賃貸物件の小規模修繕とは?費用相場から負担区分・トラブル回避・会社の選び方まで解説
2025/12/04
賃貸物件を運営するオーナー様にとって、建物の維持管理は避けて通れない重要な課題です。
特に「小規模修繕」は、日常的に発生するメンテナンス業務であり、適切に対応することで入居者満足度の向上や資産価値の維持につながります。
しかし、「どこまでが貸主の負担なのか」「費用相場はどれくらいか」「トラブルを防ぐにはどうすればよいか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、賃貸マンション・アパートにおける小規模修繕の基本から、費用相場、貸主と借主の責任区分、よくあるトラブル事例と対処法まで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。
株式会社新東亜工業の豊富な施工経験をもとに、現場で培ったノウハウもお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
賃貸物件における小規模修繕とは?基本的な定義と範囲
賃貸経営において、建物の状態を良好に保つための修繕は欠かせません。
まずは小規模修繕の定義と、混同されやすい「大規模修繕」や「原状回復」との違いを明確にしておきましょう。
小規模修繕の定義と大規模修繕との違い
小規模修繕とは、建物の一部分や設備に対して行う比較的軽微な補修・修理工事を指します。
具体的には、壁紙の張り替え、水栓の交換、ドアの建て付け調整、給湯器の部品交換など、建物全体に及ばない局所的な修繕が該当します。
一方、大規模修繕は、外壁塗装、屋上防水、共用部の全面改修など、建物全体の機能や美観を回復させるための大がかりな工事です。
費用規模も小規模修繕は数万円から数十万円程度に対し、大規模修繕は数百万円から数千万円に及ぶことが一般的です。
修繕の規模と内容を正しく理解することで、適切な予算計画と対応が可能になります。
▶賃貸物件の中規模修繕とは?費用相場・周期・会社・オーナーの義務を徹底解説
▶賃貸物件の大規模修繕工事とは?オーナーが知るべき費用相場・周期・トラブル回避法を解説
賃貸マンション・アパートで発生しやすい小規模修繕の具体例
賃貸マンション・アパートの運営において、日常的に発生する小規模修繕には次のようなものがあります。
- 壁紙(クロス)の部分的な剥がれや汚れの補修
- フローリングやクッションフロアの傷・へこみの修理
- 水道蛇口のパッキン交換や水漏れ修理
- 給湯器の不具合対応や部品交換
- ドアノブ、蝶番の交換や建て付け調整
- 照明器具の交換や電気設備の軽微な修理
- 網戸の破れ補修や窓の開閉不良の調整
- 換気扇やエアコンのクリーニング・部品交換
これらの修繕は、放置すると入居者の生活に支障をきたすだけでなく、退去の原因にもなりかねません。
早期発見・早期対応が、長期的なコスト削減にもつながります。
▶賃貸マンション小規模修繕とは?費用相場・負担区分・会社選びまで解説
原状回復との違いを正しく理解する
小規模修繕と混同されやすいのが「原状回復」です。原状回復は、入居者が退去する際に、入居時の状態に戻すために行う修繕を指します。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常の使用による経年劣化や自然損耗は貸主負担、入居者の故意・過失による損傷は借主負担と明確に区分されています。
一方、小規模修繕は入居中に発生する維持管理のための工事であり、基本的には民法第606条に基づき貸主が修繕義務を負います。
この違いを理解せずに対応すると、退去時の費用請求でトラブルに発展する可能性があるため、契約書や重要事項説明書で明確に定めておくことが重要です。
賃貸物件の小規模修繕費用の負担は誰が行う?貸主と借主の責任区分
修繕費用の負担区分は、賃貸経営における最も重要なポイントの一つです。
法律の原則と実務上の運用を正しく理解しておきましょう。
民法に基づく修繕義務の原則
民法第606条第1項では、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と規定されています。
これは、建物や設備が正常に使用できる状態を維持する責任は、原則として貸主にあることを意味します。
