「外壁塗装はまだするな」と言われる本当の理由とは?適切な時期と判断基準・費用相場などを解説

「外壁塗装はまだするな」と業者や知人から言われて、どうすべきか迷っていませんか?

実は、このアドバイスには明確な理由があり、状況によっては塗装を延期した方が賢明な判断となるケースがあります。

一方で、劣化症状を見逃して放置すれば、将来的に数百万円単位の大規模修繕が必要になる可能性も。

本記事では、大規模修繕工事を数多く手がける株式会社新東亜工業が、「外壁塗装はまだするな」と言われる5つの具体的な理由を解説していきます。

また合わせて、本当に今やるべきかの判断基準や築20年・30年放置した場合のリスク、費用が足りない時の対処法までご紹介。

この記事を読めば、あなたの住まいに最適な塗装時期が明確に判断できるようになるでしょう。

外壁塗装とは?」と基本的な流れや外壁塗装の費用相場、業者選びのポイントなどについて総合的なことを知りたい方は解説記事もぜひ一読ください。

目次

「外壁塗装はまだするな」と言われる5つの理由

外壁塗装を検討する際、「まだするな」と言われる背景には、住宅の状態や環境、タイミングなど複数の要因が存在します。

ここでは、専門業者の視点から延期すべき5つの主要な理由を詳しく解説します。

理由1.塗料や外壁材の耐用年数にまだ余裕がある

前回の塗装から数年しか経過していない、または使用した塗料の耐用年数内であれば、急いで塗り替える必要はありません。

塗料には種類ごとに明確な耐用年数が設定されており、その期間内であれば塗膜は十分に機能しています。

以下の表は、代表的な塗料の種類と耐用年数、特徴をまとめたものです。

塗料の種類耐用年数費用相場
(㎡あたり)
特徴
アクリル塗料5〜7年1,400〜1,600円低コストだが耐久性が低い
ウレタン塗料7〜10年1,700〜2,200円バランスが良く使いやすい
シリコン塗料10〜15年2,300〜3,000円コストパフォーマンスに優れる
ラジカル制御塗料12〜15年2,500〜3,000円耐候性が高く変色しにくい
フッ素塗料15〜20年3,800〜4,800円高耐久で長期的にはコスト削減
無機塗料20〜25年4,500〜5,500円最高級グレード、超長期耐久

たとえば、前回シリコン塗料で塗装してから8年程度であれば、まだ耐用年数の範囲内です。

劣化症状が見られない限り、塗装を急ぐ必要はなく、計画的に予算を準備する時間的余裕があると言えます。

もっと詳しく知りたい方は、「外壁塗装 種類」や「外壁材 種類」の記事もぜひご覧ください。

理由2.外壁塗装に不適切な季節だから

外壁塗装の仕上がり品質は、気象条件に大きく左右されます。

塗料メーカーの多くは、気温5℃以下または湿度85%以上の環境での塗装を推奨していません

これらの条件下では塗料の乾燥が不十分となり、塗膜の密着不良や耐久性の低下を招くためです。

特に避けるべき時期と理由を以下にまとめます。

特に避けるべき時期
  • 真冬(12〜2月):気温が5℃を下回る日が多く、塗料の硬化が進まない
  • 梅雨時期(6〜7月):湿度が80%を超える日が続き、塗膜に水分が混入するリスクが高い
  • 台風シーズン(8〜9月):降雨や強風により工期が大幅に延びる可能性がある

逆に、春(3〜5月)や秋(10〜11月)は気温15〜30℃、湿度75%以下という塗装に最適な条件が揃いやすく、施工品質が安定します。

不適切な季節に無理に塗装を進めるより、適期まで待つ方が長期的には賢明な判断です。

外壁塗装の時期の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

理由3.劣化症状が軽微で緊急性が低い

外壁の劣化には、すぐに対処すべき重度の症状と、様子を見ても問題ない軽微な症状があります。

軽微な劣化段階であれば、定期的な観察を続けながら塗装時期を計画的に判断できます。

劣化症状緊急度判断基準
チョーキング
(表面の粉化)
低〜中手で触れて白い粉が付く程度なら様子見可能
色褪せ・変色美観の問題であり、すぐに建物に悪影響はない
ヘアクラック
(0.3mm未満)
低〜中塗膜表面のひび割れで急を要さない
構造クラック
(0.3mm以上)
雨水浸入のリスクがあり早急な対処が必要
塗膜の剥がれ防水機能が失われており緊急性が高い
コケ・カビ・藻の発生湿気の多い環境では進行するため早めの対処が望ましい

