外壁塗装の欠損部を放置したらどうなる?リスクや補修費用の目安について
2025/07/31
築年数が経過した建物では、外壁塗装の欠損が起こりやすく、放置すると雨漏りや構造材の腐食など深刻なトラブルを招きます。本記事では、欠損部を放置するリスクや補修費用の目安、さらに信頼できる施工業者の選び方について、わかりやすく解説します。安心して長く住み続けるためのポイントとして、押さえておきましょう。
目次
外壁塗装の欠損部とは?原因と特徴を解説
外壁塗装の欠損部とは、外壁の塗膜が剥がれたりひび割れたりして、建物の保護機能が損なわれた部分を指します。築10年以上の建物では、紫外線や雨風・温度変化などの影響で塗装が劣化し、欠損しやすくなります。欠損部ができると、外壁が水分や湿気・汚れにさらされやすくなり、建物の内部構造に悪影響を及ぼす可能性があります。欠損の原因は多岐にわたり、主に以下のようなものがあります。
- 物理的衝撃:地震や強風、物の衝突により外壁材や塗膜が傷つくことがあります。
- 経年劣化と乾燥収縮:時間の経過とともに塗膜が硬くなり、収縮することでひび割れが生じます。
- 凍結融解作用:寒冷地ではひび割れから水が浸入し、凍結・融解を繰り返すことで破損が進みます。
- 化学反応(アルカリシリカ反応):コンクリート内部で起こる化学反応により、塗装の内部からひび割れや欠損が発生する場合があります。
- 施工不良:適切な施工がされなかった場合、早期に剥がれやひび割れが発生することがあります。
また、よく混同されがちな「爆裂」と欠損は異なります。爆裂は鉄筋コンクリートの鉄筋が錆びて膨張し、コンクリートが破壊される現象です。建物の構造強度に大きく影響するため、発見次第速やかな補修が必要ですが、外壁塗装の欠損は主に塗膜や外壁の表層部の問題であり、原因や対処法が異なります。
外壁塗装の欠損部を放置するとどうなる?5つのリスク
外壁塗装の欠損部をそのまま放置すると、建物にさまざまな深刻なリスクが発生します。早期の対応が重要な理由を以下に詳しく解説します。
水分の浸入による建物劣化
外壁塗装の欠損部から雨水や湿気が建物内部に浸入すると、外壁材や下地の木材・金属部分が水分を吸収しやすくなります。この湿気はカビや藻の発生を促進し、見た目だけでなく健康面でも悪影響を及ぼすことがあります。また、湿気を好むシロアリなどの害虫が発生・繁殖しやすくなるため、建物の内部構造が損なわれてしまいます。こうした劣化は目に見えにくい部分で進行するため、気づいた時には修繕費用が大きく膨らむケースが多いです。
鉄筋コンクリートの腐食
鉄筋コンクリート造の建物の場合、外壁塗装が欠損して鉄筋が露出すると、空気や水分に触れて鉄筋が錆び始めます。錆びた鉄筋は体積が膨張し、周囲のコンクリートを押し広げてひび割れや剥離を引き起こします。この現象は「爆裂」と呼ばれ、構造的な強度を著しく低下させる危険な状態です。結果として建物の安全性が損なわれ、最悪の場合は大規模な補修や建て替えが必要になる可能性もあります。
断熱性能の低下
外壁塗装は単なる見た目のためだけでなく、断熱性や防水性を高める重要な役割を果たしています。欠損が生じると、外気が建物内部に直接伝わりやすくなり、室内の温度調整が難しくなります。これにより、冷暖房の効率が悪化し、エネルギー消費が増大して光熱費の負担が大きくなることが避けられません。特に冬季の結露や夏の室温上昇など、快適な住環境維持にも悪影響が及びます。
美観の損失と資産価値の低下
外壁の欠損やひび割れ・色あせは、建物全体の見た目を損ない、第一印象を悪くします。住宅やマンションを賃貸に出したり売却したりする際には、外観の状態が入居者や購入希望者の評価に直結し、資産価値の低下を招くことも少なくありません。定期的な補修や塗装で外観をきれいに保つことは、建物の資産価値維持に欠かせないポイントです。
修繕費用の増加
欠損部分を小さいうちに発見して補修すれば、軽微な工事で済むため費用を抑えられます。しかし、放置して劣化が進むと、ひび割れの拡大や構造部の腐食、さらにはカビや害虫被害の拡大を招きます。その結果、大規模な補修や場合によっては外壁全面の改修が必要となり、費用が数倍に膨れ上がるリスクがあります。定期的な点検と早期補修が長期的には最も経済的な選択です。
