大規模修繕と確認申請|既存不適格建築物はどう対応すべきか?【管理組合・オーナー向け】
2026/03/17
「うちのマンションは古い建物だけど、大規模修繕のときに確認申請は通るのだろうか」
「現行の建築基準法に合っていない部分があると聞いたが、工事できなくなるのでは」
と不安を感じている管理組合の方やオーナーの方は少なくありません。
このように、建築当時の法律では適法だったものの、その後の法改正によって現行基準に適合しなくなった建物を「既存不適格建築物」と呼びます。
この記事では、既存不適格建築物が大規模修繕を行う際に確認申請がどう影響するか、実務上どのような点に気をつければよいかを整理して解説します。
目次
既存不適格建築物でも大規模修繕はできる?確認申請との関係を整理
「既存不適格だと工事できない」と誤解されるケースがありますが、原則として大規模修繕工事は実施可能です。
ただし、確認申請が必要な工事内容の場合は、一定のルールに従う必要があります。まずは基本的な考え方を押さえましょう。
既存不適格建築物に対する大規模修繕の可否は、大きく以下の考え方で整理できます。
- 確認申請が不要な修繕
外壁塗装・防水工事・シーリング打ち替えなど、主要構造部の過半に及ばない一般的な修繕は、既存不適格建築物であっても確認申請なしで施工できます。 - 確認申請が必要な修繕
主要構造部(柱・梁・床・屋根・壁など)の過半を修繕・模様替えする工事では確認申請が必要です。この場合、既存不適格の扱いについて別途判断が求められます。
つまり、多くのマンションで行われる標準的な大規模修繕工事(外壁塗装・防水・共用部補修など)は、確認申請が不要なケースがほとんどであり、既存不適格であることを理由に工事がストップするわけではありません。
ただし、耐震補強や大規模な構造変更を伴う場合は状況が変わるため、注意が必要です。
確認申請の要否や具体的な判断基準については、大規模修繕で確認申請は必要?判断基準と手続きの流れを解説もあわせてご覧ください。
建築基準法第86条の7「遡及適用の緩和」とは何か
既存不適格建築物で確認申請が必要な工事を行う場合、原則として現行法への適合が求められます。
しかし、すべての部分を現行基準に合わせるのは現実的に難しいこともあります。
そこで活用できるのが、建築基準法第86条の7に定められた「遡及適用の緩和」規定です。
この緩和規定のポイントを整理すると、次のとおりです。
- 原則(遡及適用)
確認申請が必要な工事を行う場合、建物全体を現行の建築基準法に適合させることが求められます。これを「遡及適用」といいます。 - 緩和規定(法86条の7)
一定の条件を満たす場合、工事を行う部分のみを現行基準に適合させ、既存部分については現行法の遡及を免除することが認められています。 - 適用の条件
既存不適格の内容(耐震・防火・容積率超過など)によって緩和が認められる範囲は異なります。具体的には、構造耐力・耐火性能・避難規定など、現行基準に不適合な項目ごとに判断が行われます。
ざっくりしたイメージとしては、「工事を行う部分だけ現行ルールに合わせればよく、触らない部分については建築当時のままでOK」という仕組みです。
ただし、この緩和の適用可否は建物ごとの不適格内容によって異なるため、事前に建築士や行政窓口(特定行政庁・指定確認検査機関)への相談が推奨されます。
確認申請が必要な工事・不要な工事の比較
既存不適格建築物の大規模修繕において、「どの工事で確認申請が必要か」を整理しておくことは計画の第一歩です。
以下の表は、一般的なマンション・ビルで行われる主な工事と確認申請の要否をまとめたものです。あくまでも参考値ですので、実際の判断は専門家へご確認ください。
| 工事の種類 | 確認申請の要否(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 外壁塗装・補修(同材質) | 原則不要 | 主要構造部への変更なし |
| 屋上・バルコニー防水工事 | 原則不要 | 防水層の補修・再施工は構造変更に非該当 |
| シーリング打ち替え | 原則不要 | 軽微な補修として扱われる |