ただし、同項のただし書きでは「賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない」とされており、入居者の過失による損傷については貸主の修繕義務が免除されます。
この法律の原則を踏まえたうえで、実務では契約書に特約を設けることで、一定範囲の小規模修繕を借主負担とすることも可能です。
ただし、特約が有効となるには、消費者契約法や借地借家法の趣旨に反しない合理的な内容である必要があります。
貸主(オーナー)が負担すべき修繕の範囲
貸主が負担すべき修繕は、建物の基本的な機能を維持するために必要なものです。
具体的には次のような修繕が該当します。
- 経年劣化による給排水管の詰まりや漏水
- 給湯器やエアコンなど設備機器の故障(通常使用の範囲内)
- 建物の構造部分(柱、梁、屋根など)の不具合
- 雨漏りや外壁のひび割れ
- 共用部分の照明や設備の故障
- 鍵の経年劣化による不具合
- 窓やドアの建て付け不良(通常使用による劣化)
これらは入居者が通常の使い方をしていても発生する劣化であり、貸主の責任において修繕を行う必要があります。迅速な対応は入居者との信頼関係構築にも直結します。
借主(入居者)が負担すべき修繕のケース
一方、借主が修繕費用を負担すべきケースは、故意または過失による損傷や、日常的な軽微なメンテナンスが中心です。
- 家具の移動や物のぶつけによる壁や床の傷・穴
- タバコのヤニによる壁紙の変色や臭いの付着
- ペット飼育による引っかき傷や臭いの染みつき
- 清掃・手入れ不足による水回りのカビやサビ
- 電球や蛍光灯の交換
- 鍵の紛失による交換費用
- 不適切な使用による設備の故障
国土交通省のガイドラインでも、通常の生活を超える使用による損耗は借主負担とされています。
ただし、実際の費用請求時には経過年数による減価償却も考慮する必要があります。
特約で定める小規模修繕の取り扱い
東京都住宅政策本部が公表する「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」では、一定の条件下で小規模修繕を借主負担とする特約を認めています。特約が有効となるための要件は以下の通りです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 明確性 | 修繕の範囲と費用負担を具体的に明示する |
| 合理性 | 借主に過度な負担を強いる内容でないこと |
| 説明義務 | 契約時に重要事項説明書で十分に説明する |
| 任意性 | 借主の自由な意思に基づく合意であること |
特約を設ける場合は、「電球交換や消耗品の交換は借主負担」など、具体的な項目を列挙することで、後々のトラブルを防ぐことができます。
賃貸物件の小規模修繕にかかる費用相場
修繕費用の目安を把握しておくことは、予算計画を立てるうえで非常に重要です。
物件の規模や築年数によって変動しますが、一般的な相場をご紹介します。
マンション・アパート別の修繕費用目安
賃貸物件の小規模修繕費用は、物件の規模や構造によって大きく異なります。
20戸程度の中規模アパートの場合、年間の小規模修繕費用として150万円~200万円程度を見込んでおくと安心です。
内訳としては、内装関係が約80万円、設備関係が約50万円、外装・共用部が約20万円といった配分が一般的です。
マンションの場合は、RC造で耐久性が高いため、木造アパートと比較すると修繕頻度は低くなる傾向にありますが、1回あたりの修繕単価は高くなることがあります。
築年数が進むほど修繕頻度と費用は増加するため、築10年を超えたら年間予算を1.5倍程度に引き上げることをおすすめします。
箇所別の修繕費用相場一覧
実際の修繕現場でよく発生する工事内容と、その費用相場を一覧でご紹介します。
| 修繕箇所 | 工事内容 | 費用相場 |
|---|---|---|
| 壁紙(クロス) | 6畳間の全面張替え | 3万円~5万円 |
| フローリング | 6畳間の全面張替え | 8万円~12万円 |
| クッションフロア | キッチン・洗面所の張替え | 3万円~5万円 |
| 水栓(蛇口) | キッチン用水栓の交換 | 2万円~4万円 |
| 給湯器 | 壁掛け式給湯器の交換 | 10万円~20万円 |
| エアコン | 6畳用エアコンの交換 | 7万円~12万円 |
