防水工事の流れを7ステップで解説!現地調査から完了までの全工程と失敗しないポイントをご紹介
2025/12/12
マンションやビルの屋上、ベランダに施される防水工事。建物を水や湿気から守る重要な工事ですが、「見積もりを取ったら工事が始まるだけ」と思っていませんか。
実は防水工事には、現地調査から引き渡しまで複数の工程があり、それぞれが建物の耐久性を左右する重要なステップなのです。
各工程には明確な意味があり、手を抜けば後々大きなトラブルにつながりかねません。
この記事では、防水工事を検討中の方が工程の全体像をしっかりと理解し、業者とのやり取りをスムーズに進めるための知識を整理していきます。
事前に正しい流れを把握しておくことで、トラブルの予防だけでなく、工事に対する納得感も大きく高まるはずです。
信頼できる施工を実現するために、まずは防水工事の流れを一緒に見ていきましょう。
- 【ステップ1】現地調査と見積もり|建物の状態を確認し、最適な工法を提案
- 【ステップ2】契約と工事準備|保証内容の確認、資材搬入、近隣への挨拶
- 【ステップ3】下地処理|高圧洗浄、ひび割れ補修、既存防水層の処理
- 【ステップ4】防水材の施工|プライマー塗布、防水層の形成
- 【ステップ5】仕上げと乾燥|トップコート塗布、十分な乾燥時間の確保
- 【ステップ6】最終検査と確認|施工品質のチェック、写真記録の作成
- 【ステップ7】引き渡しと保証|完了報告書と保証書の受け取り、アフターフォロー
費用や工法の種類・流れ・業者の選び方など、防水工事の基礎知識はこちらの記事にまとめています。本記事を読む前にざっと目を通しておくと、より理解が深まります。
目次
防水工事の流れ・施工手順を理解する重要性
防水工事は、単に「防水材を塗って終わり」という単純な作業ではありません。
建物の状態を正確に把握する調査から始まり、丁寧な下地処理、適切な材料選定、施工、検査、そして引き渡しまで、一連の流れが組み合わさって初めて確かな防水性能が実現します。
全体の流れを理解することには、大きく3つのメリットがあります。
- 業者とのコミュニケーションが円滑になる
- 手抜き工事を見抜きやすくなる
- 工事全体への納得感が高まる
各工程で何が行われるのかを知っていれば、疑問点をその場で確認でき、「言った言わない」のトラブルを防げます。
また、本来必要な工程が省略されていないか、適切な材料が使われているかを判断する目を持てるようになります。
なぜその工程が必要なのかを理解していれば、費用や工期に対する不安も軽減されます。
防水工事は建物を長期間守るための投資です。その投資を最大限に活かすためには、依頼する側も基本的な流れを理解しておくことが欠かせません。
次のセクションから、7つのステップに分けて防水工事の流れを詳しく解説していきます。
【ステップ1】現地調査と見積もり|防水工事の流れ
防水工事の第一歩は、必ず現地調査から始まります。
この段階で建物の状態を正確に把握し、最適な工法や材料を選定するための重要な情報を集めます。
現地調査で確認される主な項目
現地調査では、専門の技術者が建物の防水箇所を細かくチェックします。
具体的には、既存防水層の劣化状況、ひび割れの有無や深さ、水たまりができやすい箇所、排水設備の状態などを目視や打診によって確認します。
特に屋上やベランダでは、勾配の取り方が適切かどうかも重要なチェックポイントです。勾配が不十分だと雨水が溜まりやすくなり、防水層への負担が大きくなります。
また、既存の防水層がどの工法で施工されているか、何層になっているかなども確認します。
この調査を適当に済ませる業者は要注意です。丁寧な調査を行う業者ほど、後の施工品質も信頼できる傾向があります。
調査時には、できるだけ立ち会って、気になる箇所を直接伝えることをおすすめします。
見積もり書で必ずチェックすべきポイント
現地調査を終えると、業者から見積もり書が提示されます。
この見積もり書の内容をしっかり確認することが、後のトラブルを防ぐ鍵となります。
見積もり書には、以下の項目が明確に記載されているかチェックしましょう。
- 採用する防水工法(ウレタン防水、シート防水など)
- 使用する材料の種類とメーカー名
