マンション大規模修繕の費用負担はどう決まる?修繕積立金・一時金・トラブル回避まで解説【2026年最新】| 株式会社新東亜工業

マンション大規模修繕の費用負担はどう決まる?修繕積立金・一時金・トラブル回避まで解説

マンションの大規模修繕を検討する際、多くの方が最初に気にするのは「いくらかかるのか」という点です。

しかし実際には、それ以上に不安や疑問が集中しやすいのが「その費用を誰が、どのように負担するのか」という部分ではないでしょうか。

修繕積立金だけで本当に足りるのか、一時金の徴収は避けられないのか、管理組合や管理会社はどこまで関与するのかなど、費用負担の仕組みを正しく理解していないと、後々トラブルに発展するケースも少なくありません。

この記事では、マンション大規模修繕の費用負担の基本的な考え方から、実際によくある支払い方法、トラブルを防ぐためのポイントまでを解説します。

マンションの大規模修繕費用は誰が負担する?

マンションの大規模修繕では、費用を「誰が支払うのか」を最初に正しく理解しておくことが重要です。
この点を誤解したまま話を進めてしまうと、住民間で認識のズレが生じ、合意形成が難航する原因になります。

管理組合=区分所有者全員が負担主体

大規模修繕費用の負担主体は、管理会社ではなく管理組合です。

管理組合は、マンションの区分所有者全員で構成されています。

つまり、マンションを所有している人全員が、大規模修繕費用を負担する立場になります。

区分役割費用負担備考
管理会社管理業務を代行する立場負担しない点検・見積取得・工事調整などをサポートするが、費用の支払い義務はない
管理組合修繕費用を負担する主体負担する区分所有者全員で構成され、最終的な意思決定と費用負担を担う

管理会社が主導して説明や手配を行うことはありますが、費用を負担する責任は管理組合(=区分所有者)にあるという点は、押さえておく必要があります。

費用負担の割合は「持分割合」で決まる

マンションの大規模修繕費用は、原則として各区分所有者の「持分割合」に応じて負担されます。

持分割合とは、マンション全体に対して、各住戸がどの程度の割合を占めているかを示すものです。

持分割合の決まり方(一般的な例)
  • 専有面積が広い住戸
     → 持分割合が大きい
     → 費用負担も大きくなりやすい
  • 専有面積が小さい住戸
     → 持分割合が小さい
     → 費用負担は比較的抑えられる

マンションの大規模修繕費用の負担額はいくら?2回目・3回目が高くなる理由

マンションの大規模修繕では、「結局いくら負担することになるのか」が最も気になるポイントです。ただし、負担額は一律ではなく、マンションの規模や築年数、工事内容によって大きく変わります。

ここでは、大規模修繕における費用負担額の考え方を中心に解説します。

マンションの規模別・工事項目別の詳しい費用については、大規模修繕の費用相場を解説した記事で詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてください。

以下にマンション規模・築年数による負担額の考え方をまとめました。

マンション規模築年数の目安大規模修繕費用の特徴1戸あたりの負担イメージ
小規模(〜20戸)築12〜15年工事費を分け合う戸数が少ない高めになりやすい
中規模(30〜100戸)築12〜15年費用と負担のバランスが取りやすい標準的
大規模(100戸以上)築12〜15年スケールメリットが出やすい抑えやすい

大規模修繕の費用負担額は、マンションの規模によって傾向が異なります。

特に戸数の少ないマンションでは、1戸あたりの負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。

2回目・3回目の大規模修繕で負担が増えやすい理由

大規模修繕は一度きりで終わるものではなく、マンションの築年数に応じて複数回実施される工事です。
一般的に、修繕回数を重ねるごとに工事内容が増え、1戸あたりの費用負担も大きくなりやすい傾向があります。

これは、建物の劣化が段階的に進行し、予防的な修繕から本格的な補修・更新へと工事の性質が変わっていくためです。

修繕回数ごとの工事内容と負担額の目安について以下の方にわかりやすくまとめました。

修繕回数主な築年数の目安費用が増えやすい理由1戸あたりの負担目安
1回目築12〜15年予防的な補修が中心50万〜100万円前後
2回目築25〜30年劣化が進行し補修範囲が拡大80万〜150万円前後
3回目築40年前後設備更新が重なり工事が大規模化120万〜200万円超

※マンション規模・仕様・修繕内容によって大きく変動します。

この表をみると、3回目の費用が高いことがわかります。では、なぜ回数を重ねると費用が増えるのでしょうか。

なぜ回数を重ねると費用が増えるのか
  • 外壁や防水の全面的なやり替え
  • 鉄部や躯体の本格補修
  • 給排水管・設備類の更新工事
  • バリアフリー化など時代に合わせた改修