| ドア・建具 | 室内ドアの交換 | 5万円~8万円 |
| 鍵 | 玄関鍵のシリンダー交換 | 1.5万円~3万円 |
これらの費用はあくまで目安であり、物件の立地や施工業者、使用する部材のグレードによって変動します。
複数の業者から見積もりを取得し、適正価格を見極めることが大切です。
修繕費用を抑えるためのポイント
修繕費用を適正に管理し、無駄なコストを削減するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
定期点検による早期発見
不具合の兆候を早期に発見することで、大規模な修繕に発展する前に対処できます。
年1~2回の定期点検を習慣化することで、長期的なコスト削減につながります。
空室期間の有効活用
退去から次の入居までの空室期間に集中して修繕を行うことで、入居中の修繕に比べて作業効率が上がり、工期短縮によるコスト削減が可能です。
信頼できる業者との長期関係構築
特定の修繕会社と継続的な取引関係を築くことで、価格交渉がしやすくなり、緊急時の対応もスムーズになります。
修繕履歴の記録と分析
過去の修繕内容と費用を記録しておくことで、適正価格の判断材料となり、次回以降の予算計画にも活用できます。
賃貸物件の小規模修繕で起こりやすいトラブル事例と対処法
実際の賃貸経営の現場では、さまざまなトラブルが発生します。
事前に典型的な事例を知っておくことで、適切な対応が可能になります。
入居者が無断で修繕を行ったケース
あるアパートで、入居者が水道の蛇口から水漏れを発見した際、貸主への連絡をせずに独自に業者を手配して修理を行いました。
修理後、入居者は請求書を貸主に提出しましたが、「事前承諾がなかった」という理由で貸主が費用負担を拒否し、トラブルに発展しました。
民法第615条では、賃借人は修繕が必要な状態を遅滞なく賃貸人に通知する義務があります。
入居者による無断修繕は、この通知義務に違反する行為であり、たとえ必要な修繕であっても、事後的な費用請求が認められないケースがあります。
このようなトラブルを防ぐには、契約書に「修繕が必要な場合は必ず事前に連絡すること」を明記し、入居時の説明でも強調しておくことが重要です。
貸主の修繕対応が遅れて不満が生じた事例
別のマンションでは、入居者が給湯器の不調を報告したにもかかわらず、貸主の対応が2週間以上遅れたことで、入居者から強いクレームを受けました。
冬季にお湯が使えない状態が続いたことで、入居者の生活に大きな支障が生じ、最終的には賃料減額請求にまで発展しました。
民法第611条第1項では、賃貸物の一部が使用できなくなった場合、使用不能の程度に応じて賃料の減額請求が認められています。
修繕対応の遅延は、入居者の権利を侵害するだけでなく、物件の評判低下にもつながります。
修繕依頼を受けたら、遅くとも24時間以内に初動対応の連絡を入れることが信頼関係維持の基本です。
即座に修繕できない場合でも、対応予定や見通しを丁寧に説明することで、入居者の不安を軽減できます。
費用負担をめぐる紛争とその解決方法
クロスの張替え費用をめぐって、貸主と借主が対立したケースがあります。
契約書に修繕費の負担区分が明記されていなかったため、退去時に貸主が全額請求したところ、借主は「経年劣化であり貸主負担」と主張しました。
最終的には、国土交通省のガイドラインに基づき、借主に過失がないと判断され、貸主が全額負担することになりました。
このような紛争を防ぐには、契約書や重要事項説明書に「具体的な事例に基づいた修繕負担の区分」を明記することが不可欠です。
また、入居時と退去時には必ず室内の写真撮影を行い、証拠として記録を残しておくことで、後々の争いを未然に防ぐことができます。
告知義務に関連するトラブルと注意点
大規模修繕工事の予定があるにもかかわらず、契約時にその説明がなかったため、入居後に騒音や工事の不便さから入居者が早期退去を求めたケースもあります。
判例では、「大規模修繕工事の施工が具体的に計画されている場合には、その旨を説明すべき信義則上の義務を負う」とされています。
小規模修繕の場合も、入居者の生活に一定期間影響を及ぼす可能性がある工事については、事前に十分な説明を行うことが望ましいです。
工事の内容、期間、影響範囲を書面で通知し、必要に応じて説明会を開催するなど、透明性の高い対応を心がけましょう。