- 施工範囲(平方メートル単位での記載)
- 各工程の詳細(下地処理、防水層施工、トップコート塗布など)
- 工期(開始日と完了予定日)
- 保証内容(保証年数と保証範囲)
ここで注意したいのが、「一式」という表記が多すぎる見積もりです。
「防水工事一式 〇〇万円」のように詳細が不明確な見積もりは、後から追加費用が発生するリスクがあります。
不明な点があれば、遠慮せずその場で質問し、納得できる説明を受けることが大切です。
複数社から相見積もりを取る際の比較ポイント
防水工事では、複数の業者から見積もりを取ることが一般的です。
ただし、単純に価格だけで比較するのは危険です。安すぎる見積もりには、工程の省略や材料のグレードダウンが隠れている可能性があります。
相見積もりを比較する際は、以下の観点を重視しましょう。
| 比較項目 | チェックポイント |
|---|---|
| 工程説明の丁寧さ | 各工程の必要性をわかりやすく説明してくれるか |
| 材料の品質 | 使用する材料のグレードと耐用年数が明記されているか |
| 保証内容 | 保証年数だけでなく、保証対象範囲が明確か |
| 施工実績 | 同規模・同工法の施工実績が豊富か |
| アフターフォロー | 定期点検などのメンテナンス体制があるか |
価格差が大きい場合は、その理由を各業者に確認することをおすすめします。
納得できる説明をしてくれる業者こそ、信頼に値するパートナーといえるでしょう。
【ステップ2】契約と工事準備|防水工事の流れで見落としがちな段階
見積もり内容に納得し契約を結んだら、いよいよ工事準備の段階に入ります。
この段階は地味に見えますが、工事の円滑な進行と近隣トラブルの予防に欠かせない重要なステップです。
契約時に確認すべき重要事項
契約書にサインする前に、必ず確認しておきたい項目があります。特に保証内容は、工事完了後のトラブルに直結する重要事項です。
保証年数だけでなく、どのような不具合が保証対象になるのか、無償対応と有償対応の線引きはどこにあるのかを明確にしておきましょう。
また、工期延長時の対応も確認が必要です。防水工事は天候に左右されやすい工事です。
雨天が続いた場合の工期延長について、どのような連絡体制をとるのか、追加費用は発生するのかを事前に取り決めておくと安心です。
さらに、アフターフォロー体制も重要なポイントです。
定期点検の有無、不具合発生時の連絡先、対応スピードなどを確認しておくことで、工事後も安心して建物を維持できます。
工事前の準備作業の内容
まず、資材や工具の搬入が行われます。防水材料は重量があるため、搬入経路の確保や保管場所の設定が必要です。
屋上や高所での作業となる場合は、足場の設置が必要になることもあります。足場は作業員の安全確保だけでなく、施工品質を高めるためにも重要な設備です。
しっかりとした足場が組まれているかは、業者の安全意識を測る指標にもなります。
また、施工箇所周辺の養生作業も行われます。防水材が飛散しないよう、周辺の設備や植栽をビニールシートで保護します。
さらに、マンションやビルの場合は、近隣への挨拶も欠かせません。工事の日程や作業内容、騒音が発生する時間帯などを事前に周知することで、トラブルを未然に防ぎます。
信頼できる業者は、こうした準備段階も丁寧に行います。準備作業の様子を見ることで、業者の姿勢を改めて確認できるでしょう。
【ステップ3】下地処理|防水工事の流れで最も重要な基礎工程
防水工事において、下地処理は最も重要な工程といっても過言ではありません。
どんなに高品質な防水材を使っても、下地が整っていなければ本来の性能は発揮されず、早期劣化の原因となります。
高圧洗浄による汚れの除去
下地処理の第一歩は、高圧洗浄による清掃です。屋上やベランダの表面には、長年の間に砂やホコリ、コケ、油分などが蓄積しています。
これらの汚れが残ったまま防水材を施工すると、接着力が著しく低下してしまいます。
高圧洗浄では、100気圧以上の水圧で汚れを徹底的に吹き飛ばします。
特にコケや藻が生えている箇所は、根までしっかりと除去する必要があります。洗浄後は十分に乾燥させてから次の工程に進むため、天候の影響を受けやすい工程でもあります。