軽微なチョーキングや色褪せ程度であれば、半年〜1年程度様子を見ながら、適切な季節や予算の準備を待つことが可能です。

ただし、構造クラックや塗膜の剥がれが見られる場合は、早急な専門家の診断が必要です。

理由4.補助金・助成金の申請タイミングを待った方が良い

外壁塗装には、自治体が提供する補助金や助成金を活用できるケースがあります。

多くの自治体では年度ごとに予算が設定されており、申請時期が限定されているため、数ヶ月待つことで10万円〜20万円程度の補助を受けられる可能性があります。

補助金活用の主なポイント
  • 申請時期:多くの自治体で4〜6月頃に受付開始、先着順や抽選制が多い
  • 補助額の目安:工事費用の10〜20%程度、上限10万円〜30万円が一般的
  • 条件:省エネ塗料の使用、地元業者への発注、税金の滞納がないことなど
  • 申請タイミング:工事着工前の申請が必須、事後申請は不可の自治体が多い

たとえば、100万円の外壁塗装工事で20万円の補助金が受けられるなら、実質負担は80万円に軽減されます。

数ヶ月待つことで大幅な費用削減が見込めるため、緊急性が低い場合は補助金の申請時期まで待つことが賢明です。

お住まいの自治体の補助金制度は、市区町村の公式ホームページで確認できます。

助成金について詳しく知りたい方は、こちら「外壁塗装の助成金」の記事もご覧んください。

理由5.悪徳業者によるセールストークの可能性がある

訪問営業で「今すぐ塗装しないと雨漏りする」「特別に今日だけ50万円値引き」などと不安を煽る業者には要注意です。

これらは悪徳業者の典型的な手口であり、適切な診断に基づかない過剰な勧誘である可能性が高いと言えます。

悪徳業者に多い危険なセールストーク
  • 「このままだと数ヶ月で雨漏りします」と過度に不安を煽る
  • 「今日契約すれば50万円以上値引きします」と即決を迫る
  • 「無料で屋根を点検します」と言って意図的に破損させる
  • 見積書の内訳が「一式」だらけで詳細が不明
  • 大幅な値引き後でも他社より明らかに高額

このような業者から「まだするな」ではなく逆に「今すぐやるべき」と言われた場合、一度立ち止まって複数の専門業者にセカンドオピニオンを求めることが重要です。

信頼できる業者は、現状を正直に伝え、無理に契約を急がせることはありません。

外壁塗装を「今」やるべきか迷った時の判断基準

「外壁塗装はまだするな」という意見を聞いた一方で、本当に延期して大丈夫なのか不安に感じる方も多いでしょう。

ここでは、塗装実施の判断に迷った時に確認すべき4つの具体的な基準を解説します。

塗料や外壁材の耐用年数を確認する

まず確認すべきは、前回の塗装で使用した塗料の種類経過年数です。

新築時または前回塗装時の契約書や保証書に記載されている塗料名を確認し、その耐用年数と現在の経過年数を照らし合わせましょう。

以下の表は、塗料別の耐用年数と塗り替え推奨時期、さらに一般的な費用相場をまとめたものです。

塗料の種類耐用年数塗り替え推奨時期30坪住宅の費用相場
アクリル塗料5〜7年5年目以降60万円〜80万円
ウレタン塗料7〜10年7年目以降70万円〜90万円
シリコン塗料10〜15年10年目以降80万円〜100万円
ラジカル制御塗料12〜15年12年目以降85万円〜105万円
フッ素塗料15〜20年15年目以降100万円〜130万円
無機塗料20〜25年20年目以降110万円〜150万円