賃貸物件オーナーが知っておくべき小規模修繕の進め方
トラブルを未然に防ぎ、効率的に修繕を進めるためには、体系的なプロセスを構築することが重要です。
実務に役立つステップをご紹介します。
定期点検と修繕計画の立て方
賃貸物件の資産価値を維持するには、計画的な点検と修繕が欠かせません。
年1~2回の定期点検を実施し、建物の状態を把握することから始めましょう。
点検項目は、外装(外壁、屋根、雨樋)、共用部(階段、廊下、照明)、設備(給排水、電気、ガス)、専有部(入居者協力のもと可能な範囲で)に分けて、チェックリストを作成すると漏れがありません。
点検結果をもとに、緊急度の高いものから優先順位をつけて修繕計画を立てます。
築年数や過去の修繕履歴も参考にしながら、中長期的な視点で予算を組むことで、突発的な大きな出費を避けることができます。
信頼できる修繕会社の選び方
修繕業者の選定は、工事の品質とコストを左右する重要なポイントです。
業者選定時には、以下の観点で総合的に判断しましょう。
- 施工実績と専門性:賃貸物件の修繕経験が豊富で、該当する工事の実績がある業者を選ぶ
- 建設業許可の取得:一定規模以上の工事には許可が必要であり、信頼性の証となる
- 見積もりの透明性:工事内容、単価、材料費などが明確に記載されているか確認する
- 保証内容とアフターフォロー:工事後の保証期間や不具合時の対応体制を確認する
- 対応の迅速性:緊急時の連絡体制や初動対応のスピードを事前に確認する
- 地域密着性:地元で長く営業している業者は、緊急時の対応がスムーズ
複数の業者から相見積もりを取ることは基本ですが、価格だけで判断せず、技術力や信頼性も重視してください。
入居者への適切な説明と配慮
修繕工事を円滑に進めるには、入居者への丁寧な説明と配慮が不可欠です。
工事の実施が決まったら、最低でも1週間前には書面で通知し、工事内容、日程、時間帯、影響範囲を明確に伝えましょう。
特に室内への立ち入りが必要な場合は、事前に日程調整を行い、入居者の都合を最優先します。
工事中は騒音や振動、臭いが発生する可能性があることも正直に伝え、生活への影響を最小限に抑える配慮を示すことで、理解と協力を得やすくなります。
工事完了後には、簡単な報告と感謝の言葉を添えることで、良好な関係を維持できます。
契約書での修繕範囲の明確化
トラブルを未然に防ぐ最も効果的な方法は、契約書に修繕範囲と費用負担を明確に記載することです。
以下のような項目を具体的に定めておきましょう。
| 記載項目 | 記載例 |
|---|---|
| 貸主負担の修繕 | ・給排水設備の故障 ・給湯器の交換 ・建物構造部の不具合など |
| 借主負担の修繕 | ・電球・蛍光灯の交換 ・鍵の紛失 ・故意・過失による損傷など |
| 小規模修繕の特約 | ・1件あたり1万円以下の修繕は借主負担 (ただし経年劣化を除く) |
| 通知義務 | ・修繕が必要な状態を発見した場合、速やかに貸主に通知すること |
| 無断修繕の禁止 | ・借主は貸主の承諾なく修繕を行ってはならない |
これらの内容を契約書に盛り込み、重要事項説明の際に口頭でも丁寧に説明することで、双方の認識のズレを防ぐことができます。
小規模修繕の実施期間と適切なタイミング
修繕を行うタイミングは、工事の効率性と入居者への影響の両面から慎重に検討する必要があります。
最適な時期を見極めることで、コストと満足度の両立が可能です。
築年数別の修繕タイミング目安
建物の築年数によって、修繕が必要となる箇所と頻度は変化します。
一般的な目安は以下の通りです。
- 築5年未満:設備の初期不良対応や軽微な調整が中心
- 築5~10年:壁紙の部分張替え、水栓のパッキン交換、ドア建て付け調整など
- 築10~15年:給湯器・エアコンの更新、床材の張替え、設備の部品交換が本格化
- 築15~20年:内装の全面リフォームや配管の交換など、やや大規模な工事が必要に
- 築20年以上:設備の総入れ替えや構造部分の点検・補修が重要に
ただし、これらはあくまで目安であり、物件の使用状況や立地環境によって前後します。
定期点検の結果を優先し、実際の劣化状況に応じた柔軟な対応を心がけてください。
空室期間を活用した効率的な修繕計画
入居者の退去から次の入居までの空室期間は、修繕を行う絶好のタイミングです。