この工程を省略したり、手抜きしたりする業者は避けるべきです。清掃の丁寧さが、防水工事全体の品質を左右すると考えてください。
ひび割れや欠損部分の補修
高圧洗浄で表面をきれいにした後は、ひび割れや欠損部分の補修を行います。
コンクリート下地には、経年劣化や構造的な動きによってひび割れ(クラック)が発生していることが多くあります。
浅いひび割れには専用のシール材を充填し、深いクラックには低圧注入工法などで補修します。
また、凹凸が激しい箇所は、モルタルやセメントで平らに整える不陸調整を行います。この作業を怠ると、防水層に厚い部分と薄い部分ができてしまい、薄い箇所から劣化が進行します。
補修材が完全に硬化するまでには時間がかかるため、この工程でも天候や気温の影響を受けます。焦らず、しっかりと乾燥・硬化させることが重要です。
既存防水層の処理方法
改修工事の場合、既存の防水層をどう処理するかも重要な判断ポイントです。主に2つの方法があります。
| 項目 | 撤去工法 | 被せ工法 |
|---|---|---|
| 概要 | 既存の防水層を完全に撤去し、新しい層を施工 | 既存の防水層の上に新しい防水層を追加施工 |
| 施工手順 | 既存層を完全に剥がしてから新しい層を施工 | 既存層の上に直接防水層を重ねて施工 |
| 工期 | 長期間 (数日~数週間) | 短期間 (数日~1週間程度) |
| コスト | 高め (撤去作業が必要なため) | 比較的安価 (撤去が不要) |
| 耐久性 | 高い (既存層の問題が完全に解決される) | 既存層の劣化が残る可能性あり |
| 施工時の影響 | 既存防水層を撤去するため、大きな影響あり | 既存層を残すため、影響が少ない |
| 適用例 | 既存防水層が劣化している場合 | 既存防水層が軽度の劣化にとどまる場合 |
撤去工法は、既存の防水層を完全に撤去してから新しい防水層を施工する方法です。
下地の状態を直接確認できるため、確実性が高い反面、撤去作業に時間とコストがかかります。また、廃材処理費用も発生します。
かぶせ工法は、既存の防水層の上から新しい防水層を重ねる方法です。
撤去の手間が省けるため工期が短く、コストも抑えられます。ただし、既存防水層の劣化状態によっては選択できない場合もあります。
どちらの工法が適切かは、建物の状態や予算によって異なります。業者が提案する工法について、その理由をしっかりと説明してもらうことが大切です。
【ステップ4】防水材の施工|防水工事の流れの核心部分
下地処理が完了したら、いよいよ防水材の施工に入ります。
この工程こそが防水工事の核心であり、採用する工法によって施工手順や特徴が大きく異なります。
主な防水工法の種類と施工の違い
防水工事には、大きく分けて以下の工法があります。それぞれの特徴を理解しておくことで、自分の建物に適した工法を選ぶ判断材料になります。
ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成する工法です。
複雑な形状にも対応でき、継ぎ目のない防水層を作れるのが最大の特徴です。施工面積が小さいベランダなどに適していますが、職人の技術力が仕上がりに直結します。
シート防水は、塩ビやゴムなどのシートを貼り付ける工法です。
あらかじめ一定の厚みがあるため品質が安定しやすく、広い屋上などに向いています。ただし、複雑な形状や立ち上がり部分の施工には高度な技術が必要です。
その他にも、FRP防水(ガラス繊維強化プラスチック)やアスファルト防水などがあり、建物の用途や構造に応じて最適な工法が選ばれます。
各工法における施工手順の特徴
どの工法でも共通して重要なのが、プライマー(接着剤)の塗布です。
プライマーは、下地と防水材をしっかりと密着させる役割を果たします。塗布が不十分だと、防水層が浮いたり剥がれたりする原因になります。
ウレタン防水の場合は、プライマー塗布後、ウレタン樹脂を複数回に分けて塗り重ねます。
通常は2層以上塗布し、十分な厚みを確保します。各層の間には必ず乾燥時間が必要で、この時間を短縮すると防水性能が大きく低下します。
シート防水の場合は、シートを丁寧に貼り付け、継ぎ目部分を熱融着や接着剤で接合します。