たとえば、前回シリコン塗料で塗装してから12年経過している場合、耐用年数の上限に近づいているため、早めの点検と塗装計画が推奨されます。

逆に8年程度であれば、劣化症状がなければもう少し様子を見る選択肢もあります。

劣化症状のセルフチェックを行う

外壁の劣化状態を自分で確認することで、塗装の緊急度をある程度判断できます。

以下のチェックポイントを参考に、ご自宅の外壁を観察してみましょう。

症状チェック方法緊急度
チョーキング外壁を手で触り白い粉が付くか確認低〜中
ひび割れ
(ヘアクラック)
0.3mm未満の髪の毛程度の細いひび低〜中
ひび割れ
(構造クラック)
0.3mm以上の幅があり深さもあるひび
塗膜の剥がれ・浮き塗装表面がめくれたり浮いている箇所
コケ・カビ・藻の発生北側や日陰部分の緑や黒い汚れ
シーリング材の劣化窓枠や継ぎ目のゴム部分のひび割れ中〜高

特に注意すべきは、0.3mm以上の構造クラックや塗膜の剥がれです。

これらは雨水が建物内部に浸入する経路となり、建物の構造体を傷める原因になります。

一方、軽微なチョーキングや色褪せ程度であれば、すぐに塗装しなくても建物への影響は限定的です。

ただし、自己判断が難しい場合は、専門業者の無料診断を活用することをお勧めします。

適切な塗装時期・季節かどうか確認する

外壁塗装の品質を左右する重要な要素が、施工時の気象条件です。

塗料メーカーが推奨する施工条件は一般的に「気温5℃以上、湿度85%未満」とされており、この条件を満たす季節を選ぶことが成功の鍵となります。

以下の表で、季節ごとの塗装メリット・デメリットを比較します。

季節気温・湿度条件メリットデメリット総合評価

(3〜5月)
15〜25℃
湿度60〜70%
気候が安定、乾燥が早い花粉や黄砂の付着リスク★★★★★
梅雨
(6〜7月)
20〜28℃
湿度75〜90%
業者の予約が取りやすい雨天による工期延長が頻発★★☆☆☆

(7〜8月)
25〜35℃
湿度70〜80%
乾燥が非常に早い急な夕立、職人の作業環境が過酷★★★☆☆

(9〜11月)
15〜25℃
湿度60〜70%
春同様に安定した気候台風シーズンと重なる可能性★★★★★

(12〜2月)
5〜12℃
湿度50〜65%
空気が乾燥している気温が低く乾燥に時間がかかる★★☆☆☆

最も推奨されるのは、春(3〜5月)と秋(9〜11月)です。

これらの季節は気温・湿度ともに安定しており、塗料の乾燥条件が整いやすいため、施工品質が安定します。

逆に、梅雨時期や真冬は塗装に不向きな条件が揃うため、「まだするな」と言われるケースが多くなります。

築年数や前回塗装からの経過年数を確認する

一般的に、外壁塗装は新築から10年目、その後は10〜15年ごとの塗り替えが推奨されています。

ただし、これはあくまで目安であり、使用した塗料の種類や住宅の立地環境によって適切な時期は変動します。

築年数別の塗装タイミング目安
  • 築5〜7年:アクリル塗料を使用している場合は点検時期
  • 築10年:最初の塗り替え時期、多くの住宅で劣化症状が現れ始める
  • 築15〜20年:シリコン塗料などの耐用年数を超える時期、点検必須
  • 築20年以上:大規模修繕が必要になる可能性が高く、早急な診断が必要

前回の塗装から10年以上経過している場合、たとえ目に見える劣化症状がなくても、塗膜の防水機能は確実に低下しています。

専門業者による詳細な診断を受け、適切な時期を逃さないようにしましょう。

外壁塗装を築20年・30年放置するとどうなる?

