マンション1階の防水工事はなぜ重要?費用相場と部位別対策・階数による違いまで徹底解説
2025/12/04
マンションの防水工事というと、屋上や外壁のイメージが強いかもしれません。しかし実際には、マンションの1階こそ防水工事の重要度が非常に高い場所です。
建物の最下層に位置する1階は、地盤からの湿気、集中豪雨による床下浸水、共用廊下やベランダからの雨水侵入など、ほかの階とは異なる特有のリスクを抱えています。
こうした環境による劣化が進むと、雨漏り、カビ、シロアリ被害、さらには建物の基礎腐食にもつながる恐れがあるため、適切な防水工事が欠かせません。
この記事では、1階に防水工事が必要な理由や部位別のリスク、代表的な工法と費用相場、さらに階数の違いによる防水劣化の特徴まで、多角的にわかりやすく解説します。
マンション管理者・オーナー・入居者が知っておくべきポイントを丁寧にまとめました。
目次
マンション1階で防水工事が必要となる理由
1階の防水工事が必要となる理由は、地面との近さや排水構造の影響など、階数特有の環境リスクが大きく関係します。
ここでは、1階に生じやすい代表的な劣化要因を整理し、どのようなメカニズムで雨漏りや浸水が発生するのかを解説します。
1階で雨漏り・浸水・湿気が起きやすい主な原因
マンション1階では、以下のような理由から防水層の劣化や浸水被害が発生しやすくなります。
- 地盤からの湿気が床下にこもりやすい
- 集中豪雨で排水が追いつかず、ベランダ・廊下が冠水し浸水を招く
- 外壁基礎際や土間のひび割れから雨水が侵入
- 排水溝の詰まりや傾斜不良による水たまりの長期滞留
これらの症状を放置すると、カビや腐食、害虫の発生など健康被害につながるリスクもあります。
1階で防水工事が必要な主な箇所と理由
マンション1階には、防水工事が必要となる部位が複数存在します。それぞれの特徴を以下にまとめます。
ベランダ・バルコニー
外部に面しており、雨水や紫外線による影響を最も受けやすい部位です。防水層の劣化が進行すると、居室内部への雨漏りや建物内部の腐食につながる危険性があります。
共用廊下
共用廊下も外気に触れるため劣化が早く、排水不良が起きると床下へ浸水することがあります。ひび割れや排水溝周りの劣化は早期の補修が必要です。
浴室・トイレ・キッチンなどの水回り
専有部内部のため見落とされがちですが、配管の劣化や防水シートの破れが原因で階下(基礎部分)に漏水し、深刻な構造被害になることもあります。
床下・基礎部分
集中豪雨や排水不良により床下が浸水すると、カビ、害虫繁殖、基礎鉄筋の腐食などが生じます。マンションの寿命に直結する重大箇所です。
階数によって異なる防水工事のポイント|1階・中層階・最上階の違い
マンションは階数によって雨漏りや劣化の発生しやすい部位が異なります。
ここでは、1階・中層階・最上階を比較し、1階特有の「防水が必要になる理由」を明確にします。
| 階数 | 主な劣化箇所 | 主なリスク | 向いている工法 |
|---|---|---|---|
| 1階 | 基礎、床下、ベランダ、廊下 | 浸水・湿気・腐食 | ウレタン、シート、基礎補修 |
| 中層階 | サッシ、ベランダ | 下階漏水 | ウレタン、FRP |
| 最上階 | 屋上、笠木、立ち上がり | 雨漏り・室内浸水 | シート、ウレタン通気工法 |
1階の特徴|浸水・湿気・基礎腐食のリスクが最大
- 地面に最も近く、湿気の滞留が起きやすい
- ベランダ・廊下の排水不良が直接影響する
- 基礎コンクリートや立ち上がりのひび割れが漏水の原因に
中層階の特徴|サッシ周り・ベランダの局所劣化が中心
- 下階への漏水事故が多い
- 局所補修で対応できるケースが多い
- 全体的な浸水リスクは1階より低め
最上階の特徴|屋上防水の劣化が直接影響
- 直射日光の影響で防水層の劣化速度が速い
- 屋上の防水不良は最上階に最初に症状が現れる
- 工法選択や定期点検がより重要
マンション1階で採用される代表的な防水工法と費用相場
マンション1階での防水工事は、劣化状況や施工箇所によって採用される工法が異なります。
ここでは、代表的な工法と費用相場をわかりやすく紹介します。
防水工法別の費用相場一覧
| 防水工法 | 費用相場(1㎡あたり) | 耐用年数 | 主な適用箇所 |
|---|---|---|---|
| ウレタン防水 | 5,500〜8,000円 | 10〜15年 | ベランダ、共用廊下 |
| FRP防水 | 5,000〜10,000円 | 約10年 | ベランダ |
| シート防水 | 4,000〜8,000円 | 10〜15年 | 廊下、屋上 |
1階に向いている防水工法の特徴|ウレタン防水