このように、外壁塗装の欠損は見た目以上に建物の耐久性や居住環境、将来的な費用に大きな影響を及ぼします。少しの異変でも早めの点検・補修が重要です。
外壁塗装の欠損部を補修する方法と費用相場
欠損部の補修方法は、症状や規模によって異なります。代表的な補修方法と費用相場は以下の通りです。
| 補修方法 | 特徴 | 費用相場(1㎡あたり) |
| ひび割れ補修(シーリング工法) | シーリング材でひび割れ部分を埋め、防水機能を回復 | 約2,000~5,000円/1㎡ |
| モルタル補修 | 剥がれた部分にモルタルを充填し補強 | 約4,000~8,000円/1㎡ |
| 樹脂注入補修(エポキシ樹脂工法) | ひび割れ内部にエポキシ樹脂を注入し強度回復 | 約5,000~10,000円/1㎡ |
| 爆裂補修(鉄筋露出部の処理) | 鉄筋が露出した部分の補修。構造的補強が必要 | 約8,000~15,000円/1㎡ |
| 外壁タイル張替え補修 | 剥がれたタイルを新しいものに交換 | 約10,000~20,000/1㎡円 |
外壁塗装の欠損部補修にかかる費用を抑えるポイント
外壁塗装の補修費用をできるだけ抑えるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。無理のない予算で、効果的に補修を行うために参考にしてください。
軽微な欠損のうちに早めに補修を行うこと
外壁塗装の欠損は、小さなひび割れや塗膜の剥がれなど、軽微なうちに発見し補修を行うことが費用削減の最大のポイントです。欠損を放置しておくと、雨水や湿気の侵入で建物内部の腐食が進み、補修範囲が広がって大規模工事に発展することがあります。初期段階で対処すれば、作業も簡単で使う材料も少なく済み、費用を抑えられます。
複数の施工業者から見積もりを取る
補修工事は業者によって料金や工法が異なるため、1社だけで決めるのはリスクがあります。複数の施工業者から現地調査と見積もりを取り、費用の相場感を把握しましょう。相見積もりをとることで、過剰に高額な見積もりや、不適切な工事内容を回避でき、納得のいく価格で工事を依頼できます。また、業者の対応や説明の丁寧さも比較することが大切です。
外壁全体の塗装と一緒に補修工事をまとめて実施する
外壁の補修工事を単独で行うと、足場の設置費用が別途かかるため費用が割高になりがちです。外壁塗装の塗り替えのタイミングで、他の補修工事もまとめて実施することで、足場設置費用や工期の短縮につながり、総合的なコストを抑えられます。また、一度の工事で済ませることで建物への負担も減り、長期的に見てメンテナンス費用を節約できるメリットもあります。
これらのポイントを意識して、早めの補修対応と賢い業者選びを心がけることで、無駄な費用を抑えながら建物の美観と耐久性を維持しましょう。
欠損部以外に注意したい外壁の劣化サイン
外壁塗装の欠損以外にも、以下のような劣化サインが現れることがあります。定期的にチェックして早期発見に努めましょう。
汚れやカビ・コケの発生
塗膜の耐性が低下すると、外壁に汚れやカビ、コケが付着しやすくなります。特に湿気が溜まりやすい北面や日陰部分で発生しやすいです。これらは見た目を損なうだけでなく、塗膜の劣化をさらに促進します。
色あせや変色
紫外線による塗料中の樹脂劣化で色あせが起こり、外壁の美観が落ちます。色あせが進むと防水性能も低下し、劣化を早める原因となるため注意が必要です。
チョーキング現象(白亜化)
塗膜の顔料が粉状になって表面に浮き出る現象です。触ると白い粉が手に付着します。これは塗膜の劣化のサインで、塗り替えの目安となります。
塗膜の剥がれや浮き
塗料の密着力が落ちることで発生し、ひとたび剥がれ始めると範囲が広がりやすいです。早急な補修が必要です。
外壁塗装のメンテナンスは10年ごとが目安!定期点検のメリット
外壁塗装の一般的な耐用年数は、約10年といわれています。日々の紫外線や雨風・温度変化にさらされることで、塗膜は徐々に劣化し、その防水性や美観が損なわれていきます。そのため、築10年を目安に塗り替えや点検を行うことが、建物の長期的な健康を維持するために非常に重要です。定期点検のメリットとしては、以下の点が挙げられます。