外壁塗装を長期間放置すると、見た目の問題だけでなく、建物の構造に深刻なダメージを与える可能性があります。

ここでは、築20年・30年塗装をしなかった場合に起こり得る具体的なリスクを解説します。

雨漏りが発生し内部構造が腐食する

外壁塗装の最も重要な役割は、建物を雨水から守る防水機能です。

塗膜が劣化すると、ひび割れや剥がれ部分から雨水が建物内部に浸入し、最終的には雨漏りを引き起こします

雨漏りが発生すると、以下のような深刻な被害が連鎖的に進行します。

雨漏りによる被害の進行プロセス
  1. 初期段階(築10〜15年):外壁のひび割れから少量の雨水が浸入、内部の断熱材が湿る
  2. 中期段階(築15〜20年):木造部分が腐朽し始め、構造材の強度が低下する
  3. 後期段階(築20年以上):天井や壁に雨染みが現れ、カビの発生や悪臭が生じる
  4. 末期段階(築30年以上放置):構造材が深刻に腐食し、建物の耐震性が著しく低下する

特に木造住宅では、柱や梁などの構造材が腐朽すると、建物の耐震性能が大幅に低下します。

雨漏り修理だけでなく構造補強工事も必要になると、修繕費用が100万円〜300万円以上に膨らむケースも珍しくありません。

シロアリ被害が発生しやすくなる

外壁の防水機能が失われ、建物内部に湿気がこもると、シロアリが繁殖する絶好の環境が整ってしまいます。

シロアリは湿った木材を好み、一度侵入すると建物全体に被害が拡大する恐れがあります。

シロアリ被害の特徴とリスク
  • 湿度の高い環境を好み、雨漏りや結露が発生している箇所に集まりやすい
  • 木造の柱、梁、土台を内部から食害し、外見からは被害が分かりにくい
  • 被害が進行すると建物の構造強度が失われ、地震時の倒壊リスクが高まる
  • 駆除費用は10万円〜30万円、構造材の交換が必要な場合は100万円以上かかる

シロアリ被害は早期発見が極めて重要です。外壁塗装を適切に行い建物の防水性を維持することが、シロアリ被害を予防する最も効果的な方法の一つです。

修繕費用が高額になる

外壁塗装を適切な時期に行わず放置すると、最終的に必要となる修繕費用は塗装費用の数倍に膨れ上がります。

以下の表で、築年数別の修繕内容と費用目安を比較してみましょう。

築年数状態必要な工事内容費用目安(30坪住宅)
築10年軽微な劣化外壁塗装のみ80万円〜100万円
築15年中程度の劣化外壁塗装+部分補修90万円〜120万円
築20年重度の劣化外壁塗装+シーリング全交換100万円〜150万円
築25年深刻な劣化外壁塗装+下地補修+雨漏り修理150万円〜250万円
築30年以上構造的問題外壁張替え+構造補強+防水工事300万円〜500万円以上

適切な時期に定期的なメンテナンスを行えば、1回あたり80万円〜100万円程度の塗装費用で済みます。

しかし、30年以上放置して構造材の交換が必要になると、その費用は3〜5倍に跳ね上がります。

長期的な視点では、定期的なメンテナンスの方が圧倒的に経済的です。

建物の資産価値が大幅に下がる

外壁の劣化は建物の美観を損なうだけでなく、不動産としての資産価値にも直接的な悪影響を与えます

将来的に売却や賃貸を検討する場合、外壁の状態は査定額を大きく左右する重要な要素となります。

外壁劣化が資産価値に与える影響
  • 外観の劣化により第一印象が悪く、購入希望者が減少する
  • 塗装が必要な状態では、購入者が値引き交渉の材料として利用する
  • 雨漏りやシロアリ被害がある場合、「瑕疵あり」として大幅な減額要因になる
  • 売却前に修繕が必要となり、思わぬ出費が発生する

実際の不動産取引では、外壁の劣化状態によって数百万円単位で査定額が変動することも珍しくありません。

資産価値を維持し、将来的な選択肢を広げるためにも、適切な時期での外壁メンテナンスは重要な投資と言えます。

外壁塗装は本当に必要ないのか?よくある誤解を解説

「外壁塗装は不要」という情報を目にすることがありますが、これには大きな誤解が含まれています。

ここでは、外壁塗装に関する代表的な誤解を解き、正しい知識を解説します。

外壁塗装の必要性と役割を理解する

外壁塗装は単なる美観の維持だけでなく、建物を長持ちさせるための重要な保護機能を果たしています。

塗膜には以下のような多面的な役割があります。

外壁塗装の主な役割
  • 防水機能:雨水の浸入を防ぎ、建物内部を湿気から守る
  • 紫外線保護:太陽光による外壁材の劣化・色褪せを防止する
  • 断熱・遮熱効果:特殊塗料により室内温度を快適に保つ
  • 美観の維持:建物の外観を美しく保ち、資産価値を維持する
  • カビ・藻の発生抑制:防カビ・防藻機能により衛生的な外観を保つ