ウレタン防水は液体状の材料を塗り重ねて防水層を形成するため、凹凸がある床面や複雑な立ち上がり部分でも均一に仕上がる柔軟性が特徴です。
1階のベランダや廊下は排水勾配が弱く水が滞留しやすい傾向がありますが、ウレタン防水であれば細部に密着して施工できるため、雨水トラブルを抑える効果が高い工法です。
既存の防水層を撤去せず重ね塗りできるケースも多く、工期短縮やコスト軽減にもつながります。
1階に向いている防水工法の特徴|FRP防水
FRP防水はガラス繊維を樹脂で強化してつくる防水層で、軽量ながら非常に高い強度と耐久性を持つ工法です。
歩行荷重に強いため、1階のベランダやサービススペースなど日常的に人が出入りする場所でも劣化しにくい点が大きなメリットです。
また硬化が早く、施工後すぐに歩行が可能なため工期を短縮でき、居住者への負担も少なく済みます。複雑な形状にも対応できますが、硬く伸縮性がないため、下地の動きが少ない部位に適しています。
1階に向いている防水工法の特徴|シート防水
シート防水は塩ビシートやゴムシートを貼る工法で、摩耗に強く、広く平らな1階共用廊下などと相性が良いのが特徴です。
耐久性に優れているため、外部環境の影響を受けやすい1階でも長期間性能を維持しやすく、歩行や荷物の移動が多い場所でも安定した防水効果を発揮します。
また施工時間が短く、臭いも少ないため居住者への負担が少ない点も大きなメリットです。
マンション1階の防水工事の流れ
マンション1階で防水工事を行う際は、劣化状況や施工箇所によって工程が細かく異なります。とはいえ、基本的な流れを知っておくことで、工事の必要性や見積もりの正当性を判断しやすくなります。
ここでは、一般的な防水工事の流れをわかりやすく整理し、1階ならではの注意点も合わせて解説します。
- STEP
現地調査(散水試験・赤外線・目視)
現地調査は、防水工事において最も重要な工程のひとつです。
雨漏りや浸水の原因は見た目だけでは判断できないことが多く、散水試験や赤外線カメラを使った調査で、水の侵入経路を正確に特定します。1階の場合は、基礎周りのクラックや排水不良、土間の浮きなど、地面との接触部分を重点的に確認します。原因箇所が誤っていると再発が起きやすいため、丁寧な調査が不可欠です。
- STEP
見積り・工事計画の作成
調査結果に基づき、工事範囲・工法・費用をまとめた見積りが作成されます。
1階では、ベランダや廊下などの外部だけでなく、基礎補修や床下の点検が必要となるケースも多く、工事項目が広がる傾向があります。
見積書には材料費・手間賃・下地補修費など細かい内訳が記載されているかを確認し、不明点は必ず質問しておきましょう。
- STEP
下地補修(ひび割れ・シーリング・不陸調整)
防水工事は、下地の状態が仕上がりに大きく影響します。ひび割れ補修、シーリングの打ち替え、不陸(凹凸)調整など、下地処理は欠かせない工程です。
特に1階では、基礎や土間のひび割れが浸水の原因となることが多いため、より丁寧な補修が求められます。
下地処理が不十分だと、新しい防水層が長持ちしません。 - STEP
防水層の施工(工法により異なる)
下地が整ったら、選択した工法に応じて防水材を施工します。
ウレタン防水では複数回の塗り重ね、FRP防水ではガラス繊維マットの積層、シート防水ではシートの敷設と溶着など、それぞれ施工方法が異なります。
1階のベランダや廊下では、排水方向の傾斜を調整しながら施工することが重要です。これにより雨水が適切に流れ、浸水トラブルを防ぎます。 - STEP
トップコート仕上げ
防水層そのものは紫外線に弱いため、保護のためにトップコートを塗布します。
トップコートを施すことで、防水層の寿命が延び、耐候性が向上します。
1階では外部の汚れが溜まりやすいため、汚れにくい色や機能性を選ぶこともポイントです。トップコートは5〜6年おきの再塗装が推奨されています。 - STEP
完了検査・引き渡し
施工後は仕上がり・排水の流れ・塗膜の厚みなどを確認する完了検査を行います。
異常がなければ工事完了となり、保証書が発行されます。保証内容や期間は業者によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
1階の場合は、施工後数日間は大雨時の状態もチェックし、排水の流れが適正かを確認するとよいでしょう。
マンション1階の防水工事は誰が負担する?専有部分と共用部分の確認
マンションで防水工事を行う際に誤解しやすいのが、費用負担の区分です。1階のベランダや廊下、基礎部などは基本的に共用部分に該当することが多く、管理組合の判断で実施します。
一方で浴室やキッチンなど専有部分の防水は、住戸所有者の負担となるケースが一般的です。トラブルを避けるためにも、管理規約を確認し、事前に管理会社へ相談しておくことが大切です。