修繕回数が増えるにつれて、全面的なやり替えや更新工事が加わりやすくなります。

これらは予防ではなく「修復・更新」を目的とするため、工事範囲が広がり、結果として費用負担も大きくなります。

負担増を防ぐために意識したいポイント
  • 1回目・2回目の段階で計画的に修繕を行う
  • 長期修繕計画を定期的に見直す
  • 将来の修繕回数を見据えた積立を行う

初期段階での対応が不十分だと、後の大規模修繕で一気に負担が増えるケースも少なくありません。

マンションの大規模修繕費用をどう支払うか|代表的な3つの方法

マンションの大規模修繕では、「誰がどの割合で負担するか」とは別に、その費用を「どのように支払うか」という点も重要な検討事項になります。

大規模修繕費用は一括で現金支払いされるケースばかりではなく、マンションの財務状況や長期修繕計画に応じて、いくつかの支払い方法が選択されます。

ここでは、実務上よく採用される代表的な3つの支払い方法について解説します。

大規模修繕費用の支払い方法1.修繕積立金から支払う

最も一般的で理想的とされるのが、毎月積み立ててきた修繕積立金から大規模修繕費用を支払う方法です。
長期修繕計画に基づき、計画的に積立が行われていれば、大きな追加負担が発生することなく工事を実施できます。

特徴とポイント
  • 一時的な出費が発生しない
  • 住民の負担感が小さい
  • 合意形成が比較的スムーズ

修繕積立金が十分に確保されているマンションでは、住民の金銭的な負担感も少なく、合意形成が比較的スムーズに進みやすいというメリットがあります。

大規模修繕費用の支払い方法2.一時金として追加徴収する

修繕積立金が不足している場合に採用されるのが、一時金として追加で費用を徴収する方法です。

この場合、1戸あたり数十万円単位の負担が発生することもあり、住民にとって心理的・経済的な負担が大きくなりやすい傾向があります。

トラブルになりやすい理由
  • 事前説明が不十分なまま話が進む
  • 「聞いていない」「支払えない」といった反発が出やすい
  • 家計状況により負担感の差が大きい

一時金徴収を行う場合は、なぜ積立金が不足しているのかなぜ今その金額が必要なのかを丁寧に説明することが欠かせません。

大規模修繕費用の支払い方法3.管理組合が借入して分割で支払う

もう一つの方法として、管理組合が金融機関から借入を行い、その返済を将来にわたって行うケースがあります。

この方法では、一時金の徴収を避けられるため、住民の短期的な負担感を抑えやすいという特徴があります。

注意すべきポイント
  • 借入金の返済は将来的な負担になる
  • 修繕積立金の増額につながる可能性がある
  • 管理費や積立金の見直しが必要になることもある

一見すると負担が軽く見えますが、負担が先送りされているだけという側面もあるため、長期的な資金計画を踏まえた判断が重要です。

マンション共用部分と専有部分とは?大規模修繕の費用負担の違いを解説

大規模修繕を考える際に重要になるのが、マンション内の「共用部分」と「専有部分」の区分を正しく理解することです。
この違いを押さえておかないと、どこまでが管理組合の負担で、どこからが各住戸の自己負担なのかが曖昧になり、誤解やトラブルの原因になりがちです。

ここでは、共用部分と専有部分の違いを明確にし、費用負担の観点から解説します。

区分主な該当箇所費用負担者備考
共用部分外壁、屋上、共用廊下、エントランス管理組合
(全員負担)
建物全体の構造・耐久性に関わる部分。外観維持や安全性確保も含む。
共用部分バルコニー外側、共用設備管理組合
(全員負担)
バルコニーの外側(手すりや外壁側)は共用部分扱い。共用給排水管なども含まれる。
専有部分室内の壁・床・天井、専有部設備各区分所有者
(自己負担)
各住戸の内部にあたる部分。内装や室内設備は原則として各所有者が管理・修繕。
専有部分玄関扉の内側、専用庭各区分所有者
(自己負担)
玄関扉は外側が共用、内側が専有。専用使用権がある庭も専有扱いになることが多い。

共用部分とは?

共用部分とは、マンション全体で利用される空間や設備、そして建物全体の構造や安全性に関わる部分を指します。

具体的には、外壁、屋上、共用廊下、エントランス、階段、バルコニーの外側、共用の給排水管などが該当します。

これらはマンション全体の維持管理に不可欠であり、修繕が必要な場合、その費用は管理組合が負担します。

つまり、共用部分の修繕費用は全区分所有者が持分割合に応じて分担する形となります。

専有部分とは?