これらの機能は、時間とともに徐々に失われていきます。

特に防水機能の低下は、建物の寿命を大きく縮める原因となるため、定期的なメンテナンスが不可欠です。

「外壁塗装は不要」という情報の多くは、特殊な外壁材を使用している限定的なケースであり、一般的な住宅には当てはまりません。

サイディング外壁は塗装不要という誤解

「サイディング外壁は塗装しなくても大丈夫」という情報を耳にすることがありますが、これは大きな誤解です。

実際には、日本で最も普及している窯業系サイディングや金属系サイディングは、定期的な塗装メンテナンスが必要です。

以下の表で、サイディングの種類別に塗装の必要性を整理します。

サイディングの種類塗装の必要性理由・特徴
窯業系サイディング必要・日本のシェア約80%
・セメント質のため吸水性がある
・定期的な塗装で防水機能を維持する必要がある
金属系サイディング必要・錆や腐食を防ぐため塗装が必須
・特に傷がついた部分からの錆発生に注意
樹脂系サイディング基本不要・素材自体に色が練り込まれており塗装不要
・国内シェアは1%程度
木質系サイディング必要・天然木のため劣化しやすい
・3〜5年ごとの塗装が推奨される

「塗装不要」と言われる樹脂系サイディングは、日本国内ではほとんど普及しておらず、採用住宅は全体の1%程度に過ぎません。

ご自宅がこれに該当しない限り、サイディング外壁でも定期的な塗装メンテナンスが必要です。

「10年で外壁塗装は早い」という誤解

「新築から10年で塗装するのは早すぎる」「業者の営業トークだ」という意見を聞くことがありますが、これも誤解です。

多くの住宅メーカーや塗料メーカーが推奨する塗り替え時期は、新築から10年前後が一般的です。

10年が推奨される根拠
  • 新築時に使用される塗料の多くは、耐用年数8〜12年程度のウレタンやシリコン系塗料
  • 外壁材のシーリング材(コーキング)の寿命は約10年で、劣化すると雨水浸入のリスクが高まる
  • 日本の気候条件(高温多湿、紫外線、台風など)は外壁に厳しく、10年で劣化症状が現れやすい
  • 多くの住宅メーカーの保証期間は10年間であり、それ以降は適切なメンテナンスが前提

もちろん、使用した塗料の種類や住環境によっては、10年以上経過しても問題ないケースもあります

重要なのは、築年数だけでなく実際の劣化状態を総合的に判断することです。

10年を目安に専門業者の点検を受け、必要性を判断するのが賢明な選択と言えます。

外壁塗装するお金がない時の5つの対処法

「塗装が必要なのは分かっているけど、資金が足りない」という悩みを持つ方も多いでしょう。

ここでは、費用面で困った時に活用できる5つの実践的な対処法を紹介します。

火災保険を活用する

意外と知られていませんが、台風や強風、雹などの自然災害が原因で外壁が損傷した場合、火災保険の補償対象となることがあります。

経年劣化は対象外ですが、災害による被害であれば保険金で修繕できる可能性があります。

項目内容
対象となる被害・台風による外壁の破損・剥がれ
・強風による飛来物の衝突傷
・雹による外壁の凹み
対象外となるケース・経年劣化
・施工不良による不具合
・地震による被害(※地震保険が別途必要)
申請の流れ①被害箇所の写真撮影
②保険会社へ連絡
③鑑定人による現地調査
④保険金の支払い
注意点・被害発生から3年以内の申請が必要
・保険会社指定以外の業者でも修繕可能