| 区分 | 主な箇所 | 費用負担 | 防水工事が必要になる主な理由 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 共用部分 | ・ベランダ(避難経路兼用) ・共用廊下 ・基礎 ・外壁下端 | 管理組合が負担 | ・外部環境の影響を受けやすく劣化が早い ・雨水、湿気が建物全体に影響する | ・専有使用部分でも共用扱いの場合あり ・管理規約の定義が物件によって異なる |
| 専有部分 | ・浴室の防水パン ・トイレ ・キッチンなど水回り内部 ・室内サッシ周りのコーキング | 区分所有者が負担 | ・配管劣化や防水層の破損による階下漏水リスク ・内部設備の経年劣化 | ・高額修繕に発展するため早期対応が必須 |
| 判断が分かれやすい部分 | ・ベランダの床面と内側設備 ・排水溝(専有利用だが構造上は共用) | ケースにより異なる (要管理規約確認) | ・日常使用での破損なのか 構造部分の劣化なのかで責任区分が変わる | ・自己判断で工事するとトラブルの元 ・必ず管理会社へ事前相談 |
専有部分の漏水は階下や基礎部へ大きな影響を及ぼすため、早期の修繕が重要です。
マンション防水工事業者を選ぶポイント
業者選びは防水工事の品質を大きく左右します。特に1階は浸水リスクが高いため、原因特定力や施工技術が求められます。
信頼できる業者かどうかを判断するポイントを以下にまとめました。
マンション防水工事業者選びのポイント1.施工実績が豊富か
施工実績が多い業者は、さまざまな建物環境や劣化状況に対応してきた経験があるため、原因特定の精度が高く、工事内容の提案も的確です。
特に1階は複合的な要因で漏水が発生することが多いため、豊富な実績を持つ業者ほど適切な判断が期待できます。過去の事例写真や施工数を公開している会社は透明性も高く安心です。
マンション防水工事業者選びのポイント2.現地調査が丁寧か
丁寧な現地調査は、工事の成功を左右する最重要ポイントです。散水試験や赤外線カメラなど、専門的な機材を用いて侵入経路を多角的に分析できる業者は信頼度が高いといえます。
目視のみの調査では見逃すリスクがあるため、詳しい調査方法を説明してくれる会社を選ぶと安⼼です。
マンション防水工事業者選びのポイント3.見積書の内訳が明確か
見積書に材料費・施工費・下地補修費などが細かく記載されているかは、信頼できる業者かどうかを判断する重要な基準です。項目が曖昧な見積りは追加費用が発生しやすいため注意が必要です。
説明の丁寧さや質問への回答の明確さも業者の誠実さの判断材料になります。
マンション防水工事業者選びのポイント4.保証内容が適切か
工法や施工箇所に応じて適切な保証年数が設定されているかを必ず確認しましょう。保証があることで、万が一不具合が発生した際も安心して対応を依頼できます。
保証書をきちんと発行し、条件や範囲を明確に説明してくれる業者は信用度が高く、長期的なパートナーとして安心して任せられます。 工法や施工箇所に応じた保証年数が設定されているかも重要です。
マンション1階の防水工事でよくある質問(FAQ)
マンション1階の防水工事に関して寄せられる質問をまとめました。事前に把握しておくことで、安心して工事を進められます。
Q
1階だけの防水工事でも効果はありますか?
A
原因箇所が正しく特定されていれば、部分的な防水工事でも十分な効果があります。ただし、隣接部位や排水経路も合わせて確認することが大切です。
Q
工事期間はどれくらいですか?
A
施工範囲によりますが、ベランダや廊下など部分的な施工であれば数日〜1週間程度が目安です。
Q
住みながら工事できますか?
A
ベランダや廊下は通常、住みながら施工可能です。浴室の工事は一時的に利用制限が生じる場合があります。
Q
どれくらいの頻度で防水工事が必要ですか?
A
10年前後を目安に点検し、トップコートの再塗装や補修を行うことで防水層を長持ちさせることができます。
マンション1階の防水工事は建物を守る重要なメンテナンス|まとめ
マンション1階は浸水リスクが最も高いため、定期的な点検と適切な防水工事が欠かせません。以下のポイントを押さえておくと安心です。
- 1階は地面との距離が近く、湿気・浸水リスクが大きい
- ベランダ、廊下、水回り、基礎など防水すべき箇所が多い
- 工法選びは劣化状況に応じて判断することが重要
- 専有・共用部分の区分を確認し、費用負担を明確にする
- 信頼できる業者選びが長期的な安心につながる
早期の対策と定期的なメンテナンスにより、マンション全体の寿命を延ばし、快適な居住環境を維持することができます。