シートにしわや空気が入らないよう、ローラーでしっかりと転圧する技術が求められます。継ぎ目の処理が甘いと、そこから雨水が侵入する危険性があります。
いずれの工法でも、排水口(ドレン)周りの処理は特に重要です。この部分は雨水が集中するため、丁寧に防水材を施工し、確実に防水性を確保する必要があります。
施工中の品質管理ポイント
防水材の施工中には、いくつかの品質管理ポイントがあります。
まず、塗りムラや気泡の防止です。ウレタン防水では、塗布時に気泡が混入すると、そこから劣化が始まります。熟練した職人は、気泡を丁寧に取り除きながら均一に塗布します。
また、適切な厚みの確保も重要です。防水層が薄すぎると十分な防水性能が得られません。
逆に厚すぎると、乾燥不良やひび割れの原因になります。規定の厚みを守ることが、長期的な耐久性につながります。
さらに、乾燥時間の厳守は絶対条件です。特にウレタン防水では、各層の乾燥時間を十分に確保しないと、防水層内部に水分が閉じ込められ、膨れや剥がれの原因になります。
天候によって乾燥時間は変動するため、柔軟なスケジュール管理が求められます。
これらの品質管理を確実に行う業者かどうかは、工事中の様子や職人の作業姿勢から判断できます。気になる点があれば、遠慮なく質問することをおすすめします。
【ステップ5】仕上げと乾燥|防水工事の流れで手を抜けない最終段階
防水層の施工が完了しても、工事はまだ終わりではありません。
仕上げと乾燥の工程を適切に行うことで、防水層の耐久性が大きく向上します。
トップコートの役割と施工
トップコートは、防水層を保護するための仕上げ材です。ウレタン防水やFRP防水では、トップコートの塗布が必須工程となります。
- 紫外線からの保護
- 物理的な保護
- 美観の維持
トップコートは、防水工事において非常に重要な役割を担っています。紫外線による劣化を防ぐことで防水層の耐用年数を延ばし、物理的なダメージから防水層を保護します。
さらに、美観を保つためにも重要な役割を果たし、外観が長く綺麗な状態を維持できます。
これらの役割により、トップコートは防水工事の寿命を延ばすための欠かせない要素と言えるでしょう。
トップコートは通常、2回塗りが基本です。1回目で下地を整え、2回目で均一な仕上がりにします。塗布後は完全に乾燥するまで養生期間を設け、その間は立ち入りを制限します。
なお、トップコートは防水層本体よりも劣化が早いため、5年程度でメンテナンスとして塗り替えが推奨されます。
定期的なトップコート塗り替えによって、防水層本体の寿命を大幅に延ばすことができます。
乾燥時間の重要性
防水工事において、十分な乾燥時間の確保は品質を左右する重要な要素です。特にウレタン防水では、各工程で適切な乾燥時間が必要です。
工法別の標準的な乾燥時間の目安を見てみましょう。
| 工法 | 各層の乾燥時間 | 完全硬化までの期間 |
|---|---|---|
| ウレタン防水 | 4~24時間 | 3~7日 |
| シート防水 | 接着剤の乾燥:2~4時間 | 1~2日 |
| FRP防水 | 1~3時間 | 1~2日 |
| アスファルト防水 | 10~30分(シート貼り付け後) | 7~10日 |
これらの時間は、気温や湿度によって大きく変動します。
気温が低い冬季や、湿度が高い梅雨時期は、通常よりも長い乾燥時間が必要です。逆に、夏の高温時は乾燥が早すぎて施工に支障をきたすこともあります。
天候による工期への影響も考慮が必要です。雨天時は施工を中断せざるを得ないため、梅雨時期や台風シーズンは工期が延びる可能性があります。
施工中に雨が降ると、未硬化の防水層に雨水が混入し、品質低下の原因になります。
信頼できる業者は、天候を見ながら柔軟にスケジュールを調整し、無理な施工は行いません。工期を短縮するために乾燥時間を削るような業者は避けるべきです。
【ステップ6】最終検査と確認|防水工事の流れの品質保証
すべての施工が完了したら、最終検査の段階に入ります。
この検査によって、施工品質が基準を満たしているかを確認し、将来のトラブルを未然に防ぎます。
検査で確認される項目
