【賃貸経営】<第3回>賃貸経営の購入前シミュレーション完全ガイド|初心者でもできるキャッシュフロー計算とチェックリスト
2026/01/27
目次
買う前に「数字で一度やってみる」だけで失敗はかなり減る
アパート・マンション・ビルの賃貸経営は、「買ってから考える」と失敗しやすく、「買う前にシミュレーションしてみる」と失敗が一気に減ります。
利回りの数字や営業トークだけで決めてしまうと、数年後に「思ったよりお金が残らない」「修繕・空室で資金繰りがきつい」と気づくパターンが非常に多いからです。
この記事では、初心者でもエクセルや電卓でできるレベルに絞って、
- 購入前に必ずやっておきたいシミュレーションの流れ
- 見落としがちな数字(修繕・空室・税金)の入れ方
- 最終的に「買っていいか・やめるべきか」を判断するためのライン
をチェックリスト形式で解説します。
ステップ1:物件情報と条件を整理する(インプット)
まずは「前提条件」をきちんとそろえることから始めます。
メモやエクセルに、以下を一行でまとめて書き出します。
- 物件価格
- 想定家賃(1戸あたり)と戸数、満室時の年間家賃収入
- 想定入居率(最初は90%くらいで置くと現実的)
- 想定管理費率(家賃の◯%)
- 固定資産税などの概算(資料がなければ家賃の5〜10%目安など)
- ローン条件(借入額・金利・返済期間・元利均等 or 元金均等)
ここでのポイントは、
- 「満室100%前提」ではなく、「想定入居率80〜90%」を前提にすること
- 経費は「ざっくり低め」ではなく、安全側(やや多め)で見積もること
です。
ステップ2:年間キャッシュフローを計算する
次に、「1年単位でいくら残るか」を計算します。
- 実質の年間家賃収入
- 満室時年間家賃 × 想定入居率(例:90%)
- 年間の運営経費(ローン以外)
- 管理委託料(家賃収入の◯%)
- 共用電気・清掃・保守契約
- 固定資産税・火災保険
- 修繕積立(家賃の5〜10%を目安)
- 年間ローン返済額
- ローンシミュレーターや金融機関のサイトで年間返済額を算出する。
- 年間キャッシュフロー(手残り)
- 「実質家賃収入 − 経費 − ローン返済」
初心者はここで「プラスならOK」と考えがちですが、
- 予想より空室が増える
- 想定外の修繕が出る
などのブレを考えると、「少しプラス」では心もとないのが実態です。
自分の中で、
- 年間いくら以上のプラスなら許容できるか(例:最低でも+◯万円/年)
というラインを決めて、それを下回る物件は「魅力的には見えても見送る」くらいでちょうど良いです。
ステップ3:10年くらい先までざっくりシミュレーションする
次に、10年程度のスパンで「どんな変化が起こりそうか」をざっくり見ておきます。
シンプルに、エクセルで
- 横軸:1〜10年目
- 縦軸:家賃収入・経費・ローン返済・キャッシュフロー
を並べるだけでも、イメージがかなり変わります。
ここで織り込んでおきたいのは、
- 賃料の微減(毎年0.5〜1%下がる前提など)
- 入居率の変動(90%→85%など)
- 5〜10年の間に起こりうる大きめの修繕(外壁・屋上防水・設備更新)
このくらいざっくりでも、「将来も余裕で回り続けるのか」「どこかのタイミングで一気にきつくなりそうか」の感触がつかめます。
ステップ4:最悪パターンも1パターンだけでいいから見ておく
ポジティブシナリオだけでなく、「ちょっと悪く転んだ場合」も1パターンだけ見ておくと、リスクのサイズ感がつかめます。
例えば、
- 入居率を一時的に70〜80%まで下げる
- 家賃を相場より5〜10%下げてみる
- どこかの年で数百万円の修繕が入る
この条件を入れても、「ギリギリでも回る」のか、「一気に赤字で持ち出しになる」のか。
ここで「完全に詰む」レベルの赤字になるなら、そもそもその物件自体のリスクが高すぎる可能性があります。
ステップ5:自己資金と予備資金のラインを確認する
シミュレーションができたら、「自分の財布」と照らし合わせます。
- 購入時に出せる自己資金はいくらか(諸費用・頭金)
- 手元に残すべき生活防衛資金はいくらか
- 賃貸経営用として、予備の現金をいくら確保しておけるか
よくある失敗は、
- 初期費用+リフォームで手持ちを使い切ってしまい、
- その後の修繕や空室に耐えるバッファがない状態で走り出してしまうことです。
「この物件を買っても、手元に◯ヶ月分の生活費+◯万円の予備資金は残るか」
という視点で、冷静にブレーキを踏めるようにしておきましょう。
チェックリスト:購入前にYes/Noで確認したい10項目
最後に、購入前に「Yes」で埋めたい項目をまとめます。
- この物件の実質利回りと年間手残りが、自分の目標ラインを超えている。
- 入居率80〜90%でも、キャッシュフローが大きくマイナスにならない。
- 10年間のざっくりシミュレーションで、明らかに破綻する年がない。
- 築年数と修繕履歴を確認し、今後10年で必要そうな大規模修繕のイメージが持てている。
- 賃料下落や空室が多少増えても、「最悪パターン」で即破綻しない。
- 購入後も、生活防衛資金とは別に、予備資金を一定額残せる。
- 将来の出口戦略(何年持つか・売る可能性)が自分なりにイメージできている。
- 「節税ができるから」だけを理由にしていない。
- 営業担当や資料以外からも、相場感・リスク情報を一度は取っている。
- 数字を見たうえで、「多少のブレがあってもメンタル的に耐えられる」と自分で思える。
このうち5〜6個しかYesにならない物件は、「今の自分にはまだ早い物件」と考えた方が安全です
この記事の答え:買う前に「数字で一度、未来を体験する」
購入前シミュレーションの本質は、
「現実に起こりうる未来」を数字で一度体験してから買うかどうか決める
ということです。
- 年間の手残り
- 10年スパンの変化
- 最悪パターンでどこまで耐えられるか
- 自分の財布とのバランス
これらをざっくりでもいいので数字にしてみれば、「なんとなく良さそうだから買う」という一番危険なパターンからは確実に抜けられます。