【賃貸経営】「管理会社選び」で9割決まる|初心者オーナー向けに分かりやすく失敗しないポイントを解説

管理会社を入れるかどうかの「そもそもの判断」

まず前提として、「管理会社を入れるべきか、自主管理にするか」という分かれ目があります。
これから賃貸経営を始める人の多くは、本業があり、家族や自分の時間も大切にしたいはずです。自主管理は家賃を少し多く残せる一方で、時間と手間とストレスの負担はかなり大きくなります。

入居募集、問い合わせ対応、鍵の受け渡し、入居審査、契約書の作成、家賃の確認と滞納の督促、設備故障の対応、退去立ち会いと原状回復の調整…。
これらを全部自分でやる場合、「24時間、オーナー業務の通知が頭の片隅から消えない」感覚になりやすいです。1棟、1戸から始めるなら「経験として一度やってみる」のもアリですが、規模を増やす前提なら、どこかのタイミングで管理会社に任せた方が現実的です。

一方で、管理会社を入れるときも、「全部丸投げ」してしまうと、何をしてくれているのか分からないまま時間だけが過ぎてしまうことがあります。
理想は、「オーナーの役割」と「管理会社の役割」をはっきり分けつつ、数字と方針の決定は自分、日々の運営はプロに任せる、という形です。

管理会社のタイプと得意分野を理解する

管理会社といっても、実際にはいくつかのタイプに分かれます。
ざっくり言うと、「大手系」「地域密着系」「分譲マンション管理がメイン」「賃貸管理専門」などです。

大手系は、管理戸数が多く、システムやマニュアルが整っている反面、どうしても一棟あたりのきめ細かさにムラが出ることがあります。
地域密着の会社は、エリア情報や地元仲介ネットワークに強く、柔軟な対応が期待できる一方、会社によって力量の差が大きいです。
分譲マンション管理メインの会社は、共用部や修繕計画に強く、賃貸管理については別会社と組んでいることもあります。
賃貸管理専門の会社は、入居付けと日々の運営に特化している反面、建物そのものの長期修繕や大規模工事については外部の工事会社頼りになる場合もあります。

自分の物件が、単身者向けアパートなのか、ファミリーマンションなのか、商業ビルなのか、分譲マンション1室なのかによって、「合うタイプ」が変わります。
単身者アパートであれば、周辺の賃貸仲介会社とのネットワークが強い管理会社が有利です。
ファミリー向けなら、長期で住んでもらうための設備・修繕の提案力が重要になります。
ビルや店舗なら、テナントの業種・契約の細かい調整に詳しい会社が必要になります。

「この会社は、うちの物件と同じタイプをどれくらい扱っているか」「その実績と数字はどうか」を聞くところから、相性のチェックは始まります。

募集力を見抜くための具体的な質問

管理会社の「募集力」は、空室期間と家賃収入に直結します。
とはいえ、「募集が得意ですか?」と聞いても、どの会社も「得意です」と答えるでしょう。
募集力を見るためには、もう少し具体的な質問をする必要があります。

たとえば、「このエリア・この間取りの物件は、平均してどれくらいの期間で決まっていますか?」と聞くと、その会社が数字を把握しているかどうかが分かります。
「最近決めた似た物件では、どのくらいの賃料で、どんな人に決まりましたか?」と聞くと、具体的な事例をあげてくれるかどうかで、現場感の有無が見えてきます。

インターネット募集の面でも、「どのポータルサイトに出しているか」「写真撮影や間取り図は自社で工夫しているか」「内見の反応をどう共有してくれるか」などを聞いておくと、力の入れ具合が分かります。
写真や間取りが雑なだけで、ネット上の第一印象は大きく落ちます。ここに投資している管理会社は、総じて入居付けに力を入れていることが多いです。

クレームとトラブル対応の「姿勢」を確認する

賃貸経営で意外と消耗しがちなのが、クレームや近隣トラブルの対応です。
騒音、水漏れ、ゴミ出し、駐輪場、共用部の使い方…。小さな不満でも放置しておくと、退去やネットの悪評につながることがあります。

管理会社に任せる以上、「トラブルの窓口」としてどう動いてくれるのかは重要です。
面談のときに、「最近あったトラブル事例と、そのときどう対応したか」を具体的に聞いてみてください。
一方的に入居者側を責めるか、オーナーに丸投げするか、どちらかに偏っている会社は要注意です。