最終検査では、専門の検査員が多角的にチェックを行います。
- 施工範囲の確認:見積もり通りの範囲が施工されているか
- 防水層の厚み:規定の厚みが確保されているか
- 端部の処理:立ち上がり部分や笠木周辺の処理が適切か
- 排水周りの施工:ドレン周辺の防水処理に不備がないか
- 表面の仕上がり:気泡、膨れ、剥がれなどの欠陥がないか
- 勾配の確認:雨水が適切に排水されるか
特に重要なのが、水張り検査や散水検査です。実際に水を使って防水性能を確認する試験で、漏水のリスクを事前に発見できます。
すべての防水工事で実施されるわけではありませんが、実施する業者は信頼性が高いといえます。
検査の結果、不備が見つかった場合は、その場で補修を行います。補修後は再度検査を実施し、基準をクリアするまで確認を続けます。
この徹底した姿勢が、長期的な品質保証につながります。
施工記録と写真による証拠保全
最終検査と並行して、施工記録の作成も行われます。
各工程の施工日、使用材料、施工面積、天候条件などを詳細に記録します。これらの記録は、将来メンテナンスを行う際の貴重な参考資料となります。
また、工程ごとの写真撮影も重要です。下地処理前の状態、下地処理後、防水材施工中、完成後など、各段階を写真で記録しておくことで、施工品質の証拠となります。
万が一トラブルが発生した際にも、これらの記録が原因究明に役立ちます。
信頼できる業者は、これらの記録を整理した「施工報告書」を作成し、引き渡し時にオーナーに提出します。
報告書には、使用材料の製品名や施工面積、各工程の写真などが含まれます。
この報告書は大切に保管しておきましょう。次回のメンテナンス時や、建物を売却する際にも、適切な防水工事が行われた証明として価値を持ちます。
【ステップ7】引き渡しと保証|防水工事の流れの完了
最終検査に合格したら、いよいよ工事の引き渡しとなります。
ただし、ここで工事が完全に終わるわけではありません。アフターフォローまで含めて、防水工事は完結します。
工事完了報告書と保証書の受け取り
引き渡し時には、工事完了報告書と保証書の2つの重要書類を必ず受け取りましょう。
工事完了報告書には、施工内容の詳細が記載されています。
使用した材料の製品名とメーカー、施工面積、各工程の実施日、施工写真などが含まれます。この報告書によって、契約通りの工事が行われたことを確認できます。
- 保証期間:一般的に5~10年程度
- 保証対象範囲:どのような不具合が保証されるか
- 免責事項:保証対象外となるケース
- 保証条件:定期点検の実施が条件になっているかなど
- 連絡先:不具合発生時の問い合わせ先
保証内容が曖昧な場合や、口頭での約束だけの場合は、必ず書面での明記を求めましょう。
後々のトラブルを避けるためにも、すべてを文書で残しておくことが重要です。
アフターフォローと定期点検
防水工事は施工して終わりではなく、定期的なメンテナンスによって性能を長く保つことができます。
多くの業者は、施工後の定期点検サービスを提供しています。
理想的な点検スケジュールは、施工後1年目、3年目、5年目というタイミングです。
早期に小さな不具合を発見し、補修することで、大規模な改修工事を先延ばしにできます。特にトップコートは5~7年程度で塗り替えが推奨されるため、この時期の点検は欠かせません。
点検では、表面のひび割れ、膨れ、剥がれ、排水状況などを確認します。異常が見つかった場合は、保証内容に基づいて補修が行われます。
また、日常的にオーナー自身でも簡単なチェックを行うことをおすすめします。
雨上がりに水たまりができていないか、表面に目立つ傷や変色がないかなど、定期的に目視確認するだけでも早期発見につながります。
長期的な視点で建物を守るためには、施工業者との良好な関係を維持し、気になることがあればすぐに相談できる体制を整えておくことが大切です。
防水工事にかかる期間と工期の目安
防水工事の計画を立てる上で、工期の目安を知っておくことは重要です。
工法や建物の状態によって必要な日数は変わりますが、一般的な目安を理解しておきましょう。
工法別の標準的な工事期間
主な防水工法別の標準的な工事期間は、以下の通りです。
| 防水工法 | 標準工期 | 特徴 |