専有部分とは、各区分所有者が単独で所有し、管理する範囲を指します。室内の壁・床・天井、住戸内の給排水設備、玄関扉の内側などがこれに当たります。

専有部分の修繕や維持管理は、原則としてその住戸の所有者が自己負担で行います。

そのため、どこまでが共用部分でどこからが専有部分なのかを明確に理解することで、費用負担の混乱を防ぐことができます。

このように、共用部分と専有部分の区分をしっかり理解することで、誰がどの部分の費用を負担するのかが明確になります。

これによって、修繕時の合意形成がスムーズになり、不要なトラブルを防ぐことができます。

マンション大規模修繕費用の負担をめぐって起きやすいトラブル

マンションの大規模修繕は工事規模が大きく、費用も高額になりやすいため、費用負担をきっかけにさまざまなトラブルが発生します。事前に起こりやすいケースを知っておくことで、不要な対立や混乱を防ぎやすくなります。

「払えない」「払いたくない」住民がいる場合

大規模修繕で一時金の徴収や修繕積立金の増額が決議されると、経済的な事情や考え方の違いから、支払いに難色を示す住民が出てくることがあります。特に、高齢世帯や賃貸目的で所有している区分所有者が多いマンションでは、この問題が表面化しやすい傾向があります。

管理組合としては個々の事情に配慮する必要はありますが、大規模修繕はマンション全体の維持・安全に関わる工事であり、区分所有者である以上、費用負担を拒否することは原則としてできません。説明不足のまま進めるのではなく、なぜその負担が必要なのかを丁寧に共有する姿勢が重要です。

修繕内容や金額に納得できず反対が出るケース

費用負担に関するトラブルの多くは、「工事内容や金額が分かりにくい」ことが原因で起こります。見積内容が専門的で理解しづらかったり、管理会社主導で話が進んでいたりすると、不信感を抱く住民が出やすくなります。

特に、複数の工事がまとめて提案されている場合、「本当に今必要なのか」「もっと抑えられるのではないか」といった疑問が生じやすくなります。こうした反対意見が増えると、総会での合意形成が難航し、工事そのものが遅れてしまう可能性もあります。

マンション大規模修繕の費用負担に関するよくある質問

大規模修繕の費用負担については、多くの区分所有者が同じような疑問を抱えています。

ここでは、特によくある質問をまとめました。

Q

マンションの大規模修繕は自己負担ですか?

A

原則として、大規模修繕は管理組合が費用を負担し、その原資は区分所有者全員が持分割合に応じて負担します。共用部分の修繕は自己負担ではありませんが、専有部分の修繕は各所有者の自己負担となる点に注意が必要です。

Q

大規模修繕費用の支払いは拒否できますか?

A

区分所有者である以上、管理組合で決議された大規模修繕費用の支払いを拒否することは原則としてできません。マンション全体の維持管理に必要な費用として位置づけられています。

Q

修繕積立金の値上げは必ず行われますか?

A

必ずしも値上げされるとは限りませんが、将来的な修繕費用を賄うために増額が検討されるケースは多くあります。積立金の状況によって判断されます。

Q

賃貸に出している場合でも費用負担は必要ですか?

A

はい。居住しているかどうかに関わらず、区分所有者であれば大規模修繕費用の負担義務があります。

Q

売却予定でも一時金を支払う必要はありますか?

A

原則として、決議時点での区分所有者が負担することになります。売却時期との兼ね合いについては、個別に確認が必要です。

マンション大規模修繕費用は誰が負担する?まとめ

マンションの大規模修繕では、工事費用そのものだけでなく、「誰がどのように負担するのか」を正しく理解しておくことが重要です。

大規模修繕の費用負担は管理組合が主体となり、区分所有者全員が持分割合に応じて分担するのが基本です。

この記事のポイントを以下にまとめました。

  • 費用負担の主体は管理組合
  • 負担額は持分割合で決まる
  • 支払い方法は主に3種類
  • 回数を重ねると負担は増えやすい
  • 共用部分は管理組合負担
  • 専有部分は自己負担が原則
  • 説明不足はトラブルの原因

また、費用の支払い方法には修繕積立金・一時金・借入といった選択肢があり、マンションの財務状況や修繕計画によって適切な方法は異なります。さらに、共用部分と専有部分の区分を誤解すると、思わぬ自己負担や住民間トラブルにつながることもあります。

大規模修繕を円滑に進めるためには、仕組みを正しく理解し、事前に十分な説明と合意形成を行うことが欠かせません。