火災保険を活用できれば、実質的な自己負担を大幅に軽減できます。

外壁に損傷がある場合は、まず保険会社に相談してみましょう。

ただし、「火災保険で無料修理できます」と勧誘する悪徳業者も存在するため、信頼できる業者選びが重要です。

リフォームローンを利用する

まとまった資金がない場合、リフォームローンを利用して月々の分割払いにする方法があります。

低金利のリフォームローンを活用すれば、無理なく計画的に支払いができます。

種類借入可能額の目安金利の目安特徴・注意点
無担保型ローン最大500万〜1,000万円約2〜5%・担保不要で審査が比較的早い
・手続きが簡単
担保型ローン1,000万円以上も可能約1〜3%・低金利
・審査や手続きに時間がかかる
自治体の融資制度自治体により異なる低金利の場合が多い・条件次第で有利
・要件の確認が必要
リフォームローンとは?
  • 外壁塗装費用:100万円
  • 年利:3%
  • 返済期間:5年間

上記の様な条件の場合、月々の返済額は「約18,000円」程度です。

一括で支払うのが難しい場合でも、計画的に資金を準備できます。

ただし、返済計画をしっかり立て、無理のない借入額にすることが重要です。

補助金・助成金を活用する

多くの自治体では、外壁塗装を含むリフォーム工事に対して補助金や助成金制度を設けています。

条件を満たせば、工事費用の10〜20%、金額にして10万円〜30万円程度の補助を受けられる可能性があります。

項目内容
対象工事・省エネ塗料の使用
・遮熱・断熱塗料の採用
・地元業者への発注など
申請条件・市区町村内に居住していること
・税金の滞納がないこと
・工事着工前に申請することなど
補助額の目安・工事費用の10〜20%
・上限10万〜30万円程度
※自治体により異なる
申請時期・多くの自治体で年度初め(4〜6月頃)に受付開始
・予算に達し次第終了

補助金制度は、自治体ごとに内容が大きく異なるため、お住まいの市区町村のホームページや窓口で最新情報を確認しましょう。

申請には工事前の申請が必須のケースが多いため、契約前に確認することが重要です。

相見積もりで適正価格を知る

外壁塗装の費用は、業者によって大きく異なります。

適正価格を把握し、無駄な出費を避けるためには、最低でも3社から見積もりを取ることが推奨されます。

相見積もりを取る際のポイント
  • 最低でも3社以上に依頼して、比較検討する
  • 見積書に「一式」表記が多い業者は避ける
  • 使用塗料のグレード、保証内容、施工実績なども重要な判断材料
  • アフターサービスや緊急時の対応がスムーズな地元業者がおすすめ

相見積もりを取ることで、同じ工事内容でも20万円〜30万円以上の価格差が見つかることも珍しくありません

ただし、極端に安い見積もりには注意が必要です。手抜き工事や追加費用の可能性があるため、価格と品質のバランスを見極めることが大切です。

やってはいけないNG行動

費用を抑えようとするあまり、かえって損をしたり、建物に深刻なダメージを与えたりするNG行動があります。

外壁塗装で避けるべきNG行動
  • 極端に安い業者に即決:手抜き工事、粗悪な塗料使用、追加費用請求のリスクが高い
  • DIYで全面塗装:専門技術が必要で、失敗すると再施工で余計な費用がかかる
  • 必要な補修を省略:下地処理やひび割れ補修を省くと、塗装の耐久性が著しく低下する
  • 訪問営業に即決:不安を煽る悪徳業者の可能性があり、冷静な判断ができない
  • 劣化を長期間放置:修繕費用が雪だるま式に増え、最終的に数百万円の出費になる