| 外壁材の全面張り替え(異材質) | 要確認 | 過半以上・材質変更で申請必要になる可能性 |
| 耐震補強工事 | 要申請(多くの場合) | 主要構造部に変更が及ぶため |
| 柱・梁・床の大規模補強 | 要申請 | 主要構造部の過半修繕に該当しやすい |
| 屋根の全面葺き替え(下地交換含む) | 要確認 | 野地板・垂木の交換を伴う場合は申請対象になる場合あり |
この表からもわかるとおり、通常の大規模修繕(外壁塗装・防水・補修工事)は確認申請が不要なケースがほとんどです。
問題になりやすいのは、耐震補強を同時に実施する場合や、外壁材を全面的に異なる材質に変更する場合です。
既存不適格の建物でこれらの工事を検討する際は、早めに設計士や施工会社に相談することが大切です。
大規模模様替えと修繕の違いや確認申請の詳しい基準は、大規模模様替えについて知ろう!大規模修繕との違いと確認申請が必要なケースでも解説しています。
既存不適格建築物の大規模修繕で生じやすいリスクと注意点
既存不適格建築物で大規模修繕を進める際は、いくつかの落とし穴があります。
事前に知っておくことで、計画の遅延や追加費用の発生を防ぐことができます。
- 確認申請が必要な工事で、遡及適用により追加の補強工事が求められる可能性がある
- 2025年4月施行の建築基準法改正(4号特例の縮小)により、これまで不要だった申請が必要になるケースが増えた
- 既存不適格の内容(耐震・防火・容積率など)によって対応が大きく異なる
- 「確認申請が必要かどうか」の判断を誤ると、着工後に工事中断を求められるリスクがある
- 申請・審査に数週間〜数ヶ月かかる場合があり、工期計画に余裕が必要
特に注意が必要なのは、2025年4月から施行された建築基準法改正(いわゆる「4号特例の縮小」)の影響です。
これまで構造審査が省略されていた一部の建築物についても、審査内容が厳格化されており、以前より確認申請の対象範囲が広がっています。
古い木造建築物(アパートなど)を所有・管理されている方は特に注意が必要です。
また、既存不適格の内容が「容積率超過」であれば、修繕工事そのものへの影響は比較的小さいことが多いですが、「耐震基準の不適合」の場合は、確認申請が必要な工事と同時に耐震補強を求められるケースもあります。
計画段階で自治体や建築士と十分に協議し、追加工事の可能性を長期修繕計画に織り込んでおくことが重要です。
建築基準法の改正ポイントと大規模修繕への影響については、マンション大規模修繕は建築基準法に注意|2025年改正で変わるポイントをご参照ください。
そもそも「既存不適格建築物」とは何か?
ここで改めて「既存不適格建築物」の定義を確認しておきましょう。
建物の法的な位置づけを正確に理解することが、適切な修繕計画の前提となります。
既存不適格建築物とは、建築当時は建築基準法その他の法令に適合して建てられたものの、その後の法改正や都市計画の変更によって、現行の法律・基準に適合しなくなった建物のことを指します。
「違法建築物」(建築当時から法律に違反していた建物)とは異なり、既存不適格建築物は行政上の違法性があるわけではありません。
既存不適格になる主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 耐震基準の改正(1981年の旧耐震基準から新耐震基準への変更が代表例)
- 容積率・建ぺい率の変更(都市計画の見直しにより、現在の基準を超過した状態になるケース)
- 防火規定の強化(外壁の防火性能や延焼ラインの基準変更など)
- 日影規制・高さ制限の追加・変更
築30〜40年以上のマンションやビルでは、こうした既存不適格の状態になっているケースが少なくありません。
ただし、既存不適格であること自体は即座に問題となるわけではなく、「何らかの工事を行う際にどう扱われるか」が実務上の関心事となります。
既存不適格建築物の大規模修繕|新東亜工業の対応体制
築年数の古い建物の大規模修繕では、法令面の確認を含めた総合的なサポートが欠かせません。
株式会社新東亜工業では、こうしたケースにも対応できる体制を整えています。