建物の防水性維持
外壁の塗膜は建物を雨水や湿気から守るバリアの役割を果たしています。塗膜が劣化するとその機能が低下し、雨水が壁の内部に浸入しやすくなり、漏水や内部構造の腐食リスクが高まります。定期点検で早期に塗膜の劣化やひび割れを発見できれば、雨漏りなどの深刻なトラブルを未然に防ぐことが可能です。
耐久性の向上
外壁にできた小さなひび割れや欠損は放置するとどんどん広がり、構造部分にまで影響を及ぼすことがあります。定期的な点検と補修により、こうした初期段階の劣化を素早く補修できるため、建物全体の耐久性を高め、寿命を延ばすことにつながります。
美観の維持
時間の経過とともに、塗膜は色あせや汚れの付着、カビ・藻の発生など外観の劣化を招きます。建物の見た目は住人の満足度だけでなく、不動産の価値にも大きく影響します。定期的に外壁をメンテナンスすることで、いつまでも清潔で美しい外観を保つことができます。
修繕コストの削減
小さな劣化を放置すると、次第に建物全体の補修が必要となり、費用が大きく膨らむことがあります。定期点検と早期補修は、大規模な工事を避けるための最も効果的な手段であり、長期的に見て大きな修繕費用の節約につながります。
メンテナンスのポイント
外壁塗装のメンテナンスを行うときのポイントは、以下の通りです。
- 使用塗料の耐久性に合わせた塗り替え時期を把握する: 塗料の種類や品質により耐用年数は異なります。それぞれの塗料が持つ特性を理解し、適切な時期に塗り替えを計画しましょう。
- 定期的に専門業者による点検を依頼し小さな劣化を見逃さない:自分で気づかない劣化も専門家なら見つけられます。信頼できる業者に定期点検を依頼し、劣化の兆候を早期に発見して補修計画を立てましょう。
- 複数業者の見積もりを比較し、適正価格で施工を依頼する:施工費用は業者ごとに異なります。複数の業者から見積もりを取り、内容と価格を比較検討してから依頼することで、費用対効果の高い工事が実現します。
外壁塗装のメンテナンスを怠ると、建物の劣化が加速し、修繕費用やトラブルのリスクが大幅に増大します。逆に、計画的な定期点検と適切な補修を行えば、建物の資産価値を守りつつ、長期的に安心して住み続けられる環境をつくることが可能です。10年に一度を目安に、しっかりメンテナンスを行いましょう。
外壁塗装の欠損部補修を依頼する施工業者の選び方
外壁塗装の補修は見た目だけでなく、耐久性を左右するため、信頼できる業者選びが非常に重要です。以下のポイントを参考に業者を選びましょう。
- 補修実績のある業者を選ぶ:公式サイトや口コミで施工事例やビフォーアフター写真を確認し、実績が豊富な業者を選びましょう。
- 近隣への配慮が徹底している:工事時の挨拶や臭い対策、作業時間の配慮など、近隣住民への気配りをしっかり行う業者がおすすめです。
- アフターフォローと保証内容の確認:定期点検や保証書の発行がある業者を選ぶと安心です。保証範囲や期間、免責事項を契約前に確認しましょう。
- 建設業許可の有無をチェック:国土交通省のサイトで建設業許可番号を確認できます。許可取得は信頼の証です。
外壁塗装工事の一般的な流れ
外壁塗装工事は美観の向上だけでなく、建物の耐久性や防水性を確保するために欠かせない重要な作業です。工事の品質は各工程の丁寧な作業にかかっているため、段階を踏んで慎重に進める必要があります。ここでは、一般的な外壁塗装工事の流れを詳しく解説します。
1. 現場調査と足場設置
まずは専門スタッフが現場を入念に調査し、外壁の劣化状況や補修が必要な箇所を確認します。この調査を基に、適切な施工計画を立てます。安全かつ効率的に作業を進めるために、建物の周囲に足場を設置します。足場がしっかりしていることで職人は安定した環境で作業でき、塗装の仕上がり品質が向上します。また、足場の設置は近隣住民への配慮も欠かせず、騒音や安全面に注意を払います。
2. 清掃・高圧洗浄
塗装前には、外壁に付着したホコリやカビ、苔、古い塗膜の汚れを高圧洗浄機でしっかりと落とします。この工程が不十分だと、塗料の密着が悪くなり、剥がれや塗膜の劣化を招くため非常に重要です。高圧洗浄後は十分に乾燥させることで、塗料がしっかりと接着できる環境を整えます。