特に、劣化を放置し続けることは最も避けるべき行動です。

「お金がないから」と先延ばしにすると、結果的に数倍の費用がかかる事態になりかねません。

今すぐ全面塗装が難しい場合でも最低限の補修や専門家の診断を受けることが、長期的なコスト削減につながります。

外壁塗装 DIY」の記事のぜひ参考になると思いますので、一読してみてください。

外壁塗装業者・会社の選び方

外壁塗装の成功は、技術力と誠実さを兼ね備えた優良業者に出会えるかどうかで決まります。

ここでは、避けるべき悪徳業者の特徴と、信頼できる業者を見極めるポイントを解説します。

建設業許可や塗装技能士の資格を保有している

信頼できる外壁塗装業者を選ぶ第一の基準は、適切な許可や資格を保有しているかどうかです。

建設業許可や国家資格の有無は、業者の技術力と信頼性を判断する重要な指標となります。

  • 建設業許可(塗装工事業)
  • 一級塗装技能士
  • 二級塗装技能士
  • 外装劣化診断士

建設業許可を持たない業者でも小規模工事は可能ですが、許可を取得している業者の方が一般的に信頼性が高いと言えます。

また、一級塗装技能士が在籍している業者は、高い技術力を持つ職人による施工が期待できます。

ホームページや見積書に許可番号や資格保有者名が明記されているか必ず確認しましょう。

詳細で分かりやすい見積書を提示してくれる

見積書の内容を見れば、その業者が信頼できるかどうかがある程度判断できます。

逆に「外壁塗装一式 80万円」のように、詳細が不明な見積書を出す業者は要注意です。

工事内容が曖昧なため、後から追加費用を請求されたり、手抜き工事をされたりするリスクが高まります。

見積書の内容について質問した際に、丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。

施工実績と保証内容が充実している

豊富な施工実績と明確な保証制度は、業者の技術力と責任感を示す重要な要素です。

実績が豊富な業者ほど、様々な建物への対応経験があり、トラブル発生時の対処能力も高いと言えます。

  • 地域での施工件数:年間施工件数や累計施工件数が明示されている
  • 施工事例の写真:ビフォー・アフターの写真を豊富に保有し、見せてくれる
  • 同様の建物の実績:自宅と同じ外壁材や築年数の施工経験がある
  • 顧客の声や評価:実際に施工した顧客の感想や評価を公開している

また、保証内容も重要な判断材料です。優良業者は一般的に5年〜10年程度の工事保証を提供しており、保証書に具体的な保証範囲や条件が明記されています。

「塗膜の剥がれ」「ひび割れ」など、どのような不具合が保証対象なのか事前に確認しましょう。

保証内容が曖昧な業者や、口頭での約束のみで書面がない業者は避けるべきです。

事前調査・診断を丁寧に行う

信頼できる業者は、契約前に必ず現地調査を実施し、建物の状態を詳細に診断します。

この診断の丁寧さが、その後の施工品質を大きく左右します。

特に重要なのは、劣化状況を正直に伝えてくれるかどうかです。

優良業者は「この部分はまだ大丈夫です」「ここは早めの対処が必要です」と客観的に診断します。

逆に、すべての箇所を「すぐに修理が必要」と言う業者や、診断せずに見積もりを出す業者は信頼できません。

地元での評判や口コミが良好

地域に根差して長く営業している業者は、評判を大切にするため、誠実な仕事をする傾向があります。

地元での評判や実際の口コミは、業者選びの貴重な判断材料となります。

ただし、インターネット上の口コミには、業者自身が書いた「サクラレビュー」競合他社による「ネガティブキャンペーン」が含まれる可能性もあります。

複数の情報源を総合的に判断し、極端に良い評価だけでなく、少し批判的な意見も含めてバランスよく確認することが重要です。

最終的には、実際に相談した際の対応の丁寧さや誠実さを自分の目で確かめることが最も確実な判断方法と言えます。

外壁塗装の施工時期に関するよくある質問【FAQ】

外壁塗装に関して、多くの方が抱く疑問にお答えします。

Q

外壁塗装を20年していないと寿命ですか?

A

築20年で一度も塗装をしていない場合、外壁材や建物の寿命が近づいている可能性が高いと言えます。

一般的な塗料の耐用年数は10〜15年程度であり、20年経過すると塗膜の防水機能はほぼ失われています。

この状態では雨水が建物内部に浸入しやすく、構造材の腐食やシロアリ被害のリスクが高まります。

ただし、建物がまだ修繕可能かどうかは専門業者の診断が必要です。

放置すればするほど修繕費用は高額になるため、できるだけ早めに対処しましょう。

Q

外壁を30年間放置するとどうなりますか?

A

30年間外壁塗装を行わずに放置すると、極めて深刻な状態になります。

具体的には、塗膜が完全に失われて外壁材が直接風雨にさらされ、ひび割れや剥離が進行します。

この結果、雨水が建物内部に大量に浸入し、木造部分の腐朽やシロアリ被害が広範囲に及びます。

最悪の場合、建物の構造的な強度が失われ、大地震の際に倒壊するリスクも高まります。

修繕費用も300万円〜500万円以上と高額になり、場合によっては建て替えを検討せざるを得ないケースもあります。

30年放置している場合は、まず専門業者による詳細な構造診断を受けることが急務です。

Q

外壁塗装はやったほうがいいですか?

