【マンション経営】親のマンション相続で家族が揉めないために|話し合いのタイミングと上手な「家族会議」の進め方

話し始めるタイミングは「困る前」

相続の話は、「病気になってから」「亡くなったあと」では遅くなりがちです。
親がまだ元気で、頭も体もしっかりしているうちに始めるのがいちばん安全です。

きっかけは、重いものでなくてかまいません。
固定資産税の通知が来たとき、マンションの大規模修繕のお知らせが来たとき、「最近空室が多い」など、日常の出来事から少しずつ広げていけば大丈夫です。

「相続の話がしたい」ではなく、
「このマンション、これからどうするつもり?」
くらいの軽い入り方の方が、親も身構えずに話しやすくなります。

最初に話すのは「分け方」ではなく「親の気持ち」

いきなり「誰が相続するか」「どう分けるか」の話をすると、話がこじれやすくなります。
最初の家族の話し合いでは、次のようなことから聞いたり話したりしてみてください。

親側は、たとえばこんな本音を言葉にできるとよいです。

  • このマンションを、できれば子どもに残したいのか。
  • 本音では、自分の代で売ってしまった方がいいと思っているのか。
  • 誰かに住んでほしいのか、それとも賃貸として引き継いでほしいのか。

子ども側は、それに対して正直な事情を伝えることが大事です。

  • そのマンションに住めそうか、住めなさそうか。
  • 賃貸の管理や手続きに、時間や気持ちの余裕がありそうか。
  • 自分の住宅ローンや仕事・子育てとの両立を考えたとき、現実的にどこまでなら引き受けられそうか。

「親の希望」と「子どもの現実」の両方が見えてきて、はじめて現実的な選択肢が見えてきます。

感情といっしょに「数字」もテーブルにのせる

マンション相続は、思い出の話だけで決めると、あとでお金の部分で苦しくなることがあります。
話し合う前後で、できれば次のような「数字」を紙に書き出しておくと、話が具体的になります。

  • ローン残高(いくら残っているか、いつ終わるか)。
  • 毎月の支払い(管理費・修繕積立金・駐車場代・固定資産税の目安)。
  • 賃貸中なら、今の家賃、ここ数年の空室の様子。
  • 売った場合にだいたいどのくらいで売れそうか(不動産会社の簡易査定やネット査定の数字)。

この数字が分かるだけで、
「持ち続けると毎月どのくらい出ていくのか」
「貸したら本当にプラスになるのか」
「売った場合に、ローンを返してどのくらい残りそうか」
といったイメージが共有しやすくなります。

感情を否定するために数字を見るのではなく、「現実の枠」を家族で共有するイメージです。

きょうだいがいる場合の話し方のコツ

子どもが複数いるとき、一人だけと先に細かく話し込み過ぎると、あとから「自分は仲間はずれだった」と感じる人が出てきがちです。

理想的な流れは、次のようなイメージです。

  • まずは全員で集まり、「親の考え」と「それぞれの事情」をざっくり共有する。
  • その後、細かいシミュレーションや専門的な相談は、代表者数名で進める。
  • 大きな方向性が決まりそうなところで、また全員で集まって確認する。

こうして「最初と節目だけは全員参加」にしておくと、情報の差や不公平感が減ります。
全員の希望が完全にそろうことはほとんどないので、「意見は違っても、話には参加できた」と感じてもらえることの方が大切です。

家族だけで詰まったら、早めに第三者を入れる

親と子どもだけで話していると、どうしても昔の感情や遠慮が出てきて、前に進まないことがあります。
そんなときは、「外の人の力を借りる」のも一つの方法です。

たとえば、不動産会社はマンションの売却価格や賃貸需要の現実的な数字を教えてくれます。
税理士は、相続税や売却したときの税金のイメージを出してくれます。
司法書士や弁護士は、名義の問題や、トラブルになりやすいパターンを教えてくれます。

専門家に決めてもらうのではなく、「選択肢と数字」を出してもらい、それを家族でどう受け止めるかを考える。
そんな役割で第三者を入れると、「感情だけの押し合い」から一歩抜け出しやすくなります。

「話し合いを先送りにした結果」がいちばん危ない

多くの家庭でいちばんよくあるのは、「問題がないように見える間は何も話さず、いざというときに時間も心も余裕がない状態で決める」パターンです。

親の体調が急に悪くなったとき、認知症が進んだとき、亡くなったあとに相続手続きの締め切りが迫っているとき。
こういう状況では、「誰か一人が走り回る」「とりあえずその場しのぎで決めてしまう」ことが多くなり、その人に負担が集中しがちです。

それを避けるためには、
「まだ元気で、まだ選択肢が多い時期」に
少しずつでも話し合いを進めておくことが大切です。

一度で結論を出す必要はありません。
最初は「親の気持ちを聞く会」、次は「数字を確認する会」、その次は「選択肢を整理する会」というように、分けて考えても構いません。

最後に:完璧な答えではなく「話し合ったプロセス」を大事にする

親のマンションをどうするかに、全員が100点満点で満足する答えは、正直あまりありません。
売るにしても、貸すにしても、誰かが住むにしても、それぞれにメリットもデメリットもあります。

それでも、「きちんと話し合って決めたかどうか」で、その後の気持ちは大きく変わります。
誰かが一人で抱え込んで決めたのか、家族で情報を共有して、意見を出し合いながら決めたのか。
同じ結論でも、「納得感」や「わだかまり」はまったく違います。

親としては、「不動産という形」だけでなく、「選びやすい状況」と「自分の考え」を残してあげること。
子どもとしては、「親の思い」と「自分の現実」の両方をテーブルに出して、一緒に考えること。

この二つを意識して、重くなりすぎないタイミングと雰囲気で、マンション相続の家族会議を少しずつ進めていってみてください。