3. 下地処理
外壁にひび割れや欠損がある場合、放置すると塗装の効果が発揮されないため、必ず補修を行います。モルタルによる欠損部の充填や、シーリング材の打ち替えを行い、ひび割れを塞ぎます。これにより、防水性が高まり、建物の耐久性が向上します。下地処理は塗装の土台となる重要な工程であり、丁寧な作業が求められます。
4. 養生作業
窓枠や玄関ドア、エアコンの室外機、植栽など、塗料が付着しては困る部分をビニールシートや養生テープで覆います。この作業は、周辺環境を汚さずにきれいな仕上がりを保つための必須工程です。養生が甘いと、近隣への迷惑やお客様からのクレームにつながるため、細部まで丁寧に行います。
5. 下塗り
下塗りは、外壁と塗料の密着を高める役割を持つ重要な層です。塗膜の剥がれを防止し、防水効果の基礎を作るために、専用の下塗り剤を使用します。この層がしっかりと施工されていないと、上塗りが長持ちしないため、職人の腕が問われる工程でもあります。
6. 中塗り・上塗り
中塗りでは塗膜の厚みを確保し、外壁を保護する層を形成します。その後、上塗りで仕上げの色とツヤを整え、美しい外観に仕上げます。塗装は複数回塗り重ねることで、均一で耐久性の高い塗膜が完成します。また、塗料の種類や色の調整もこの段階で行い、色ムラや不具合がないか細かくチェックしながら進めます。
7. 完了検査・足場解体
塗装が完了したら、施工箇所のチェックを丁寧に行い、塗り残しやムラ、はがれがないかを確認します。必要に応じて補修を行い、品質を最終確認します。検査が完了したら、足場を安全に解体し、現場を清掃して工事を終了します。お客様に施工内容の説明や保証内容を伝え、アフターケアの案内も忘れずに行います。
このように外壁塗装工事は、一つひとつの工程を丁寧に進めることで建物の美観と耐久性を守り、長期間快適な住環境を提供します。信頼できる業者選びも品質に直結するため、工事の流れを理解し、安心して任せられる業者を選びましょう。
外壁塗装の欠損部に関するよくある質問(FAQ)
外壁塗装の欠損部に関して、よくいただく質問をまとめました。
Q1. 外壁塗装の欠損はどのくらいの期間放置しても大丈夫ですか?
A1. 欠損の程度や環境によりますが、放置すると雨水や湿気が侵入し建物の劣化を加速させるため、できるだけ早めの点検・補修をおすすめします。軽微な欠損でも半年〜1年以内に対処すると費用を抑えられます。
Q2. 外壁塗装の補修は自分でできますか?
A2. 軽微なひび割れ補修は市販のシーリング材で可能な場合もありますが、塗装の色合わせや下地処理などは専門技術が必要です。長持ちさせるためにも専門業者への依頼が安心です。
Q3. 補修費用はどのくらいかかりますか?
A3. 欠損の種類や範囲、使用材料によって異なりますが、一般的に1㎡あたり約2,000円〜20,000円程度が相場です。複数業者から見積もりを取り、比較検討しましょう。
Q4. どのタイミングで外壁塗装の塗り替えを行うべきですか?
A4. 一般的には10年ごとに塗り替えを検討するのが目安です。ただし、ひび割れや色あせ、剥がれなどの劣化症状が早期に出た場合は、状況に応じて早めの塗り替えが必要です。
Q5. 信頼できる外壁塗装業者の見分け方は?
A5. 補修実績が豊富で、施工写真やお客様の声が公開されている業者を選びましょう。建設業許可の取得や保証書の発行、近隣への配慮があるかも重要な判断ポイントです。
外壁塗装の欠損部は早めの補修が重要|まとめ
外壁塗装の欠損は建物の耐久性や美観に大きく影響します。小さな欠損でも放置すると、雨漏りや鉄筋の腐食、断熱性能の低下などのリスクが高まり、結果的に修繕費用が膨らむ恐れがあります。そのため、欠損や劣化症状を早期に発見し、専門業者に点検を依頼して適切な補修を行うことが重要です。複数の施工実績や保証内容を確認し、信頼できる業者を選ぶことでトラブルを防げます。また、外壁塗装は耐用年数が約10年とされているため、定期的なメンテナンスを実施し、日頃から外壁の状態をチェックする習慣を持つことが快適な住環境を維持するポイントです。早期の補修と定期メンテナンスで建物の寿命を延ばし、資産価値を守りましょう。