理想は、「入居者の話をきちんと聞きつつ、ルールと現実のバランスを取りにいく」姿勢です。
たとえば、「法律や契約上はこうですが、現実的にはこういう落としどころがあります」「このレベルなら注意喚起で様子を見る、このレベルなら契約違反として対応する」といったラインを持っている会社は頼りになります。

修繕・リフォームの提案は「金額」と「根拠」で見る

修繕やリフォームの提案は、管理会社の腕の見せ所でもあり、オーナーの不安が出やすい領域でもあります。
「とにかく工事を増やしたい会社」「逆に何も提案してこない会社」の両方が存在します。

ここで見るべきは、「金額」そのものより、「根拠」と「優先順位」です。
たとえば、「この外壁工事は今やるべきなのか」「この設備交換は今でなくてもいいのか」「このリフォームによって、家賃や入居期間にどんな効果がありそうか」などの説明がきちんとあるかどうかです。

複数の業者から見積もりを取ってくれるか、その見積もりを比較して説明してくれるかも重要です。
単に「この業者でこうなりました」だけでなく、「この部分はグレードを落とせば費用を抑えられる」「ここはケチると後でトラブルになる」といった判断材料を提示してくれる管理会社なら、長期のパートナーになり得ます。

管理会社との「情報共有」と「数字の見える化」

どんなに良い管理会社でも、「任せっぱなし」で成功する賃貸経営はほとんどありません。
オーナー側も、少なくとも年に数回は、数字と現状の共有を求めた方がいいです。

たとえば、年間の家賃収入、空室期間、広告費、修繕費、クレーム件数などを、簡単なレポートにまとめてもらうことができます。
これを毎年、あるいは半年に一度見ながら、「家賃設定は適切か」「修繕のペースは妥当か」「空室対策は打てているか」を管理会社と一緒に確認するイメージです。

このとき、「数字を出すのを面倒くさがる」「相談しても具体性がない」という反応が続くなら、その管理会社はオーナーとの長期的な関係構築に重きを置いていない可能性があります。
逆に、数字をもとに「ここをこう変えませんか」と提案してくる会社は、賃貸経営を「事業」として見ていると言えます。

管理会社を変えるときの現実的なステップ

どうしても管理会社との相性が合わない、改善の余地が薄いと感じた場合、「管理会社の変更」も選択肢になります。
ただし、変えるには手続きと手間がかかるので、現実的なステップをイメージしておくと動きやすくなります。

まず、今の管理委託契約で定められている解約条件を確認します。
何ヶ月前の通知が必要なのか、契約期間の途中解約はどう扱われるのか、違約金はあるのか、といった点を押さえます。

次に、次の候補となる管理会社数社に、事前相談と見積りを依頼します。
「今は別会社に任せているが、変更を検討している」と伝え、現状の募集状況や管理内容を軽く説明したうえで、「自社ならどう改善するか」「管理方針はどう考えるか」を聞きます。
この段階で、「いまの会社の悪口ばかり言う会社」よりも、「現状を尊重しつつ、こう変えられます」と話す会社の方が信頼できます。

最後に、タイミングを見て管理会社の移行を行います。
入居者への通知、家賃振込先の変更、鍵や契約書類の引き継ぎなど、細かな作業が発生しますが、ここを丁寧にやってくれる会社ほど、信頼できるパートナーになりやすいです。

最後に:管理会社は「コスト」ではなく「共同経営者」に近い

賃貸経営において、管理手数料はたしかにコストです。数%の手数料が気になる気持ちもよく分かります。
しかし、「安いからここ」「大手だからここ」という決め方をすると、あとから取り返しのつかない損失につながることもあります。

管理会社は、単なる外注先ではなく、実質的には「共同で物件を運営していく相手」に近い存在です。
オーナーはお金とリスクを出し、管理会社は時間とノウハウと現場力を出します。
そのバランスが取れているとき、賃貸経営は安定して続けられます。

「この人たちなら、良いことだけでなく、厳しいこともちゃんと言ってくれる」
「数字と現実を共有しながら、一緒に物件の価値を上げていけそうだ」

そう感じられる管理会社に出会えたら、その賃貸経営はすでに半分成功していると言っても大げさではありません。
物件選びと同じくらい、あるいはそれ以上に、「管理会社=パートナー選び」に時間と意識を割いてみてください。それが、長く安定して賃貸経営を続けるためのいちばん効き目のある投資になります。