|---|---|---|
| ウレタン防水 | 3~5日 | 乾燥工程が多く、天候の影響を受けやすい |
| シート防水 | 2~4日 | 比較的短期間で施工可能 |
| FRP防水 | 1~3日 | 硬化が早く、最短で完了できる |
| アスファルト防水 | 5~10日 | 工程が多く、時間がかかる |
これらは標準的な工期であり、実際には建物の規模によって大きく変動します。
たとえば、100平方メートルの屋上をウレタン防水で施工する場合、7~10日程度かかることもあります。面積が広いほど、各工程に時間がかかります。
また、マンションやビルのベランダを一斉に施工する場合は、複数の箇所を順番に進めるため、全体で数週間から1ヶ月以上かかることもあります。
工期が延びる主な要因
当初の予定よりも工期が延びる要因はいくつかあります。
- 天候不良(雨天、強風、台風)
- 下地の劣化状況
- 建物の構造的な問題
- 材料の納期遅延
- 作業員の不足や不在
- 変更や追加作業
工期が延びる要因として最も大きいのは天候不良です。雨や強風、台風などの悪天候は工事を中断させるため、特に梅雨時期や台風シーズンでは工期の遅れが発生する可能性が高くなります。
次に、下地の劣化状況も予期せぬ事態を引き起こします。現地調査では見落とされていた劣化が施工中に発覚することがあり、その場合、追加作業が必要となり工期が延びることがあります。
また、建物の構造的な問題、例えば排水設備の不具合や構造的なひび割れなどが発覚することもあります。
このような問題は防水工事だけでは解決できず、修繕を加える必要があり、これも工期を長引かせる要因となります。
防水工事で失敗しないための業者選び
防水工事の成否は、業者選びで8割が決まるといっても過言ではありません。
信頼できる業者を見極めるポイントを押さえておきましょう。
信頼できる業者の見極め方
信頼できる防水工事業者には、いくつかの共通した特徴があります。
- 専門性:防水工事専門業者や資格保持者がいる
- 施工実績:同規模・同工法で多くの施工実績がある
- 丁寧な説明:わかりやすく説明し、質問に誠実に答える
- 保証・アフターサポート:長期保証と定期点検がしっかりしている
信頼できる業者を選ぶことは、工事の成功と満足度を大きく左右します。
専門知識を持つ業者、豊富な施工実績がある業者、丁寧に説明をしてくれる業者、そして十分なアフターフォローが提供される業者を選ぶことで、後々のトラブルを避け、安心して工事を進めることができます。
工事中のコミュニケーションの重要性
工事が始まってからのコミュニケーションも、業者選びの重要な要素です。各工程の報告をきちんとしてくれる業者は、透明性が高く信頼できます。
理想的なのは、毎日の作業終了時に、その日の作業内容と翌日の予定を報告してくれる業者です。
進捗状況が可視化されることで、オーナーも安心して工事を見守ることができます。
また、問題発生時の迅速な報告と提案も重要です。予期せぬ劣化や追加作業が必要になった場合、すぐに連絡し、対応策を提案してくれる業者は誠実といえます。
黙って作業を進め、後から追加費用を請求するような業者は避けるべきです。
新東亜工業の防水工事への取り組み
新東亜工業では、防水工事の全工程において、お客様の安心と建物の長期的な保護を最優先に考えています。
現地調査では、経験豊富な技術者が細部まで丁寧に確認し、建物の状態に最適な工法をご提案します。
見積もりは明瞭で、各工程の内容と費用を詳しくご説明します。不明な点があれば、何度でもご質問いただけます。
施工中は、毎日の作業報告を欠かさず、工程ごとの写真記録も徹底しています。
万が一の追加作業が必要になった場合も、事前にご説明し、ご承諾をいただいてから進めます。
また、施工後の定期点検サービスも充実しており、長期保証によってお客様の建物を末永く守ります。
防水工事に関するご相談は、いつでもお気軽にお問い合わせください。
防水工事の流れ・手順に関するよくある質問【FAQ】
防水工事を検討されている方から、よくいただく質問とその回答をまとめました。疑問の解消にお役立てください。
Q
防水工事の流れで最も重要な工程はどれですか?