A

はい、外壁塗装は建物を長持ちさせるために必要不可欠なメンテナンスです。

外壁塗装の最大の目的は美観の維持ではなく、建物を雨水や紫外線から守る防水・保護機能にあります。

定期的に塗装を行うことで、建物の耐久性が維持され、結果的に長期的なコスト削減につながります。

新築から10年前後、その後は10〜15年ごとに塗装を行うことで、建物の寿命を大幅に延ばすことができます。

逆に、塗装を怠ると雨漏りやシロアリ被害など深刻な問題が発生し、修繕費用が数倍に膨らむリスクがあります。

資産価値の維持という観点からも、計画的な外壁塗装は重要な投資と言えます。

Q

2025年に外壁塗装で人気だった色はなんですか?

A

2025年の外壁塗装で人気の色は、以下のランキングとなっています。

  1. グレージュ(グレー+ベージュ)
  2. チャコールグレー(濃いめのグレー)
  3. アイボリー(やや黄色がかった白)
  4. アースブラウン(自然なブラウン系)
  5. スモーキーブルー(くすみ系ブルー)

近年は、「グレージュ」をはじめとするニュアンスカラーがトレンドです。

これらの色は経年による色褪せや汚れが目立ちにくく、長期間美観を保てるため実用性も高いと評価されています。

色選びの際は、周辺環境や屋根・サッシとの調和も考慮することが大切です。

もっと詳しく知りたい方は、「外壁塗装 色」や「外壁塗装 おしゃれ」の記事もぜひご覧ください。

Q

外壁塗装でやめたほうがいい色はなんですか?

A

外壁塗装で避けるべき色の特徴は以下の通りです。

  • 極端に濃い色(ブラック・濃紺など)
  • 真っ白なホワイト一色
  • 原色系・ビビッドカラー(赤・黄・青など)
  • 光沢を強く出しすぎる塗装

失敗しない色選びのコツは、茶系・ベージュ系・グレー系などの落ち着いた色をベースに選ぶことです。

また、カラーシミュレーションだけでなく、実際の塗り板サンプルを屋外の自然光で確認することが重要です。

室内の照明下と屋外では色の見え方が大きく異なるため、必ず現物を外で確認してから決定しましょう。

外壁塗装 ツートンカラー」の記事も参考になると思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

「外壁塗装はまだするな」と言われる理由から、適切な塗装時期の判断基準、放置した場合のリスク、費用面での対処法まで詳しく解説してきました。

最後に、この記事の重要ポイントをチェックリスト形式でまとめます。

外壁塗装の判断に迷った時のチェックリスト
  • 前回の塗装から10年以上経過している、または塗料の耐用年数を超えている
  • チョーキング、ひび割れ、塗膜の剥がれなど明確な劣化症状が見られる
  • 春または秋の塗装に適した季節である
  • 複数の専門業者から見積もりを取り、適正価格を確認した
  • 補助金や助成金の申請条件・時期を確認した
  • 信頼できる業者(建設業許可保有、詳細見積、充実した保証)を見つけた
  • 契約を急がせる訪問営業や不安を煽る業者を避けた

上記のチェックリストで、複数の項目に該当する場合は、外壁塗装を検討する適切なタイミングと言えます。

逆に、耐用年数に余裕があり劣化症状も軽微であれば、慌てて塗装する必要はなく、計画的に準備を進める時間的余裕があります。

外壁塗装は決して安い買い物ではありませんが、建物を長持ちさせ、将来的な大規模修繕を避けるための重要な投資です。

適切な時期を見極め、信頼できる業者に依頼することで、長期的なコスト削減と快適な住環境の維持が実現できます。

株式会社新東亜工業では、大規模修繕工事の専門業者として、外壁塗装に関する無料診断・お見積もりを承っております。

現地調査から劣化診断、最適な塗装プランのご提案まで、経験豊富なスタッフが丁寧にサポートいたします。

「今すぐ塗装すべきか」「もう少し待つべきか」といった判断に迷われている方も、まずはお気軽にご相談ください。