この期間に原状回復と小規模修繕を同時に実施することで、作業効率の向上とコスト削減が実現できます。
具体的には、壁紙の全面張替え、フローリングの補修、設備機器の交換などをまとめて行うことで、業者の出入り回数を減らし、工期短縮につながります。
また、入居者がいない状態での作業は、騒音や作業時間の制約がないため、施工品質も向上します。
退去の連絡を受けたら、速やかに現地確認を行い、必要な修繕をリストアップして、早期に見積もりと発注を進めることが、空室期間の短縮にもつながります。
入居中の修繕における注意事項
やむを得ず入居中に修繕を行う場合は、入居者の生活への配慮が最優先です。
工事日程は入居者と十分に相談し、平日の日中など、在宅時間を避けるよう調整します。
水道やガスの一時停止が必要な場合は、事前に詳細な時間帯を伝え、代替手段があれば提案します。
工事業者には、入居者への挨拶と丁寧な対応を徹底するよう指示し、養生や清掃も確実に行わせます。
工事完了後は、入居者に仕上がりを確認してもらい、不具合があればすぐに対応する姿勢を示すことで、信頼関係を維持できます。
賃貸物件の小規模修繕に関するよくある質問(FAQ)
賃貸経営の現場でよく寄せられる質問とその回答をまとめました。実務の参考にしてください。
Q
小規模修繕の費用は経費として計上できますか?
A
はい、原則として小規模修繕の費用は「修繕費」として経費計上が可能です。
壁紙の張替え、水栓の交換、給湯器の修理など、現状維持や原状回復を目的とした支出は、発生した年度の経費として処理できます。
ただし、物件の機能を大幅に向上させる工事(例:システムキッチンへの全面入れ替え、バスルームの新設)は「資本的支出」として資産計上され、減価償却により数年かけて経費化されます。
判断が難しい場合は、税理士に相談することをおすすめします。
Q
契約書に修繕の記載がない場合はどうなりますか?
A
契約書に修繕負担の記載がない場合でも、民法および国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいて判断されます。
基本的には、経年劣化や通常使用による損耗は貸主負担、故意・過失による損傷は借主負担という原則が適用されます。
ただし、契約書に明記がないことでトラブルになりやすいため、次回の契約更新時や新規契約時には、必ず具体的な内容を盛り込むようにしましょう。
Q
入居者から修繕要請があった場合の対応期限は?
A
法律上、明確な対応期限は定められていませんが、実務上は24~48時間以内に初動対応の連絡を入れることが望ましいとされています。
特に水漏れや給湯器の故障など、生活に直結する不具合については、緊急対応が求められます。
すぐに修繕できない場合でも、状況確認の連絡や対応予定を伝えることで、入居者の不安を軽減できます。
対応が遅れると、賃料減額請求や信頼関係の悪化につながる可能性があるため、迅速な初動が重要です。
Q
管理会社に修繕を任せる場合の注意点は?
A
管理会社に修繕を委託する場合は、委託範囲と費用負担の上限を明確に契約書で定めておきましょう。
「〇万円以下の修繕は管理会社の判断で実施可能」といった基準を設けることで、緊急時の対応がスムーズになります。
また、定期的に修繕履歴と費用の報告を受け、適正価格で施工されているか確認することも大切です。
管理会社が提携する業者だけでなく、必要に応じて相見積もりを取るよう依頼することで、コスト管理が適切に行えます。
まとめ
賃貸物件における小規模修繕は、建物の機能維持と入居者満足度向上のために欠かせない重要な業務です。
本記事でご紹介したように、民法や国土交通省のガイドラインに基づく正確な知識を持ち、貸主と借主の責任区分を明確にすることが、トラブル回避の第一歩となります。
費用相場を把握し、信頼できる業者と長期的な関係を築くことで、適正価格での修繕が可能になります。
また、定期点検による早期発見・早期対応は、長期的なコスト削減と資産価値の維持につながります。
契約書への明確な記載、入居者への丁寧な説明、迅速な初動対応といった基本を徹底することで、入居者との信頼関係を構築し、安定した賃貸経営を実現できます。
小規模修繕は単なる「コスト」ではなく、物件の競争力を高め、長期的な収益を支える「投資」として捉え、戦略的に取り組んでいきましょう。