A
防水工事において最も重要な工程は下地処理です。
どんなに高品質な防水材を使用しても、下地が適切に処理されていなければ、本来の性能を発揮できません。
高圧洗浄による徹底的な清掃、ひび割れの補修、不陸調整など、下地処理には多くの工程が含まれます。
これらを丁寧に行うことで、防水材の密着性が高まり、長期的な耐久性が実現します。
逆に、下地処理を手抜きすると、数年で剥がれや膨れが発生し、早期に再施工が必要になってしまいます。
信頼できる業者は、この下地処理に十分な時間をかけ、妥協しない姿勢で取り組みます。
見積もり段階で、下地処理の内容を詳しく説明してくれる業者を選ぶことをおすすめします。
Q
防水工事の流れ全体でどれくらいの日数がかかりますか?
A
防水工事の工期は、工法や建物の規模によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- ウレタン防水:3~5日(小規模)、7~10日(中規模)
- シート防水:2~4日(小規模)、5~8日(中規模)
- FRP防水:1~3日
- アスファルト防水:5~10日
ただし、これらはあくまで標準的な工期であり、実際には様々な要因で変動します。
特に天候の影響は大きく、雨天が続くと工期は延びます。また、下地の劣化が想定以上に進んでいた場合、追加の補修作業が必要になり、工期が延長されることもあります。
建物の規模が大きい場合やマンションのベランダを複数箇所施工する場合は、数週間から1ヶ月以上かかることもあります。余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
Q
防水工事の流れ途中で雨が降ったらどうなりますか?
A
防水工事中に雨が降った場合、基本的には施工を中断します。
特にウレタン防水などの塗布型工法では、未硬化の防水層に雨水が混入すると、品質が著しく低下するため、雨天時の施工は避けなければなりません。
ただし、工程によっては雨の影響を受けないものもあります。たとえば、既存防水層の撤去作業や、完全に硬化した後のトップコート塗布などは、小雨程度なら作業可能な場合もあります。
雨天時の対応については、契約時に確認しておくことが大切です。
工期が延びた場合の追加費用の有無、振替日の調整方法、連絡体制などを事前に取り決めておくことで、トラブルを防げます。
Q
防水工事で立ち会いが必要な場面はありますか?
A
防水工事では、いくつかの重要な場面で立ち会いをおすすめします。
まず、現地調査の際は、できる限り立ち会うことをおすすめします。
建物の状態を一緒に確認しながら、気になる箇所を直接伝えることができます。また、業者がどれだけ丁寧に調査しているかを確認する機会にもなります。
次に、最終検査の際も立ち会いが重要です。施工が契約通りに完了しているか、仕上がりに問題がないかを自分の目で確認できます。
この時点で気になる箇所があれば、引き渡し前に補修してもらうことができます。
Q
防水工事の期間を短縮することは可能ですか?
