベーションを選択することは、企業イメージの向上にも寄与します。
ビルのリノベーションで気をつけるべきデメリット・注意点とは?
メリットが多いビルのリノベーションですが、デメリットや注意点として以下のようなものが挙げられます。
- 構造によっては間取りやデザインが制限される
- 建物の状態によっては追加費用がかかる
- 資金調達の難易度が高い
- 旧耐震基準のビルは耐震補強が必要
工事を成功させるためにも、どのようなに考慮すべきなのか把握しておきましょう。
構造によっては間取りやデザインが制限される
リノベーションでは既存の構造躯体を活かすため、建物の構造によっては設計の自由度が制限されるケースがあります。
特に壁式構造の建物では、室内の壁が建物を支える耐力壁となっているため、撤去ができず、大幅な間取り変更が困難です。
また、柱や梁の位置も変更できないため、理想とするレイアウトが実現できない可能性もあります。
さらに、防火地域に指定されている都心部のビルでは、窓や外装材に使用できる素材に制限があり、外観デザインの変更が難しい場合もあります。
事前に建物の構造を専門家に調査してもらい、希望するリノベーションプランが実現可能かどうかを確認することが重要です。
建物の状態によっては追加費用がかかる
築年数が古いビルをリノベーションする場合、当初の見積もりにはなかった追加費用が発生するリスクがあります。
工事を開始してから初めて発覚する躯体の劣化や、配管の腐食、雨漏りの痕跡などが見つかるケースは少なくありません。
特に1981年以前の旧耐震基準で建てられたビルでは、耐震補強工事が必要になることが多く、その分の費用が上乗せされます。
こうした予期せぬ事態に備えるためには、工事前に詳細な建物診断を実施し、劣化状況を正確に把握しておくことが不可欠です。
また、予算には10〜15%程度の予備費を確保しておくと安心です。
資金調達の難易度が高い
築年数が古いビルのリノベーションでは、金融機関からの融資を受けにくいという課題があります。
鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年とされており、築年数がこれに近いまたは超えている建物は、担保価値が低いと判断されるためです。
新築ビルの建設に比べて、融資審査が厳しく、希望する金額を借り入れできないケースも珍しくありません。
資金計画を立てる際には、複数の金融機関に相談し、リノベーション後の収益性をしっかりと示すことが重要です。
また、自己資金の比率を高めることで、融資審査が通りやすくなる場合もあります。
旧耐震基準のビルは耐震補強が必要
1981年6月1日以前に建築確認を受けた建物は、旧耐震基準で建てられているため、現行の耐震基準を満たしていない可能性が高いです。
旧耐震基準は震度5強程度の地震を想定していますが、新耐震基準では震度6強から7程度の大規模地震でも倒壊しないことが求められています。
そのため、旧耐震基準のビルをリノベーションする場合、耐震補強工事が必要になるケースが多く、その分の費用も考慮しなければなりません。
耐震補強の方法には、柱や梁の補強、耐震壁の増設、制震装置の設置などがあり、建物の状況に応じて適切な方法を選択する必要があります。
ビルのリノベーションの費用相場|区分・一棟別の詳細
ビルのリノベーションを計画する上で、最も気になるのが費用面です。
ここでは、区分リノベーションと一棟リノベーションそれぞれの費用相場について解説します。
ビルの区分リノベーションの費用相場
ビルの一部フロアや区分所有している専有部分のみをリノベーションする場合、用途によって費用相場が異なります。
以下は、用途別の費用相場(1㎡あたり)をまとめた表です。
| 用途 | 費用相場 |
|---|---|
| 住居 | 約15〜20万円/㎡ |
| 店舗 | 約10〜15万円/㎡ |
| オフィス | 約5〜20万円/㎡ |
住居へのリノベーションは、キッチンやユニットバス、トイレ、洗面台といった水回り設備が必要になるため、費用相場が高めになります。
店舗は内装の仕上げ方や必要な設備によって費用が変動し、飲食店の場合は厨房設備の導入でさらにコストが上がります。
オフィスは既存の用途から変更しない場合は比較的安価ですが、用途変更を伴う場合は高額になる傾向があります。
例えば、延床面積100㎡のオフィス空間をリノベーションする場合、500万円〜2,000万円が目安となります。
ビルの一棟リノベーションの費用相場
ビル一棟をまるごとリノベーションする場合、専有部分の工事費用に加えて、共用部分の改修費用も必要になります。