東京都墨田区に拠点を置く新東亜工業は、創業16年・5,000件以上の施工実績を持つ大規模修繕・外壁塗装・防水工事の専門会社です。
一軒家からマンション・ビルまで建物規模を問わず対応しており、以下の点で多くのお客様から信頼をいただいています。
- 直接施工・中間マージンなし
塗料販売の子会社を持ち、材料調達から施工まで自社で一貫対応。余分なコストがかかりません。 - 誠実な提案スタンス
必要のない工事は「今ではない」とはっきりお伝えし、適切なタイミングで再相談をご提案します。 - 管理組合向けファシリテーション
中立的な立場から業者選定のサポートも実施しており、既存不適格建築物の対応を含む修繕計画の相談にも対応しています。
「自分のマンションが既存不適格かどうかわからない」「確認申請が必要かどうか判断できない」といった段階からのご相談も承っております。
まずはお気軽にお問い合わせください。フリーダイヤル:0120-663-642(24時間受付)
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既存不適格建築物の大規模修繕や確認申請で良くある質問(FAQ)
ここでは、既存不適格建築物の大規模修繕や確認申請で良くある質問をまとめました。
Q
既存不適格建築物は大規模修繕工事ができないのですか?
A
原則として工事は可能です。外壁塗装・防水・シーリングなど一般的な修繕は確認申請自体が不要なため、既存不適格かどうかにかかわらず施工できます。
確認申請が必要な工事(耐震補強など)の場合は、建築基準法第86条の7の緩和規定の活用を含めて、事前に専門家へご相談ください。
Q
確認申請が必要な工事で既存不適格が発覚した場合、どうなりますか?
A
工事部分については現行法への適合が求められ、場合によっては追加の補強・改修工事が必要になることがあります。
ただし建築基準法第86条の7の緩和規定が適用されれば、既存の不適格部分についての遡及は免除される場合があります。
不適格の内容・工事の種類によって異なるため、事前に建築士や行政窓口に確認することが重要です。
Q
2025年の建築基準法改正で、既存不適格建築物の修繕に何か影響はありますか?
A
2025年4月施行の「4号特例の縮小」により、これまで確認申請が不要だった一部の木造建築物について審査が厳格化されました。
特に木造2階建ての賃貸アパートなどでは、大規模修繕・模様替えの際に新たな申請手続きが必要になるケースが増えています。
古い木造建築物を所有・管理されている方は、施工前に専門家への相談をおすすめします。
Q
既存不適格建築物かどうかは、どうすれば確認できますか?
A
建物の竣工図書(確認済証・検査済証・設計図書)と現行法令を照合することで判断できます。
特に1981年以前に建築された建物は旧耐震基準の可能性があります。
自分では判断が難しい場合は、建築士や施工会社、または特定行政庁(各自治体の建築指導課)への相談をおすすめします。
まとめ
大規模修繕・確認申請・既存不適格建築物の関係について、この記事で解説してきた要点を振り返ります。
- 既存不適格建築物でも、外壁塗装・防水工事などの一般的な大規模修繕は原則として実施可能
- 確認申請が必要な工事(耐震補強・主要構造部の過半修繕など)では、遡及適用への対応が必要になる場合がある
- 建築基準法第86条の7の緩和規定により、既存不適格部分への遡及が免除されるケースもある
- 2025年4月の法改正(4号特例の縮小)により、木造建築物では確認申請が必要になるケースが増えた
- 既存不適格の内容(耐震・防火・容積率など)によって対応が異なるため、計画段階での専門家相談が不可欠
既存不適格建築物の大規模修繕は、法令面の判断が複雑になりやすく、「確認申請が必要かどうか」「どこまで現行法に合わせる必要があるか」といった点で悩まれる管理組合・オーナー様が多くいらっしゃいます。
株式会社新東亜工業では、こうしたご相談も含めて無料でご対応しております。
建物の規模や築年数を問わず、まずはお気軽にお問い合わせください。
\お客様満足度98%/
※本記事の情報は執筆時点のものです。最新の情報は新東亜工業までお問い合わせください。