A
結論から言うと、適切な工期を短縮することはおすすめしません。防水工事には、各工程で必要な乾燥時間や硬化時間があり、これらを削ると品質が大きく低下します。
特にウレタン防水では、各層の乾燥時間を短縮すると、防水層内部に水分が閉じ込められ、膨れや剥がれの原因になります。
また、下地処理を簡略化すると、密着不良が発生し、早期劣化につながります。
「早く終わらせてほしい」という要望は理解できますが、数日の短縮のために数年後の再施工が必要になっては本末転倒です。品質を保つためには、適切な工期が必要なのです。
もし工期を短縮したい場合は、工法の変更を検討するのも一つの方法です。
たとえば、ウレタン防水よりもシート防水やFRP防水の方が短期間で完了できます。業者に相談し、品質を損なわない範囲での最適なプランを提案してもらいましょう。
Q
屋上防水工事の施工手順は?
A
屋上防水工事の施工手順は、基本的には本文で説明した7ステップと同じですが、屋上特有の注意点がいくつかあります。
まず、勾配の確保が重要です。屋上は広い平面のため、適切な勾配がないと雨水が溜まりやすくなります。下地処理の段階で、必要に応じて勾配を調整する不陸調整を行います。
次に、ドレン(排水口)周りの処理が特に重要です。屋上の雨水はすべてドレンに集まるため、この部分の防水処理が不十分だと漏水の原因になります。
ドレン周辺は補強布を使用するなど、念入りな施工が求められます。
また、パラペット(立ち上がり部分)の処理も欠かせません。屋上と壁の接続部分は、雨水が侵入しやすい箇所です。
防水層を適切な高さまで立ち上げ、笠木との接続部分もしっかりとシーリング処理します。
さらに、屋上には空調室外機などの設備が設置されていることが多いため、これらの周辺も丁寧に施工する必要があります。
Q
シート防水やウレタン防水で施工手順は違う?
A
はい、工法によって施工手順は大きく異なります。それぞれの特徴を理解しておくことで、自分の建物に適した工法を選ぶ判断材料になります。
ウレタン防水の施工手順は以下の通りです。
- 下地処理(高圧洗浄、ひび割れ補修、不陸調整)
- プライマー塗布
- 通気緩衝シート貼付(通気緩衝工法の場合)
- ウレタン樹脂の1層目塗布→乾燥
- ウレタン樹脂の2層目塗布→乾燥
- トップコート塗布
ウレタン防水は各層の乾燥時間が必要なため、工期は3~5日程度かかります。職人の技術力が仕上がりに直結し、複雑な形状にも対応できるのが特徴です。
シート防水の施工手順は以下の通りです。
- 下地処理(高圧洗浄、ひび割れ補修)
- プライマー塗布(密着工法の場合)または絶縁シート敷設(機械固定工法の場合)
- 防水シート貼付
- シート接合部の熱融着または接着
- 端末部のシーリング処理
シート防水は乾燥時間が少ないため、工期は2~4日程度と短めです。あらかじめ厚みがあるシートを使用するため、品質が安定しやすいのが特徴です。ただし、複雑な形状や狭い箇所には不向きです。
どちらの工法が適しているかは、建物の構造、施工箇所の形状、予算、求める耐用年数などによって異なります。専門業者に相談し、最適な工法を選びましょう。
まとめ
防水工事の流れは、現地調査から引き渡しまで7つのステップで構成されています。
それぞれの工程には明確な意味があり、どれひとつ欠けても建物を長期間守ることはできません。
特に重要なのは、下地処理の徹底、適切な乾燥時間の確保、そして最終検査による品質確認です。
これらを丁寧に行う業者を選ぶことが、防水工事成功の鍵となります。
また、工事の流れを理解しておくことで、業者とのコミュニケーションが円滑になり、手抜き工事を見抜く目も養われます。
見積もり段階から各工程の説明を求め、納得できるまで質問することを恐れないでください。
防水工事は建物を守るための重要な投資です。安さだけで業者を選ぶのではなく、専門性、実績、説明の丁寧さ、アフターフォローの充実度などを総合的に判断しましょう。
新東亜工業では、防水工事の全工程において、お客様の安心と建物の長期的な保護を最優先に考えています。
現地調査から施工、アフターフォローまで、一貫した体制でサポートいたします。防水工事に関するご相談やお見積もりは、いつでもお気軽にお問い合わせください。
経験豊富なスタッフが、お客様の建物に最適なご提案をさせていただきます。