以下に、共用部分の主な工事と費用相場を表でまとめました。
| 工事内容 | 費用相場 |
|---|---|
| エレベーターリニューアル | 約400万円〜1,500万円 |
| 外壁塗装・屋上防水 | 約100万円〜1,000万円 |
| 給排水設備改修 | 約150万円〜300万円 |
| 空調設備交換 | 約300万円〜2,000万円 |
これらの費用はビルの規模や階数、設備の劣化状況によって大きく変動します。
築年数が古い場合、断熱改修や耐震補強も必要になることが多く、その場合はさらに数百万円から数千万円の費用が追加されます。
一棟リノベーションでは、工事の全体像を把握するために、必ず複数の専門業者から見積もりを取ることをおすすめします。
ビルのリノベーションは新東亜工業にお任せください
株式会社新東亜工業が行ったビルのリノベーションを、before/afterの写真で紹介します。
東京都新宿区のNビルにて、大規模修繕工事によるリノベーションを行いました。








塗装と防水工事を中心に美観・機能性を向上させることで、ビルとしての価値を上げることができました。
当社のリノベーション工事はお客様満足度98% ★★★★☆

- 仲介業者を介さない工事で余分な外注費をカットできる
- 確かな品質と施工スピードが強み
- お客様満足度脅威の98%
- 個人宅以外にマンションなどの大規模修繕にも対応
\\中間マージン0だから他社より安い//
ビルのリノベーションに関するよくある質問【FAQ】
ビルのリノベーションを検討する際に、多くの方が疑問に思う点について回答します。
簡潔にわかりやすく回答していますので、ぜひご覧ください。
Q
築50年のビルでもリノベーション可能ですか?
A
築50年のビルでも、構造躯体が良好であればリノベーションは十分可能です。
事前に建物診断を行い、コンクリートの中性化や鉄筋腐食、ひび割れなどを確認することが重要です。
鉄筋コンクリート造は適切に維持されていれば100年以上使用できるとされており、築50年なら再生可能性は高いといえます。
ただし、旧耐震基準の場合は耐震補強が必要となるため、追加費用を見込む必要があります。
Q
リノベーション中の営業はどうなりますか?
A
テナントが入るビルの場合、工事方法によって営業継続の可否が変わります。
フロアごとの段階的工事なら、一部営業を続けながら進められます。
また、夜間・休日工事で影響を抑える方法もあります。
ただし、設備更新や構造補強などの大規模工事では、一時的な全館休業が必要となる場合もあるため注意が必要です。
事前にテナントと契約内容や賃料調整、仮移転のサポートなどを協議しておくことが重要です。
Q
工期はどれくらいかかりますか?
A
ビルのリノベーション工期は規模によって大きく異なります。
区分リノベーションなら、100㎡程度で通常2〜3ヶ月が目安です。
一棟全体の場合は半年〜1年以上かかるケースもあります。
外壁工事や屋上防水、共用部改修を含む場合は足場の設置・撤去だけで数週間必要です。
また、耐震補強や用途変更が伴う場合は、申請手続きによりさらに工期が延びることがあります。
正確な期間は、事前の詳細スケジュール確認が不可欠です。
Q
用途変更に必要な手続きは?
A
ビルの用途変更には、建築基準法に基づく建築確認申請が必要です。
特に延床面積200㎡超の建物は申請が義務となり、オフィス→飲食店、住居→ホテルなどが該当します。
用途変更に伴い消防法・建築基準法の基準を満たす必要があり、排煙設備、防火区画、避難経路などの整備が求められることもあります。
また自治体ごとに独自の規制があるため、事前確認が重要です。
専門家に相談しながら手続きを進めるのが確実です。
まとめ
築年数が経過したビルでも、適切なリノベーションによって資産価値を大きく向上させることができます。
建て替えと比較して費用を約6割程度に抑えられる上、工期も短縮でき、環境負荷の軽減にもつながるため、経済的にも社会的にも合理的な選択肢です。
- 建て替えより約6割の費用で資産価値向上が可能
- 間取り・用途変更で空室対策と収益性改善を実現
- 旧耐震基準のビルは耐震補強が必須
- 区分リノベーションは5〜20万円/㎡が相場
- 実績豊富な施工業者選びが成功の鍵
本記事で紹介した費用相場や注意点を参考に、まずは信頼できる専門家に相談し、自社ビルに最適なリノベーション計画を立てることから始めてみてはいかがでしょうか。
適切な計画と実行によって、築古ビルは再び輝きを取り戻し、長期的な収益を生み出す資産へと生まれ変わることができるでしょう。